ドメイン名の一番右側の部分で日本でよく見かけるのは「.jp」「.com」「.net」といったところだが、最近ではほかにもいろいろな種類のものが登場し、使われるようになってきた。さて、それらの意味や使い方の違いは何だろうか。
ドメイン名には意味がある
独自ドメイン名でウェブサイトを運営したい、というからにはドメイン名にこだわるのは当然ですね。すでにドメイン名を登録している方も、これから登録しようとしている方も、意味のある名前を考えたはずです。
ドメイン名は、「○○○.jp」、「○○○.com」の「○○○」の部分を希望する文字列で登録することになりますが、その右側にある「.jp」や「.com」の部分は「トップレベルドメイン(TLD:Top Level Domain)」と呼ばれます。
TLDには国別TLD(ccTLD)と、それ以外のTLD(gTLD)の2種類があります。たとえば「.jp」は日本のccTLDで、「.com」や「.net」がgTLDです。これらはおなじみのものですが、そのほかにもあまり知られていないTLDや新しく作られたTLDなどがあります。
新しく作られたTLD
「.info」や「.biz」というTLDを見たことはあるでしょうか? 最近のニュース記事では「.mobi」や「.asia」というTLDも取り上げられました。これらは新しく作られたTLDです。
インターネットの広がりの中でドメイン名の登録も増加し、希望の文字列がすでに登録されていることが多くなりました。また、限られたコミュニティー向けのドメイン名に対する要求も大きく、これらを解決するために、国際機関であるICANNは、TLD新設の議論を推進し、2001年から2002年にかけて7つの新しいTLDを設置しました(表1)。
| TLD | 主な用途 | 取得時の制約 |
|---|---|---|
| .biz | ビジネス | なし |
| .info | 情報提供 | なし |
| .name | 個人名 | あり |
| .museum | 博物館・美術館 | あり |
| .coop | 協同組合 | あり |
| .aero | 航空運輸業界 | あり |
| .pro | 専門職(弁護士・医師等) | あり |
| TLD | 主な用途 |
|---|---|
| .asia | アジア太平洋地域 |
| .cat | カタルーニャ地方 |
| .jobs | 人的資源管理 |
| .mobi | モバイル機器・サービス |
| .tel | テレコミュニケーション |
| .travel | 旅行業界 |
表1にあるTLDの中でも、「.biz」「.info」は、登録にあたって資格などの制約がほとんどないために、少しずつ数を増やしています。希望の文字列のドメイン名が「.jp」や「.com」で空いていなかった、という場合も「.biz」や「.info」なら登録できるかもしれません。また、2003年末以降、ICANNは2回目のTLD新設の動きを進めており、2006年11月1日現在、6つのTLDの設置が承認されています(表2)。
新設するTLDはICANNに提案されたものの中から選ばれますが、そのTLDを設けることがインターネットのためになるかどうか、という審査を経て決定されます。
「.xxx」というアダルト業界向けのTLD提案が不承認になった、という最近のニュースをご存知の方もいると思います。
現在は、日本で用いられているドメイン名の多くが、「.co.jp」「.com」「.jp」ですが、これから新しいTLDも少しずつ増えてくるかもしれません(グラフ1)。
TLDの違いは「見る側」にどう受け止められるか
徐々に増えてきたTLDですが、独自ドメイン名を登録する側にとって、TLDは希望の文字列が登録できるものであれば、どれでもよいのでしょうか?
限られたコミュニティーの中で用いるなら、それでもいいかもしれませんが、不特定多数を対象とするサイトや、ビジネスで用いるものであれば、そのドメイン名がアクセスする人=「見る側」から、どのように見られるかを意識する必要があります。
たとえば、「.jp」や「.com」は、日本国内でよく知られていますが、「.biz」や「.info」などは、それをドメイン名だとは思わなかった、という声もあります。
また、「.jp」と「.com」にも「見る側」が向ける意識には差があります。JPRSの調査の結果、「.jp」では6割が「日本」のサイトだとイメージするのに対して、「.com」ではほとんどがどこの国のサイトか具体的なイメージを抱いていません。このような視点もドメイン名を登録するときには知っておいたほうがよいでしょう(グラフ2)。
あまり知られていないTLDを利用する場合の注意
最近は「.jp」以外のccTLDを日本国内で見ることが増えてきました。ccTLDの中には海外からの登録を認めているものもあります。また、小さな島国などではccTLDの権利を海外企業に売却してしまう事例もあり、これらがgTLDと同様に、世界中にサービスされていることがあります。有名なところではツバルの「.tv」やココス諸島の「.cc」などの例があります。
登録したい文字列が有名なTLDで登録できないとき、これらのTLDはその助けになるかもしれません。しかし、その前にいくつかの注意点を知っておくことが必要です。
ドメイン名はTLDごとに登録管理組織が決められていて、登録管理やDNSの運用を行っています。「.jp」ではJPRSが登録管理組織です。サービスの形や品質は登録管理組織ごとに異なりますが、DNS設定情報や登録者情報の変更などがスムーズに行えるか、問い合わせやトラブルは迅速かつ的確に対応されるか、という点は重要です。
海外のドメイン名を登録していたが、突然英語のメールが届いて、よくわからないので放置していたらドメイン名を失ってしまった、というような事故の話もよく聞きます。
また、登録管理組織が運用するTLDレベルのDNSは、24時間365日無停止で運用されることが必要ですが、管理組織によっては、DNS運用の障害などでウェブサイトにアクセスできなくなったり、メールが届かなくなったりするトラブルが発生することもあるようです。
さらに最近、スパム業者がフィルター回避の手段として小さな島国などのTLDを多用している、ということも耳にします。スパムフィルターメーカーなどが調査を進めているようですが、これらのTLDを利用する場合は、インターネット上での評判やフィルター設定に関する動向に注意したほうがよいでしょう。
自分の大切なサイトを支えるドメイン名ですから、サービスの品質や評判についてもTLD選択の1つの基準にしたいものです。
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※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.7』(2006年11月30日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。
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