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災害時・非常時のSNS運用、更新は止めるべき? 再開はいつ?

自然災害やパンデミックなどの非常事態が発生したとき、企業はSNSをどのように使用すればいいのでしょうか。今回はQ&A形式で、投稿自粛の判断基準や再開のタイミングなどについてお答えします。

災害時・非常時のSNS運用。更新は止めるべき?再開はいつ?

九州をはじめとした日本各地で続く大雨、再び感染者が増加し始めた新型コロナウイルス(COVID-19)の影響などによって、多くの人々が日常生活に被害を受けています。地震・台風・大雨などの自然災害や、新型コロナウイルスのような新しい感染症の蔓延、テロ・紛争といった非常事態など、日常がおびやかされる事態の発生は予測ができません。こういった非常時に、企業はSNSをどのように使用すればいいのでしょうか。

今回はQA形式で、投稿自粛の判断基準や再開のタイミングなど、よくある質問についてお答えしていきます。

いつ起こるかわからない「非常時」に備えておく

感染症の流行や災害、緊急事態はいつ発生するかわかりません。そして、突如発生した事態に対してその場の判断で動いてしまうと、思わぬトラブルを招いてしまうこともあります。

例えば大きな災害が起こったときに、普段通りに明るく新商品の発売を告知したとします。
いつもなら喜んで受け入れられるはずの投稿ですが、災害時には「不謹慎だ」と批判されてしまうかもしれません。どの程度の災害だと「不謹慎」でどの程度だと「大丈夫」なのか、個人の受け取り方に差があるように、担当者の判断にも差があります。

このことから、企業がアカウントを運用する際は、非常時に誤った対応を取らないよう、対応ルールや連絡フロー、判断基準などをまとめた運用マニュアルを事前に作成しておくことをおすすめしています。マニュアルを作成しておくことでリスクを軽減し、誰がいつ対応しても、企業として同じ姿勢でお客様に向き合うことができます。

また、現在はリモートワークの方も多いと思います。普段と働き方が変わり、これまでのSNS運用ルールでは足りない部分も出てきているかもしれません。リモート時のSNS運用フローについても、これを機会に見直しておくとよいでしょう。
リモートワーク環境下でのSNS運用については、リモートでのチーム連携方法・コンテンツの作成方法を解説!withコロナ時代のSNS運用』では、リモートでのチーム連携方法やコロナ禍でのSNS運用の考え方についてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

「事前の備え」がもっとも重要であることを前提として、次の章から、よくいただく質問についてQA形式で回答していきます。

Q:有事の際はアカウント運用を自粛すべきでしょうか。また、自粛は何を基準に判断したら良いでしょうか。

自粛すべきかどうかは、配信するコンテンツの内容と被害状況によって判断します。
新商品の発売情報や #○○の日 などの投稿は、被害が甚大な場合は一定期間自粛すべきです。これは、被害を受けた方やその関係者への配慮であると同時に、有事の際に必ずしも必要な情報ではないためです。

特にリアルタイム性の強いTwitterは、非常時には被災者の情報収集や被災状況を把握するためのツールとしても機能します。不要不急の投稿は情報の収集を邪魔してしまうため、可能な限り控えた方が良いでしょう。

一方で、被災者や被災地の助けになるような情報であれば、自粛せずに発信を行うことも必要です。フォロワーが多く、影響力のある企業アカウントは、多くの人に情報を届けることができます。情報の正確性に注意しながら、生活者の支援になるような投稿を行うことも検討してみてはいかがでしょうか。

被害状況の把握と判断基準
被害状況や災害規模については、内閣府、関係省庁、自治体など、公的な発表をもとに判断します。災害発生直後など被害状況の全容が把握しきれない場合は、全容がわかるまで投稿は延期することをおすすめします。

注意して見ておきたい情報
・震度・雨量などの気象庁の発表
・被害者数(感染者数・避難者数・死者数など)
・被害エリア
・二次災害の発生有無(余震・山崩れ・停電など)
特に、震度5以上の地震発生時や避難者・死者を伴う災害の場合は、既存の投稿を継続すべきか一度検討してください。

投稿して良いか迷ったときは、SNS(主にTwitter)で、一般ユーザーのツイートをチェックしてみましょう。支援を求める声や被害を心配する声が多い場合は、普段通りの投稿は控えた方が良いでしょう。特にTwitterトレンドにその話題が含まれている場合は、自粛が賢明です。

同業他社の動向を調べてみる
少し消極的な対応ですが、同業他社の状況を調べてみるのもひとつの手段です。同業他社が運用を停止しているか、継続しているか、どんな投稿をしているかを把握した上で、自社はどうするかを判断してください。

また、その投稿に対してユーザーがどんな反応をしているかも重要なポイントです。批判的か好意的か、もし批判的であれば何に怒っているのかなど、ユーザーのインサイトを理解したうえで、自粛・継続を判断すると良いでしょう。

ひとつ注意点として、フォロワーの傾向はアカウントごとに異なります。競合がうまくいっているからといって自社もうまくいくとは限らないため、自社のフォロワーの傾向を正しく把握して判断しましょう。

Q:一時的にSNS運用を停止しました。いつから運用を再開したらいいでしょうか?

