コスメECシェア1位をめざすECモール「Qoo10」。リアルイベント、ライブコマースのテコ入れなど本部長が語る今後の展望 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2024年6月24日(月) 07:00
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イーベイジャパンが運営する「Qoo10」では、リアルイベント強化の動きが活発だ。ECへの波及効果や、今後の構想をまとめる

仮想モールの「Qoo10」を運営しているイーベイジャパンでは、リアルイベント企画やライブ動画配信のテコ入れを進めており、顧客接点の高度化を図っている。背景には、主力のコスメカテゴリーでEC市場のトップシェアを獲得するという大きな目標があり、購買だけでなく印象的な体験も同時に提供できるようなビジネスモデルの確立が大きな突破口となっている。同社が描く、これからの成長戦略の裏側に迫る。

2024年度はリアルイベントを強化

同社が今年度の重点施策の一つに掲げているのが、リアルイベントの活用だ。以前より、日本で開催されている「K-POP(韓国のポピュラー音楽)」のライブイベントなどについて、年に数回ほどスポンサーとして参画し、モール内でのチケット販売も担っているが、今期はさらに一歩踏み込んだ内容に進化させていく。

リアルイベントへの出展に力を入れているリアルイベントへの出展に力を入れている
クロスセルに好影響

もともと、参画するリアルイベントについては同モールがそのチケットの販売窓口となるため「ここから得られる顧客とのエンゲージメントは効果があり、クロスカテゴリーセルの割合が高くなる」(キム・テウンBO本部長)と説明。

実際にスポンサーとして参画した今年5月のK-POPの大型イベント「KCON JAPAN 2024」では、同モールでチケットを購入した顧客の内、約20%がコスメやファッション、エンタメグッズといったチケット以外の商品をモール内であわせて購入したという。

休眠・新規の流入数アップ

イベント自体の告知については主催者が中心となって行い、同社ではプレスリリースやSNS、モール内での告知だけだったが、チケット販売の窓口となったことを機会に休眠顧客や新規顧客からの流入が想定以上に大きくあったとする。今回販売されたチケットでは5万6000人分の内、休眠・新規会員の購入によるものが相当数あったとした。

こうした知名度のあるリアルでの大型イベントをきっかけに、モール内の流入客数が一気に増加することは既存の出店者にとっても大きなメリットとなる。同時期にアーティストの関連グッズや親和性の高い商品を打ち出すことはもちろん、出店者自身がそれらのリアルイベントに参加することもある。

購買の場だけでなく体験も提供

実際にいくつかのイベントでは、同社が会場でスペースを確保して、希望する出店者に対して有料でブース出展を割り当てたこともあった。来場者の多くが10~20代の若い女性であることから、コスメや美容グッズ、ファッションなどを取り扱うブランドが数多く出展し、サンプリングの提供や新商品の案内などを行ったという。EC発のブランドにとっては、リアルでの顧客接点が持てる貴重な機会となったようだ。

現在は韓国にエンタメ関連のチームがあることから、日本でのイベント開催を検討しているような集客力を持つK-POPグループの情報が入手しやすく、今後も規模を問わずスポンサードからチケット販売、ブース運営までさまざまな形でリアルイベントに関わっていくことを計画している。

顧客に購買だけでなく体験も与えたい。我々はエンタメ会社ではないが、『イベントを見たいからQoo10会員になりたい』と思われるように、こうしたエンゲージメントを作れる会社であるという位置付けを作ることが大切だ」(キムBO本部長)としている。

7月に主催イベントを計画

そして、今年度はスポンサーとしてだけでなく、自社が主催する形で初めて大規模なリアルイベントを行うことも計画している。7月に都内の「ビックサイト」で行うもので、コスメに特化した内容で国内外のブランド出展を誘致。出展者は商品体験や著名なインフルエンサーを招いてのトークショー、ライブ配信企画などを行うという。

東京ビッグサイトで7月に実施するオフラインイベントを「Qoo10」で告知している東京ビッグサイトで7月に実施するオフラインイベントを「Qoo10」で告知している

特に目玉となるのはライブ配信の企画。同社では今年2月に出店者が利用できるライブコマース専用のスタジオを都内・渋谷に開設している。同イベントではこれと同様の設備を会場内に設置し、同社や出展者が公開生放送を行える仕組みを設けていく。

渋谷の常設スタジオでは4時間で売上2億円の実績も

なお、現在、渋谷のスタジオについては、開設以降、出店者からの依頼を受けて毎日配信を行なっている状況。4月にあった同モールの大型セール企画「メガ割」では、4時間のライブコマース配信の中で2億円の売り上げを達成したという。

同モールの利用者である若い女性層とライブコマースの親和性は非常に高いと見ており、今回主催するリアルイベントにおいても、これまで培ったライブコマースのノウハウを活用し、著名なインフルエンサーも起用しながら独自目線の配信企画を行うことを予定している。

