かわちれい子のウェブマスターのお仕事

社長直轄の「ブランド戦略室」+「連邦政府的」なサイト運営が成功の秘訣/大塚商会

かわちれい子のウェブマスターのお仕事

かわちれい子のウェブマスターのお仕事

大塚商会ウェブマスター 地主 隆宏氏

取材・文:かわちれい子(CreatorsNet)
PHOTO:津島 隆雄

会社によって大きく異なる「ウェブマスター」の実態。所属部署は? 予算確保は? ワークフローは? サイトの目的は? 注目しているテーマは? さまざまなウェブマスターの姿を見ることで、これからのウェブマスター像を見出したい。

大塚商会のビジネスは、オフィスサプライから情報システム構築まで特定のメーカーにとらわれずにオフィスの課題を解決するという、他に類を見ないモデルだ。そのため、ウェブサイトでも多岐にわたる事業内容を扱う必要があり、規模も大きくなる。

2007年1月に大々的にリニューアルした大塚商会のウェブサイトだが、そのリニューアルはどういったものだったのだろうか。

また、そのリニューアルを成功させた大塚商会のWeb担当者は、社長直轄のチームに所属している。ウェブサイトを成功させる組織形態として最近増えてきた形だが、そういった組織に至った経緯なども伺った。

大塚商会ウェブサイトの基本的な情報は記事の末尾に掲載

多岐にわたる事業内容を総合的に扱うウェブサイトとしてリニューアル

大塚商会ウェブマスター 地主 隆宏氏
地主 隆宏氏
株式会社大塚商会 ブランド戦略室 次長

●かわち 大塚商会のビジネスモデルは、世界中に類を見ないですよね?

●地主 事業ごとで考えると同じことをやっているところはありますが、企業全体として見たときに、同じモデルのところはないですね。なので、ウェブサイトは、大塚商会の全容を表現する総合サイトとして、まずは全体像が見えて、さらに詳しい情報がわかる、というようにしています。企業の規模も大きいし、事業内容が多岐にわたるので、ウェブサイトの規模も大きくなりますね。

●かわち トップページは、B2B企業のウェブサイトにしてはカラフルで楽しげですよね。

●地主 リニューアルして現在のデザインになったのは2007年の1月25日なのですが、リニューアルにあたっては親しみやすいものを目指しました。我々の事業は「売って終わり」ではなく、そこからお客様とのお付き合いが始まるんです。ですので、お客様に「相談しにくいな」と思われてしまうものではダメなんですよ。

●かわち リニューアルにはどれくらいの時間をかけられたんですか?

●地主 準備に1年かけました。デザインルールや運用ガイドライン、インフラ整備にシステム構築、というようないわゆる「ウェブサイト」の計画が中心でしたが、文章の表記ルールまで作りました。

これは大変でしたよ。ウェブサイトをリニューアルするときには、同業他社を参考にすることがありますが、先ほども申し上げたとおり、大塚商会には「同業」がないんですね。ですので、すべてを自分たちで一から作り上げなければならなかったのです。

それだけに、「大塚商会という大きな規模でこれができるのか」というようなことを外部の方から言われたときには、うれしかったですね。

かわちれい子

自由すぎて収集がつかなくなっていたウェブのコンテンツ群

●かわち 大塚商会のウェブサイトの歴史となると、どれくらいになるんですか?

●地主 最初のサイトが立ち上がったのが1995年の10月1日ですね。1995年の7月に、αWeb(アルファウェブ)というISP事業をスタートしていまして、最初のページは、αWebのドメイン名に置いていたのです。翌96年の7月に、会社案内を掲載したサイトをotsuka-shokai.co.jpというドメイン名で立ち上げました。それ以降、ものすごい勢いでコンテンツが増えていきましたね。

ただ、その頃はウェブサイトを「統括」するような部署はなくて、みんな自由にやっていたんです。あるとき、情報システム部が調べたらところ、社内外に1000台近くのサーバーがあることが判明したんです。ファイルサーバーも含めた数なんですけれど、さすがにそれはマズイですよね(笑)。

●かわち サーバーが1000台!

