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広報の評価指標は「メディア露出」「サイトへのアクセス」「反応」/ネットPR実態調査2007

土屋 綾子

2008年7月10日 10:00

ニューズ・ツー・ユーは、企業広報とIT利用の現状を把握するために実施した「ネットPR実態調査2007」を6月に発表した。本記事では、「ネットPR実態調査2007」からいくつかのデータをピックアップし、ご紹介する。

ネットPR実態調査」は2001年から行っている調査で、今回が6回目(2002年調査分から2005年までは「企業広報実態調査」として発表しており、2006年、2007年については「ネットPR実態調査」というタイトルに変更)。毎年1回発表している。企業の広報体制や活動内容、IT利用の現状について調査、分析。今回調査では107社からの有効回答を得ている。

調査結果によると、68%の企業が自社サイトにプレスリリースを公開しており、今後は「調査・アンケート」を広報手段として取り組みたい企業は28%となっている。また、約7割の企業がネットメディアでの自社に関する記事の掲載を重視していることがわかった。

さらに、75%の企業が自社サイトにプレスルームを設置しており、HTMLでの更新が前回調査に比べ減少、CMSが増加していることがわかった。

※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。

「メディアへの露出度」が広報活動の評価指標

広報活動の評価指標としては、「メディアへの露出度」が68%、「自社ウェブサイトへのアクセス数」が51%、「顧客からの反応数」が32%と続いている(図1)。

図1 貴社の広報活動で評価の指標として重視しているものをお知らせください。
図1 貴社の広報活動で評価の指標として重視しているものをお知らせください。

前回調査と比較してみると、上位2項目のパーセンテージがそれぞれ上昇しているほか、「リリースの件数」が9ポイント増、「広告費用換算」が10ポイント増となっており、決められた予算内で高いパフォーマンスが求められている実態がうかがえる。

また、重要視しているステークホルダーについて聞いたところ、「消費者・生活者」が68%と最も多く、次いで「取引先」が61%と、この2項目が半数を上回った(図3)。

図2 現在重視している広報対象(ステークホルダー)をお知らせください。
図2 現在重視している広報対象(ステークホルダー)をお知らせください。
(参考)「広報実態調査2006」(前回調査)
■貴社の広報活動で評価の指標として重視しているものをお知らせください。
「メディアへの露出度」62%、「自社ウェブサイトへのアクセス数」49%、「顧客からの反応数」44%、「リリースの件数」20%、「商品 やサービスの販売額・利益額」20%

44%がリリースを外部サイトに配信

インターネット(イントラネット)を利用した広報手段について聞いたところ、「プレスリリースを自社のウェブサイトに公開」が68%で最も多く、次いで「プレスリリースを外部のサイトに公開」が44%となった(図3)。

図3 貴社におけるインターネット(イントラネット)を利用した広報手段をお知らせください。
図3 貴社におけるインターネット(イントラネット)を利用した広報手段をお知らせください。

図1に示した「広報活動の評価指標」でも、メディアへの露出や自社サイトへのアクセス数が意識されており、インターネットを通して、自社の一次情報を積極的に発信している様子がうかがえる。

インターネット(イントラネット)を利用した広報手段として今後取り組みたいものでは、「調査・アンケート」が28%と最も多い回答となったが、いずれの項目も大差はなく、インターネットを利用した広報活動に対しては、全体的な底上げや、まだ模索中の企業が多いと推測される(図4)。

図4 インターネット(イントラネット)を利用した広報手段として今後取り組みたいことをお知らせください。
図4 インターネット(イントラネット)を利用した広報手段として今後取り組みたいことをお知らせください。

約7割がネットメディアでの記事掲載を重視

ネットメディア(ニュースサイトやメールマガジン)を評価してもらったところ、「新聞・雑誌、電波などの既存メディアより重視している」が15%、「同等に評価している」が54%で、約7割の広報担当者がネットメディアでの記事掲載を重視していることがわかる(図5)。

図5 記事掲載されるメディアとして、ニュースサイトやメールマガジンをどのように評価していますか。
図5 記事掲載されるメディアとして、ニュースサイトやメールマガジンをどのように評価していますか。