大規模災害が発生すると、被災地の影響は数年にわたって続くことがあります。今回の新型コロナウイルスも、ふたたび感染者数が増加しはじめており、終息の目処は立っていません。では、どのタイミングで再開するのが良いのでしょうか。

再開の判断基準の一つが、ライフラインの復旧です。被災地で電気、水道、ガスなどが復旧したタイミングを基準にしましょう。ただし、復旧直後から普段どおりの投稿を行って良いというわけではありません。普段よりも、少しトーンを落とした投稿にするとよいでしょう。被災して困っている人、日常が送れない人がいることを前提にメッセージを考えてください。

今回の新型コロナウイルスの場合、政府の緊急事態宣言がひとつの基準と言えますが、「おうち時間」「ステイホーム」を啓蒙することで、宣言下でも積極的にアカウントの運用を行っている企業もありました。このように、社会にとって有益な情報は、コンテンツが準備でき次第すぐに再開して問題ないでしょう。

Q:SNS広告の出稿は停止すべきでしょうか?

自社のサービスや製品、配送、在庫が影響を大きく受けて、通常のサービスレベルを維持できていないのならば広告を停止するべきです。また、新型コロナウイルスの感染防止のための緊急事態宣言などにより、外出自粛要請、地域移動の自粛要請、営業の自粛要請などが出ている場合は、関連するサービスの広告は停止しましょう。
SNS広告は、配信エリアを指定することが可能ですので、災害に関連するエリアは配信対象から除外するなど、運用で工夫することも検討してみてはいかがでしょうか。

反対に、非常時だからこそ役立つサービス、製品であれば、積極的に広告を出稿するべきです。新型コロナウイルスの感染が拡大した4月には、オンライン会議、電子申請などのリモートワークを支援するサービスの広告が増えたようで、多く目にしました。

注意すべき点として、災害に便乗するようなメッセージは炎上する可能性があります。これは広告に限らず通常の投稿も同様です。常に被災された方のこと、困っている人がいることを念頭に、そのメッセージを見たときに不快になる人、傷つく人がいないかどうか、いつもより慎重に判断してください。

Q:非常時の投稿はどんなものが適切ですか?

もっとも大事なことは、困っている人や苦しんでいる人がいることに心を寄せ、その方々に配慮した投稿を行うことです。それさえできれば、炎上のリスクは大幅に軽減できます。
ここでは、有事の際に投稿された事例をいくつかご紹介していきましょう。

■ SHARP シャープ株式会社
2019年の台風19号による被害が発生した際、シャープのTwitterでは、冠水した家電の使用について注意を促す投稿を行いました。自社の製品で注意すべきことがあれば、積極的に発信しましょう。

■ CITIZEN/シチズン時計 公式
シチズンのアカウントでは、上記のシャープさんの投稿をコメント付きでリツイートしています。自社発信のコンテンツでなくても、フォロワーの役に立つ情報であれば積極的にシェアしてみると良いでしょう。

■ 柔軟剤のソフラン公式アカウント
こちらは2018年の北海道胆振東部地震の際のツイートです。ライフラインが絶たれ、水が不足している状況での洗濯方法について紹介しています。こういった情報は被災者にとって重要であり、とても有益です。有事だからこそ投稿すべきコンテンツであると言えるでしょう。

■ TSUTAYA
企業としての取り組みともいえますが、TSUTAYAでは台風被害を受けた方の商品返却期限を延長する旨のツイートを行いました。文面にも優しさや配慮が感じられ、好意的な反応を集めています。

■ MOA美術館
生活者だけでなく、企業や施設も災害によって被害を受けることがあります。2019年の台風19号で被害を受け休館したMOA美術館は、再開に向けて前向きな投稿を行っており、思わず応援したくなります。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下では、「おうち時間」を楽しむコンテンツがたくさん投稿されました。Instagramのストーリーズでは #おうち時間 や #今日の感謝 などのスタンプが公式に提供され、Twitterでは #STAYHOME などのハッシュタグに絵文字が付いたことで、多くの企業やユーザーが活用しています。そのうちのいくつかをご紹介します。

■ MUJI無印良品
無印良品ではおうち時間を楽しむコンテンツとして、今だからできる、時間をかけて発酵させるお漬物を紹介しています。

■ 中部国際空港セントレア
セントレアは、オンライン会議で使えるバーチャル背景の配布を行いました。リモートワークをちょっと楽しくしてくれる、気持ちが明るくなる投稿です。

■ Audi Japan / アウディジャパン
アウディジャパンは、外出自粛でお花見ができない状況を受けて、「エア花見」の投稿を行っています。お花見をしたいけどできない、生活者の願望汲み取った投稿です。

まとめ:事前の備えと心くばりが重要

地震や台風、感染症など、これから起きる災害を予測することは極めて困難です。ですので、まずは何が起こっても対処できるよう、基盤となるルールを社内で決めておくようにしましょう。
そして現代は『VUCA』時代と言われるように、複雑で常に変化しています。完成して満足せず、時代の流れ・生活者の考え方の変化などに合わせ、常に見直しを行っていくことが重要です。

投稿・広告配信・キャンペーンの実施は、過度に敏感になって自粛する必要はありません。大事なのは「文脈」や「言葉遣い」であったり、「不謹慎と思われない言葉選びや内容」です。内容さえ間違えなければ、今まで通りSNS運用を行っても、ユーザーの反感を買うことはないでしょう。

非常時のマニュアル作成や体制構築にお困りの方は、コムニコで支援を行っていますので、お気軽にお問い合わせよりご相談ください。

「We Love Social」掲載のオリジナル版はこちら災害時・非常時のSNS運用。更新は止めるべき?再開はいつ?

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