MA導入は機能だけ見ていては失敗する! 検討段階で見極めておくべき4つの“MA活用レベル”
MAの導入検討において気をつけるべきは、「機能の見極め」ではない。
本当に大切なのは、「活用レベルの見極め」である
これが、さまざまな企業のMA導入・活用を支援してきた経験からたどりついた非常に重要なポイントです。
そのため本記事では、MAの活用方法を紹介するだけでなく、自社で実際にそのMA活用を実現できるかを自分自身の目で見極めていただくことをゴールにしています。
「そもそもMAを導入すべきか」の判断に加えて、「MAを導入する場合にはどこまで投資すべきか」も判断して、MA活用プロジェクトを進めていってください。
「4つのMA活用」レベル
今回は、MA活用レベルを次の4段階で考えていきます。
- 導入見極め編 MA導入判断
- 初級編 インバウンド活用
- 中級編 アウトバウンド活用「フィルタリング」
- 上級編 アウトバウンド活用「ナーチャリング」
導入見極め編 MA導入判断
MA活用のレベルを判断する前に、まずはそもそもMAを導入すべきかについて検討しておきましょう。
ここでは「顧客リスト数」に着目します。
貴社では、社内に少なくとも顧客リストが1万件以上ありますか?
もし今、各営業が抱えている名刺や顧客リストをかき集めて1万件以上あるのならば、MA導入の検討を進めましょう。
逆に、自社でもつ顧客リストが1万件を下回っており、それ以上増えることが難しい市場・製品を取り扱っているのであれば、MAでビジネス成果を伸ばすのは難しい可能性があります。そのため、MA以外のテクノロジーの導入も視野に入れることをオススメします。
なぜ1万件以上の顧客リストが必要なのでしょうか。結論からいうと、それぐらいの「コミュニケーションをとれる対象」がいないと、結果として案件化できる件数が1件もとれない可能性があるからです。
多くのMAは、主なコミュニケーションチャネルとしてメールを活用します。たとえば1万件の顧客リストに対し、MAから2通メールを送り、2通目のメールに反応した顧客を営業チームに引き渡すとします。その場合、反応数は次のようになります。
1通目(ステージ1)
一斉配信のため、メール開封率:20%、クリック率:3%程度とします。
送信数が1万件ならば、ステージ1からステージ2に進むリードの数は60人になります(1万人×20%×3%)。
2通目(ステージ2)
興味が高いリードだけが残ったため、メール開封率:40%、クリック率:4%程度とします。
ステージ2に進んだ顧客が60人だった場合、ステージ2から次のステージに進む顧客は0.96人になります(60人×40%×4%)。
顧客リストが1万件しかないと、2通のメールに反応して残るリード数が1件を下回ってしまい、それ以降のアクションが難しくなります。
この場合、MAを導入してもそもそも成果が得られない土壌だということになります。
初級編 インバウンド活用
確保できる顧客リストが十分であった場合、では実際にMAをマーケティングと営業のパイプラインのどの部分にどう活用できるかを検討していきましょう。
初級編としては、「インバウンド活用」の使い方があります。これは、その名のとおりユーザーからの反応を待ち、こちらからは特にアプローチしない状態で活用するという段階です。
「ユーザーの反応を待つ」というのは、どういうことでしょうか。それは、すでに自社の製品・サービスに興味をもっているターゲットユーザーだけを施策の対象にするという考え方です(ここでは、こうしたユーザー群を「ホットリード」と呼びます)。
この段階では、「シナリオを組む」「こちらから積極的にメッセージを送る」といったことはしません。そうではなく、「ホットリードがWebサイトに来訪したタイミングで、コミュニケーションのアクションを起こす」ようにします。
個人を特定するというMAの基本機能を使い、今まで見えていなかった「確度の高いリード」を検出することが初級編のゴールです。
インバウンド活用フェーズでの成果シミュレーション
では具体的に初級の活用が可能かどうかの判断をするために、次のようなシミュレーションをしてみましょう。
①Webサイト月間平均UU(ユニークユーザー)数
✕
②cookie特定ユーザー来訪率
✕
③ターゲット来訪率
✕
④営業対応率
✕
⑤商談化率
✕
⑥受注率
↓
月間想定受注件数
この計算式は、MAによって1か月あたり何件程度の受注を得られるかを算出するものです。
