アフターコロナの新卒採用、「デジタルリテラシー」への注目度が高まる【アドビ調べ】
アドビは、「新卒採用で企業が重視するスキル」に関する調査結果を発表した。2018年にも同様の調査を実施しており、新型コロナウイルス拡大による影響や2年間での変化などを検証する内容で、国内企業の人事担当者500名が回答している。
企業については、過去に就職人気ランキングにランクインしたことのある企業を「就職人気企業」(152社)、それ以外を「それ以外の企業」(348社)として区分している。
コロナウイルス感染拡大で「採用に影響あり」8割超、人気企業の約6割が採用減
まず全体に「日本の新卒採用は、コロナウイルスの影響で変化があると思うか」と聞くと、81.2%が「変化する」と回答した(大きく変わると思う+変わると思うの合計)。採用予定人数の変化を見ると、全体の48.2%が「減らす」と回答している(50%程度減らす+20~30%程度減らす+10%程度減らす+どの程度かはわからないが減らすの合計)。就職人気企業ほど減らす傾向が強く58.6%となった。
採用方法でも変化は現れており、「オンライン採用(Web面接)」は全体の59.6%、就職人気企業の73.7%がすでに実施している。今後についてもオンラインツールを使った採用を採り入れたいとした企業は91.2%と、9割を超えた。アフターコロナに就職活動をする世代は、“オンライン面接対策”のノウハウが必要になるだろう。
新卒採用において特に重視するスキル、「デジタルリテラシー」が注目株
「新卒採用において特に重視するスキル」(6つの選択肢から回答)を聞くと、2018年調査と同じく「課題解決方法の発想力∕着想力」が最多。その他についても順位の変動はなく、2位以下は「課題発見能力」「情報分析力」が続く。「デジタルリテラシー」は順位は低いが、前回の17.9%から21.6%と大きく増加している。就職人気企業とそれ以外の企業とで比較すると、「デジタルリテラシー」は就職人気企業が重視している傾向が強い。「以前よりも重要度が上がったと思うスキル」という質問でも、デジタルリテラシーの伸びが大きい。
そこで「デジタルリテラシー」(ITを使いこなせる能力)について掘り下げるため、「会社で必要と思うデジタルリテラシー」「今の学生に不足していると思うデジタルリテラシー」を聞いた。
「会社で必要と思うデジタルリテラシー」では「基本的なオフィスソフトが使える」が66.8で多数。2位の「ソフトウェアを使ってイラスト制作・加工ができる」23.6%に大きく差を付けている。ただし、「オフィスソフトが使える」は前回調査より7.1ポイント減っているが、その他の「イラスト制作・加工ができる」「写真加工ができる」「アプリやWebなどが作れる」「動画編集ができる」は5~9ポイント程度増加している。Word/Excelといったオフィス系ソフトより、クリエイティブ系ソフトを使える人材を求める傾向が強くなっている。
「今の学生に不足していると思うデジタルリテラシー」についても順位は変わらないが、こちらでは「基本的なオフィスソフトが使える」42.8%も、前回調査より増加している。「今の学生は、デジタルリテラシーが足りない」という先入観(あるいは実状)がまずあり、そのうえでクリエイティブ系ソフトの使いこなしも求めている、という構図だ。
そこで「デザイン専門部署以外(総務・人事・営業など)でも、クリエイティブ系ITツールを使いこなす能力が必要だと思うか」を聞くと、全体では70.6%が「必要」と回答した。就職人気企業では85.5%と、さらに高い。
総務・人事・営業などで、イラスト制作・加工、写真加工、動画編集のスキルが具体的に必要なシーンを聞くと、「リモート営業が増え、動画でわかりやすく伝える工夫が必要になった」「人事研修でオンライン動画をつくる必要がある」「社内外の説得力のある企画提案やプレゼンに必要」といった意見があがっている。ここにもアフターコロナによるコミュニケーション変化の影響があると考えられる。
調査概要
- 【調査対象】過去1年以内に新卒採用業務に従事しており、2020年4月入社の新卒採用で2名以上を採用した企業の人事部所属社員(20~65歳)
- 【企業の定義】過去に就職人気ランキングにランクインしたことのある企業を「就職人気企業」(152社)、それ以外を「それ以外の企業」(348社)として区分
- 【調査方法】インターネット調査
- 【調査期間】2020年6月19日~22日(前回調査は2018年6月)
- 【有効回答数】500人(前回調査は536人)
ソーシャルもやってます!