【レポート】生成AI × マーケティング フォーラム 2026

AI検索の仕組みを解説! AIに”おすすめ”されるため、今本当に取り組むべき施策とは?

AI検索が増え、ゼロクリックが増えている。AI検索時代にSEOはどうなっていく? サイバーエージェントの木村賢氏が、AI検索の最新の仕組みを紐解きながら、2026年の今、取り組むべき施策を解説した。

森田秀一[執筆], ササキミホ[編集]

7:05

Google検索では、「AI Overviews(AIによる概要)」で回答が表示されることが多くなった。それに伴い、生成された回答を読んでユーザーが離脱し、Webサイトへのリンクをクリックしない“ゼロクリック”が増えている。AI検索時代にSEOはどうなっていくのか? 「生成AI × マーケティング フォーラム 2026」にサイバーエージェントの木村氏が登壇し、AI検索の最新の仕組みを紐解きながら、今取り組むべき施策を解説した。

株式会社サイバーエージェント SEOラボ 研究室長 木村 賢 氏

生成AI検索の利用が増加。人気生成AI 1位はChatGPT

まず木村氏は、生成AIの利用状況を紹介した。2026年2月にサイバーエージェントのGEOラボが実施した調査によると、「日常の検索行動において利用する生成AIサービスの利用率」は全世代で37%だった。特に10代の利用率が高く、66.9%となっている。利用している生成AIサービスは、ChatGPTが1位(29.1%)、Geminiが2位(15.6%)であった。利用率の1位はChatGPTだが、前回調査(2025年10月)と比較すると、利用率の伸びはGeminiの方が大きい。

検索で利用する生成AIサービスの利用率

現在、Google検索では「AIモード」が利用できる。「AIモード」の利用率は全世代で21.0%であった。Gemini単体の利用率(15.6%)を上回っており、高い利用率に木村氏も驚いたという。

2026年5月に開催されたGoogle I/O(開発者向けカンファレンス)では、AIモードの利用者は月間10億人を突破し、さらに四半期ごとに倍になっているという話がありました。Gemini単体の利用者が9億人に対し、AIモードの利用者は10億人。GeminiよりもAIモードの方が利用されています(木村氏)

ゼロクリック検索は少なくとも3割は発生

生成AIの回答を見た後のユーザー行動を調べたところ、「AIの回答上に表示されるURLをクリックするか」という設問に対し、54.4%(「よくある」12.9%、「時々ある」41.5%の合計)、つまり半数以上がリンクをクリックしていると回答した。ゼロクリック検索と言われるが、必ずしもゼロではないのだ。

また、AIにおすすめされた商品・サービスを、詳しく検索するかという設問には69.0%(「よくある」17.1%、「時々ある」51.9%の合計)が、検索するとしている。

AIにおすすめされないと、その後の検索にもつながりません。AIにおすすめされることは非常に重要です(木村氏)

生成AIの回答を見た後のユーザー行動の調査結果

では、実際にAI Overviewsはどのくらいの頻度で表示されているのか。2026年7月にサイバーエージェントが実施した調査によると、カテゴリやクエリタイプによって分類した約12万クエリに対して、AI Overviewsの出現率を調べたところ、全体で約70%の出現率だったという。

カテゴリ×検索タイプ別AI Overviews出現率。出現率は全体で約70%だった

少々古いが、サイバーエージェントの2025年11月のデータでは、AI Overviewsのみで検索行動を終了するユーザーは63%でした。さまざまな調査などを鑑みると、少なくとも30%程度はゼロクリック検索が発生していると思います(木村氏)

メディア系サイトでAI Overviewsの出現増加によって検索流入の減少を確認

木村氏が競合調査ツールの「Similarweb」でさまざまなメディアサイトを分析したところ、大手FAQサイト、総合ニュースサイト、辞書系サイトなどで検索流入が減っていた。サイバーエージェントのメディアにおいても定点観測を行い、流入キーワードの順位に変化がなくても、AI Overviewsの出現率の増加によって検索流入が減少していた。

すべてのサイトではないが、情報サイトでゼロクリック検索の影響が出ていると言えます。自然検索だけでなく、生成AI用の検索施策が必要な時代になってきたと思います。つまり“生成AI検索へのSEO”を考慮する必要があります(木村氏)

生成AI検索施策“GEO”には大きく3つの方法がある

いわゆる生成AI検索施策は、LLMO、GEO、AIOなどさまざまな呼び名がある。現状、どれも同じような意味で使われていると思えばよい。学術論文ではGEOという表現が使われているため、サイバーエージェントではGEOを使っているという(以下、本稿でもGEOを使う)。木村氏によれば、GEOには大きく3つの方法があるという。

① 参照リンクに出すGEO

生成AIの回答に参照リンクを表示させることで、サイトへのトラフィックを増加させるGEO。

参照リンクに出すGEOの例。「北海道で最初に行くべき観光地」と検索した場合の回答

② 適切な説明文を引用させるGEO

自社のブランドやサービスについて伝えたい情報が、AIで引用文として掲載されるようにコントロールするGEO。

適切な説明文を引用させるGEOの例。テニスラケットの表示例

③ ブランドをメンションさせるGEO

ユーザーが欲しがっている商品やサービスに関して、自社ブランドを推薦させるGEO。たとえば、「初心者におすすめのテニスラケットを教えて」というクエリに対し、自社商品が紹介されるための施策だ。

