HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。第三回のお相手は、提案型ウェブアナリスト育成講座第3期卒業生で、S.E.Onetop合同会社代表の滝口誠氏。
全3回で2回目となる今回のテーマは『提案型ウェブアナリスト育成講座について』。
前回では、SEOに特化した制作会社を山形県内でしているにも関わらず、地域柄なのか手応えを感じられなかった滝口氏。それにもかかわらず提案型ウェブアナリスト育成講座を受講した理由と得たものについて伺います。
進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水朋子が務めます。
第一弾はこちら!
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滝口 誠(たきぐち まこと)Iターンで山形県東根市へ。S.E.Onetop合同会社代表取締役、Code for Yamagata代表。SEOに特化したサイトやコンテンツの制作を手がける。2019年提案型ウェブアナリスト育成講座第3期修了。
受講のきっかけ
今回の提案型ウェブアナリスト育成講座で解析を受けてみようと思ったきっかけは何ですか?
もともと前の会社にいた時から解析に興味があったんです。独立してから日本アフィリエイト協議会(JAO)と宣伝会議などのセミナーに行って、そこで小川さんの話を聞いていました。
どこに必要性を感じて参加したんでしょうか?
コンテンツを作るにあたって、どこが悪いのかを踏まえて変えていくには数字を見ないと変えられない。そのあたりに必要な分析の知識を増やしていきたい、もっと突きつめていきたいと思ったのがきっかけです。
私の講座のきっかけは?
小川さんのメールですね。
お、マーケティングオートメーションが効いていますね(笑)
JAOのセミナーと、宣伝会議の清水誠さんとやったコンセプトグラムのセミナーで小川さんと名刺交換して、そこからメールが届いた感じですね。
地方から通って、東京で学ぶ
講座では毎回山形から通ってきてくれたんですよね。
大体日帰りで通いましたね。 それまでも山形から東京に通うのは宣伝会議で経験していました。コピーライティング講座を受けていた頃は毎週宿題が出て、全部で50コマ。あれに半年間通う方が、正直、キツかったですね。
あの宣伝会議さんの講座って、結構な量をインプットされるんですよね。私も1コマ講師をさせていただいております。
週末2コマの授業を受けて勉強して、ヘロヘロで帰って、宿題で100本のコピーを書いて。あの時は仕事の時間をけずって勉強していました。その後、さらにコピーライティングの特別クラスにも半年間通いました。
すごいですね。実は私も2011年頃なのでちょっと古いですけど、宣伝会議さんのコピーライティング講座を受けました。あの頃もコピー100本と言われましたが、結構きつかったですよ!正直、途中で息切れ感がありましたね(笑) そんな大変な講座に山形から長期間通う、情熱が続くというのが不思議なんですが、できるもんですか?
コンテンツライティングの見出しを考えるのに役立つと思ったというところですね。とにかくやろうと。やればできるもんです。
そこまでしようというのは、お客さんのため、自分のため、スタッフのためでいうと?
すべてですね。私がいいと思ったものは、スタッフにも参加してもらっています。今後は私が全部見られれるわけではないので、人が育ってくれないと困りますから。お客さんに満足してもらって、次の仕事もくると思っているので、それには教育は欠かせませんね。
作るだけでよかったらまだしも、成果を出そうとしたら、学びが欠かせないということですね。
そこまでするのは、山形の会社の中ではめずらしいのでは?
たしかに、変な会社ですね(笑)
大きな収穫はコンセプトダイアグラム
提案型ウェブアナリスト育成講座を受けてみた結果、どうでした?宣伝会議とはどこが違いました?
まず、面白かったですよ。
ー(一同笑)ー
他の方と一緒にワークをするので、そういう視点を学べたのもよかったです。あとはコンセプトダイアグラム。前半をきっちり使ってやってもらったのがよかったですね。
清水誠さんの宣伝会議でも受けたというアレですね。
宣伝会議の時よりもしっかり時間を割いてくれたのがよかったですね。
宣伝会議の講座では清水さんがコンセプトダイアグラムを3時間、私がGoogleアナリティクスを3時間かけて行っています。自分のグループで題材を決めて、みんなで作る感じなので、知るきっかけにはなりますね。
提案型ウェブアナリスト育成講座では、コンセプトダイアグラムとKPIに何時間位かけているんでしたっけ?
