コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の七
SEO、SEM、その次のチェックポイント
商売用ホームページの相談を受けると、いまでもフレーム構造で作られていたり最低限のSEOが施されていないことが少なくありません。また、「これぐらいわかるだろう」という思いこみや手抜きにより説明不足となっているサイトも多く、相談を持ち込むわけですから、問題山積で当然なのですが、正直スタートライン以前というホームページも多いのです。
技術面からのSEOや、営業戦略も絡めたSEMといったアドバイスはもちろんですが、リアル店舗でもビジネスをされている場合、私がもう1つチェックするのが「地図」です。
リアルな商売で「地図」はとても重要です。
機会損失を招く、地図のちょっとした間違い
私の母がジグソーパズルが欲しいというのでネットで探すと、リーズナブルな専門店が見つかりました。比較的近所だったので、直接店を訪ねようとクルマを走らせました。ホームページにあった地図を見ながら左手にセブンイレブンがある交差点を右折するために、走っていると幹線道路に出てしまいUターンです。住所を確認すると近くなのですが、たどり着きません。
それもそのはずで、地図に記していたセブンイレブンは、店舗移転により左手の角から、反対車線の少し手前に移転しており、元のセブンイレブンにはショップ99があったのです(図参照)。
ホームページで提供した地図が間違えているためにたどり着かないとしたら……この機会損失は本当にもったいない話です。
グーグルマップで確認すればよいという意見もあるでしょうが、お客さんは基本的にナマケモノです。面倒な手間は1つでもしないものです。
店舗案内の地図は見直しされることが少なく、機会損失を招いている場合があります。
話を聞かない男、地図の読めない女
「グーグルマップにすればいつも最新の地図」
最近、こういう話を聞く機会が増えていますが、自分のお店の紹介に使うとしたら考え物です。
ベストセラー『話を聞かない男、地図の読めない女』は「脳」の観点から男女差を記した好著で、男性と比較して女性は「空間認識能力」に劣り、反対に「周辺視野」が広いと指摘します。
地図を広げただけで目的地への最適ルートかをイメージできるのが「空間認識能力」で、「周辺視野」とは交差点にある女性誌の広告で微笑むモデルのアクセサリーがどこのブランドだったかを覚えている能力です。これは優劣ではなく持って生まれた能力の違いだというのです。
「空間認識能力」の高い男性にとっては、グーグルマップやヤフー地図のような「地図」で十分ですが、「地図が読めない女」にはハードルが高いのです。もちろん、この男女差は一般論ですが。
Ajaxよりスタバの看板。女性は楽しみながら歩く
男性の視点に立てば「移動」は目的地にたどり着くまでの手段です。しかし、女性は「移動そのもの」を楽しむ傾向があります。街の看板、すれ違う人のファッション、ブルドックを抱えたそっくりなおばさんなどなど、彼女と一緒に歩いていて「ねぇ今の見た?」と突然、すれ違った人についてのネタふりをされて焦った経験のある方も多いのではないでしょうか。
女性がわかる地図には「周辺視野」をフル回転させる、スターバックスコーヒーや、街の看板といった「目印」が必要です。1つ目の交差点を左折して500メートル先ではなく、スタバのある交差点を左に曲がって、たばこ屋と八百屋を超えたところという「目印」を多用するのです。空間を把握するのが苦手でも、周辺情報を本能的に捕らえるのが女性です。
ちなみに、交差点付近のスタバは便宜上のたとえ話です。念のため。
サイレントカスタマーを増やさないために
クレーマーというと忌み嫌われるものですが、商売で一番恐いのは「サイレントカスタマー」と呼ばれる何も言わないお客さんです。不平不満があっても、何も言わずに次から来なくなるので、店側は客が減少した理由が永遠にわからないため、改善策が立てられません。
