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「なぜ売れたのか」疑問を持とう! ユーザーの目的からニーズを探りEC改善施策につなげるために「情報管理」が重要 | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」 からご覧ください。
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載7回目】
「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。
この連載では、EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。7回目は「情報管理」の重要性について解説します。
「情報管理」について学ぼう!
石田麻琴(以下、石田)
ネッタヌ君、早速だけど今回のテーマが何か覚えている?
ネッタヌ
う~んと、え~っと、あ~っと……なんでしたっけ? すっかり忘れてしまいました。
石田
「情報管理」だよ。前回の集客の話でも触れたのに、すっかり右から左に抜けてしまったようだね。
ECビジネスにおいて、大企業と戦わずに中小企業が生き残るためには、そして後発のEC事業者が先発のEC事業者を出し抜くためには「情報管理」が重要なんだよ。
でも実は、情報はあまり上手に生かされていないのが現実なんだ。日常にチャンスの芽はあふれているはずなのに、右から左に抜けていってしまう。
ネッタヌ
石田
「情報管理」の重要性とは?
石田
まあ、とりあえず情報を生かすことが重要なんだ。そのためにも、情報を管理しておくこと、「情報管理」が重要になる。
ネッタヌ
石田
これは前回のコラムでも説明したけれど、データはECのシステムが自動収集・集計してくれるしシステム上に残るので、後からでも確認ができる。
でも、お客さまの「生の声」や「問い合わせ」は、右から左に流れていきやすいものなんだ。仮に掘り下げることで何かしらのチャンスにつながったとしてもね。
ネッタヌ
データ活用に関するマーケティングのノウハウって最近多いですが、データではない、いわゆる「定性情報」のマーケティング活用って意外と情報が少ない気がします。
石田
私がコンサルティングで実際に経験した話を元に、「情報管理」の重要性を説明したいと思う。(実際の事例をわかりやすくするため、少し変更を加えています)
ネッタヌ
商品が売れても「喜ぶだけ」はNG! 「なぜ売れたのか」疑問を持つことが大切
石田
とある食品を販売しているECサイトでの出来事だった。そのお店はご当地の「ポッキー」とか「ぷっちょ」といったご当地もののお菓子を販売している。
ネッタヌ
たとえば北海道なら「夕張メロンポッキー」、愛媛なら「伊予柑ぷっちょ」みたいな商品ですね。
石田
そう。そういったご当地のお菓子を何種類か売っていた。商品単価は800円くらい、客単価は2000円~3000円くらいで、お客さまは2~3商品を購入していく。そんなネットショップだった。
しかしある日、異常に客単価が高い日があった。
ネッタヌ
えっ。もしかして、販売価格の設定が間違っていた? 1商品を8000円で登録しちゃっていたとか……。
石田
違うよ(笑)。商品のまとめ買いが入ったんだ。1商品あたり20~30個、それを4~5商品。だから、1人のお客さまが6万円以上購入したことになる。当然、受注処理の担当者がまとめ買いに気づき、歓喜の声をあげたわけだ。
ネッタヌ
まあ、いきなり6万円の受注が入ったらうれしいですよね。ネッタヌもきっとその日はルンルンだと思います。
石田
ネッタヌ
石田
大いに喜んで良いのだけれど、喜ぶだけ? 喜ぶだけじゃダメでしょ。
こういうときはね、「何故こんなことが起こったのか?」を考えるんだよ。これが「情報管理」の神髄。喜ぶと同時に「疑問を持つ」んだ。
ネッタヌ
何かの事象が起こった際、喜ぶだけではなく「なぜ起きたのか」疑問を持つことが大切
お客さまが疑問に思うことをきちんとネットショップに表記しよう
石田
よくよく過去の受注を調べてみると、件数は多くないとはいえ、「まとめ買い」がいくつかあった。これまではまとめ買いがあっても特段気にせずに「右から左に」情報が流れていたわけだ。
「商品が『まとめ買い』される」とわかったときにまずやることは、何だと思う?
ネッタヌ
石田
シンプルに考えてみよう。まずやるべきは「まとめ買い可能です」「大量注文承ります」と、ECサイト上に出すことなんだよ。仮に商品ページ上の在庫数が足りなくても、問い合わせをすればまとめ買いができることを伝えるわけ。
ネッタヌ
でもそれって、もしお客さまがまとめ買いしたければ「問い合わせ」してくれるんじゃないですか?
