知って得するドメイン名のちょっといい話

検索とドメイン名の微妙な関係/知って得するドメイン名のちょっといい話 #7

最近テレビや雑誌で見かける「○○で検索!」という広告
JPRS通信 知って得するドメイン名のちょっといい話

最近テレビや雑誌で見かける「○○で検索!」という広告、誰でも一度は目にしたことがあるに違いない。これは視聴者・読者をウェブサイトに誘導する手法として一般的になっている。今回は、その長所と短所を知った上で、効果的なナビゲーションを考えたい。

広告・宣伝とインターネット

テレビCMや新聞・雑誌の広告などは、視聴者・読者がそこで得た情報を元に店頭などで商品購入の判断をすることを前提にしています。したがって、CMや広告で伝える情報がすべてと言ってよく、そこでいかに商品やサービスの良さを伝えられるかということが大切でした。

しかし、インターネット、特にウェブの普及はこの流れを大きく変えています。テレビCMや広告は、商品やサービスを「もっと知りたい!」という感情を引き起こすために使われ、その受け皿としてウェブサイトが用意されるようになりました。ウェブサイトは、商品やサービスに関する詳しい情報を提供するメディアとしての役割だけでなく、ユーザーを購入にまで導くためのなくてはならない存在になっています。

そして、テレビCMや広告で重要視されるようになったのが「ウェブサイトへの確実な誘導」という機能です。

記憶に残るナビゲーション

ユーザーをウェブサイトに誘導するためには、重要なポイントがいくつかあります。

  1. アクセスしたいという気持ちを引き起こさせること
  2. アクセス方法が覚えやすいこと
  3. 簡単にアクセスできると感じさせること
  4. 限られた時間・領域で記憶に残すこと

1は、商品・サービスの内容や広告そのものの手法によるところが大きいので、ここでは2から4について考えてみましょう。

テレビCM・広告からのウェブへのナビゲーションは、URLを記載するという従来から用いられている手法においては、2から4は「短く覚えやすいURLを見せる」ということにつながります。実際、広告に使われるURLは、商品に関連付けられた短い独自ドメイン名が使われることが多いですよね。

しかし、元の商品名やサービス名を短く覚えやすいURLにしようと思っても、うまくいかないこともあります。特に日本語の名前を英数字にするためにローマ字や略称などを使うと、内容が直感的に理解できず、記憶するのに一手間かかってしまいます。

図1
図1 検索によるナビゲーション例

そこで登場したのが「検索サービスでアクセスしてもらう」という手法です。検索は日本のインターネットユーザーに広く普及しているため、「○○で検索してください」と言えば、Yahoo!やGoogleなどのアクセス方法などの説明は不要です。また、日本語の名前であってもそのまま案内できるので、簡単で覚えやすいアクセス方法となります(図1)。

検索による誘導は万全か

「検索結果の上位に表示されなければ価値がない」と言われるほど、検索はビジネスを左右する要因のひとつになってきています。広告・宣伝から検索経由でユーザーを誘導するためにも検索結果は重要です。

まず、当然ながら検索結果の上位に表示されることが必要です。しかも、最上位でなければならないでしょう。しかし、自社の商品やサービス名であれば最上位に表示される、という保証はありません。そこで、SEOを駆使することになります。広告費を払ってスポンサーサイトとして上位表示を確保するという手段も有効でしょう。

でも、ちょっと待ってください。検索結果画面の一番最初に自社のウェブサイトが表示されれば、それで問題はなにもないのでしょうか。ここで考えるべきポイントは2つです。

  1. 検索結果の表示は変化する
  2. 検索結果には自社ウェブサイト以外へのリンクがある

まず1ですが、検索結果は固定ではありません。明日、他社のサイトが自社サイトより上位に表示される可能性はゼロではないのです。特にスポンサー表示は、より高い広告料金を支払うと上位になるという売り方が多いので、他の誰かが自社より高いお金を払うことで1位になるかもしれません。

2は、ユーザーを確実に自社サイトに案内するという点では無視できません。たとえ自社が最上位に表示されていても、同じ画面内にユーザーの興味を引く別のリンクがあるかもしれません。そしてその中には、自社の商品やサービスに対して批判的な情報が含まれている可能性もあります。

図2
図2 検索結果には自社ウェブサイト以外のリンクもある

みなさんも、あるウェブサイトに行こうとして検索サービスを利用し、その結果表示から別のウェブサイトに興味を持ち、寄り道をしてみたり、さらには元々行きたかったウェブサイトに行くことを忘れてしまったりという経験はありませんか(図2)。

検索による誘導にドメイン名を活用する

何事にも得手不得手、長所短所があるもので、それらを適材適所に活用することが大切です。検索は何と言ってもインターネットユーザーの誰もが知っているアクセス方法ですから、先の課題をどのように解決すべきかという視点で考えましょう。

  1. 視聴者・読者の記憶に残すイメージを統一する
  2. SEO的に効果的なURLを設定する
  3. 検索結果に対するユーザー心理を考慮する

まず、視聴者・読者の記憶に残すイメージを統一することが必要です。商品名・サービス名をアピールするなら、「○○で検索」と言うときのキーワードも同じものにすべきでしょう。キャッチーなフレーズだと思って商品名やサービス名と違うものを表示しても、結果として記憶を混乱させてしまうことになってしまいます。

あいまいな記憶からでもウェブにたどり着けるのが検索の大きな長所ですが、確実な誘導という目的から見れば望ましくありません。

検索キーワードと同じ文字列のドメイン名でアクセスできるようにしておくことも大切です。何と言っても寄り道なく一直線にアクセスしてもらえる手段は重要です。昨年11月のIE7、そして今年1月のWindows Vistaの登場で、今後は日本語ドメイン名によるURLがより広く利用されるようになります。日本語の検索キーワードを用いる場合は日本語ドメイン名でもアクセスできるようにするのがよいでしょう。

また、このことはSEO的にも効果があります。あるキーワードで検索するとき、そのキーワードがウェブページのタイトルやコンテンツに含まれているかという点以外に、それがURLに含まれているかということも評価されると言われています。日本では日本語のキーワードで検索されることが多いですが、ウェブのURLに日本語ドメイン名を用いることで、この効果も期待できます。

さらに、検索の結果表示では、ユーザーにいかに自社のウェブへのリンクをクリックしてもらうかという点で、表示順以外にも大切なことがあります。検索結果は、ページタイトル、概要説明、URLの3つのパートで表示されます。これらが、検索を行ったユーザーにとって「自分がアクセスすべきウェブページだ」と思わせるものであることが必要です。ここでURLが検索キーワードと同じ文字列となっていれば、視覚的にわかりやすく、タイトルと概要説明と併せて「クリックしよう」という気持ちに繋げることができます。

確実な誘導と幅広い誘導

検索とドメイン名は、それぞれの長所・短所を知り、お互いを補い合う運用をすることで、より効果的なユーザーナビゲーションを行うことができます。

何で検索してもらうのか、どのようなURLを見せるか、という視点で自分のウェブへのナビゲーションをもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

画面1
画面1 「駅街ガイド」での検索例

※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.8』(2007年2月26日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。

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