広告運用の悩みを解決! ヤフーの「広告運用コミュニティ」とは
運用型広告で成果を出すのは、手間暇がかかる。インハウスで運用している場合は、他社の知見を得にくい。一方、代理店に依存している場合は、広告主側に最新情報が入りにくい。そんな課題を解決するため、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)では2019年10月より、企業の広告運用担当者向けの承認制オンラインコミュニティ「Yahoo!マーケティングソリューション 広告運用コミュニティ」を運営している。
「Web担当者Forum ミーティング 2019 秋」のトークセッションでは、実際にコミュニティを活用して成果につなげている参加者たちから、コミュニティのメリットや活用法などが紹介された。
広告運用者同士のコミュニティに開発担当者も参加
はじめに、ヤフーのエバンジェリスト 酒向氏から「コミュニティ」がどんなものであるかについての説明があった。
酒向氏によると、この「広告運用コミュニティ」は、Yahoo!広告(※)の運用に関して、広告主目線での情報発信、意見交換を気軽に行うことができるコミュニティであるという。日常的には、Facebookのオンラインコミュニティとして運営されており、Facebook上で「広告運用コミュニティ」と検索すれば、すぐに見つかる。
(※)ヤフーは、「Yahoo!プレミアム広告」および「Yahoo!プロモーション広告(スポンサードサーチ、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)」の名称を、2020年度にかけて「Yahoo!広告」へ順次変更し、広告・サービスをリニューアルする。
コミュニティの主な目的と参加条件
ヤフーは、「広告運用ベストプラクティスの共有」と、「プロダクト機能開発のためのフィードバック」をこのコミュニティの目的としている。運用型広告は頻繁にアップデートされるが、その際に速やかに運用改善を図れるようにすることで、広告主の成果に繋がり、ひいてはヤフーの広告の価値も上がる。この目的のため、コミュニティの参加条件は以下の2つとなっている。
- 「Yahoo!広告」に出稿している広告主の運用担当者であること
- 本コミュニティ内で広告運用に関する経験、活用事例、考えを情報発信し、コミュニティメンバーとのギブ&テイクができること
コミュニティでのディスカッション内容
また、広告運用コミュニティでは、主に以下の3つの内容が話されている。
- Yahoo!広告のプロダクトエバンジェリスト・開発・営業から、プロダクトの機能アップデート情報やお役立ち情報を発信する
- 広告主が、広告主目線でYahoo!広告の運用方法、取り組みの成功事例・失敗事例を投稿・共有し、運用に関しての意見交換を行う
- 広告主から、Yahoo!広告に関する機能改善要望を投稿し、開発担当に直接フィードバックする
プロダクト開発の部署には、UI/UXのエンジニアもいれば、配信アルゴリズムを担っているサイエンティストも、アカウント権限の管理をしている管理者もいる。そのような開発担当者は、普段は広告主と直接会うことはない。しかし、コミュニティには多種多様な開発担当者が参加しているため、「適切な人に適宜情報を届けることができる」と、酒向氏はいう。逆に、開発担当者が広告主の意見を聞くことも可能だ。
実際に弊社の開発担当者から、「広告入稿ツールに関する広告主からの要望をできるだけたくさん知りたい」と相談されて、オンラインコミュニティで広告主から意見を募ったことがある(酒向氏)
さらにこのコミュニティは、定期的にオフラインのイベントも開催しているため、面と向かって広告主の声を聞くことも可能だという。
オンラインとオフラインを使い分けてメリットを享受
続いてのトークセッションでは、最初に各参加者からコミュニティについての印象が語られた。
オンラインで他の運用担当者と話せる機会は貴重
まず、エス・エム・エスキャリアの伊藤氏が口火を切り、ヤフーが広告主の話を聞いて、プロダクトを良くしていこうという取り組みをしていることを評価するとともに、オンラインで他の運用担当者と話せる機会はとても貴重だと話した。
