Ledge.ai出張所 Ledge.ai出張所

日本マイクロソフト・LINE公式アカウントの立役者3人が語った「裏のストーリー」

2018年3月、日本マイクロソフトはLINE公式アカウントをリリース。作った理由はなんだったのか?

2018年3月12日、日本マイクロソフトLINE公式アカウントがリリースされた。その開発は、本稿を届けるLedge.aiの運営元である株式会社レッジに任された。

友だち追加

プロジェクト進行のなかで、我々は公式アカウントのオーナーを含む立役者3人とコミュニケーションを交わしてきた。彼らの考え、メッセージ、その強い想いに触れる時間だった。

今回お送りするのは、「日本マイクロソフトLINE公式アカウント“裏のストーリー”」 だ。立役者である横井 羽衣子、前田 理恵、草賀 章宏を独占インタビューした。

草賀章宏(右)
セントラルマーケティング本部
デジタル & ブランドマーケティング部
シニアマーケティングコミュニケーションマネージャー
日本マイクロソフト公式アカウントのオーナー

横井 羽衣子(左)
クラウド&エンタープライズビジネス本部
Azure AI シニア プロダクト マネージャ
Microsoft Bot Frameworkを含むMicrosoft Azureにおけるデベロッパー向け製品担当者

前田 理恵(中央)
Microsoft 365 ビジネス本部
コーポレート クラウド&コンシューマー ビジネス推進部
プロダクトマネージャー
Office 365およびWindowsを含む法人向けMicrosoft 365製品担当者で、日本マイクロソフト公式アカウントで展開するコンテンツオーナー

なぜマイクロソフトはLINE公式アカウントを手に取ったのか

LINEやFacebook Messengerなどのコミュニケーションアプリ内に、多種多様な公式アカウント、チャットボットが出てきている。対話型AIシステム市場は今後5年で10倍以上の規模に拡大する見込みだ。


出典:株式会社矢野経済研究所

一方で、それが生活の一部になっているかと問われると、疑問を感じざるを得ない。どれほどの人が公式アカウントや、搭載されるチャットボットを有効活用しているだろうか。コミュニケーションアプリ内で、常に公式アカウントと会話している人はほんの一握りだろう。

――まだまだ世間一般に浸透しているとは言えないチャットボットが搭載されたLINE公式アカウントを作った理由はなんでしょうか?

――草賀
「理由はシンプルで、一番近い距離でユーザーに触れられるからです。これまでソーシャルマーケティングを担当していたのですが、FacebookやTwitterといったB2Bの領域で活用されていた従来のソーシャルチャネルでリーチできるユーザーには限界がありました。

リーチが難しかったユーザーへ接触する。ユーザーとのさらなる接触機会を拡大する手段の1つとしてAI、LINE公式アカウントを選択しました」

LINEの月間アクティブユーザー数は7,800万人を超えている。そこにいるユーザーに触れるの目的だ。デジタルマーケティングを強化するマイクロソフトは、Emailや電話サポートだけではなく、ソーシャルメディアからの問い合わせを強化していく狙いだ。

――草賀
「FacebookやTwitterを活用して企業からユーザーへ『投稿』する場合、一方的な情報発信になる傾向があります。ユーザーの視点に立ったとき、日本マイクロソフトLINE公式アカウントに搭載されているチャットボットによる双方向のコミュニケーションに可能性を感じました」

――横井
「単なるQ&Aではなく、ユーザーのニーズに柔軟に対応できるのがAIです。ようやくそれが実現できる時代になったんです」

一方的な情報は届けない。基準は常にユーザーへの価値

マイクロソフトLINE公式アカウント開設において、もっとも興味深いのは、配信されるコンテンツだ。

――どのようなコンテンツを配信するのでしょうか?