日本語で表現すると、「Webサイトを訪れたユーザーのなかで①」「MAの機能(cookie)で営業ターゲットだと特定できる人(企業)がどれぐらいいて②③」、そのターゲットがサイトを訪れたら営業に通知がいく仕組みをMAで構築しておけば、「そのターゲットに営業がアプローチして④⑤」「どれぐらいの受注(売上)を生むのか⑥」といったものです。
仮の数値で計算してみましょう。
①Webサイト月間平均UU(ユニークユーザー)数 ―― MAと関係なく、現状でのサイト訪問者数です。Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで調べられる数値です。
ここでは仮に2万UUとします。
②cookie特定ユーザー来訪率 ―― Webサイト来訪者のうち、MAツールのcookieが紐付いているユーザーが来訪した率(数)です。MAの標準機能で調べられます。
相場感がわからないと思いますので、ここでは10%としてください。
③ターゲット来訪率 ―― どのような人をターゲットとするかは企業によりますし、その定義によって調べ方は多少異なります。
ここでは「休眠顧客」をターゲットとするとして、顧客リストのうち30%が休眠顧客だとして進めましょう。
④営業対応率 ―― MAの機能を使って「ターゲットがサイトに訪れたら、営業担当者に通知が届く」ようにします。その通知を受け取った担当者が実際に営業対応できる率を考えましょう。
今回は30%とします。
⑤商談化率 と ⑥受注率 ―― 自社のCRMデータを参照してみましょう。わからなければ営業に確認します。
ただし今回は、お客様側から問い合わせがあって営業対応をする訳ではありませんので、それぞれの率はCRM平均より低くなります。また、そもそもターゲットが休眠顧客という前提ですので、CRM上の既存の数値よりも低くなると想定されます。10%として進めましょう。
これらをまとめると、次のようになります。
①20,000UU
✕
②10%
✕
③30%
✕
④30%
✕
⑤10%
✕
⑥10%
= 1.8件/月の受注
1件の受注で400万円の売上になるのであれば、1.8件で720万円の売上を生み出せると想定されます。粗利率が60%であれば、残る粗利は432万円ですね。
この粗利で、MAの月間コストとMA運用の人件費をまかなっても利益が残るか(コストを許容できるか)という点が判断ポイントになります。
もし利益が足りなければ、他のターゲットの定義も同様に計算してみてください。
今回のターゲットは「休眠顧客」ですから、MAの施策がなければ営業はアプローチしなかったことでしょう。そのため、「マーケティングによって生み出した案件」だといっていいでしょう。同様のターゲットとしては、
- 即営業が動かない準ターゲット
- 過去失注顧客のWeb来訪
といった定義が考えられます。ほかにも「そのままでは営業が動かなかっただろう」セグメントを考えてみてください。
そうしたターゲットへのアプローチをすべて含めて計算してもMAの月間コストが許容できないのであれば、MA以外のマーケティング施策を検討することをオススメします。なぜなら、さらに中級以上の活用をしていこうとしたら、初級以上のコストと労力がかかるからです。
初級編のゴールに達するには、2つのポイントがあります。
- MAを導入したうえで収益が立つとシュミレーションできること
- ホットリードが検出されたタイミングで実際に対応してくれる営業担当者(又はチーム)を自社内で探し出せること
こうした試算をもとに営業や上長とコミュニケーションをして稟議を進めれば、「まずMAツールを導入し、そのコストに見合う成果を出す」ことが可能になるはずです。
ちなみにこの時点では、顧客セグメントなどを詳細に設定・実装する必要はありません。まずは営業担当者を巻き込んで、確度の高いユーザーの検出を繰り返すうちに「もっとこういう顧客だけに絞りたい」などの発想が生まれてくるからです。
中級編 アウトバウンド活用「フィルタリング」
MA導入によって生み出す価値とコストのバランスを判断できたら、その先に考えるのは「さらに成果を生み出す」ための活用です。
中級編では、初級編と違って「アウトバウンド施策」を進めます。つまり「ホットリードを待つ」だけでなく「こちらから能動的にコミュニケーションを開始して、自社の商材に興味のある人をあぶりだす(フィルタリングする)」のが目的です。
では、そうした「フィルタリングのためのアウトバウンド施策」では、具体的にはどのようにアクションしていくのでしょうか?
