検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書
SEO(検索エンジン最適化)テクニックで効果的にPRする
2003年に刊行され、「SEO(検索エンジン最適化)」という言葉を世に送り出し、大反響を呼んだ「検索にガンガンヒットするホームページの作り方」。伝説ともいわれた名著が、最新情報を満載し、ついに刊行!
最新情報・動向、必須テクニックはもちろんのこと、SEOの「なぜ?」「なに?」「どうして?」を丁寧に説明します。
正しいSEOの知識を身につければ、恐いものナシ!Web制作者・運営者必須の情報が満載です!
この記事は、第4章「キーワードの選び方」の記事です。
これまでに公開された検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書の記事はこちらからどうぞ。
- 購買ステージごとにキーワードは変わる
- 対策キーワードが増えるほど集客できる
- 検索回数だけでなく成果の貢献度も考える
検索数が多い数個のキーワードで十分?
キーワード選びをしていく中で、みなさんが誘導のターゲットとしたい顧客が利用するキーワードは多岐にわたることがわかったと思いますが、さて、SEOを実施するにあたってキーワードは絞り込んだ方がいいのでしょうか、それとも可能性のあるキーワードは網羅した方がいいのでしょうか?
SEOで対象とするキーワードの個数の違いは、日米企業で大きな違いがあります。SEOに対する十分な理解がなく、単なるランキング遊びといった認識を持ちがちな日本企業の多くは、検索数が圧倒的に多い数個のキーワードにしぼった対策をする傾向がある一方、米国の企業はウェブマーケティングあるいはオンラインキャンペーン全体最適化の考えから、消費者との接触機会(コンタクトポイント)最大化、およびROI最適化を求めて自社のビジネスに関連する多数のキーワードで適切に検索結果に表示される施策をとっています。
本書を手にとっているみなさんの中でも、特にいま運営しているサイトを利用して、売上げや問い合わせ数といった目標とする成果(コンバージョン)の最適化を目指したいというのであれば、対策するキーワードを一部に絞り込むことは大きな機会損失を招くことになり、お勧めすることはできません。
ではなぜ、SEO施策をするキーワードは関連する多数のキーワードが好ましいのでしょうか? この理由について考えてみましょう。
(1)購買サイクルにより検索キーワードは変わる
「ノートパソコンを購入したい」と考えて検索しているユーザーでも、その消費者の購買サイクルによって検索時に用いるキーワードは変わります。例えば、認知、調査、比較・検討、購入と4段階に分けた場合(図4.3)、下調べの段階では情報収集を中心にしますから、「ノートパソコン」や「vaio ノート」「ノートパソコ 軽量」「格安 ノートpc」といったキーワードを利用するかもしれませんが、ある程度購入候補を絞り込んだり、自分が求めるニーズが明確になってくると、「sxga+ ノート」や「モバイル ノートパソコン」「lavie j 評価」「lenovo x300 価格」といった、購入を決定するために必要な特定の情報を探すキーワードなるでしょう。そして、オンラインでの購入を決めたら、特定のオンライン販売サイトで商品を購入するために「東芝 直販」と検索するかもしれませんし、目当ての商品名(特定の型番)で検索するかもしれません。
さて、もし検索数が多いキーワードだけを対象にしたら(大抵の場合、まだ消費者の頭の中は漠然とした状態が多いですが)購買サイクルの前半のステージ中にあるユーザーにしかリーチできないことになります。これは大きな機会損失になりかねません。
検索やその他のネット広告を通じてサイトと消費者との接触回数を増やし、ブランド認知を浸透させていくことでコンバージョン率をいくらか高められることは調査によって明らかにされています。これは米ユナイテッド航空や米マリオットホテルが、各社のSEO戦略において「航空券を購入するまでの各ステージごとのキーワードを選択して」「ホテル予約に至るまでの利用シーンを想定したキーワードを選択して」といったことを実践しているのですが、ユナイテッド航空、マリオットホテルといったブランドと接触させて、それぞれのサービスや会社をよりよく知ってもらおうという考えもあります。
このように、消費者行動の観点からSEOを考えてみると、対象とすべきキーワードは行動にあわせたものにすべきだということがわかります。
(2)キーワードには「直接効果」と「間接効果」がある
企業が取り組むSEOは、会社の売上げにつながるためにどうするか? を考えますから、見込み顧客にリーチするキーワードを選びますし、同時に成果につながるキーワードを選びます。しかし、ここで「成果につながるキーワード」の定義が問題になります。