講座全10回の2回目で4時間くらいやって、それでは終わらないので、その次の回でも1時間くらい話して、さらに1時間くらいワークをして、そのあとKPIをやるという流れなので、全部で6,7時間くらい。コンセプトダイアグラムの仕組みは清水誠さんが提唱されたもので、本人の了承をいただいて活用させていただいております。また私が作成した事例なども多数紹介していますね。
宣伝会議のも良かったし、提案型アナリスト育成講座だともっと時間を割いてくれたのもよかったです。 あと、KPIを決める際、「事業のすべて集中させてくださいよ」と、クライアントさんに必ず確認してもらおうという話があったのですが、そういう話を聞けたのもよかったです。通常だと予算書と計画書が別々になっていることが多かったので、それを1つにするというのも、面白かったです。
なるほど。
ただ、残念なことに、山形のお客さんには響かないんですよね。
数字は関係ないけど、それでもだめかぁ。一社でも突破できたらねー。
講座を受講してから、響いた方はいます?
講座受講中に1件、簡易分析表を作ってだしたら、すぐに決まった案件がありますね。いろいろあって終わっていませんが。
一社でも決まったというのはよかったですね。
今後はもっと活かしていきたいし、活かせば伸びる企業はたくさんあると思っています。
見えないサービスにお金を払ってもらうには
お客さんはサイト制作に慣れていないし、ウェブ担当さんも多くを学んでいないので、分析の重要性をわかってもらえないことがありますね。「サイト?」お金をはらう、「広告?」お金をはらう、「分析?」お金を払わないよ!という感じで。
「それ美味しいの?」ってヤツですね。
ほんとうにそんな感じです(笑)
地方のコンサルをしているところで滝口さんみたいな課題を持っている会社さんは結構ありますね。実際そこを突破したいということでご相談を受けることは多いです。解決方法は、まずは一社でもいいクライアントを見つけることなんですよね。一社でも事例ができると、二社目、三社目と受注しやすくなりますし、事例として説明できるしね。
実際、制作会社に頼むお客さんも疑問に思っていて、なんで上がらないの?と思っているんですよ。
疑問を持つところが、まず一歩ですよね。疑問すら持たない人もいっぱいいるから。
疑問をもたないところは、作ったってお金が出ていくだけだと諦めちゃっている。それなりにすれば成果はでるし、しなければ成果はでないっていう話をするんですけど、実体験として成果が出たことがないので、そこのギャップを埋めていかないといけませんね。そのためにも地元の事例を作らないとだめだなというところがありますね。
そうですね。あとは滝口さんみたいに、すでにマインドを持っている方がIターンやUターンで山形に来た人とうまく組んでいけたらいいですよね。
今回SEOを頼まれたところがまさにそうです。そこの企業は山形本社で、東京や大阪に支社があって、社長がSEOの情報を聞いたらしいんですよ。だから今回のリニューアルではSEOを意識して作ろうと。一回やったコンペを白紙にまでして、再コンペして受注できたんです。今ちょうど進んでいます。
お、いいですね!何もしていないところほど上がりますからね、そういうところで実績が出るといいですね。
受注が難しいタイミング
SEOをしていないところでいえば、サイトのGoogleアナリティクスを見ると月間セッションが10あたりを推移しているところも多々あります。
三日にひとりのアクセスですね。
そこに入れば100%上げられる自信があるんですよ。
難しいのは、その意義をお客様にわかってもらうというところっていうわけですね。
地元のお客さんは、これ以上仕事が来ても困るって言うこともある。そういう時は、「もうけているときに対策して景気が落ち込んだ時にカバーするために、今投資だと思ってしておいたほうがいいですよ」というんです。
そこは納得してもらえるんですか?
