消費者の行動が「買い物のため外出」から「いつでもどこでも購入」に変化。“エッジ”含め8チャンネルを使用【セールスフォース・ドットコム調べ】

デジタル購入先とリアル店舗は別物?共存?対立? セールスフォース・ドットコムが消費者に聞いた。

セールスフォース・ドットコムは、消費者調査「Connected Shoppers Report」の日本語版を発表した。

「Connected Shoppers Report」は、世界20か国以上の消費者1万人以上を対象とした広範な調査だ。日本については、501件の調査結果をはじめ、「サイレント/ベビーブーマー世代」「ジェネレーションX世代」「ミレニアル世代」「ジェネレーションZ世代」ら4世代の消費者についても調査を実施している。

日本語版では、以下4つの最新トレンドに焦点を当てている。

  • 3つの販路「小売業者、ブランド、オンライン市場」による買い物客の奪い合い
  • 顧客が求めるエンゲージメントの再定義にともない、ショッピングの在り方が進化
  • 従来の小売業の手が届いていなかった“エッジ”がチャンネルに
  • 実店舗は依然として大きな需要あり、発見・体験・提供がカギ

3つの販路「小売業者、ブランド、オンライン市場」による買い物客の奪い合い

まず、消費者が頼る“デジタルな購入先”について調査すると、まずAmazon、eBay、Alibabaなどのオンラインマーケットプレイスが、オンラインショッピングの売上の47%を占めている。Walmart、Carrefour、Woolworthsなどの小売業者のWebサイトやアプリは、オンラインの売上のほぼ4分の1となる26%。Tory Burch、Columbia、資生堂など、ブランドのWebサイトやアプリは、直販などが健闘し18%に達している。一方、買い物客は8割以上が、これらのデジタル購入先を複数組み合わせて利用しているとみられる。

初回購入とリピート購入とで比較すると、実店舗は買い物客の71%が初回購入に至っている。やはり新しい商品は、「店頭で出会い実物を見て買ってみる」という面で強い。しかし、リピート購入先としては、オンラインマーケットプレイスの利用が多くなり、「店頭で特定の商品を再度購入する買い物客」は25%まで激減する。

顧客が求めるエンゲージメントの再定義にともない、ショッピングの在り方が進化

ショッピングにおける行動の変化について聞くと、「デジタル購入先でのリピート購入」75%、「音声アシスタントを使った商品の注文経験」47%など、「買い物のため外出という行動から、いつでもどこでもシームレスな購入という行動」「リアル店舗だけでなく、オンライン店舗、それも複数チャンネルでの購入行動」へと変化している傾向が見える。

「どういった商品やエクスペリエンスに魅力を感じるか」を聞くと、「ロイヤリティプログラム、リワードプログラム」が全世代を通して高く「限定商品」「独自のコラボ商品」を大きく上回っている。また、「買い物客がもっとも好むブランドの特徴」では「個別のニーズに対応してくれる」が1位だった。「自分のことをよく理解し、特別に扱ってくれている」感が、関係性を高めると考えられる。

従来の小売業の手が届いていなかった“エッジ”がチャンネルに

本調査では、ソーシャルメディア、メッセージングアプリ、音声アシスタントなど、店舗から遠く離れた場所(エッジ)に存在するチャンネルを利用して購入することを「エッジでの買い物」と呼称。今後の購入行動を決定づけるとしている。現在は10件の購入のうち1件がエッジで行われているというが、その比率は今後高まる一方だろう。

消費者は企業とのコミュニケーションに平均8つの異なるチャンネルを利用していた。一方、ゲーム機経由で商品を購入する買い物客は、現在わずか4%だが、その4倍の人(16%)が「ショッピングにゲーム機を利用すること」に興味を示しているなど、意外なエッジがショッピングジャーニーにおいて台頭する可能性もある。

実店舗は依然として大きな需要あり、発見・体験・提供がカギ

このようにデジタル購買が大きく躍進する一方で、実店舗の存在はやはり強い。消費者は「実店舗で買い物する理由」として「商品を手に取れる」「店舗での全体的なエクスペリエンス」「すぐに商品が手に入る」といった理由を挙げている。

また世代ごとの差はあるが、8割前後の消費者が「新しい商品を見つけ、品定めするために、変わらず実店舗に行く」と回答している。また平均62%の消費者が「実店舗で買い物するときに、当初の目的以外のものも購入する」と回答している。

ただし世代差を見ると、40歳以下(ミレニアル世代・ジェネレーションZ世代)の7割以上は「店舗内でモバイルデバイスを使い、商品についてオンラインで調べたことがある」と回答している。こうした使い方とどう対峙していくかが、今後の店舗作りのカギになるだろう。

調査概要

【調査対象】アジア太平洋地域、ヨーロッパ、北米、ラテンアメリカ、中東、アフリカの20か国(アメリカ、イギリス、アラブ首長国連邦、シンガポール、日本、メキシコ、イスラエル、インドネシア、香港、ブラジル、オーストラリア/ニュージーランドなど)
【調査方法】無記名でのアンケート回答
【調査期間】2019年6月14日~7月2日
【集計サンプル数】1万614人(Salesforceを利用していない人も含む)

  • サイレント、ベビーブーマー:1920年~1964年生まれ:25%
  • ジェネレーションX:1965年~1980年生まれ:30%
  • ミレニアル:1981年~1996年生まれ:34%
  • ジェネレーションZ:1997年~2001年生まれ:11%
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