成功と失敗を分けるSEMの見極め力

第4回 「内部」と「外部」どちらの対策が重要?

SEMの見極め力タイトル

第4回 「内部」と「外部」どちらの対策が重要?

小林 範子(株式会社セプテーニ)

多くの企業が取り組み出したSEM(検索エンジンマーケティング)は、発展途上の分野でもあるため、確固としたセオリーが存在しない。SEMを行う上で担当者が直面するさまざまな判断・選択について、その見極めのポイントを専門家がアドバイスしていく。

内部要因=サイトの作り方
外部要因=他サイトからのリンク

最近はさまざまなSEO会社から営業を受けたり、市販されているSEO書籍を読み込んだりしているWeb担当者も多い。断片的な情報を貼り合わせて整合性が取れなくなり、混乱していることもあるが、それは別として、いただく質問の内容もかなり深いところにまで及ぶことが多い。

近頃多い質問に「内部要因と外部要因、どちらが重要か?」というものがある。

SEOの手段を大きく分けると、「内部要因の対策」と「外部要因の対策」の2つに分類できる。

「内部要因の対策」とは、検索エンジンに、より効率よく、より高く評価されるために、自社のウェブサイトの構造やHTMLコーディングなどを最適化する作業である。

「外部要因の対策」とは、外部のウェブサイトから自社のウェブサイトへリンクしてもらう作業である。

検索エンジンは、サイトを評価するにあたって「多くのウェブサイトからリンクを貼られているウェブサイトは、人気の(重要な)サイトである」という指標を持っている。そのため、外部のウェブサイトからリンクを貼ってもらうことは、効果的なSEOとなる。特に、扱っているテーマについて関連性の強いサイトや評価の高いサイトからのリンクは、ポイントが高いので高評価につながる。

図1 SEOの手段を大きく分けると、「内部要因の対策」と「外部要因の対策」の2つに分類できる。ここ最近の検索エンジンの評価は、外部要因のほうをより重要視している(内部要因30%:外部要因70%)。SEOは、内部要因と外部要因の相乗効果により最大限の力を発揮する。

内部対策の基本

内部対策の基本は、まず、検索エンジンのロボットがスムーズに自社のウェブサイトをクロール(巡回)して、すべてのページをインデックス(データベースへ登録)できる状態にすることからである

まずは、GoogleやYahoo!のウェブマスター向けヘルプを読み、最低限やるべきことを確認してみるとよい。

http://help.yahoo.co.jp/help/jp/search/indexing/
http://www.google.com/support/webmasters/

内部要因30%:外部要因70%で、
最近のエンジンは外部要因を重視

さて、「どちらが重要か」であるが、ここ最近の検索エンジンの評価は、外部要因のほうをより重要視しているようだ。検索エンジンの複雑難解なアルゴリズムについて、簡単に数値化などできないのだが、感覚値をあえて数値にするのであれば、内部要因30%:外部要因70%というところである(正しい方法で実施していることを前提として)。

“自社のサイトを上位に表示させたい”という意志を持ってがんばっているWeb担当者が大勢いる中で、自力での対策が難しい外部要因の評価を重要視したほうが、ウェブサイトを公平に評価できる、という判断なのであろう。

SEOは、内部要因と外部要因の相乗効果により最大限の力を発揮

しかしながら、「それなら外部要因だけ何とかすればよいのではないか」という考えは、大きな間違いであることを強調したい。本来、外部要因(外部からのリンク)は、内部要因を対策することにより自然発生的に増強されるべきものである。コンテンツを充実させ、ユーザビリティにすぐれた魅力あるサイトに育てていけば、おのずとリンクを貼ってくれるサイトが増えていくはず、という理屈である。

ときどき「ウェブサイトを変えたくないので、外部要因だけで上位表示させてほしい」という依頼をいただくことがあるが、すでに内部対策が十分に施されている場合以外は、内部対策にも協力いただけるようお願いしている。

逆に、「内部対策だけで上位表示させてほしい」という依頼もいただく。これもまた、競争の激しいビッグワードについては難しい。検索結果の表示順位は、競合サイトとの比較で決まってくるので、いくら完璧な内部対策を行っても、内部要因も外部要因も充実したウェブサイトが上位を占めているようなキーワードでは、結局はかなわないのである。

SEOは、内部要因と外部要因の相乗効果により最大限の力を発揮できるので、両方を正しくバランスよく実施することが重要である。

図2 自社のサイトが、どのようなサイトから、いくつぐらいリンクされているのかを調べる方法がある。たとえば、「http://www.yahoo.co.jp」というページが、どこからいくつぐらいリンクされているか調べるには、Yahoo!検索の検索窓に「link:http://www.<自社のドメイン>」と入力して、検索を実行すればよい。検索結果ページの右上にリンク数が表示され、一覧にはリンクしているサイトが表示される。

不自然に上位表示を狙う手法はペナルティ対象になることも

SEOスパム

以下のような行為は「SEOスパム」と呼ばれ、やりすぎるとペナルティの対象となることもある。要注意だ。

  • 検索エンジンロボットにしか見えないページを作る(クローキング)
  • metaタグへのキーワード詰め込み
  • 隠しリンクや隠しキーワード
  • 他ページに強制的にジャンプさせる(リダイレクト)
  • ページ内容と関係のないサイトへのリンク
  • サイトの入口ページを多数作成する(ドアウェイ)
  • 他サイトの丸写し

それぞれの具体的な方法を説明すると長くなるので今回は割愛させていただくが、重要なポイントとして忘れないでほしいのは、「やりすぎに注意」という点である。SEOを意識しすぎるがために、内部対策・外部対策ともに誤った手段をとっているウェブサイトをよく見かける。

検索エンジンは、不自然に上位表示を狙った悪質なSEOを行っているサイトに対して、ペナルティを課す処置を行っている。

このペナルティの内容にはいくつかのパターンがあり、特定のキーワードで順位が大幅に下がってしまうケースや特定のキーワードで検索結果から除外されるケース、最悪の場合には、検索エンジンのブラックリストに登録され、ドメインが丸ごと抹消されるといったこともある。最近は特に、検索エンジンのスパムフィルタが強化され、ペナルティを受けているサイトを良く見かけるので注意が必要だ。

検索エンジンの指定するガイドラインから外れることのないよう、節度を持って取り組むことを心がけよう。

見極めのポイント

  1. 最近のエンジンは「内部要因30%:外部要因70%」で外部要因を重視。
  2. 自力での対策が難しい外部要因のほうが、評価される傾向にある。
  3. やりすぎに注意。内部対策・外部対策ともに、誤った手段だとペナルティ対象となることも。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.4』 掲載の記事です。

用語集
HTML / SEM / SEO / metaタグ / インデックス / キーワード詰め込み / クローキング / クロール / ユーザビリティ / リンク / ロボット / 内部リンク / 内部要因 / 外部リンク / 外部要因 / 検索エンジン
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