かわちれい子のウェブマスターのお仕事

新日本石油のウェブマスターは雑誌編集者のごとく企画・取材・執筆まで行う

かわちれい子のウェブマスターのお仕事

新日本石油株式会社ウェブマスター 井出敏史氏

かわちれい子(CreatorsNet)
写真:津島 隆雄

会社によって大きく異なる「ウェブマスター」の実態。所属部署は? 予算確保は? ワークフローは? サイトの目的は? 注目しているテーマは? さまざまなウェブマスターの姿を見ることで、これからのウェブマスター像を見出したい。

広報部所属は横の連携や会社のベクトルのため
雑誌編集者のごとく企画・取材・執筆まで行う

サイトの目的はファンを増やすこと
対象者別で3つ+αのエリアに分割

新日本石油株式会社ウェブマスター井出敏史氏。
井出敏史氏。
新日本石油株式会社 経営管理第1本部
広報部 ウェブコミュニケーショングループ
シニアスタッフ

●かわち ウェブサイトをリニューアルされて、半年ぐらいですよね?

●井出 そうです。現行のウェブサイトは、2005年12月20日にリニューアルを実施しました。リニューアルに際しては、ウェブサイトの目的をはっきりさせて取り組み、今の形になりました。

●かわち どんな目的があったんですか?

●井出 まず「ENEOSファンを増やす」という大きな目的があります。企業のウェブサイトにはさまざまな目的があると思うんですが、私たちは「ENEOS」というブランドのファンを作るという目的を掲げました。

●かわち その目的を達成するために、どんなことを考えたのですか?

●井出 まずは、ユーザーからの信頼を得ようと。新日本石油のウェブサイトを訪問してくれたユーザーに、何らかの満足感を感じてもらえればそこにつながっていくかな、ということで、ウェブサイトの情報構造を整理し、新日本石油として公開するべき情報はきちんと公開した上で、AD GalleryやF1、当社野球部などのコンテンツで楽しんでいただこう、と。新日本石油を信頼していただいてこそのファン、ですからね。

●かわち 情報構造の整理は、どのような点に留意されたのですか?

●井出 新日本石油のウェブサイトには、さまざまな目的を持った方が訪れます。カーライフに興味のある人と燃料電池に興味のある人では、「欲しい情報」が違いますよね。そのような、興味の対象がばらばらのユーザーに向けて、どのように情報を届ければいいのかということを考えました。あれもこれもと欲張って情報を掲載しても、それは、ウェブサイトを訪問してくれたユーザーにしてみれば、ノイズにしかならない可能性があります。そのような情報の伝え方は、避けなければなりません。

●かわち 具体的には、どのようにコンテンツを整理されたのでしょう?

●井出 大きく、3つの柱を立てました。ドライブから車検・洗車などのカーメンテナンスまで、カーライフをサポートする「カーライフサポート」、生活を支える燃料電池やLPガス、床暖房などのエネルギーを紹介する「くらしとエネルギー」そして、コージェネレーションや省エネルギーなど、環境に配慮したソリューションを紹介する「法人向けソリューション」です。この他に、会社情報やCSR、AD GalleryやF1、当社野球部などのコンテンツがあります。トップページでは、それぞれのコンテンツをバナー的に紹介するにとどめ、ユーザーが適切なコンテンツに移動できるよう、わかりやすいデザインとレイアウトを心がけています。

●かわち 3つそれぞれ対象読者が異なる形でしょうか?

●井出 そうですね。だから、「カーライフサポート」「くらしとエネルギー」「法人向けソリューション」のそれぞれのトップページは、物理的には2階層目にありますが、気持ちとしては、これらのページは1.5階層目ぐらいなんです。それぞれの情報が欲しいユーザーにしてみれば、ここが新日本石油ウェブサイトのトップページだ、と考えてもいいぐらいだと思います。

●かわち 3本柱以外にも、ユーザーさんに見てほしいコンテンツがあるとか?

