便利なECサイトのPC⇒スマートフォン自動変換方法 『ワンソースマルチユース』の罠

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▼スマートフォンECの取組であきらめなければいけないこと

『スマートフォンへの対応なんて本当に邪魔くさいなぁ!せっかくPCサイトやモバイルサイトで売れるようになってきたのに・・・こんな端末が普及するから・・・対応しなければいけないし、手間や費用もかかって不安・・・』

最近のaishipセミナーやECサイト運営者様との接触で感じることで、私も同感です。

スマートフォン対応にはあまりイニシャルコストを投じない方がよいことや皆さんが思っているほどスマホ対応は難しいことではなく、安価に実施できることなどは前回の記事『安価なECサイトのスマートフォン対応方法とポイント整理』で記載しました。しかしそれ以前に重要なことがあります。

これまで私たちは数多くのモバイル(スマートフォン)サイトの取組支援をしてきました。特にこれまでPCサイトでの売上が中心のECサイト様のスマートフォン検討の際に強く感じますが、スマートフォンEC取組の成功の鍵には『思想の問題』があることが分かっています。

スマートフォンECで成功するためには、取組に際してあきらめなければいけないことが幾つかあり、その重要な一つが『ワンソースマルチユース』という思想です。

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▼  PC/モバイルECサイトのワンソースマルチユース

ECサイトでの『ワンソースマルチユース』とは「ワンソース」=一つの元データ(商品情報やページコンテンツ)を「マルチユース」=あらゆる端末向けに利用するという思想でこれまでのPCサイトが中心のECサイトで主流になっていました。

PC端末利用者をECの中心ととらえ、2番手の携帯(モバイル)端末は“おまけ”という発想で、PCサイト向けに作ったコンテンツ(商品データや文字など)をモバイルでも流用して利用する方法です。PCサイトの売上が中心で、モバイルでも「一応購入できるように」という考えのもと、リソースが裂けないECサイト運営者様にとっては非常に便利な方法でした。

しかし、この方法により構築されたモバイルサイトはいわばPCサイトの“おまけ”程度のもので、完全なスマホ対応ではなく訴求性が低いページや機能で、部分的にPCサイトが表示するサイトなどは売上を考える以前の問題です。実際にこの方法のモバイルサイトで本当に売れているサイトは皆無と言って過言ではありません。

なぜか?それは単純なことで、全てのコンテンツを『ワンソースマルチユース』するには限界があるということです。商品情報など正規化(データを一定のルールに従って変形し、利用しやすくしていること)されている情報を『ワンソースマルチユース』するのは非常に良いと思います。しかし接客ページ(特集ページやランディングページなど)のように自由にデザインされているページは正規化できないのが現状です。

▼『ワンソースマルチユース』の限界

接客・販売をミッションとする人は、少しでも与えられた範囲で最大限お客様に接客し、商品の訴求をしようとします。これは売り上げを上げようとする当然の行為です。

そこで接客範囲(ページサイズ)がPC向けの大きなブラウザサイズであればその範囲を最大限利用して訴求しようとします。同様にモバイルという小さな端末を利用した接客はその与えられた範囲で最大限利用して情報を精査して訴求します。

私の前職のセブン・イレブン-ジャパンではコンビニエンスストアという範囲で最大限の訴求を考え、店舗での販促・接客・POP・陳列を考えます。そこでセブンイレブン店舗で店舗サイズ等が異なるイトーヨーカドーの販促をそのまま取り入れても、売場面積の違いなど様々な要因で情報が混在し、お客様を困惑させ逆に訴求力が悪く売上につながりません。

コンビニエンスストアという売場面積・消費行動・スタッフを抑えた販促展開をしなければいけないのは当たり前のことです。高度成長期で消費が盛んな時代であれば、少々訴求性が悪くても、商品がよければ売れたかもしれません。しかし現代の物あふれの世の中で簡単に消費を喚起させるのは容易ではなく、どこかの販促流用で仮に一時的に売れたとしても消費を継続させるだけの訴求性力はないでしょう。

今ではコンビニも全国的に画一的な販促をしても消費者を喚起できなくなっています。個店特有の消費シーンや商圏を加味した販促・接客をしなければ、競合がひしめき合う流通市場ではなかなか勝てないのです。これは激化するEC市場でも同様に、販売形態にあった販促・接客が必要となり、与えられた範囲を最大限考慮し、目の肥えた日本の消費者の消費意欲をくすぐる必要があります。

PCサイトの『ワンソースマルチユース』はこの例えに近く、いわばPCサイトという売り場面積の大きなイトーヨーカドーの店舗販促・接客を、モバイルという売り場面積の小さなセブンイレブン店舗にそのまま流用して、モバイル(セブンイレブン)での販促・接客などの運営コストを削減しようという考えです。

これでは運営会社のコストは下がりますが、結果的にセブンイレブンというコンビニは衰退することになり本末転倒です。『ワンソースマルチユース』が実現できるのは商品情報などの正規化されたデータであることを再認識する必要があります。実際にセブンイレブン⇔イトーヨーカドーでも商品については一部共通化していますが、販促・接客までそのまま流用というのは無理があることは理解できると思います。

