記事では出せないはずだったサイト改善の裏側【DPZ×ウェブ解析士マスター リターンズ】
また戻ってきました。ウェブ解析士マスターの井水です。
デイリーポータルZ(以下、DPZ)、編集長の林です。
編集部の石川です。
これまでDPZのアクセス解析をしてサイト改善するという連載企画をやってきました。連載の詳細は記事を確認していただきたいのですが、本編の連載に含められなかった細かい話があるんです。
ありますね! 色々と頑張りましたし、せっかくなので聞いてもらいましょう。
ということで、スピンオフとして以下3つの施策の裏側を紹介します。
- 「はげます会」トップページのメインビジュアル変更
- DPZサイトトップページに「はげます会」へのバナー設置
- 「はげます会」への入会メリットがわかるよう、会員限定記事の一部を一般公開
~話はサイト改善をしていた数か月前に遡る……~
「はげます会」トップページのメインビジュアル変更の紆余曲折
編集部: DPZの有料会員を増やす改善を行うなかで、有料会員ページである「はげます会」トップページのメインビジュアルを変更するにあたり、「はげます会」入会のメリットとDPZの世界観を伝えるデザインにする、という話になりました。
最終的に、はげます会のメインビジュアルは、このように変更されたんですが、どのようにこのクリエイティブに決まったのか、振り返ってみたいと思います。
井水:「はげます会」入会のメリットとDPZの世界観を伝えるデザイン、どんな要素を入れていきましょうか。
林:楽しい感じを前面に押し出したいですねー。あとははげまシスト限定特典とか。金額も書いた方がいいですよね?
井水:価格は書いた方がいいですね! 楽しい感じを出すのも振り切った写真が良いと思います。
林:ではまた新しいポーズを……。
井水:ライターさんや編集部の皆さんが一緒に楽しもうと呼びかけるイメージはいかがでしょう(食い気味)? 個人個人のファンが多いメディアですので。
林:ライターはすぐには難しいかもですが、編集部はすぐできます。ポーズとしては……。
井水:編集部の皆さんがはげます会に呼びかけている雰囲気いいですね(食い気味)!
林:えっと、面白いポーズ……
井水:はい、素敵なポーズでキメましょう! 楽しさを伝える雰囲気も大事です!
林:ですよね!
井水:それに加え、限定特典を項目ごとに並べて、同じエリアにCTA(申し込みに誘導するボタン)も忘れずに!
石川:ということで変更プランをこんな感じにまとめてみました。
井水:いいですね。この案を元にデザイナーさんに依頼してみましょう!
~しばらくして~
林:「はげます会」のご案内ページがデザイナーからあがってきました! 「パカー!」と明るい感じで作ってくれました。
井水:わー!むっちゃいいですね! 楽しそうな感じが伝わってきます!
林:ほんとに、デザイナーに頼むの大事ですね……。
石川:そしてこれが実装した画面です。先ほど出てきたイメージでは金額が書いていなかったのでボタンの下に足しています。こうして見ると、今までは何だったのかという気がしてきます……。
林:勉強になった。
DPZサイトトップページに「はげます会」へのバナー設置
編集部:「はげます会」トップページのメインビジュアルが良くなっただけでは、サイトトップから誘導できないので、バナーを設置することになりました。以下のようにバナーを設置しましたが、紆余曲折あったのでどのように設置されたのか振り返ってみましょう。
井水:DPZのサイトのトップページから「はげます会」への導線も行き方もわかりにくいので、バナーを設置するのはどうですか?
林:バナーいいですね。石川クンできそう?
石川:できますよ。どんなバナーにしますか?
井水:分析の結果、はげます会自体の存在を知らない人が多かったのでバナーを置くだけである程度意味があるかもしれませんが、せっかくなのでワクワクさせる感じで誘導したいですね。
林:どんなコピーで誘導するかですね。悩ましいです。
井水:じゃあこれは全員でDPZっぽいバナー文言を考えてみましょうか。そうしたら4パターンできますよね。
二村(Web担編集部):えっ。私もですか!
林:よそのサイトのバナーを考えるんですねw
井水:皆でやりましょう! 2分くらいで。さん、はい!
~2分後~
井水:発表しましょう。林さんからどうぞ!
