日本企業のDXの課題、「コスト」より「人材育成」がネックに。「現状の体制」「企業文化」も上昇【電通デジタル調べ】

コロナ禍により、約半数でDX推進が「加速」した一方で、「中断/減速」は1/4に留まる。

電通デジタルは、「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2020年度)」の結果を発表した。日経BPグループモニターおよび提携モニターの全業種の社員を対象に、3,200サンプルから回答を得ている。

コロナ禍でDXが加速、「業務の効率化・生産性の向上」に焦点

まず「DXへの取組状況」を聞くと、「着手済み」とした企業は74%。2018年度の63%、2019年度の70%から徐々に上昇している。

DXへの取組状況

「DXの取り組み領域」を聞くと、昨年対比でもっとも増加していたのは「ビジネスモデルの変革進化」で18%が取り組んでいる。それに次ぐ「業務プロセスや業務システムの先進化」は25%と高止まりの状態だ。

DXの取り組み領域(昨年対比増加)

また、「新型コロナによるDXの取り組みへの影響」については、50%が「加速」と回答。「変化なし」25%、「中断/減速」25%に留まっており、コロナ禍でDXの必要性が一気に加速したと思われる。加速した領域は「業務の効率化・生産性の向上」46%、次いで「短期的な既存事業・サービス」38%、「中長期変革」37%が並んだ。

新型コロナによるDX取り組み推進のスピードの変化

「DXの成果」に対しては、「成果が出ている」とした企業は48%(非常に+ある程度+一部の合計)。しかし「取り組んだ一部に成果が出ている」とした企業がそのうちの半分以上を占めており、あくまで限定的だ。

DXの成果

DXの推進上の障壁は「スキルや人材不足」、自社内での育成が課題に

具体的に「DXの成果が出た領域」を聞くと、「成果が出ている」とされたのは「デジタル全社戦略の策定と実行」「IT基盤の構築やソリューションの導入」などだった。逆に「成果が出ている」が少なかったのは「イノベーション文化の情勢や推進」「顧客体験向上のためのマーケティング革新・高度化」といった領域だった。

一方、「DXの推進上の障壁」を聞くと、2018度・2019年度に1位だった「コスト」が2位に下がり、「スキルや人材不足」が1位となっている。また「現状の社内マネジメントの体制」「企業文化」が上昇しており、企業がこういった項目が、“コロナ禍以降のDXにおける障壁”になると捉えているとわかる。

DX推進上の障壁(各年のランキング)

スキルや人材不足など、「DXに関する人材の課題」に焦点を当てて具体的に聞くと、「自社内で育成を担える人材が乏しい」33%が最多。「自社で育成するための教育プログラムや教育機会が乏しい」23%も3位に入っており、そもそもの教育役や機会の不足が目立つ。外部プログラムなどを活用した育成なども、今後企業は視野に入れて課題解決を図ると考えられる。

DXに関する人材の課題

調査概要

  • 【調査対象】従業員数500人以上の国内企業所属者
  • 【調査業種・所属】経営・社業全般、経営企画・事業開発、営業/営業企画・販売、カスタマーサービス、製品開発、企画・調査・マーケティング、デジタル統括/推進、IT/情報システム、広報/宣伝などの全業種(日経BPグループモニターおよび提携モニターが対象)
  • 【調査期間】2020年9月14日~9月25日
  • 【算出用サンプル数】3,200サンプル
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