たかが地図と疎かにされることが多いのですが、わかりやすい地図は来店モチベーションを上げてくれます。人は理解できるものに好意を抱く習性があるからです。
ホームページで完結する商売ならば、地図を気にする必要はまったくありませんし、逆に事務所に来られても困る場合はもあります。
しかし、店舗に誘導したいのなら地図には力を入れてください。目印だったお店が閉店したり移転して、たどり着けなかったお客さんがサイレントカスタマーとなっているかも知れませんから。
グーグルマップを使うなとは言いませんが、地図をグリグリ動かしてマップ上に表示される他のお店への誘導となっては目も当てられません。
アクセスマップは歩いて作る
女性は移動すらも楽しむ人生の達人です。男は目的のために手段を選択しますが、女性は手段すらも楽しむのです。交差点の名前ではなく、スタバ。距離ではなく途中のお店、花壇の花。
グーグルマップにも載っていない情報は街に溢れています。地図に盛り込んでください。作り方は簡単です。お客さんになった気分で歩いて作るのです。できれば女性と一緒に歩いてみてください。男性とは違う生き物だと気がつくことでしょう。ただし、男性と肩を並べて活躍されている「気っ風の良い女性」は「男脳」を持っている「地図の読める女」で、男性と同じ視点だったりしますのでご注意ください。
SEOとSEMでホームページを探して貰っても、リアル店舗に誘導する地図が間違っていて、リアルな現実でお客様が迷子になってしまってはギャグマンガのような「本末転倒」となってしまいます。
♪今回のポイント
SEO+SEMにプラスワン!
リアル店舗への誘導に地図は歩いて作り出す。
- 電子書籍『マンガでわかる! 「Web担当者」の基本 Web担当者・三ノ宮純二』
- 企業ホームページ運営の心得の電子書籍
「営業・マーケティング編」「コンテンツ制作・ツール編」発売中! - 『完全! ネット選挙マニュアル』
現場の心得コラムの宮脇氏が執筆した電子書籍がキンドルで2013年6月12日発売! - 『食べログ化する政治』ネット選挙が盛り上がらなかった理由はここにある(2013年8月1日発売)
コメント
性差別
「グーグルマップは地図の読めない女にはいらない」
思いっきり性差別表現ですね!
男でも地図の読めない奴いるでしょう!
Re:性差別
> 男でも地図の読めない奴いるでしょう!
そりゃまぁ、いますよね。
まぁ、読める人も読めない人もいるので、(グーグルマップのように)ただ面白いから、もの珍しいから、カッコイイから、というだけで作ってもお客にとっては使いにくいかもしれないよっていうのが主旨だと思うのですが。
タイトルは、記事内でも引き合いに出されている書籍のタイトルをもじったものだし、「AB型は○○するのが苦手」とかと似たレベルということで、かる~く流せばよろしいかと。
その場限りのくだら
その場限りのくだらない世間話じゃなくて、他人にも実践しろって言っちゃってるからねぇ。
性差別はともかくとしても、仮に「グーグルマップは地図の読めない人間にはいらない」と
言い換えてもけっこうひどいんじゃない?
書名のもじりだろうが、人を見下している感じが満載。最低だ。
性差別発言について
◆性差別発言について
一般論を捉えられて非難されれば言論活動はできません。
あしからず。
さらに述べれば最後までお読みいただき、私が一般論としての
「女性」の能力を高く評価していることを斟酌いただけていない
点は非常に残念としか表現のしようがありません。
◆最低発言について
グーグルマップをありがたがるのはあなたの価値観。
それで失うお客さんがいるかもしれませんよ。お客さんに
足を運んで貰うために、お客さんの気持ちになって考えてい
ますかというのが「論旨」。
そしてご提案の下記一節について
「グーグルマップは地図の読めない人間にはいらない」
はい、その通りです。グーグルマップのような地図を
読めないお客様にも理解できるように工夫していますか
ということでありますから。これをもって見下している
といわれるのなら仕方がありません。その通りです。
宮脇睦