すでにセミナーやイベントといった「短期キャンペーン」を行っているのならば、それにMAを組み合わせて活用すると考えればわかりやすいかもしれません。
自社でイベントを実施していても、実際には即反応があったユーザーにしか対応できておらず、反応がなかったユーザーは放置してしまっているケースが多いのではないでしょうか。中級編は、そういった即反応がなかったユーザーに対してさらに継続的にコミュニケーションしていくことで営業対象を絞り込む活用方法です。つまりキャンペーンの収益最大化がこのレベルのゴールです。
とはいえ実施方法は難しくありません。
たとえば、「特に即反応をしていなかったため営業がフォローしていないユーザー」に対して、いつも通り定期メルマガを配信します。そうしたメールに対して開封やクリックといったアクションをしたユーザーに「事例集ダウンロード」などのメールを自動で配信していきます。
こうすることで、「自社の商材やその関連ニーズに対して多少なりとも興味がある人」を判別し、さらにその人たちに「より商材理解の段階が進むコンテンツに触れてもらう」ようにすることで、アクションしない人をふるい落としていくのです。
「それならば、事例集ダウンロードのメールを一斉に送ればいいのではないか」と思うかもしれません。しかし、興味がない人も含めて全員にそうしたメールを送り続けると、購読停止が増えてしまうリスクがあります。
ちなみに、こうしたコミュニケーションをしようとすると、次のように考える方もいらっしゃるかもしれません。
顧客の状態に合わせてシナリオを作り、セグメントやシナリオに応じた適切なメッセージをそれぞれ届けなければ
しかしこの段階では「情報を発信する側が伝えたいこと」をメールやWebコンテンツとして届けるだけでも問題ありません。ありもののコンテンツでいいのです。
顧客属性やスコアなど「情報を受ける側(ユーザー)のこと」を気にするのは、上級編から行うようにしましょう。
中級編を進めるにあたって注意すべき2つのポイント
ただし次の2点には注意してください。
- 1年間はコンテンツを開発していける運用体制・リソース・予算がある
- フィルタリングするだけの母数が一定数見込める
この段階のMA活用がうまく進まなかった案件の多くで、上記の問題がありました。それぞれ解説していきます。
1年間はコンテンツを開発していける運用体制・リソース・予算がある
マーケティング活動の「オートメーション(自動化)」とはいいますが、MAツールは魔法の箱ではありません。導入初期にはほぼ完全に「手動運用」になると考えてください。「MAツールを入れればすぐに自動化できる」と思ってリソースを確保せずに進めると、成果が出ないばかりか、成果が出たかどうかの判断すらできずに1年が終わってしまいます。
そもそもMAは軌道に乗るまでに必要な工数・期間が他のマーケティング施策よりも多い・長いと考えておくべきです。十分な体制やリソースを確保できないのならば、無理にMAツールを導入するのではなく、そうしたリソースの確保もあわせて次年度のプロジェクトとして仕切り直すほうが賢明です。
ちなみに担当者は兼務でもいいのですが、少なくとも1名は業務の50%~80%をMA運用にあてられる担当者が必要だと考えてください。その理由は、MAの導入には次のような幅広い知見とタスクが必要だからです。
- MAツール理解
- シナリオ設計
- シナリオの実装
- メールコンテンツ制作
- Webコンテンツ制作
- データ分析
フィルタリングするだけの母数が一定数見込まれる
この検討事項は、初級で成果シミュレーションしたような計算と同様のものです。そもそもこの中級編を自社で実現するのに十分な顧客リストがあるのかは、必ず確認しておきましょう。
ただし、初級と異なるポイントがあります。それは、最終的な受注に至る件数を計算するのに、「シナリオ分岐上限数」という要素を考える必要がある点です。
「シナリオ分岐上限数」とは、要するに「各リードに対して深追いメールを何通送れるか?」です。たとえば、セミナー参加者に対して、
- セミナー参加御礼メール
↓ - サービス概要紹介メール
↓ - 事例DLメール
という順にメールを送っていく場合は、シナリオ分岐数は「3段」とカウントします。このシナリオ分岐の「段数」が重要なのです。
営業の立場で考えてみてください。たとえば「サービス概要紹介メールをクリックした」段階のリードを引き渡されても、具体的にどんな営業行動をすればいいのか判断しづらいものです。深追いの段数が浅いと、ニーズを明確にあぶりだしにくいのです。