東京・渋谷に開設したライブコマース用スタジオ東京・渋谷に開設したライブコマース用スタジオ
若手女性顧客へのアプローチに有効

リアルイベントに関しては、EC専業ブランドだけではなく、実店舗を持つような大手企業にとっても参加メリットが高いと見ている。

同社によると、老舗のコスメブランドのなかには顧客の新陳代謝がなかなか進まず、10~20代の若年女性層の比率が年々落ち込むなど、そこに対してのアプローチや集客手段に悩み始めているブランドは少なくないという。

「今の若い人達は韓国コスメに寄ってきている。その少し上の年齢層も徐々に来ている傾向。そうした年齢層から見捨てられてしまうブランドは、今後のコスメ市場のなかで生き残るのが難しくなる」(同)とし、たとえ中高年向けのハイエンド価格商品が中心の大手ブランドであっても、若年層の顧客を一定数抱えることができていないと、市場のなかでトレンドイメージから大きく引き離されてしまうというのだ。

そのため、若い女性に特化したリアルイベントを幅広いブランドに向けて解放することは、各ブランドが最新のニーズを分析したりマーケティング感覚を磨ける最良の機会になると考えている。

目標はコスメECのシェア1位 国内大手ブランドの誘致図る

同社では、今後の大きな目標としてコスメEC市場においてトップシェアを獲得することをめざしている。「Qoo10が今一番上手く売り上げを作れていて、顧客認知も進んでいるコスメカテゴリーはもっと力を入れていく。特に日本の大手ブランド開拓をしたい」(同)と説明。そのためには、リアルイベントを通じた新たな顧客接点の創出に加え、モール内で積み上げた有益な顧客データを出店者に対してどれだけ提供できるかも大きなカギとなる。

これまでは、販売数量をはじめとした基本的なデータの共有はできていたが、今後は顧客レビューなどをベースに作成した詳細なレポートを共有することを考えている。

レビューの促進でデータ蓄積

一例として、コスメが購入された後に顧客が使用感や質感、色感などを細かく入力できるフォームを以前からモール内に導入するようになった。すでに膨大な顧客からのレビューを受けて、データ量の蓄積自体は進んでいたものの、現時点では出店者やブランドごとに一つの統計化されたレポートとして提供することができていなかった。

出店者向けレポートサービスの提供を計画

そのため、今は一部の出店者に対して先行してヒアリングを行い、顧客から聞き出したい具体的な項目などの選定作業を実施。今年中には正式なレポートサービスとしてローンチする予定で、「なぜこれが売れるのか」が詳細に見える化されたデータとして出店者に提供する計画。「今後は日本の大手コスメブランドの出店誘致も強化していき、早期に『コスメ=Qoo10』のを確立したい」(同)とした。

シェア1位に向けての展望

約8割が女性顧客という売り場特性を持つなか、コスメカテゴリーの強化という明確な目標を掲げているイーベイジャパンのQoo10。達成に向けての課題やその展望について、ビジネスオペレーションユニット(BO)のキム・テウン本部長に聞いた。

イーベイジャパン ビジネスオペレーションユニット キム・テウン本部長 イーベイジャパン ビジネスオペレーションユニット キム・テウン本部長

――直近のEC市場の動向について。

2023~2024年はEC市場の成長率が全般的に厳しい状況だったと見ている。マイナスにこそならなかったものの、やはりコロナ後の消費者はオフラインを含めた多様な購買体験を求めている。消費者の行動パターンが明確に変わってきた

購入だけでなく「経験」が求められる時代

――変化の内容とは。

何かを購入する時も、「経験」と一緒にしたいというところがはっきりと見えてきている。特にファッションだったり、ビューティー関連の商材など、オンラインでのお得感だけではなく経験と一緒に買いたいということ。

加えて物価高の影響もある。当然、顧客に対してそれなりの価値を与えないとなかなか来てもらえない。今は中国発の大手通販サイトが価格メリットを生かして拡大している。おそらく、これはマーケティングのやり方などではなく、今の(物価高の)状況に丁度当てはまっているからこそ利用されている面もあると思う。

――集客には付加価値が必要になると。

EC企業もオンラインだけのサービスや接点だけでは顧客にとっては物足りないはず。そのため、ライブスタジオやリアルでのイベントなど、顧客ともっと近くで触れ合えるようなサービスを積極的に提供していくべきだ。

化粧品ブランドの登竜門になる

――現在の最優先目標とは。

コスメのECマーケットでシェア1位をめざすということ。そのためにもコスメ企業が新しいブランドを立ち上げる際の登竜門として、真っ先にQoo10がイメージされるような認識を確立していきたい。

コスメの新ブランド競争は、今、非常にホットな市場。ここでシェアをとれるかどうかがその後の新規顧客の獲得にも大きく関わってくるはず。若い女性を数多く抱えている売り場ということはすでに認識が広がったかと思うので、ぜひここを活用してもらいたい。

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