ヤマト運輸が宅急事業を抜本的に見直す。
宅配便運賃の値上げや取扱荷物の総量コントロール、社員の労働環境の改善などに着手。宅急便取扱数量の増加と労働需給の逼迫により、ドライバー不足や収益性の低下が深刻化していることを受け、事業モデルを再設計する。
持続的な成長と収益力強化を図るため、「2017年度 デリバリー事業の構造改革」を4月28日に公表。構造改革の中で特に通販事業者への影響が予想されるのは次の5つの項目。
- 基本運賃を荷物のサイズに応じて1個あたり140〜180円値上げ
- 通販大手など大口顧客に対して、荷物取扱量の調整や運賃改定を9月までに実施
- オープン型宅配ロッカーを前倒しで導入し、サービスを拡充
- 配達時間指定や当日再配達の受付時間を見直し
- クロネコメンバーズのサービス拡充
基本運賃を荷物のサイズに応じて1個あたり140〜180円値上げ
宅急便の基本運賃(税抜き価格)を、今年9月末までにサイズに応じて下記のとおり改定する。
- 60-80サイズ:現行の運賃に一律140円を加算
- 100-120サイズ: 現行の運賃に一律160円を加算
- 140-160サイズ: 現行の運賃に一律180円を加算
通販大手など大口顧客に対して、荷物量調整や運賃改定を実施
荷物の急増による社員への負担増を回避するため、現状の体制に見合った水準に宅急便の総量をコントロールする。
年間の宅急便取扱量の約9割を占める法人顧客のうち、約半数を占める大口顧客に対し、集配効率の向上や再配達の削減に向けた取り組みを9月末までに実施する計画。
具体的には、「繁忙期の出荷調整」「届け先への複数の荷物をまとめて配達する仕組みの構築」「クロネコメンバーズとのデータ連携による届け先への事前通知」などへの協力を要請する。
法人顧客に対する運賃契約ルールの統一化も進める。契約運賃の決定プロセスを精緻化・均一化するため、出荷量だけでなく、届け先やサイズ、集荷方法、燃料費、時給単価の変動といった外部環境の変化によるコストの変動などを踏まえた、新たな価格決定メカニズムの構築をめざす。
オープン型宅配ロッカーの前倒し導入とサービス拡充
2017年6月からeコマースでの購入時の届け先として、オープン型宅配ロッカーを直接指定できるようにする。
2018年3月までに、1都3県を中心に約3000台のオープン型宅配ロッカーを設置する計画。
配達時間指定や当日再配達の受付時間を見直し
4月24日から当日再配達の受付時間を20時から19時に1時間繰り上げた。
6月19日からは配達時間の指定枠を見直し、「20時-21時」を「19時-21時」の2時間枠に変更。また、配送ドライバーが昼休憩をしっかりと取れるよう「12時-14時」の枠を廃止する。
クロネコメンバーズのサービス拡充
クロネコメンバーズへの会員登録の手順を簡略化することで、荷物の受取日時を変更できる「お届け予定Eメール」の利用を促進するなど、デジタルコミュニケーションサービスの拡充を通じて宅配サービスの利便性を高める。
今後、都市部を中心にオープン型宅配ロッカーの整備やコンビニエンスストアへの配送、投函型サービス、営業時間外の配送ニーズなどに特化したネットワークの構築など、新たなラストワンマイルネットワーク・オペレーションの設計を試行する。
中期的な成長戦略の具体案については、2017年9月に発表予定の「ヤマトグループ中期経営計画」の中で公表する。
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オリジナル記事:運賃140円以上値上げ、ヤマト運輸の宅配サービスの見直しが通販に与える影響は?
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