実は既存のPCサイトの情報をスマートフォンというモバイル端末向けにそのまま利用するという一見合理的でよさそうな方法は、結果的に上記のような理由で上手く行かないため、『スマートフォンユーザにも、しっかりとサービスを提供したい』と考えるECサイト運営者様は、これまでの『PCサイトを更新すればスマートフォンサイトも更新!』という合理性を追求しても、あれこれ実施するコストや手間だけかかって結果的には売れないということになります。あまりこの『ワンソースマルチユース』という方法を追求しない方が得策です。

PCサイトのコンテンツを自動的にスマートフォンサイトに変換してくれる際に、コンテンツページについて担当者の感性も加味してくれればよいのですが、技術的には非常に難しく、またそれなら結果的にモバイルサイトを構築するのと手間は結局変わらないため、「スマートフォンへの自動変換」という夢のような方法は、事業としても真剣にスマートフォンECサイト運営を考える事業者様はその合理性を追求することが得策なのか?本当に考える必要があり、手を出さない方がよいかもしれません。(本当に永続的に売上が上がる自動変換方法があるならaishipが既やっています・・・)

▼『完全なワンソースマルチユース』からの脱却

ではどうすればいいのか? 「PC・スマホ両サイトでしっかりとサービスを提供したい」と考える方は、PC⇔スマホで『完全に“ワンソースマルチユース”する』という思考を止める必要があります。そして『ワンソースマルチユース』するのは商品情報などの正規化された情報のみで、接客を行うページはPC⇔スマホ別々のソースで作る必要があります。要は手間ですが、スマートフォン向けに『モバイルサイト』を構築する必要があります。

あれこれ自動変換の方法を思案することや、そのよなツールを探して試すよりも、その労力をスマートフォンECのモバイルサイト構築にささげた方が得策かもしれません。どれだけ技術が進歩しても『人に商品を販売するのは人だ』ということは変わらないと思います。大前提としてスマートフォンECをするためには“モバイルサイト”が必要ということです。

(今回はモバイルサイトを「スマートフォン向けに作る」のか、「携帯向けに作る」のか、「スマートフォン・携帯兼用運用として作る」のかはモバイルサイト運営の方針の問題ですので、ここでは述べません)

その上で(前回記事にも記載)しましたが、これまでの自社の取組状況により以下のようにモバイルサイトの対応を実施する必要があります。

①    携帯向けに十分充実したモバイルサイトがある方
 ⇒携帯サイトをベースにスマートフォン対応する(安価に実現)

②    これまでモバイルサイトが無い方、もしくは“おまけ”でしか運営してこなかった方
 ⇒ベースとして充実したモバイルサイトが必要

また①の携帯向けに十分充実したモバイルサイトがある方の場合でも、携帯サイト⇒スマートフォンサイト自動変換を実施される方は現在運営している携帯サイトのプラットフォーム(CMSやショッピングカート)がしっかりしているかを再度検証する必要があります。今運用している携帯サイトのプラットフォームはEC専用ですか?スマホ機能が充実していますか?多くの外部サービスと連携していますか?多くのユーザが利用していますか?

“いけてる”プラットフォームなら携帯サイト⇒スマートフォンサイト変換だけのコストはせいぜい、イニシャルコスト5~10万円程度、ランニングは月額数百円で済むでしょう。少しでもプラットフォームが“いけてない”なら今後のモバイルEC世代で勝ち残るために、このスマートフォン対応のタイミングで、モバイルEC運用のプラットフォームを変更することをお勧めします。スマートフォンECに入ってからの変更はかなりの手間がかかります。

いずれにしてもEC事業者様にとってスマートフォンの対応は非常に邪魔くさい話です。しかしユーザの利用端末がPCからモバイルへ大きくパラダイムシフトしている現状、その流れを止めることはできません。先週お会いしたYahoo!ショッピングの方の話ですが、孫さんも「今後ネットの利用端末の中心がモバイルになる」として大きく社内的にリソース配分をスマートフォンECにシフトしているとのことです。

また最近共同の取組を強化しているビッダース(DeNA)さんが直近でリリースされた新システムもaishipと同じ思想で、モバイルサイトを構築してスマートフォンにも携帯にも対応させるという概念で、スマートフォンECにもかなりしっかりと取組できるようになっています。

aishipはスマートフォン(モバイル)EC向けと思われがちですが、実はPC向けのECサイト構築機能(CMS)も付いています。開発の思想はモバイルがECの中心となるモバイルEC第3世代向けに「モバイルサイトが中心でPCサイトも運営するECサイト向けのクラウドサービス」として、2006年に開発開始しました。

商品情報、受注情報などの正規化されたデータはもちろんワンソースマルチユースですが、PC⇔モバイルそれぞれのコンテンツ(ECサイト)はaiship内のPC向け・モバイル向けのそれぞれのCMSを使って構築するようになっています。

スマートフォンでのECサイトアクセスは日増しに急増しています。スマートフォンがモバイル端末である以上、スマートフォンECの時代において、独立したモバイルECサイトは必要不可欠となります。

スマートフォン対応で悩むことを止め、今すぐ『完全なワンソースマルチユース』の追求をあきらめて、ストレートにモバイルサイトの構築を検討することをお勧めします。(できればaishipを利用していただきたいですが)

(以下参考にaishipで構築されているスマートフォンECサイト様です。『完全なワンソースマルチユース』のスマートフォンECサイトと比較してみてください)

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掲載元のブログではわかりやすい画像つきで公開しています。
■aishipスマートフォン&モバイルEC事例・ノウハウ集
http://www.aiship.jp/knowhow/archives/996
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