●地主 今のサイトではカテゴリとして分けているコンテンツそれぞれが、独自路線として別々のドメイン名で作られていましたからね。

otsuka-shokai.co.jpというドメイン名は、もともと企業情報だけを掲載するウェブサイトだったんですね。それを、大塚商会全体としてのサイトにリニューアルしたんです。さまざまなドメイン名でやっていたコンテンツを1つに統合してみたら8000ページ弱になったのは驚きましたが(笑)。それでやっと、全体として統一感をはかり、アクセシビリティやユーザビリティを考えられるようになりました。

社長直轄の「ブランド戦略室」でウェブサイトを統括

●かわち 今のような組織になったのはどういった経緯によるものなのでしょうか。

●地主 「サーバーが1000台もあるぞ」騒ぎの際に、「こりゃまずいぞ」と情報システム部を中心に、ウェブサイトを統括する組織の原型ができたのが、2002年です。

今の「ブランド戦略室」という組織ができて、そこでウェブサイトを統括することになったのは2006年1月なのですが、その根底には、経営方針として「ブランディングを強化してウェブサイトも活用していく」と決まったことがあります。この経営方針が打ち出されたことで、一気に「攻め」に転じることとなりましたから。「攻め」というのは、ウェブサイトにただ会社情報やイベント情報を掲載しているだけでなくて、営業やサポートなどお客様に近いところで活用していこうということです。

わりと現場に近いところでは「なんとかしなきゃいけないなあ」という空気があったので、経営層からこの方針が出たタイミングは、まさに「ぴったり」でしたね。

「ブランディングを強化してウェブサイトも活用していく」
この経営方針が決まって一気に「攻め」に転じることに

●かわち ブランド戦略室というのは、どういった位置づけなんでしょうか?

●地主 ブランド戦略室の中心業務は、あくまでもコーポレートブランドの推進なんです。まずは見えやすいウェブサイトから手をつけていますが、ウェブサイトだけをやっているわけではありません。もちろん、ウェブサイトのリニューアルで培ったガイドラインの策定などのノウハウは、コーポレートブランドを推進する上でも役立つと思っていますが。

組織としてのブランド戦略室の大きな特徴は、社長直轄のチームだということですね。どこかの事業部に属しているわけではないんです。レポートラインも経営陣と直につながっているという意味では、社内のさまざまな部署との調整や折衝も含めて、いろいろなことがやりやすいポジションですね。

●かわち ブランド戦略室の人は、もともと、ウェブサイトに携わっていらっしゃった方々ですか?

●地主 そんなことはありません。営業、技術、マーケティングなど、ばらばらな部署から来ています。ブランド戦略室を作るときに行った社内公募に手を挙げて異動してきた者がほとんどです。

●かわち 現在はどれくらいの方が社内でウェブサイトに携わっていらっしゃるんですか?

●地主 ブランド戦略室でデザインガイドラインや運用ルールなど、全体を統括しているスタッフは5名ほどです。

我々のチーム以外では、事業ごとに担当者が居て、彼らが各事業のコンテンツを管理しています。現在のトップページはカテゴリとして「イベント」「製品・ソリューション」「サポート(たよれーる)」「サプライ(たのめーる)」「会社情報」と分けていますが、それぞれのカテゴリにオーナーが居て、それぞれを管理しています。カテゴリごとにステークホルダーが違うので、運用のスタイルとしては、「中央集権的」ではなく、「連邦政府的」ですね。

地主氏とかわち氏

運用のスタイルとしては、「中央集権的」ではなく
「連邦政府的」ですね

会議体は「各種報告」「課題をつぶす」2つの側面で
アクセス解析レポートは社長にまで報告

●かわち 全体で見ると、たくさんの方がウェブサイトに関わっていそうですね。

●地主 ブランド戦略室もそうですが、各事業部のスタッフもウェブ専任でやっている人は少ないですね。ほとんどが兼任です。たとえば人事部だと、採用担当は通常の採用活動業務の中にウェブサイトでの採用活動も担当している、というような形です。