しかし「A社(のユーザー)が新サービスの事例集DLメールからXXの事例をダウンロードした」ということがわかっていれば、どのようにアプローチすればいいかを営業が考えやすいでしょう。
そのため、できるだけニーズが明確になるように深追いメールの段数を増やしておくほうが営業担当にとっては良いのです。しかし、シナリオ段数を多くしすぎると、それだけ段階を進んでくれるターゲットの数は少なくなってしまいます。
そのため、
- フィルタリングしたシナリオを組んだとき、何段階ぐらいならば「適切な数」のターゲットが残りそうか
- その段数で具体的なユーザーニーズが絞り込めるのか(営業がアクションを取りやすくなる情報をあぶりだせるか)
をシミュレーションし、実現可否を検討してください。ここも初級で行ったのと同様に簡単な四則演算でシミュレーションできるはずです。
上級編 アウトバウンド活用「ナーチャリング」
上級編で狙うのは、MAの活用方法として世間的に認知されているナーチャリングです。
MAでシナリオを設計しておけば自動的に顧客を育成し、リードや売上が増える
これが実現できれば、こんなにすばらしいことはありません。営業担当者は喜んでどんどんアプローチしてくれ、予算を達成し、さらに多くのことができるように人も増やしていけるでしょう。
しかし、この活用方法は「上級編」としているように、MA活用のなかでも実現の難易度が最も高く、MA以外の投資コストも必要になるものです。たとえば、次のような投資を想定しておく必要があるでしょう
- MAのライセンス
- 伴走のコンサル費
- メールコンテンツの制作費
- Webサイトコンテンツの制作費
- KPI設計コンサル費
- データダッシュボードの構築費
これらへの投資をするだけでなく、1つひとつの施策についての知見がないと、本当に自動でナーチャリングしてくれるMAは実現できないものだと思っておいてください。
さらにもう1つ。この段階ではさまざまな施策を組み合わせて行うことになりますが(詳細は後述)、すべて一気に取り組むことはおすすめできません。各施策の数値傾向を理解していないと、仮に成果がうまく上がらないときに、どこに原因があるか特定が難しくなってしまうからです。
ナーチャリングで行う施策の全体像
すでに述べたとおり、上級編のMA活用は「ナーチャリング(育成)」が目的です。中級編のフィルタリングは「絞り込む」という考え方でしたが、「ナーチャリング」は「増やす」という考え方です。
案件につながるリードを「増やす」仕組みを構築していくときに、まず行うべきことがあります。それは、「ユーザーを知る」ことです。
MAを通じたコミュニケーションによって、製品やサービスの検討速度を意図的に早めたり、比較検討の選定対象から落ちる率を下げたりといったことを実現するには、さまざまな顧客やその組織の属性・状態・行動・状況を把握することが必須です。
正しいマーケティング施策は、正しい顧客理解から生まれるのです。
顧客理解のためのメソッドはここでは詳しくは解説しませんが、そうした理解をもとに、次のようにコミュニケーションを設計し、実行していきます。
- カスタマージャーニーの作成
- 顧客セグメントの定義
- 顧客ステージの定義
- シナリオの作成と実装
- 顧客セグメントごとに育成シナリオを定義
- シナリオ別コンテンツ制作
- Webコンテンツ制作
- メールコンテンツ制作
- MAへのシナリオ実装
- シナリオを評価するためのダッシュボード作成
- 業務フローの見直しと、カスタマージャーニーやシナリオへの反映
ナーチャリングで行う施策①
ベースとなるカスタマージャーニーの作成
まず、カスタマージャーニーを作成します。カスタマージャーニーを作るためのフレームワークなどもありますので、そちらを参照してください。ここでは詳細には解説しませんが、要点を整理すると、カスタマージャーニーでは次の2つを定義します。
- 顧客セグメント
- 顧客ステージ
なぜこの2つが必要なのでしょうか。それを直感的に理解するには、「家」と「洗剤」を思い浮かべてください。
「家を買う人」と「洗剤を買う人」では、明らかに対象(顧客セグメント)が違い、検討スピード(顧客ステージ)も違います。こうした違いを見極め、分けるべきところを分けるということです。
ナーチャリングで行う施策②
ステージを進んでもらうためのシナリオの作成