●井出 やっぱり、会社情報をしっかりとユーザーさんに届けたいですね。あとは、CSRです。個人的には、野球部のコンテンツも。会社情報やCSRのコンテンツは「適切な情報を適切なタイミングで公開する」という、非常に基本的なことをきちんと実行していくことで、ユーザーの信頼を得るという大切なミッションもあります。

※CSRとは、「企業の社会的責任」の意味。

●かわち CSRのコンテンツには、特に力を入れていらっしゃると聞きましたが。

●井出 そうなんです。新日本石油では、これまでもCSRレポートは毎年1回、冊子のレポートとして発行していましたが、発行部数も限られているため、多くの方に読んでいただくのは難しい状況でした。企業として社会的責任を果たしたいと常々考えていた我々にとって、タイムリーな情報更新ができるウェブサイトを通じてCSR活動の報告をするというのは、必然だったのかもしれません。ウェブならば冊子の部数を超える人に簡単に情報を届けられますし、増刷りの費用もかかりませんから。

CSRのコンテンツとして、トップコミットメントやグループ理念、また、日頃の取り組みや活動の報告を掲載していくことで、新日本石油が考えるCSRを広めていきたいと考えています。

●かわち 特に「情報の公開」に、力を入れていらっしゃるようにお見受けします。

●井出 良いことも悪いことも含めて、新日本石油に関する情報を公開し続けていくことが、ユーザーのみなさんの信頼を得るのに重要なことだと思っています。また、リニューアル以後、新日本石油のウェブサイトを訪問してくださるユーザーの数も右肩上がりで順調に推移しているので、自分たちが考えていることは、ユーザーの方にも支持されているのだな、と感じています。

ウェブ担当者は社内公募で
組織としては広報部に所属

かわちれい子。

●かわち 井出さんの所属は広報部ですよね?

●井出 はい。新日本石油では、2004年の7月まで、ウェブサイトを専門に扱う部署というのが存在していませんでした。それまでウェブサイトの面倒を見ていたのは、情報システム部門が主体で、広報部門や宣伝部門、販売部門などに所属する若手社員で構成されたワーキンググループでした。しかし、それではいかんだろう、ということで、広報部にウェブサイトを専門に扱う「ウェブグループ」が作られました(現在はウェブコミュニケーショングループ)。

●かわち 井出さんは、もともと広報部にいらしたんですか?

●井出 いいえ。もともとは情報システム部門で、社内システムの開発やメンテナンスをしていました。あるとき、社内公募があったんです。ウェブサイトを扱うグループを新たに作るので、やりたい社員は手を挙げろ、グループ5,000人の中に適した者がいるはずだ、と。そこに応募したんです。

●かわち ウェブグループは、どれぐらいの人数で構成されているんですか?

●井出 ウェブサイト全体をきりもりしているのは、他の業務と兼務している社員も含めて、現状は全部で7人です。グループが立ち上がった2004年当時は3人でした。

「カーライフサポート」にある「ドライブルート検索」などのコンテンツは、販売部のウェブチームが運営しています。ウェブグループは、それ以外の企画を進めつつ全体をコントロールする役割ですね。

企画を自分たちで考えて
取材から原稿の執筆まで

●かわち 日々非常にお忙しいということですが。

●井出 7人ではかなり忙しいですね。取材なんかもあるので、時間はいくらあっても足りないですよ。

●かわち ウェブマスターが取材ですか?

●井出 取材しますよ。野球部のコンテンツに、野球部OBへのインタビュー記事があるんです。野球部を引退して社業に従事している野球部OBに話を聞きに行って、記事にまとめることもやってます。

●かわち 自分で取材して記事を書くウェブマスターも珍しいですね。

●井出 そうですねえ。自分で取材して自分で記事の原稿を書くという作業は大変ですが、そういった活動を通じて、わかったことや感じることはたくさんあります。読者の方から「いいコンテンツですね」というお便りをもらうと、またがんばっちゃおうかな、という気にもなりますし。

●かわち なんだか、雑誌の編集者みたいですね。

●井出 そうなんですよ。そういう意味では、社内報を編集している担当者が同じグループにいるというのも、心強いですね。社内報という雑誌作りのノウハウが新日本石油のウェブサイトにも活かされていると思います。これは、ウェブグループが広報部にあるからこその強みかもしれません。ウェブグループが情報システム部に入っていたらこういう動きにはならなかったでしょうね。

●かわち コンテンツの企画は井出さん自身で?