林:「特に安くなってないキャンペーン実施中!」
一同:(笑)。
二村:「月額1100円でオリジナルコンテンツが楽しめるって知ってました? 知らなかった方はこちら」
井水:「ヒマとお金を持て余しているあなたへ デイリーの有料コンテンツを見る」です。
石川:「月額1100円でこの世界をもっと楽しめる会があります」
井水:なかなか良いのが出そろいましたね。さすが皆さんプロですね!本当はもう少し時間をかけて考えるところですがw
石川:あがってきたデザインがこちらです。
井水:「特に安くなってない」が一番目に飛び込んできますね(笑)。
石川&二村:めちゃくちゃ目立つ。
井水:これをGoogle オプティマイズでA/Bテスト回してみましょう。
~A/Bテストしてみた~
井水:結果が出ましたね。「オリジナル」と書いてあるところは、元々バナーがないため無視してください。1位が「ヒマとお金を持て余しているあなたへ デイリーの有料コンテンツを見る」、2位が「特に安くなってないキャンペーン実施中!」ですね。
井水:この結果は、TOPページから各バナーのリンクを経て実際にはげます会に申し込み完了までされた方の人数です。
少し差がついてはいますが、CV数が少ない時は参考として別の指標も見ておきたいところです。今回TOPページのバナーはあくまではげます会ページへの誘導目的でした。
オプティマイズでは副目標というコンバージョンに至る一つ前の指標も設定、つまりはげます会ページに各バナーがどのくらい誘導できたかも計測していたのでその結果も見てみましょう。
これもほぼ同じくらいのセッション数に対して、「特に安くなっていない…」と「暇とお金を…」が他の2つのバナーより多く誘導できていました。
大差が出ている訳ではないですが前のCV数の結果からも今回はこの2つのクリエイティブが優れていると判断してこの2つでA/Bテストを行い、良い方をオリジナルで設定していくと良さそうです。
「はげます会」への入会メリットがわかるよう、会員限定記事の一部を一般公開
編集部:アクセス解析によって、「はげます会」会員限定の記事を一部一般公開したキャンペーンが入会へ繋がったことが判明したDPZ。そこで、人気のライターに会員限定記事を執筆してもらい、一部公開することになりました。実施したのですが、連載本編ではカットした内容なので裏側を振り返ります。
井水:「はげます会」への入会メリットとして提案した会員限定記事はどうなりましたか?
林:はげます会限定の記事をライターさんに作成してもらって、それを途中まで公開するというのをやってみました。
井水:いいですね。頻度はどのくらいですか?
林:毎週火曜日にやってみてますけど、やはり注目される記事は平坂さんが書いた記事でした。
井水:「はげます会」への流入はどう計っていますか?
林:記事の無料部分のページのページビュー数と、そこからご案内のページに行った数で計っています。
井水:人気なんですねえ。
林:ページビュー数も他のライターが4、5,000なのに、平坂さんは10,000超えていました。記事から「はげます会」の案内のページに行くのも、他のライターの記事では100以下なんですけど、平坂さんだけ350とか。
井水:3倍以上の誘導率…! すごいですね。
林:すごいんですよ。平坂さんの他に、編集部も記事を書いています。さらに人気ライターもう1人に限定記事を執筆してもらうことにしました。
井水:ちなみに、今まで一番良かった記事はどれですか?
林:やっぱり良かったのは平坂さんの記事ですね。「ワラジムシとダンゴムシは究極のペットだぞ」と「巨大ミミズ!『ヤンバルフトミミズ』を探せ!」
井水:「続きは『デイリーポータルZをはげます会』の専用ページでご覧いただけます。」って、書いてありますが、無料公開部分が読み応えがありますね。
林:「ワラジムシ」の方は、気持ち悪い写真が出る直前に終わってます。あと、べつやくさんにも限定記事をお願いしました。「ミスマッチプラモデル」という記事です。
井水:無料でかなり読めますね。続きがある/ないが、わかるような…わからないような…。
林:一回ひと段落したところで、有料会員への誘導をしてます。
二村:親切心が出ちゃったんですね(笑)。
林:そうそう、あんまり気持ちの悪いところで切りたくないっていう。
井水:親切ですね。でも、「よっしゃー、続きを読みたい!」っていう気持ちは、あの…。
林:ないですね(笑)。
井水:誘導するには、もうちょっと意地悪なところで切った方が良いんですが、バランスが難しいですね。でもこれは成果が出ているので続けていきましょう!
林:記事を切る部分に関してはもう少し検討します!
振り返って
二村:本編で割愛した部分、振り返ってみていかがでしたか?
井水:改善することが目的ですが、皆さんで一緒に考えること、そして楽しむことも重要だなと再確認しました。面白い企画をありがとうございました!
林:サイト運営って盆栽みたいですね。ちょっと手をかけるとすぐに結果が現れる。
知恵を授けてくださってありがとうございます!枯らさないように頑張ります。
石川:こうやってサイト改善を見ていただいたり、メインビジュアルをデザイナーに作ってもらったり、プロに頼むのって大事だなと思いました。お力添えどうもありがとうございました!
二村:実際に改善施策をして、そろそろ1年ですよね。11月のイベントでは記事を振り返りつつ、改善してみてどうか、今どうなっているのかをお話していただこうと思います!
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