SDGsの時代、「長く使えるものを買う」消費者が9割以上。修理・必要最小限・中古も重視【博報堂調べ】

環境・社会に配慮した商品を示す「認証ラベル」8種は、まだまだ低い認知。「有機JASマーク」以外は1割程度。

博報堂は、「生活者のサステナブル購買行動調査」の結果を発表した。「SDGs」(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みが世界的に活発化するなか、 日本の生活者がどのように環境・ 社会を意識した購買行動をとっているかを分析している。

ふだんの買物でも大事なのは「長く使えるものを買う」「必要最小限」「長く使う」という感覚

まず、「ふだんの買物時に意識していること」(いつもしている+よくしている+たまにしているの合計)を選択式で聞いたところ、91.9%の人が「長く使えるものを買う」と回答してトップだった。

以下「すぐに新品を買い直さず、まだ使えるものは修理して使う」77.4%、「物を買うときには必要最小限の量だけを買う」73.6%、「資源をムダづかいしないように気を付けて買う」72.6%がとくに高い。それに続く「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」は60.8%とやや離れるが、半数を超える。

年代別で見ると、20代・30代女性では「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」が「資源をムダづかいしないように気を付けて買う」より高い。この層にはネットオークションやフリマサービスなどが浸透しているためと推測される。男性では60代で「環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない」という声が強い。

なお食品・飲料ジャンルに限って同様の質問をしたところ、「賞味期限間近で値引きされたもの 」85.7%、「見た目や形が悪くても味は変わらない野菜・果物」81.8%、「余らせないように必要最低限の量」78.8%がトップ3だった。

これからの買い物では「環境・社会に配慮している商品・企業かどうか」を重視

続けて「これからの買物時に意識したいこと」を聞くと、「資源をムダづかいしないように気を付けて買う」が4位から2位に上昇、「環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない」が6位から5位に上昇している。逆の「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」は5位から8位に下降している。

現在の購買実態との差で見ると、「生産・製造時に環境に負荷をかけない商品を買う」は42.1ポイント、「環境・社会貢献活動に積極的な企業の商品を買う」は40.4ポイント上昇しており、今後さらに「環境・社会に配慮している商品・企業かどうか」が、購入時の判断基準になるだろう。

認証ラベルについては否定的ではないが“そもそも伝わっていない”のが現状

環境・社会に配慮して製造された商品に対しては、現在以下の8種の「認証ラベル」が、第三者により発行されている。

  1. ASC認証(養殖版海のエコラベル)
  2. RSPO認証(持続可能なパーム油のための円卓会議が与える認証マーク)
  3. GOTS(グローバルオーガニックテキスタイル基準)
  4. FSC認証(森林認証)
  5. MSC認証(海のエコラベル)
  6. 有機JASマーク(農林水産省が定めるJAS規格に適合した食品)
  7. 国際フェアトレード認証
  8. レインフォレスト・アライアンス認証

消費者にそれぞれの認知・理解・購入経験・今後の購入意向を聞いたところ、「有機JASマーク」が認知率39.4%、理解率20.0%、購入経験率19.8%。また「レインフォレスト・アライアンス認証」の認知率は14.1%で2桁だった。しかしそれ以外の認証ラベルの理解・購入経験は、1桁台で低迷していることが明らかとなった。

一方、購入意向率は「RSPO認証」をのぞきすべて20%以上で、認証ラベルの認知自体が高まれば、まだまだ購入拡大の余地はある。実際「認証ラベルに関する生活者の意識」を聞くと、「認証ラベルがついていることに気付かないことが多い」76.1%、「種類がたくさんありすぎてよくわからない」76.0%、「内容が分からないので参考になりにくい」70.4%といった意見が消費者に多く、“否定的ではないが、そもそも伝わっていない”現状が伺える。

調査概要

【調査手法】インターネット調査
【調査対象】全国の20~60代以上の男女で、直近2~3か月に食品・飲料・日用品を購入した人
 ※分析時は人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。数値はWB後を使用
【調査時期】2019年3月
【回答者数】6,000名
【調査機関】マクロミル

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