●井出 たいていはそうですね。通勤電車の中や休日、ふとした瞬間に「こういうの、どうかな」とアイデアが浮かぶんです。それらを周囲に話して、形にしていくことが多いですね。

●かわち じゃあ、誰かに話すときにはすでに「企画」になってるということですね。

●井出 そうです。これは、個人的な意見ですが、ウェブマスターって、ある程度は自分でコンテンツの中身であったり見せ方であったりを考えないといけないと思うんです。外注のコンサルタントや制作会社に、根っこのところから「丸投げ」することもできるんでしょうけれど、それでは、良いものはできないと思っているんです。自分で考えないとダメですね、やっぱり。「自分で考える」というのは、僕が考えるいいウェブマスターの条件のうちの1つですね。

制作会社に丸投げでは良いものはできない
僕が考えるいいウェブマスターの条件
その1つが「自分で考える」ですね

●かわち 井出さんが考える「いいウェブマスターの条件」って、他にありますか?

●井出 さまざまあると思いますが、「たくさん雑誌を読む」ということも、そのうちの1つじゃないでしょうか。

●かわち 雑誌、ですか?

●井出 はい。インターネットやテクノロジーの雑誌に限らず、いろいろな種類の雑誌を読んで、アンテナの感度を上げておくって、大切なことだと思います。ウェブマスターになってしばらくは、良いウェブマスターの条件って、たくさんのウェブサイトを見ていることだと思っていたんですが、ウェブサイトよりは雑誌、ですね。

広告や連動企画の制作で学んで
ウェブサイトにも活かす

●かわち 広告媒体と連動したキャンペーンなども実施されたりするんですよね?

●井出 ええ、やっていますよ。バナー広告や記事広告が中心ですが、いやぁ、奥が深いですよ。「これはいけるだろう」と思っていたクリエイティブが、実はあまり効果がなかったり、ゴールをどこに設定するかということで、記事広告の内容ががらりと変わってきたりして、本当に勉強になりました。バナー広告や記事広告の制作を通じて学んだことを、自社のウェブサイト作りにも活かしていきたいですね。

●かわち これからは、そういうところで学んだことがどんどんウェブサイトに反映されていくということですね?

●井出 「ウェブサイトを通じてENEOSファンを作る」というのが大きな目標でありミッションですから、やりたいこと、やらなければならないことはたくさんあります。そこに、さまざまなところで学んだことを反映させていくのは、当然ですよね。また、個人的には、ウェブグループに配属されたときに立てた目標というのがあって、それを達成したいですね。

●かわち どんなことか、聞いていいですか?

●井出 胸に秘めた思いなので、内緒です(笑)。ちょっとだけ言うと、ユーザーの方とコミュニケーションがきちんと取れるコンテンツを作りたいということや、サービスステーションを舞台にしたショートフィルムを撮りたい、というようなことです。インターネット発で「環境」という大きなテーマにも取り組みたいと考えています。一部は実現していることもあるのですが、やりたいことはたくさんあるので、これからもがんばっていきたいと思っています。

●かわち 今日はありがとうございました。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.1』掲載の記事です。

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2006年7月)のものです。

かわちれい子と新日本石油株式会社ウェブマスター井出敏史氏。

新日本石油株式会社ウェブサイト
http://www.eneos.co.jp/

新日本石油株式会社ウェブサイト(http://www.eneos.co.jp/)。「カーライフサポート」「くらしとエネルギー」「法人向けソリューション」の3本柱と会社情報などで約3,500ページ。消費者向けのコンテンツが全体のページビューの約半分を占める。" title="新日本石油株式会社ウェブサイト。

新日本石油株式会社の会社概要(2006年6月30日現在)

  • 設立:1888年5月10日
  • 資本金:1,394億円
  • 従業員数:4,688名(新日本石油、新日本石油精製)
  • http://www.eneos.co.jp/
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