【全5回配信】デジタル戦略によって実現される、顧客経験価値の創造【4】モバイルエクスペリエンスデザインの最新動向

モバイルエクスペリエンスデザインの最新動向を紹介します。
※この記事は読者によって投稿されたユーザー投稿のため、編集部の見解や意向と異なる場合があります。また、編集部はこの内容について正確性を保証できません。

モバイルインターネットの動向

Morgan Stanleyの調査によると、モバイルインターネットが急速な成長過程にあるとともに、以下のように企業のデジタル戦略に対して非常に大きなインパクトを与えつつあります。

  • アップルのiPhone+iTouch+iPadの利用者数が、NTTドコモのiモード、AOL、ネットスケープ等、過去、サービスの立ち上げ期において急成長した代表的サービスをはるかに上回るスピードで増加しつつあります。
  • 2012年には、スマートフォンの出荷台数が、PCの出荷台数を上回ると予測されています。
  • mixiのモバイルでのページビューのウェイトが、2006年の17%(83%がデスクトップでのページビュー)から、2010年には84%となっています。
  • モバイルが、ロケーションベースサービス、透明度の高い価格設定、ディスカウント等によりEコマースに革命を起こしています。
  • モバイルの接続性が、手のひらから、あらゆることを“より速く”、“より良く”、“より安く”新しい方法で行っていくことを加速しています。

モバイルの特性

モバイルは、他のメディアにない以下の特性を持つメディアです。

  1. 時間と空間の制約がない。
  2. 常時ONで、リーチ可能。
  3. 高度にパーソナライズされている。

モバイルデバイスは、ユーザーが24時間肌身離さず持っており、ユーザーの生活に密着し、ユーザーにとっては重要な情報接点となっています。一方、企業にとっては重要な顧客接点(タッチポイント)の一つであるとともに、強力なダイレクトマーケティングのためのツールとなっています。今回は、企業が自社ブランドのロイヤルティ向上を主要な目的として、上記のようなモバイルの特性を活かしながら提供するモバイル向けブランドアプリ構築のためのモバイルエクスペリエンスデザインの考え方を説明し、事例を紹介します。

モバイルエクスペリエンスデザインの要素

本コラムの第1回で説明したように、エクスペリエンスデザインとは、以下3要素を充足させるためのデザインです。

モバイル向けブランドアプリ構築のためのモバイルエクスペリエンスデザインにあたっても、上記の3つの要素を考慮していく必要があります。まず、ビジネスの観点からは、モバイルアプリ提供の目標を設定します。例えば、売上を上げるためなのか、コストを減らすためなのか、顧客のロイヤルティを向上させるためなのかを明確にします。そして、それらの実現のためにどのようなビジネスモデルにより、サービスを提供していくのかを検討します。次に、テクノロジーの観点からは、モバイルテクノロジーに加えて、どのようなソーシャルテクノロジーを活用していくかの評価が、モバイルエクスペリンスデザイン実施上の重要な要素となります。また、顧客のニーズ・願望充足のためには、以下の2つの側面から考える必要があります。ユーティリティ提供により、顧客の「機能的なニーズ」を満たすと同時に、アプリに“楽しさ”、“美的センス”等の要素を盛り込み、「エモーショナルな願望」を満たしていくことが重要となります。例えば、モバイルユーザーは、以下のようなニーズ・願望をもっています。

  • モバイルによって有用な情報を収集したい。
  • モバイルデバイスを通じて、情報を集め、集めた情報を友人とシェアしたい。
  • モバイルを活用してコミュニケーションを促進したい。
  • 写真や動画を撮り、音楽を聴きたい。 etc.