例えば、あるユーザーが「vaio type g」と検索して、訪問したSONYのオンライン販売サイトにて実際にノートパソコンを購入したとしましょう。この時、キーワード「vaio type g」というキーワードから売上げという成果が出ていますから、同キーワードがコンバージョンに貢献したと判断します。
しかし、このユーザーはきっと過去に商品の調査や比較・検討段階できっと色々なキーワードで検索をして、多数のウェブページから情報を得ているに違いありません。また、それまでの過程において「vaio type g」というノートパソコンの特徴やスペック、評価に関する情報を得て、同商品の購入意欲が高まったのでしょうし、また、それを購入する場所としてSONYの直販サイトを選択したのも、何らかのキーワードで検索した時にたどり着いたサイトにて認知したと考えることもできます。
つまり、このケースでは最終的に「vaio type g」というキーワードから成果が発生していても、このキーワードの検索行動を誘発させた、過去の別のキーワードも成果に間接的に貢献しているということになります。
このように、一口に「成果の出るキーワード」といっても直接成果を生み出すキーワードもあれば、それを間接的に支援するキーワードも存在します。こうした観点からも、単純に検索数が多い、少ないといった判断、あるいはコンバージョンが生まれた、生まれないという択一的な考え方で検索キーワードを絞り込むということは必ずしも正しいとはいえないのです。
(3)ロングテール理論
ロングテール理論とは、米Wired誌編集長だったクリス・アンダーソン氏が提唱した理論です。一般的にマーケティングなどの分野では、売上げ上位2割の合計が全体の8割を占めるといわれます。例えば、2割の社員が8割働く、2割の顧客から8割の売上げといった具合です。
そうなると、小売店のように商品棚や在庫を置く倉庫などの制約を受けるビジネスにおいては、売れ筋の20%を集めて、その他(80%)の売上げが見込めない商品は取り扱わない(注文があれば、取り寄せ対応)といった事態が起こります。
しかし、アマゾンなどのオンライン小売店は、商品棚に制約がなく、在庫や物流コストも従来の企業と比較して抑えられることから、その他の80%の商品を扱い、多品種少量販売で利益を上げることが可能です。特に、検索エンジンの存在によってユーザーは、ニッチな商品でも直接探しだそうとする行動をとるため、当該商品のウェブページを用意することでビジネスを成立させることができるのです。
このロングテール理論をSEMの世界で説明すると、次の図のようになります。
縦軸を検索回数、横軸を検索キーワードの種類(バリエーション)ととると、図のように、右側の検索回数が多い領域には一般キーワードが、左にいくほど、検索数が少ないけれどもユニークな検索が広がっていきます。これはユーザーは非常に個性的なキーワードで検索することによるものです。
さて、SEOをおこなう上でもし図のAゾーンにある、検索数が多い一般キーワードのみを狙った場合、確かに検索順位をあげることで相当のトラフィックを見込むことができるでしょう。しかし同時に、Bゾーン、Cゾーンの同じにようにあなたの扱う商材に興味があるユーザーを失うことになります。B、Cは検索数自体は1つ1つが多くないかもしれませんが、束ねればAゾーンに匹敵、あるいはそれ以上のトラフィックになるはずですし、また、B、Cゾーンのキーワードがユニークであるということはユーザーの検索意図も明確であり、コンバージョン率(成果につながる確率)は高い可能性があります。
ここまで説明してきたように、消費者の購買ステージによって検索キーワードは変わりますし、同様に1つ1つのキーワードが消費者の消費行動に沿って線でつないだ時、成果に間接的に貢献している場合もあります。単純に検索数という角度で考えても、検索数が少ないけれども検索意図が明確なユーザーのトラフィックを集めることで、サイトの集客力そのものを高めることができます。
ロングテール理論の観点からも、集客を効率的におこなうには幅広い検索キーワードに対応することが望ましいといえます。
(4)「公開したコンテンツは検索可能にしよう」
現在は企業がウェブサイトで会社概要や事業内容、IRやプレスリリースを発信することは一般的です。ところで、目的は「自社のサイトに情報をアップロードすること」ではなく、消費者に届けることにありますし、同時に、消費者やステークホルダー(株主など)があなたの企業に関する特定の情報をほしいと思った時に、速やかにそれを届けられるしくみを作っておく必要があります。それができないなら、ただの自己満足です。
「発信するコンテンツは検索可能(searchable)にして、キーワードによって目的の情報が探せるようにしよう」、企業と消費者やステークホルダーのインタラクティブ・コミュニケーションの橋渡し役として検索エンジンを活用するという視点を持ってみましょう。
この記事は、書籍『検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書
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