世界価値観調査、日本の「文化・芸術」は良い方向に向かっているとの認識【電通総研・同志社大調べ】
電通総研と同志社大学は、「第8回世界価値観調査 日本版」の結果を発表した。政治観、経済観、労働観、教育観、家族観など約70問228項目(世界同一の調査票で実施)について、全国の18~79歳男女1,272人が回答している。
「世界価値観調査」は1981年に開始され、現在およそ120か国・地域の研究機関が参加している国際的な調査となっている。電通総研は第2回(1990年)から本プロジェクトに参画している。
日本の「科学技術の水準」の低下に懸念
まず「自分の人生を自由に動かせるか」を10段階で聞くと、「自由になる(6~10)」が68.9%(前回比10.5ポイント増)、「自由にならない(1~5)」が28.7%(前回比9.4ポイント減)となり、1990年からの調査で「自由になる」がもっとも高くなった。
家族、友人・知人、余暇時間、仕事の4つについて「どれが自分の人生で重要な要素か」を聞くと、「仕事」は減少傾向が続き78.5%(前回比1.5ポイント減)で、1990年以降でもっとも低かった。逆に「余暇時間」91.6%は1990年以降でもっとも高かった。
さらに「環境保護」と「経済成長・雇用」のどちらを優先すべきかを聞くと、「たとえ経済成長率が低下して失業がある程度増えても、環境保護が優先されるべき」31.4%(前回比2.2ポイント減)、「環境がある程度悪化しても、経済成長と雇用の創出が最優先されるべきだ」31.8%(前回比8.7ポイント増)でほぼ並んでいる。経済成長と雇用の創出が徐々に増加している状況だ。
「日本が良い方向に向かっているもの」を聞くと、「文化・芸術」44.5%(前回比0.7ポイント増)、「科学技術の水準」35.6%(前回比8.2ポイント減)が上位。前回3割を超えていた「教育水準」「国内の治安」はいずれも微減し3割を切った。
一方で「日本が悪い方向に向かっているもの」では、「経済競争力」56.4%(前回比26.1ポイント増)、「国際的な政治力」49.8%(前回比9.7ポイント増)、「自然環境」47.3%(前回比4.1ポイント増)、「雇用・労働状況」45.0%(前回比5.3ポイント増)、「社会道徳・倫理観」42.2%(前回と変化なし)、「国内の治安」41.1%(前回比4.4ポイント増)が上位だった。
「日本が世界の国・地域とどのように関わって役割を果たすべきか」を4つの方向性で聞くと日本は、「広くアジアの国々と交流を深め、頼りがいのある国になるべきだ」69.7%(前回比1.0ポイント増)、「ヨーロッパの国々と連携して、国際的な協力関係を推進すべきだ」65.0%(前回比較なし)、「グローバルサウスの国々との交流を深めて、国際的な課題解決に貢献すべきだ」57.6%(前回比較なし)、「アメリカとの関係を強化して、確固たる安定を築くべき」47.6%(前回比15.9ポイント増)の順だった。
調査概要
- 【調査対象】全国の18~79歳男女
- 【調査方法】政治観、経済観、労働観、教育観、家族観など約70問228項目(世界同一の調査票で実施)
- 【調査時期】2024年7月19日~8月2日
- 【有効回答数】1,272人
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