モバイルエクスペリエンスデザインの成功要件

モバイルアプリは、一旦ダウンロードされるとデリートされるまでユーザーのモバイルデバイスの上に残るソフトウェアです。アプリとしての提供機能は、ユーティリティが中心となりますが、上記でも説明したように、モバイルアプリの開発では、ユーザーを“楽しませる”要素を盛り込んでいくことを忘れてはなりません。モバイルアプリは、ユーザーが、以下を実現することをサポートするものです。

  1. 人々が何かを見つけるのをサポートする。
  2. 人々が何かのタスクを遂行するのをサポートする。
  3. 人々のコミュニケーションをサポートする。
  4. 人々が楽しむのをサポートする。
  5. 上記を通じて、人々が快適なカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を享受するのをサポートする。

これらを実現するためには、以下の要件を満たすアプリのエクスペリエンスデザインが求められます。

  1. ユーザーにとって有用なユーティリティを提供する。
  2. 主要ソーシャルメディアとの連携をはかる。
  3. パーソナライズ化した体験を提供する。
  4. 情報やデータがフレッシュであるようにアップデートを頻度多く行う。
  5. 友人へのリコメンドが容易に行えるようにする。
  6. 新しいテクノロジーを活用した機能を実装する。
    (GPSを利用したロケーションベースサービス等)

以下、モバイル向けブランドアプリが最も積極的にリリースされている業界の一つであるファッション業界のiPhoneアプリの中から好事例を紹介します。

ラグジュアリーファッションブランドのiPhoneアプリ事例

ルイヴィトンは、複数のiPhoneアプリを提供しています。『Amble with Louis Vuitton』(ambleは、日本語で「ぶらぶら歩く」を意味します)は、「旅」をテーマとしたキャンペーンにおける一連の施策の一つに位置づけられます。シティガイドと連動したアプリで、ソフィア・コッポラ等の著名人が、FRIEBNDS OF LUIS VUITTONとして、世界中の各都市のお薦めスポットを推薦してくれます。ユーザーは、それを参考に自分自身の“amble”を組み立てていくことができます。

『Louis Vuitton:100 Legendary Trunks』は、ルイヴィトンのトランクについてのあらゆる情報を紹介するアプリです。動画を中心とするコンテンツはどれも美的センスと楽しさに溢れ、文字通り一見の価値のあるものです。

シャネルのiPhoneアプリ『CHANEL FASHION』は、ファッションショーの動画、写真を中心とし、ニュース、ストアロケーターの機能を組み合わせたアプリです。

フェンディのiPhoneアプリ『FENDI』は、ファッションショーの動画、写真、インタビュー、ストアロケーターに加えて、E-CARDS、壁紙を提供しているのが特徴です。

カジュアルファッションブランドのiPhoneアプリ事例

ユニクロは、『UNIQLOCK』、『UNIQLOCALENDAR』、『UNIQLOOKS』と、他社にない特徴的なアプリを提供しています。『UNIQLOCK』、『UNIQLOCALENDAR』は、人気WebアプリのiPhone版です。

『UNIQLOOKS』は、FacebookやTwitterと連動したアプリで、ユニクロのファッションを着た世界中の一般消費者が写真を投稿し、それに対して投票、コメント、写真の共有が可能なインタラクティブコミュニケーションアプリです。この新しいアプリが、ユニクロのデジタル戦略において非常に重要な役割を担っているのは、本コラムの第2回で紹介した通りです。
フォーエバー21の『Forever21』もFacebookやTwitterと連動したアプリですが、このアプリは、ストアロケーターおよび、商品情報とリンクしたEC機能が中心となっています。

ラグジュアリーファッションブランドは、モバイル向けアプリのターゲットを潜在顧客である若い世代(ジェネレーションY)とし、アプリ提供の目標をブランドロイヤルティの向上に置いています。一方で、カジュアルファッションブランドは、同様に若い世代をターゲットとしていますが、それは既存顧客層とオーバーラップしており、ダイレクトに売上拡大をアプリの目標としている傾向があります。上記事例の各社のアプリとも優れたカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を提供していますが、中でもルイヴィトンとユニクロのiPhoneアプリは非常にユニークな存在となっています。ルイヴィトンは、本コラム第2回の事例紹介でも説明した「旅」のテーマへのこだわりがアプリに表れています。ユニクロは、カジュアルファッションブランドでありながら、EC機能等は敢て実装せず、ユニクロブランドの認知度向上とブランドロイヤルティ向上を狙いとした特徴的なアプリを提供しています。

 

■本コラムの元記事はこちら
【全5回配信】デジタル戦略によって実現される、顧客経験価値の創造【4】モバイルエクスペリエンスデザインの最新動向

 

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