詳細を見てみると、「広報部(広報室)」を設置している企業は、新聞などの既存メディアを重視する傾向にあり、他部門で広報業務を担当しているケースと比較して、意識が高い結果になっている(表1)。

表1 貴社のプレスリリースが記事や番組として取り上げられる際、重視している媒体をお知らせください。
全国紙 産業経済紙 ブロック紙
地方紙
業界別専門誌(誌) 雑誌 フリーペーパー テレビ ラジオ ウェブサイト
ニュースサイト
メルマガ その他
担当部署 広報部(広報室) 86.1% 52.8% 11.1% 38.9% 30.6% 0.0% 50.0% 0.0% 22.2% 2.8% 2.8%
営業・販売促進・マーケティング部門 50.0% 35.7% 10.7% 28.6% 14.3% 0.0% 10.7% 0.0% 75.0% 21.4% 0.0%
総務・経営企画室・社長室 68.8% 71.9% 6.3% 21.9% 18.8% 0.0% 18.8% 3.1% 53.1% 6.3% 6.3%
その他 72.7% 54.5% 9.1% 63.6% 27.3% 0.0% 9.1% 0.0% 54.5% 0.0% 0.0%
色のついているセルは、各項目の比率が高いもの(2番目まで)を示している。

ネット上のクチコミ発信源の1つと考えられるブロガーを、広報対象として重視しているか聞いたところ、「重視している」が29%、「それほど重視していないが今後重視していく」が47%となった。逆に「重視していないし今後も予定はない」とする広報担当者は24%で、いずれも前回調査とほぼ同じ割合になっている(図6)。

図6 貴社ではブログの読者やブロガーを広報対象として重視していますか。
図6 貴社ではブログの読者やブロガーを広報対象として重視していますか。
(参考)「広報実態調査2006」(前回調査)
■貴社ではブログの読者やブロガーを広報対象として重視していますか。
「重視している」30%、「それほど重視していないが今後重視していく」45%、「重視していないし今後も予定はない」24%

66%がサイトの作成・更新を外部に依頼

広報担当部署でウェブサイトの作成・更新を行っているのは全体の82%であり、大多数の企業で広報担当とウェブサイト担当が同じ部署(あるいは兼任)で業務に当たっている実態がうかがえる(図7)。

図7 貴社ウェブサイトの作成・更新をあなたの所属している部署で担当していますか。
図7 貴社ウェブサイトの作成・更新をあなたの所属している部署で担当していますか。

それにともない、ウェブサイトの作成・更新を外部に依頼している状況については、11%が「すべて外部の協力会社に依頼している」とし、「一部を外部に依頼」の55%とあわせると66%の企業が何らかの形で外部の協力会社と付き合いがあることがわかった(図8)。

図8 貴社のウェブサイトの作成・更新を外部の協力会社に依頼していますか。
図8 貴社のウェブサイトの作成・更新を外部の協力会社に依頼していますか。

課題は「魅力的なコンテンツの制作」

ウェブサイトのアクセスログ解析について聞いたところ、「行っている」とした企業が83%と大多数であり、前回調査の77%からさらに増加している(図9)。

図9 貴社のウェブサイトのアクセスログ解析は行っていますか。
図9 貴社のウェブサイトのアクセスログ解析は行っていますか。

ウェブサイトに関する課題については、「魅力的なコンテンツの制作」が63%、「ユーザビリティ(閲覧のしやすさ)」が60%、「閲覧数、訪問者数のアップ」が57%と、この3項目が半数を超える結果になった(図10)。

図10 現在、貴社のウェブサイトにどのような課題、問題点があると考えていますか。
図10 現在、貴社のウェブサイトにどのような課題、問題点があると考えていますか。

75%がプレスルームを自社サイトに設置、更新はCMSがやや増加

ウェブサイトへの集客方法で利用しているツールを聞いたところ、最も多かったのが「プレスリリース・ニュースリリース」の67%で、次いで「SEO(検索エンジン最適化)」の56%が半数を超えている(図11)。

図11 ウェブサイトへの集客方法で現在利用している、または利用したことのあるものは何ですか。
図11 ウェブサイトへの集客方法で現在利用している、または利用したことのあるものは何ですか。

