企業ホームページ運営の心得

値上げする快感。値ごろ感の演出で高値売却

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の六

パクリ愛励行の市場出店では高く売れない

楽天市場」などのショッピングモールでは「価格競争圧力」がかかります。別々に出品しているモール内の同じ商品の価格を簡単に「比較」できるのですから当然です。また、楽天市場は外部リンクを厳しく禁止していることから、一旦入ると楽天市場の中からでにくく、そのため、市場に出店している他社と比較される機会は多くなります。

楽天市場の画面イメージ
オンラインショッピングモールとして最大の規模を誇る楽天市場
http://www.rakuten.co.jp/

前回は「高く売れ」といいましたが、ショッピングモールの中で高く売るのは難しいでしょう。

ショッピングモールで出店者にアドバイスする「ECコンサルタント」は「繁盛店」を研究して、そのノウハウを出店者に提供します。ノウハウを提供される出店者にとってはうれしい話ですが、苦心して編み出したノウハウを他店に提供されるのです。商売はパクリあいの面がありますが、市場の舞台裏から観察できるECコンサルタントが、繁盛店のノウハウをパクっ……研究して提供しているのです。

ECコンサルタントは自分が担当する出店者の売り上げから徴収される、俗に「税」と呼ばれるさまざまな手数料が成績となります。税金はノウハウを開発したお店でも、提供されたお店から徴収しても同じ成績となりますから、繁盛店を研究してノウハウを提供することは自分の成績と会社の利益に直結します。結果、同じノウハウが蔓延し、市場は「安く提供」するベクトルに傾きます。

拙著『楽天市場がなくなる日』でも記しましたが、かの市場の必勝法として「ナンバー2」を目指すというものがあり、これは「パクリ愛」とも言える「繁盛店を真似しよう」というものです。ノウハウを即座にパクられる環境では「高く売る」というのは至難を極めます。

値上げした方が売れた電子書籍

高く売るには「値頃感」が重要です。高くても「値頃感」を感じれば売れるのです。商業出版デビューする前の、私がどこかの馬の骨以下のミジンコ並みに無名の頃の話です。

『文系でもわかる商売用ホームページの作り方~プロが教えない話~』という電子書籍を販売しました。2年近く前の話ですが、専門書やマニュアルには書いていない「商売用のコンテンツの作り方」や「ネットでの集客方法」といった、このコラム連載で綴っているような内容を一冊にまとめたものです。

発売に際して、自分のメルマガ読者向けに3,500円の数量限定で事前予約をしたところ、あっという間に定数に達したので、多少の値上げをして一般販売を開始しました。期間限定で3,980円。

ところがこれが売れません。約1割強の値上げが響いたのでしょうか。

実は目標価格は10,000円程度にしており、私には目標価格の倍以上の内容を書いているという自負がありました。そして何より先行して買ってくれた読者に対して申し訳ない……と、いうことで毎月のように値上げしていきました。売れる売れないではなくプライドの問題です。

すると、おもしろいことが起こりました。「10,800円」にすると立て続けに注文が舞いこんだのです。更に12,800円に値上げすると今度は毎日のように注文がはいりました。結局一番売れたのは「12,800円」です。3,980円で動かなかった商品が、12,800円では飛ぶように売れたのです。

商売用ホームページの作り方を解説する書籍「プロが教えない話」が3,980円では安すぎて値頃感を感じなかったものが、「プロの話なら12,800円はするだろう」と感じたということです。

倍の値段でも「切り口」次第。エコソープの場合

値頃感を見誤ると売れにくいですし、売れても儲けが少なくなります。

原価が決まっており、相場観から価格を調整しにくい商品もありますが、これも「切り口」を変えるだけで価格を上げて、さらに値頃感を与えることができます。

使い終わった天ぷら油などの「廃油」に混ぜるだけで台所用洗剤になる、「エコソープ」という特許商品の販売を手伝ったときの話です。

商品の良さは誰もが認めてくれるのですが、「ママレモン」などの市販の台所用洗剤と比較すると、一袋250円という価格では競争にならないというのです。東急ハンズなどでもやはり卸値がネックになるということでした。

ところが、私は「エコソープ」を倍の値段の一袋500円で売りました。

題して「夏休み自由研究パック」。

廃油を洗剤にできることに注目して、「洗剤」ではなく「教材」として売ったのです。

天ぷら油とエコソープで台所用洗剤を作ることにより、環境問題を自由研究のテーマにするという「課題の提示」と、保護者向けのカンニングペーパーとして「模範解答」の2枚の紙を添えて「パック」としたのです。購入者のお嬢さんの「自由研究」が関西地方のある市の「教育委員会」より表彰され、お礼の手紙をいただいたのはうれしいおまけでした。

値上げする快感。付加価値のつけかた

高く売るコツは「値頃感」です。

値頃感はその商品が与えてくれるであろう「満足」と価格のバランスです。アクセスがあるのに売れない商品があれば、私の電子書籍のように、値上げしてみるとよいでしょう。どうせ売れていない商品ですからクレームもありませんし、「安すぎて信用されていない」という可能性もあります。また、「値上げする快感」というのがあることを知ると高く売る努力を怠らなくなります。

エコソープで用いた「値頃感」の演出は次の2点です。

  1. 戦場を変えてみる
  2. 情報を提供する

「洗剤」という激戦区から「教育」に戦場を移して、2枚の「情報」を提供しただけで倍の値段でも売れるのです。

しかし、これも「ショッピングモール」では効果は限定的となります。成功した場合、パクられる速度が早いので、知恵を絞って考えた「値頃感の演出」の陳腐化が短期間で起こるからです。「高く売るコツ」に「楽天市場に出店しない」ことも含めてもよいかもしれません。

手軽に出店できるメリットがあるので完全否定はしませんが。

♪今回のポイント

「値頃感」を意識しろ!

戦場を変え情報を提供し、楽天市場に出店しないのもコツ。

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