ネットショップでは、お店の魅力は「コミュニケーション量の二乗」
この記事は、書籍『楽天市場公式 ネットショップの教科書』の内容を、Web担当者Forum用に抜粋してオンライン版として公開するものです。本書は楽天市場に出店するネットショップの運営ノウハウ、繁盛する秘訣を楽天スタッフ自らが書き下ろした、唯一の公式解説書です。
『楽天市場公式 ネットショップの教科書』
- ISBN9784844324607
- 1,600円(税込 1,680 円)
- 楽天大学 編 /三木谷 浩史 監修
感動コミュニケーションを設計する
――究極の対面販売の秘訣3
魅力あるお店、お客様から好かれるお店にするための考え方の指針として、「よいサービスを提供すること」という視点で考えてきました。もう1つ、魅力の基準になるものがあります。お客様との「コミュニケーション量」です。
そこで次は、「コミュニケーション量を増大させること」にスポットを当てていくことにしましょう。
まず、「コミュニケーション」という言葉の意味を明らかにしておきます。楽天大学では、「コミュニケーション」を、「(1)お店の魅力(楽しい・安心・便利)を伝え、理解してもらうこと、(2)お客様に話してもらうこと」と定義しています。情報を発信しても、お客様に受け取ってもらい、かつ理解してもらえなければコミュニケーションが成立しているとはいえません(1)。また、一方的に情報を発信するだけでお客様の声を聞かなければ、これもよいコミュニケーションが取れているとはいえません(2)。
ちなみに、インターネットはお客様の声を聞くには適した場所です。はがきによるアンケートの実施経験のある企業の方は、インターネットショップでプレゼント企画などを実施すると、「こんなにたくさんのお客様が、長く参考になるメッセージを書いてきてくれるなんて!」と驚きます。お客様は情報を発信したがっているのです。
また、楽天市場ではお客様が商品の評価や感想を書き込む「お買い物レビュー」という仕組みがありますが、その書き込み件数は2007年はじめに1000万件を超え、どんどん増え続けています。このレビューが「クチコミ」となって商品購入を決めるお客様が加速度的に増えている状況です。
密なコミュニケーションでファンが増える
楽天大学では、「お店の魅力 = コミュニケーション量の二乗」と表現しています。
楽天市場の中で繁盛しているお店を見ていくと、お客様とのコミュニケーションが盛んに行なわれています。お店とお客様とのコミュニケーション量が多くなればなるほど、お店は盛り上がっていきます。この「コミュニケーション量」というのは、もちろんあくまで「一定レベル以上の質」を前提としています。もしコミュニケーションの質が低ければ、お客様がお店に対する興味をなくし、次のコミュニケーションに発展していかないので、自然に量も減っていくからです。
「二乗」の理由については、マスマーケティングとインターネットマーケティングを対比してみるとわかりやすいでしょう。下図で示しているように、マスマーケティングは、「一対多数、一方向、間接的」なコミュニケーションを特徴とします。顔の見えないターゲットであるお客様に対して、広告代理店やテレビ・雑誌などの媒体を間にはさんでの情報発信になります。
これに対して、インターネットマーケティングの場合は、「一対一、双方向、直接的」なコミュニケーションが可能です。お客様から意見が直接もらえることで、相手の顔が見える形で一対一の密なコミュニケーションを取ることができます。
また、お客様と質の高いコミュニケーションを交わしているお店は、お客様からの貴重な意見をうまく店舗運営の改善に活かし、より魅力的なお店に進化させていくということもできます。ですから満足度の高いサービスを提供することでファンが増えやすいといえます。
ファンが増えれば、クチコミをしてもらえる可能性も大きくなります。インターネット上のクチコミは強力です。なぜなら、簡単に一対多数の伝播ができてしまうからです。ボタン一つでメールを大勢の人に送ることもできるし、ブログや掲示板へ書き込むことでそこを見に来たすべての人にクチコミで広げることができます。「お店の魅力=コミュニケーション量の二乗」の意味としては、コミュニケーション量が増えてクチコミしてくれるファンが増えれば増えるほど、たくさんの人にお店の話が広がっていき、新しいお客様が増えてお店がにぎわっていくということです。
このような意味で、「密なコミュニケーションでクチコミしてくれるファンを増やすこと」がインターネットマーケティングの1つの目標になるといえるでしょう。
この点で、インターネットを「マス広告を安価にできるツール」と考えてしまうと失敗します。そのような人は、メールアドレスの載っている名簿をどこからか入手して、一斉に宣伝メールを出したりすることも疑問に思いません。これは受け手に嫌われるため、決してお勧めできない方法です。
「インターネットは、コミュニケーションの可能性を革新的に広げた場である」と考えるのが、インターネットを使って商売をしていく上での正しい理解といってよいでしょう。
ソーシャルもやってます!