顧客セグメントや顧客ステージの整理が終われば、次は育成シナリオとコンテンツです。
- 顧客セグメントごとにシナリオを作り、
- その各ステージで次の段階に進んでもらうためのコンテンツを制作して、
- シナリオがまわるように実装していきます。
シナリオの実装はMA上で行いますが、コンテンツはMA内で完結するとは限りません。Webサイト用だったりメールだったりと、カスタマージャーニーに応じて適切なチャネル向けに作り、必要に応じて関連部署と連携しながら実装していきましょう。
ナーチャリングで行う施策③
実は必須のデータダッシュボード
シナリオとコンテンツができれば終わりではありません。これらはあくまでも仮説をもとに作ったものなので、実際にシナリオをまわしながらデータで検証していくことで、より成果を伸ばせるはずです。
そのために、仮説検証と施策評価のためのダッシュボードを構築します。これは、顧客セグメントごとにマーケティングフェーズから営業フェーズまで一貫してKPIをグラフ化し、状況を可視化できるようにするためのものです。
ダッシュボードでデータを確認しながら「顧客セグメント」「顧客ステージ」「育成シナリオ」「コンテンツ」を評価していくのですが、実はこのダッシュボードにはもっと大切な役割があります。それが、次に行う業務フローの見直しに関係しています。
ナーチャリングで行う施策④
営業成果を含めて伸ばすには業務フローの見直しが大切
ここでいう業務フローの見直しとは、シナリオとダッシュボードを元に、マーケティングチームと営業チームが一丸となって「この仮説が正しかったか」「もっと伸ばすやり方はないか」を議論し、最終的な売上を効果的に伸ばせるように施策や業務を改善していくことです。
繰り返しますが、MAツールは「導入すれば成果が出る」ものではありません。MAツールでナーチャリングしたリードに営業担当者がアプローチして商談化していき受注に結びつけなければ、売上は伸びないからです。そのためにも、営業サイドを含めてPDCAをまわしていく必要があるのです。
しかし、MAを活用しようとして、この段階で苦戦を強いられるケースが多くみられます。
というのも、多くの企業ではマーケティング部門と営業部門は別組織であり、「マーケティング部門のお願いを営業部門が受け入れる」形になってしまうことが多いからです。そして、営業部門が「マーケティング部門がもってくるリードに価値がある」と認めるまでは、営業部門側がなかなか動いてくれないという状況になりがちなのです。
その際に重要になるのがダッシュボードのデータなのです。コミュニケーションのたたき台となり議論や判断の根拠となる「実際のデータ」をしっかりと整えておくことで、「議論が空中戦になり、話が進まなくなってしまう」状況を避けやすくなるのです。
ちなみに、業務フローの見直しをスムーズに進めるための現実的な解決策としては、次のどちらか(または両方)がオススメです。
- まずは限られた営業メンバーとだけで始める
- 会社として両部門を統括した立場から実行指示を出す
「MAでナーチャリング」の本当の難しさはここにあります。単にツールを入れれば成果が出るというものではなく、営業部門も含めた組織の動き方にまで議論が及ぶため、うまく進めるのは簡単ではないのです。
とはいえ、すでにBtoBの世界でもデジタル化が進んでいるのは事実です。企業間取引であっても、問い合わせをする前に顧客はネットで情報を調べて発注先をほぼ決めているとさえいわれています。
そうした時代において、マーケティングと営業の連携の重要度は上がる一方であることに間違いはないでしょう。
そういう意味で、両組織を横断するツールでもあるMAの活用検討は、「営業を含めたビジネス全体のデジタル化」という恩恵を受けられるようにしていく好機だと考えるほうが前向きです。まずはこういった考え方を自社内で共有し、共感を集めながら浸透させていくことが、MA導入の本当のスタートだといえるかもしれません。
MA導入にあたっては、もちろん導入前に気をつけなければならない機能やポイントはありますが、その点さえ気をつければMAツール間で大きな違いはありません。それよりも、「組織としてどのように仕事の仕方や変えていきたいのか」という活用レベルを考えて、組織内で共有し、議論しながら見極めていくことを意識してみてください。
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