一方で、マイナスの面として、競合他社が参加している場合、重要な情報が知られてしまうのではという懸念もあったという。実名制のFacebookで、どのような企業で何を担当しているかを明かしたうえでのディスカッションになるため、伊藤氏は「オンラインでの発言には気を遣っている」という。
ヤフーのプロダクト担当者と直接話せるのが良い
アルバイト求人サイトを担当しているリブセンスの武藤氏は、広告をインハウスで運用している。コミュニティに参加するまでは、自社でのノウハウしか得られないというもどかしさがあったので、他社との交流ができる「広告運用コミュニティ」への参加を嬉しく感じたという。
コミュニティでいろいろな方と交流できたり、ヤフーの方とお話しできたりする機会は、単純にすごく嬉しいなと思った。機能改善などを要望すると、最終的に開発者まで伝わっているのか不安になることもあるが、コミュニティであれば直接プロタクトの担当者と話すことができる(武藤氏)
ただし武藤氏も伊藤氏と同様に、「競合がいると議論しづらい時もある」と感じていた。それを解消すべく開催されているのが、オフラインイベントだ。
オフラインとオンラインを使い分ける
世田谷自然食品の鎌氏は、オンラインとオフラインでコミュニティを使い分けているという。
オンラインでは、聞きたいことをリアルタイムに聞けて、それに対して回答が得られることがプラスの面だが、その一方で、競合企業にも見られていることを意識して話さなくてはならない。オフラインイベントでは、名刺を交換し、相手がどういう人かをわかった上で話す内容を決められるのが大きなメリットだという。
個人的には、競合と話したくないわけではない。むしろ競合がどのように運用をしているかという話はぜひ聞きたい。もちろん、オフラインでも言えないこと、言いたくないことはあるが、懇親会で軽食やドリンクが出ると、隠し事ができなくなってしまう(笑)。オフラインにはオフラインの、オンラインにはオンラインの良い面があると考えている(鎌氏)
ユーザー同士の情報交換で得られる気づき
最近のコミュニティでおもしろかったものとして伊藤氏があげたのは、「動画広告」についての議論だ。媒体のアルゴリズムではなく“クリエイティブの勘所”のようなことまで、ユーザー同士で議論しているという。
動画広告は、本当に静止画の広告よりいいのか、クリエイティブにコストがかかるのでPDCAが回せないのでは、などの議論が白熱した。この議論によって、競合も動画広告を使いはじめて成果をあげてしまうのではないか、という心配はあるが、動画広告の市場自体が拡大すれば弊社にとってもメリットがあると考えている(伊藤氏)
また武藤氏は、「オフラインだとテキストに残らないので、皆さんけっこう踏み込んだところまで話をする」と語った。
具体的なキャンペーンの構成やチューニングの仕方などは、オンラインコミュニティでは話しづらかったり、ニッチなテーマなので出てこなかったりする内容だが、そこが一番知りたいところでもある。
オフラインだと、どういう広告グループで構成するのかとか、ターゲットのCPA設定をどうするのか、といったような話が白熱し、また学びも多い。実際に、そこで学んだ内容を次の日にテストしてみて、よかったら実装することもある(武藤氏)
他方鎌氏は、今までで一番盛り上がったのは「広告管理ツール」の話題だという。
できないと思っていたことが、実はできるという話はけっこう盛り上がる。毎日使う立場としては、 “ここをちょっと変えたらすごく使いやすい”という内容に対応してもらえると嬉しい。そうした要望が、コミュニティを通じて開発担当にきちんと伝わっていると感じられるのが良い(鎌氏)
また鎌氏は最後に、「事業者同士で情報をやり取りするチャンスは貴重なので、実は、広告運用以外のツールの話なども活発にやりとりしている。酒向さんには言っていないが(笑)」とも語っていた。
「Yahoo!マーケティングソリューション 広告運用コミュニティ」では、同業種・異業種を問わず、さまざまなコミュニケーションが生まれているようだ。自社の広告運用に生かす気づきや知見はもちろん、幅広い情報交換の場として役立つコミュニティだと言えるだろう。
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