●かわち 情報共有が大変そうですね。

●地主 カテゴリのオーナーとは、定期的に会議をもっています。カテゴリのオーナーだけでなく現場の担当者も参加する会議でして、「課題の抽出・対応策の決定」と「各種報告」という2つの側面で流れを決めています。

また、会社全体の報告会は半期に一度開催していて、この報告会には経営陣も出席します。ここで全体の流れを報告し、意志決定をしています。ウェブサイトのアクセス解析レポートは、社長も含めて共有していますよ。

●かわち 社長にまでアクセス解析のレポートが報告されるというのは珍しいですね。

●地主 レポートを見る全員が、それぞれ違った視点で解析しますからね。複数の人間が居ると、短期的・長期的などさまざまな視点で解析できるので、PDCAのサイクルがちゃんとまわっていきますね。

●かわち 組織が変わって、ウェブサイトも変わって、環境が大きく変わったことによる影響はいかがですか?

●地主 社内から、ウェブサイトに関する相談が多く寄せられるようになりましたね。「こんなサイトをやりたいんだけど」というアイデアから、運用フェーズの相談まで入ってくるので、我々としても次の課題が見えてくるようになりました。これはとてもいい変化だと思います。また、会議のやりかたも変えました。

●かわち 具体的にどのように変えられたんですか?

●地主 会議っていうと、“なんとなく”報告があって、“なんとなく”話し合いがあって、「結局何も決まらなかったね」ということが多いですよね(笑)。会議の性格によって出席者が違うのは当然ですから、経営陣が出席する全体会議と現場の担当者が出席する「日々の課題をつぶす会」というように分けることで、その会議でやるべきことを明確にしました。リニューアル前の1年間は、つぶさなければいけない課題が山積みだったので、「課題をつぶす会」は頻繁に開催しましたね。

地主氏

ウェブサイトのアクセス解析レポートは
社長も含めて共有していますよ

「リッチなおもてなし」の心が「大塚魂」

●かわち ウェブサイト運用の効率化という面ではどういった工夫をされているのでしょうか?

●地主 業務に最適なものややり方を選択していくということでしょうか。

たとえば、全国幕地で開催しているイベントのページは、イベントの担当者ではなくてウェブ専任のスタッフが集中して管理したほうがいいだろうと判断して切り分けたり、採用サイトでは特例としてブログによる情報発信を行うといったやり方ですね。

また、新しいことにチャレンジしたいという場合には、まずはノウハウを蓄積していくようにしています。成功したら、otsuka-shokai.co.jpドメイン名で大々的にやって、そのノウハウを社内に広げてもらうようにしています。

コンテンツの公開に関しては、全体のトップページとカテゴリのトップページは我々ブランド戦略室の承認がないと公開できないというルールですが、具体的な製品の紹介やイベントのページなどはカテゴリオーナーの権限で公開できるようになっていますので、そのあたりの整合性をとるという点において、ブランド戦略室と広報がうまく連携できているのは、心強いですね。

●かわち 大塚商会のウェブサイトはまだまだ発展していくと思いますが、今後、やってみたいことなどはありますか?

●地主 「おもてなし」の心を込めていきたいですね。「お客様の目線で信頼に応え、お客様と共に成長する」のが当社の今年のスローガンですから、ウェブサイトでもそのようになっていきたいと思います。

実は、今年やったリニューアルは「3カ年計画」の一部なんです。リニューアルの準備に1年かけ、リニューアルと新しい環境の整備に1年かけて、次の1年はいろいろな意味で「リッチなおもてなし」を目指していこうとしています。

●かわち 本日はありがとうございました。

大塚商会ウェブマスター 地主 隆宏氏

ウェブサイトでも「おもてなし」の心を込めていきたいですね
「お客様の目線で信頼に応え、お客様と共に成長する」のが
当社の今年のスローガンですから

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大塚商会ウェブサイト概要

大塚商会の行っている事業全体を把握でき、かつそれぞれの詳細な情報が得られる総合サイト。情報は大きく「イベント・セミナー」「製品・ソリューション」「サポート(たよれーる)」「サプライ(たのめーる)」「企業情報」に分けられていて、それぞれ異なる訪問者のニーズに対応している。

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