ミクロ解析とその検証

ウェブ解析の手法の一つ「ミクロ解析」について。ペルソナの検証なども。
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ウェブ解析士マスターの小坂です。
北海道はすっかり秋です。

札幌はこの時期デジタルマーケティングのセミナーが多く開催されました。

私も8/31にデータフィード広告のセミナーに参加、9/6にはネット担当者フォーラム、9/12にはGoogle主催のカンファレンスに参加しました。

改めて下記3つを肝に銘じたところです。

・ユーザにとって良いコンテンツを作ろう
・Googleサーチコンソールを使ってGoogleに伝えよう
・モバイルに取り組もう

さて今回はデジタルマーケティングにおける「ミクロ解析」を取り上げます。

1)ミクロ解析とは?

デジタルマーケティングの分析手法は大きくわけるとマクロ解析とミクロ解析に分かれます。

マクロ解析というのは文字通り全体像を把握し、施策の立案や検証を行う方法です。

例えば、全体のアクセスのボリューム(セッション数など)や流入の傾向の分析(チャネル分析)やページ分析などが該当します。

広告やSEOの効果分析もここに該当します。

それに対してミクロ分析は焦点を絞って分析する方法です。

例えば、特定の組織からのアクセスに絞ってそのインサイトを考えたり、一部の経路を分析してその課題を分析し解決策を探る方法です。

マクロ解析で全体の傾向を把握し施策を立案・検証しても、残された課題を解決するのに役立ちます。

ペルソナの作成にも役立ちます。

行動を分析することで、その行動をした動機を考えるヒントを得られるからです。

 

2)Googleアナリティクスとミクロ解析

まず最初に行うことはユーザの絞り込みです。

絞り込みには大きく分けて二つの方法があります。

・特定の組織・属性の人を分析する
・特定の経路を通った人を分析する

前者は例えばA社の人が分析サイト(サイトBとします)を訪れた際の行動を分析するために、

後者は例えばサイトBにおいて特異な行動(例えば何度も訪れているが商品を買わない)を取っている場合にその行動を分析する場合に用います。

 

手順としては下記のようになります。

・分析対象を決める
・その組織・ユーザーをGoogleアナリティクスなどで検証する
・その検証からペルソナを作成する

Googleアナリティクスでは接続元のドメイン名ごとのアクセスを分析することができます。

カスタムレポートで、下記のようなレポートを取ると、「.co.jpからアクセスしたユーザーにしぼったネットワークドメイン別のレポート」を確認できます。

・ディメンション:ネットワークドメイン
・指標:セッションやページ/セッション など分析したい指標
・フィルタ:ネットワークドメインで、正規表現「.co.jp」

 

(図1 カスタムレポートの例)

カスタムレポート(ネットワークドメイン)例
 

 

 

 

 

 

 

 

※また組織名で分析できるツールは他にもあります。

 私が2017年3月まで所属していた株式会社環が提供する「みやすい解析」では組織別・地域別の分析や経路を追う機能がついています。

 

次にここまでの分析を参考に追う経路を決めます。

Googleアナリティクスで行う場合、ユーザーエクスプローラを用います。

「オーディエンス」ー「ユーザーエクスプローラ」です。

セグメントで追うユーザーを絞ります。

もしネットワークドメインで絞るのであれば、「セグメント」ー「条件」で「ネットワークドメイン」でフィルタを「ユーザー」にして、絞り込みます。

そしてユーザーの経路を追っていき、その行動を見たうえで、インサイトを考えます。

 

(図2 ユーザーエクスプローラ)

ユーザーエクスプローラーの画面
 

 

 

 

 

 

 

 

 

この内容をエクセルなどで一覧にし、右側に考察を入れていくとよいでしょう。

そして、これらの内容を元にペルソナを作成します。

ペルソナの作成方法はネット上にも情報が多いのでそちらをご覧ください。

ここでは省きます。

3)ミクロ解析で思い込みを防ぐために

ここまでのように実際のウェブ上行動を元にペルソナを作成し、施策の立案を行う際に課題になることが、「彼らの行動特性は正しいのか」ということです。

往々にして「40代の主婦はこのように動くよ」とか「50代男性はこういうサイトを見ているでしょ」「facebookはおっさんメディアでしょ」など思い込みに引っ張られることがあります。

 

(図3 twitterとfacebookの利用者年齢層:Values eMark+より)

twitterとfacebookの属性
 

 

 

 

 

 

 

上記は、Values社のeMark+でTwitterとFacebookの利用者をウェブ・アプリ別々に調べたものです。

見にくいかもしれませんが、上からTwitter(ウェブ)、Twitter(アプリ)、Facebook(ウェブ)、Facebook(アプリ)です。

上側が性別(青が男性、赤が女性)、下が年代(左から20代→60代)です。

確かに20代においては利用者の割合がFacebookの方がやや少ないですが、一般的に言われるほどの傾向の違いがあるわけではありません。

このように検証するプロセスが必要です。

 

Values eMark+のTarget Focusの機能に「属性別サイトランキング」という機能があります。

予め絞り込んだ属性の人がどのようなウェブサイトを利用しているかを知ることができます。

 

(図4 Valus eMark+の絞り込み画面)

属性で絞込
 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記は、仕事をしている既婚女性に絞り込む設定になります。

 

(図5 既婚女性が閲覧しているサイト)

既婚女性が閲覧しているサイト
 

 

 

 

 

 

 

 

このように閲覧しているウェブサイト一覧を出すことができます。

このようなデータから、客観的な数字を元に、実際どのようなサイト閲覧特性があるのか見ることができます。

より細かく分析する場合は、「子供の有無」「世帯収入」「住んでいる地域」「年代」などで絞り込むこともできます。

 

ソートの方法も多様です。

例えば、特性の項目にあります「リーチ差」「含有率」をソートすることで、他ユーザーに比べて多く接触しているサイトを調べられたり、含有率でこのサイトは富裕層がとても多い、などを発見することができ、そこからペルソナの特定に活用できます。

またこのデータをCSVでエクスポートして、エクセルでフィルタをかけることも可能です。

4)ミクロ解析で大切なこと

ミクロ解析で大事なことは「ユーザーの気持ちに寄り添う」ことです。

マクロ解析では全体の最適化や、企業の目的達成(売上向上等)にフォーカスされますが、ミクロ解析では争点を当てたユーザー(群)の満足度向上やペインポイントの改善にフォーカスを当てます。

そのため、予め仮説をもった上で、その絞り込んだユーザーの行動分析やペルソナの作成、ペルソナの考察・検証が大切になります。

本ページで紹介したツール

Googleアナリティクス
みやすい解析
Values eMark+ 

 

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