ブランドをメンションさせるGEOの例。「初心者におすすめのラケットを教えて」の検索結果

「適切な説明文を引用させるGEO」「ブランドをメンションさせるGEO」は、どちらもブランドをメンションさせるものだ。そこで本講演では2つを「ブランドメンションSEO」としてまとめて扱う。

生成AI検索を支えるLLMとは、“次にくる言葉を予測する、AIの一種”

続いて、木村氏は生成AI検索の仕組みについて解説した。前提として、生成AI検索の仕様はブラックボックスであり、サービスやモデルによって異なる。木村氏はサイバーエージェント AI Lab監修のもと、生成AI検索のおおまかな仕組みを解説した。

生成AI検索は、大きく分けて“LLM”と“RAG”という2つの仕組みで構成される。木村氏によればLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)とは、「次にくる言葉を予測する、AIの一種」だという。膨大な量の文章を学習し、“この続きにふさわしい言葉”を確率で選び続ける。

生成AI検索の仕組み

たとえば、「家系ラーメンにおすすめのトッピングは?」という質問に対し、「チャーシュー」と答える確率が50%、「煮玉子」が25%だとします。すると、確率が一番高い「チャーシュー」が表示される可能性が高くなります。ただ、サービスやモデルによって表示パターンはさまざまです(木村氏)

LLMは得意なこともあるが、苦手なこともある。その一つがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」だ。その他、最新情報やデータを持っていなかったり、正確な計算も苦手だったりする。

LLMが得意なこと・苦手なこと

LLMの弱みを補う“RAG”。RAGの処理で重要な手法“Query Fan-out”とは

LLMの弱みを補うのが、もう1つの仕組みであるRAG(Retrieval-Augmented-Generation・検索拡張生成)だ。検索・拡張・生成の頭文字を並べたもので、これらを一連の流れで処理する。RAGの処理のうち、木村氏は“Query Fan-out(以下、クエリファンアウト)”を紹介した。「プロンプトの向こう側にある、ユーザーの真のニーズを予測するための手法」と説明する。

Query Fan-out(クエリファンアウト)とは

たとえば、「アニメの色塗りの工程を教えて」というプロンプトに対し、クエリファンアウトによって「アニメ 仕上げ 色トレス線 処理」「アニメ 色塗り プロセス」といった、サブクエリが抽出される。

クエリファンアウトでクエリがサブクエリに分解したときの例

クエリファンアウトで抽出されたサブクエリは、通常の検索と同様に検索が実行され、その情報をもとに回答が生成される。サブクエリが抽出でき、そのサブクエリへSEOができれば、GEOでも非常に有利となる。これは調査結果でも明らかになっており、あるサブクエリで上位表示されると、AI OverviewsやAIモードでの引用率も高くなっていた。GoogleはAI検索はこれまでの検索の延長線上にあると言っており、GEOはこれまでのSEOの延長線上にあると言えるだろう。

では、クエリファンアウトで抽出されたサブクエリを調べる方法はあるのか。GeminiではAPIからクエリファンアウトで出力するサブクエリを確認できるが、コストもかかる。そこで、木村氏は生成AIに「今、クエリファンアウトでどのようなサブクエリを抽出した?」と直接聞く方法をおすすめした。

クエリファンアウトで抽出されたサブクエリを調べるには生成AIに直接聞くのが確実

RAGにおいて、もう1つの重要なプロセス“Grounding”とは

木村氏はRAGでもう1つ重要なプロセスは、“Grounding(以下、グラウンディング)”だと言う。生成AIの出力を信頼できる外部の情報と紐づける仕組みだ。LLMはもっともらしい嘘をついたり、最新情報やデータを知らなかったりという弱みがある。そこで、Webサイトなどの外部情報を参照して、LLMが言っていることが正しいか確認を行う。生成AIはグラウンディングによって、最新で正しい検索結果を生成できると言える。

LLMの弱点を、グラウンディングで外部情報を参照することで解決

このように、生成AI検索と言っても実はWeb検索に頼る部分は多い。LLMの事前学習用の情報取得も、RAGのWeb検索用のインデックスデータ取得も、各AIはWebサイトをクロールして取得している。この生成AIのクローラーは検索エンジンのクローラーと同様、robots.txtでクロール可否を制御できる。よって、GEOを推進する場合、各クローラーのクロールを許可する必要がある。

参照リンクに出すGEOの条件とは

木村氏はまず、参照リンクGEOの対応から解説していった。参照リンクは、次のようなプロセスで生成されるという。

RAGでプロンプトから導き出したサブクエリで検索し、上位のタイトル、スニペット、URLの3つだけをチェックする。この3つの情報から、「クエリに回答できる」「内容が他と重複していない」「答えの多様性が担保できる」と判断したページのみ、中身を読み込みにいく。読み込んだページを見て、チャンク化する(データや情報を小さなかたまりに分割する)。次に、プロンプトの意図に近いチャンクを参照し、回答を生成する。そして最後に、回答に最適なリンクを付与する。