いえ。
私の経験上でも、困っていない時って一番難しい。うまくいっているときは今のやり方でいいと思っちゃう。これは大企業でも同じ。一番受注しやすいのは下がっている時なんですよね。
ただ、下がっているときにコストをかけられるかというと、かけられないので別の問題がありますね。
見積りから受注のノウハウ
さきほどSEOで受注ができたという話がありましたが、講座のノウハウを使いましたか?
お客さんには提示していないんですが、社内ではGoogleアナリティクスで分析してレポート作って、施策の精度を上げるために活用しています。
お客さんから見たら、いい会社ですね。自分たちのために社内で分析してレポートを作って進めてくれているっていうので。ただ、お客さんに伝わることはないという。。お見積りのところにSEOや分析の項目は入れています?
いれていませんね。コンテンツ1文字いくらとか、一本いくらとかですね。
削られちゃうよね。依頼側のレベルが上がらないと、作る側も難しいですよね。
大企業でもそれはあります。とにかく安く書いてほしいから、SEO的な考えがあればいいけど、お金は払えない。合見積もりと言われても少し高くなってしまうことがあるんで、実績をみて発注していただけるところはいいんですけど、実績以外で金額だけ見るところだと難しいですね。単価が安いと時間をかけられないので、その分精度を落として納品となってしまいますね。
会社としてはそうなりますよね。
SEOってある意味競争じゃないですか。今1位や2位のところよりもよりよいものを出せれば上に行くし、そうでなければ下に行く。そういう競争の中で費用がとれないとキツイと思うんですけど、どのように戦っているんですか?
うちが低コストでやるときは、『数撃ちゃあたる戦法』が多いです。ある程度ここまでのものを作れば、ある程度の順位が確保できるだろうというので出します。そのあと、手直しします。
リライト分のお見積りはどうなっているんですか?
安くする場合はリライト保証をつけていますね。
リライト保証とは初めて聞きました!
入れることはありますよね。ケースバイケースですよね。
リライトしなくても上がっちゃう場合もあるし、リライトしたからといって上がるとは限らない。それでも記事の精度はあがりますね。
コンテンツを書く側の人ってそういう料金体系になってきているから、大変だよね。
どういう分野のコンテンツが得意とかはありますか?
出身が金融なので、金融は強いですね。今は自社サイトで運営しています。競合が厳しいんですが、1位のキーワードも出て集客できてきたので、あとはコンバージョンを結びつけようかというところですね。
スゴイと思いますよ。自分のところでやるってすぐにはお金にならないじゃないですか。
もちろん収益のためにという面もあるんですが、Googleの変動を常に見ておけるというのが大きいですね。
なるほど、学びながら、試しながら、結果を分析する感じですね。
色んなジャンルを書いているので、このジャンルは影響を受けたとかいうのが把握できます。
「Googleアナリティクスを見せてください」
講座を受けて変わったことは?
仕事の依頼が来た時に、まず「Googleアナリティクスを見せてください」と言えるようになりましたね。
ちゃんとデータを見ようと。それまでは?
提案型アナリスト育成講座を受ける前までは、外的要因やニーズ分析だけで終わっていたので、こちらと相性が合わない時もありました。
なるほど、今まず使っているユーザーのデータを見てから、手がけようということですね。
閲覧時間や離脱するところがわかるし、パッと見でわかる数字からだけでもわかることは多いですよね。
数字がないとわからないことはありますよね。たくさん記事があっても、どれがいいかわからない。これいいかな?と思っても全然見られていないことも。見た目だけでは当たらんですね(笑)色んな業種がいて色んなお客さんがいて、自分は全員にはなれないから、見ちゃった方が早いですよね。
お客さんがアクセス多いと思っていても、実は自分が見ている数字ばかりということもありますね(笑)
ありがちだね(笑)ほんとうにデータのちょっとした見方を知るっていうのが大事ですよね。滝口さんがいなければ一生気づかなかった可能性もあるからね。知っていれば、5分10分見るだけで違いますよね。
別に権限をもらわなくても、その場で一緒に5分見るだけでもわかることって多いですからね。
それができるのは滝口さんが分析できるからですよね。
次回では、東北唯一の提案型ウェブアナリストになった滝口さんに、今後山形でどのような活躍をしていきたいかをたずねました。(明日公開予定)