――前田
「マイクロソフトが提供する『製品の重要情報』や『働き方改革』を促進するコンテンツの配信を考えています。クラウド版Office (Office 365) を活用したより良い働き方の提案などですね。

たとえば、ExcelやWord、PowerPointの具体的な使い方や機能です。Wordであれば、外国語を日本語に一瞬で翻訳してくれる機能。PowerPointであれば、デザインを提案してくれる機能など。

ユーザー自身の仕事にすぐに活用できる情報、コンテンツを届けていきます」

政府も主導する働き方改革を大きな軸として、自社の製品を通してどのようなことが実現可能か発信していくという。

重要情報という点では、「Windows 7 & Office 2010が2020年にサポート終了」というコンテンツなどがその一例だ。日本マイクロソフトLINE公式アカウントは、セキュリティにも影響する重要情報を迅速に届ける役割をも担っている。

――前田
「われわれは、常にユーザーに価値があるかどうかを基準に置き、長い時間をかけてディスカッションしながらコンテンツ作りを進めています。

正直、われわれが一方的に届けたい情報をあげればきりがありません。しかし、それでは1回使われてブロックされてしまうのがオチです。目指すのは、ユーザーが『使い続けたい』と思えるアカウントです。」

友だち追加

時代とユーザーの動きに合わせて形を変えていく

――日本マイクロソフトLINE公式アカウントはある意味でアウトプットの1つに過ぎないと思っています。その裏では、3人は何に気づき、何を考えているのでしょうか?

――横井
「今回のプロジェクトは、プロダクトビジネスとコンシューマーをつなげるという点で、マイクロソフト社内でも新しいチャレンジでした。日本マイクロソフトLINE公式アカウントに搭載されるチャットボットでは、裏側でAzure Bot Serviceを使っています。自分たちのプロダクトを自分たちで使っている事例を示せるのは、説得力があります。

公式アカウントは、その訴求のきっかけとしても非常に良い機会だなと思っています」

――前田
「日本マイクロソフトLINE公式アカウントの開設は、時代、ユーザーの動きが変化したことも理由の1つです。

2025年までに全労働人口の7割が35歳以下になると言われていたり。それは、メールからチャットなど、コミュニケーションのスタイルすら変えつつあります。加えて、ユーザー側のコンテンツの取り方も大きく変わってきています。

時代の流れを読み、そのときのユーザーの動きに合わせてプロダクトやサービスを提供する。そして、我々自身も変わっていく必要があります」

巨大組織ながらも、迅速に時代とユーザーの動きに対応していく。その柔軟性が、徹底的なユーザー目線からきているということは、すぐにわかった。

――具体的に、数年後、数十年後に後にどのような展開を考えているのでしょうか?

――草賀
「まずはユーザーの属性や情報を活用したレコメンデーション機能の搭載などを考えています。

マイクロソフトが開発するAIの特徴として、共感モデルを持っています。現在はフロントエンドだけにはなっていますが、いずれはユーザーの『気持ち』に寄り添ったレコメンデーションなどを目指しています」

コンテンツが充実した日本マイクロソフトLINE公式アカウント

ここからは、リリースされた日本マイクロソフトLINE公式アカウントの中身を実際にみていく。友達登録を済ませると、さっそくボットとの会話が始まる。

クリエイティブについては、想像以上にフレンドリーだ。LINEのユーザー層やチャットツールの特性上、文言も比較的くだけたスタイルになっている。タップ形式で会話を進めていくだけで、必要な情報をキャッチできる仕組みだ。

日本マイクロソフトLINE公式アカウントのコンテンツは非常に充実している。テキストによる情報に限らず、動画コンテンツも配信している。テキストでは伝えきれない情報を動画を通して伝えることで、ユーザー側の負担も減らしている。

多くの情報から購入を決めた製品であっても、一度購入してしまえばあまり情報を追わなくなる人は多いだろう。しかし、セキュリティなどの観点からみると、情報を追い続ける必要がある。一方で、必要なときに、重要な情報だけがほしいといったニーズもたしかだ。

そういったニーズにまさに答えているのが、今回リリースされた日本マイクロソフトLINE公式アカウントだろう。マイクロソフト製品を使っている方は、ぜひLINEにて友達登録してみてはどうだろうか。

友だち追加

河村 健司
by 河村 健司    Twitter  Facebook
Ledge.ai副編集長。インドでのフロントエンド経験を経て、ビットエーにインターンとして参画。フロントエンドの開発案件や、チャットボットの開発などに携わり、レッジが立ち上がるタイミングで正社員としてジョイン。Ledge.aiではライティングと業務自動化システムの開発も行う。

「AI:人工知能特化型メディア「Ledge.ai」」掲載のオリジナル版はこちら【裏側】日本マイクロソフトLINE公式アカウントの立役者3人が語ったこと

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Python
「Python」(パイソン)は、プログラミング言語の1つ。プログラマのグイド・ヴ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]