石田
いや、お客さまはね、そんなことじゃ「問い合わせ」してくれないんだよ。「まとめ買いできるのかな?」と思っても、もし在庫数が足りなくて表記もなかったら、他のネットショップに探しにいってしまうだけ。
ネッタヌ
他のネットショップへの移動にストレスがないのが、ECの特徴ですもんね。
石田
そうなんだよ。だから、お客さまが疑問に思うようなことは事前にネットショップに表記を入れておく必要がある。お客さまはサイレントに離れていってしまうだけだからね。
ネッタヌ
よくわからなかったら他のネットショップを探しますもんね。
石田
それで「大量注文承ります」という表記を入れた。そうしたら、数日後にまたまとめ買いの注文がきたわけだ。
ネッタヌ
やったぁ!! 狙いどおり! マーケティング大成功!
石田
お客さまはサイレントに離れていく
お客さまの「目的」から「ニーズ」をつかもう
石田
ここでもう一歩踏み込まなきゃいけない。自社の商品がまとめ買いされる商品であることはわかった。けれど「なんでまとめ買いされるのか?」がわからない。つまり「商品を購入する目的」がわからないわけだ。
ネッタヌ
石田
満足するわけがない。思い切ってお客さまに電話をしてみることにした。「昨日いただいたまとめ買いのご注文なのですが、もし特別な用途などがあるなら、ネットショップの方で何かご支援しますよ」と。
ネッタヌ
石田
うん。電話してもらった。だって「なんでまとめ買いされるのか?」を一番知っているのは、お客さま自身でしょ。お客さまに聞けば一発でわかることを、会議室で「あーだこーだ」無駄に予想していちゃダメだよ。
ネッタヌ
「お客さまに直接連絡して理由を聞いちゃう」って、何だか目からウロコの解決策。
石田
そうしたら、購入者は小学校のPTAの役員さんだということがわかった。PTA主催の子ども会で、子どもたちに配るお菓子をネットショップでまとめ買いしていたわけだ!
そこで過去のまとめ買い注文を再度調べてみると、送り先が「学童保育所名」や「団体名」になっているものがあることがわかった。
ネッタヌ
石田
「子どもたちにお菓子を配るイベント」という目的でまとめ買い注文が入る、という「お客さまのニーズ」をつかんだ瞬間だ!
ネッタヌ
石田
お客さまの目的からニーズをつかみ、改善施策につなげる
つかんだ「ニーズ」を「チャンス」に変えるために、改善施策を考えよう
石田
喜ぶだけじゃなくて、掴んだニーズを「チャンス」に変えていきたい。そのためには改善施策を考えなきゃ。
さっき少し触れたよね、「表記を出しておく必要がある」って。ネットショップはね、お客さまに「提案」してあげる必要があるんだ。そう考えると?
ネッタヌ
わかった! 「子どもたちにお菓子を配るイベントにぴったり!」みたいなカテゴリだったり、販促企画を組んだりするとか?
石田
さすがネッタヌ君! ここぞというときにやるタヌキ!
そうなんだよ。お客さまのニーズを知ることでこちらから用途の提案ができるようになる。もちろん「PTA会」「子ども会」「謝恩会」「夏祭り」なんて検索キーワードの対策もイメージできるようになるよね。
ネッタヌ
複数の種類のお菓子をバラして1人分にパッケージし直す「子ども会セット」のサービスを展開したら、お客さまが利用しやすそう!
石田
そういう改善施策も続々とメージがわいてくるよね!
大切なのは「1つの情報」からどのような仮説を立てて、裏側にあるお客さまのニーズを探し、ECマーケティングの改善施策につなげるか、なんだ。
ネッタヌ
今回の話も、「6万円のまとめ買い注文が入った」という「1つの情報」からこんなに広がったわけですもんね。
石田
もし「1つの情報」を特段気にせず、情報を「右から左に」流していたら?
ネッタヌ
石田
最初に話したとおり、チャンスの芽は日常にあふれている。次回はもう1つ、「情報管理」の面白い体験談を紹介するね。
ネッタヌ
楽しみ! あっ、喜ぶだけじゃなくて、勉強しなくちゃ!
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
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