参照リンクは、AIが参照した中で、最も確信性が高いと判断したり、回答文に対して意味的に近いチャンクを持っていたりするページが採用されることが多いです(木村氏)

以下が参照リンクに表示されやすいGEOの条件だ。参考にして取り組んでみよう。

参照リンクに出すGEOの条件

ブランドメンションGEOも、まず考えるべき基本はSEO

木村氏が、GEOの本質だと強調するのが、ブランドメンションGEOである。参照リンクGEOはプロンプトによって回答が変わることが多い。そのため、自然検索での流入と比較して、参照リンク経由の流入は少ない。

ブランドメンションGEOは、AIでサービスや商品を探している人に、自社のサービス・商品が正しく理想通りにメンション(サジェスト)されることを狙うものだ。生成AIでブランドメンションされた後のユーザー行動として、オンラインやリアル店舗での購入というアクションにつながるケースも考えられる。


生成AIに自社の商品・サービスを理解してもらうには自社サイトでの説明が重要

生成AI検索においては、AIに自社の商品やサービスを正しく理解してもらう必要がある。そのためには、まず自社サイトで商品・ブランドの説明を丁寧かつ正確に記載することが不可欠だ。

また、第三者にどう言及されるかも重要だ。その観点で木村氏は“エンティティ”と“サイテーション”を紹介した。まず、エンティティとはモノやこと、概念のようなものだ。世の中で「ABEMAでアニメを見た」「暇なのでABEMAでアニメでも見ようかな」「今ABEMAでは何のアニメをやっているのかな?」など、“ABEMA”が“アニメ”と語られているとする。そうすると、生成AIは“ABEMA”というエンティティと“アニメ”というエンティティは距離が近いと認識をする。

次に“サイテーション”とは、SNSやWebなどで自社の商品・サービスが言及されることだ。AIは、SNSやサイト上におけるサイテーションから、あるエンティティを推薦するかどうかを決めているという。木村氏は「サイテーションが、ブランドメンションGEOの最重要項目で、サイテーション獲得にはデジタルマーケティングが必須」と語る。

第三者による言及“サイテーション”は、デジタルマーケティングで増やせる

サイテーションはさまざまなデジタルマーケティングで増やせる。広く一般に有用なデータや研究結果をリサーチレポートとして公開したり、新サービスをプレスリリースしたり、専門家・インフルエンサーを起用したキャンペーンを実施したりするのも効果がある。特にその分野で影響力がある方に取り扱ってもらうと、大規模に拡散する可能性がある。

ブランドメンションを獲得するデジタルマーケティングの方法

また、SNSは無駄なフォロワーは増やさず、「ファン」となりうるフォロワーを継続して獲得するための取り組みも欠かせないと説明する。たとえば、キャンペーンでフォロワーを増やしても、そうしたフォロワーはプレゼント目当てであって企業・ブランドには興味を持たず、エンゲージメントが生まれない。それでは、せっかく力をいれて投稿しても、ユーザーのタイムラインに流れない。多くフォロワーが増えた投稿や、いいねがついた過去の投稿を広告で再投稿するのが有効だという。

ブランドメンションGEOは、サイテーション施策です。プロンプトを意識したコンテンツ作りと、サイテーション獲得に振り切ったSEO。これがGEOだと言えます(木村氏)

今後は“パーソナライズ”がGEOにおいて重要課題となる可能性も

GEOを行うにあたり、やっかいなのがパーソナライズだ。「おすすめのラーメン店は?」という質問に対し、AIはユーザーの年齢、職業、居住地などからパーソナライズして回答をする。

要するに、自社商品・サービスのターゲットにしたいペルソナごとに、どう紹介されたいかを考える必要があるのだ。一般的な商品説明のコンテンツでは、ターゲットユーザーにアプローチできないため、ペルソナごとのコンテンツ作りが必要だ。「今後、パーソナライズはGEOにおいて、重要課題になる可能性がある」と木村氏は指摘する。

パーソナライズへの対応例。ドライヤーのペルソナ例

GEOにはサイテーションが重要。だが、それ以前にサービス・商品を素晴らしいものに

講演のまとめとして木村氏は「生成AIに自社ブランドを正しく推薦してもらうには、サイテーションが必要」と改めて説明する。だが、サイテーションを最大化するには、結局のところ、サービス・商品・ブランド自体が、ユーザーが紹介したくなるくらい素晴らしいものである必要がある。

悪いものをデジタルマーケティングの力でよいものにしようとしても、ユーザーに見抜かれ、ネガティブな注目につながってしまう。まずやるべきことは、商品やブランド、Webサイトをよいものにすることだ。そのうえで、自社で適切に商品やブランドを紹介する。そして自社の資産や強みを活かせるサイテーション施策を行う。加えて、パーソナライズを意識したコンテンツ作りも重要だ。

SEOはなくなりません。進化をして、GEOに近づいていくはずです。SEOは継続しながら、新しいものに適応していくという姿勢で臨んでいきましょう(木村氏)

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