検索エンジンを経由して商品・サービス情報や企業情報を収集する方法が一般化するにともない、広告出稿以上にプレスリリースなどの公式文書を公開する意識が高まっていることがうかがえる。

自社ウェブサイトにプレスリリースの掲載コーナー(いわゆるプレスルーム)があるか聞いたところ、「ある」と回答した企業が75%となった(図12)。

図12 貴社のウェブサイトには自社のプレスリリースの掲載コーナーがありますか。
図12 貴社のウェブサイトには自社のプレスリリースの掲載コーナーがありますか。

また、更新方法について聞いたところ、78%が自社内で行っている。さらに、前回調査と比較して、更新方法でHTML方式が減少し、CMS方式が増加していることがわかった(図13)。

図13 自社のプレスリリースの掲載コーナーの更新はどのように行っていますか。
図13 自社のプレスリリースの掲載コーナーの更新はどのように行っていますか。
(参考)「広報実態調査2006」(前回調査)
■自社のプレスリリースの掲載コーナーの更新はどのように行っていますか。
「外部の協力会社に依頼している」14%、「社内の担当者がHTMLを更新している」58%、「社内の担当者がCMSにより更新している」25%、「わからない」1%

38%が「社員のブログを外部に公開」したい意向あり

「ブログ」を利用した広報活動の実態は、「ブログを利用した広報活動を行っていない」企業が過半数の55%となった。逆に、「社員のブログを外部に公開」が23%、次いで「経営トップのブログ(社長ブログ)を外部に公開」しているが18%となっている(図14)。

図14 貴社の「ブログ」を利用した広報活動についてお知らせください。
図14 貴社の「ブログ」を利用した広報活動についてお知らせください。

また、今後の意向について聞いたところ、36%が「ブログを利用した広報活動に取り組みたいと思わない」とする一方で、38%が「社員のブログを外部に公開」する意向があることがわかった(図15)。

図15 貴社では今後、「ブログ」を利用した広報活動に取り組みたいと思いますか。
図15 貴社では今後、「ブログ」を利用した広報活動に取り組みたいと思いますか。

調査概要

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  • 調査目的:企業広報実務の現状及び広報分野におけるIT利用の実態を把握する。
  • 調査対象:企業の広報・マーケティング担当者(ニューズ・ツー・ユー運営のウェブサイト「ネットPR.JP」ほか閲覧者、メールマガジン「週刊広報」読者、ニューズ・ツー・ユーの実施するセミナー参加者、ニューズ・ツー・ユーの提供する「News2u リリース」サービスの会員企業担当者)
  • 調査方法:ウェブサイト回答フォームへの記入及びセミナー会場でのアンケート回答
  • 有効回答数:107サンプル
  • 調査項目
  1. 広報業務と体制
    回答者属性、広報予算、広報活動の課題、個別広報業務への取り組み
  2. マスコミへの広報活動
    プレスリリースの実態、掲載実績、広報効果測定有無・測定内容、広報活動評価指標、重視するステークホルダー
  3. インターネットと広報
    ネットの利用手段、ネット媒体の評価、ウェブへの関与実態、SEM利用実態、プレスルームの利用実態
  4. ブログ、SNSの利用
    導入状況、利用評価、今後の意向
  5. 情報セキュリティ
    自社への関連性、対策実態

回答企業の属性

全体の36%が「IT関連」に分類され、次いで「サービス業」が27%、「製造業」が16%と続く。

貴社の事業内容についてお知らせください。
貴社の事業内容についてお知らせください。

企業規模では、「50名未満」が33%、「50~299名」が32%、「300~999名」が16%、「1000名以上」のグループ会社などを持つ企業が19%となっている。また上場企業が22%、上場の予定がある企業が11%、予定がない企業が67%となる。

(参考)「広報実態調査2006」(前回調査)
■事業内容 「サービス業」43%、「IT関連」30%、「製造業」18%、「その他」10%
■社員数 「50名未満」42%、「50~300名」35%、「300名以上」23%
■上場・未上場 「上場」13%、「上場予定あり」24%、「上場予定なし」62%

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