ウェブ解析士会議2018

企業のソーシャル運用成功のカギとは? メディアごとの効率的な広告出稿を探る

企業がソーシャル運用で成功する秘訣を事例を交えて紹介。「ウェブ解析士会議2018」田村憲孝氏のレポート。

安価な広告ツールとして注目されるTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアだが、運用を失敗するケースが後を絶たない。企業のソーシャルメディア運用を成功させる秘訣はどこにあるのだろうか

一般社団法人ウェブ解析士協会が主催して開かれた「ウェブ解析士会議2018」では、ソーシャルメディアマネジメント研究会代表の田村憲孝氏が「企業のソーシャルメディア成功運用のカギは広告と運用の配分にアリ」と題された講演を行った。

田村氏は、自らが手掛けた事例も交えながら、企業がどのようにソーシャルメディアを捉え、運用するためには何が必要かを解き明かしていく。撮影:イイダマサユキ

ソーシャルメディアを使って企業が得られるもの

田村氏は、公演の冒頭に、Twitterプロモアカウントのクリエイティブ例として次の4つを示し、どれが最もフォロワーを獲得したかを来場者に尋ねた。

  1. 長めのテキスト+画像
  2. 短めのテキスト+画像
  3. 短めのテキスト
  4. 長めのテキスト+ハッシュタグ

来場者の多くは、「2. 短めのテキスト+画像」を選んでいたが、実際には「3. 短めのテキスト」のシンプルな投稿が最もフォロワーを獲得していたという。田村氏は、どのクライアントでも同じ結果となるとは限らないが、先入観を持たずにさまざまなクリエイティブを試してみることが重要だと解説する。

Twitterプロモアカウントのクリエイティブ別効果比較

続いて田村氏は「ソーシャルメディアは単なるプロモーションツールではない」と説明する。

2010年頃からソーシャルメディアは「宣伝に使える」と考え始めた企業は、TwitterやFacebookに公式アカウントを作り、商品のメリットやイベント告知などを投稿してきた。

しかし、大多数の企業はフォロワーが付かず、十分な効果を得られないまま、ソーシャルメディアの運用を断念しているのが現状だ。

田村氏は、「ソーシャルメディアは、企業が広告する場ではなく、個人ユーザー同士がコミュニケーションを図る場であり、従来のWebプロモーションと並列ではなく、直接的なメッセージは受け入れられないということをわかっていないから、失敗することになる」と話す。

ソーシャルメディアを使って企業が得られるのは、次の3つであり、これらは売上に直結するものではない。

  • 露出による認知度アップ
  • ユーザーとのリアルタイムなコミュニケーション
  • 共感によるユーザーとの親密度向上

しかし、たとえば、大阪・道頓堀のグリコの看板も売上に直結するものではないが、看板によって多くの人に商品を知ってもらうことができる。同じような認識で、売上云々ではなく、認知度を上げるためにソーシャルメディアを活用するという認識が重要と田村氏は説明する。

また、2017年秋の時点で、Facebookは2,800万人、Instagramは2,000万人、Twitterは4,500万人の国内ユーザーがいるため、広告出稿媒体としても一定の効果がある。ソーシャルメディアは母数が大きいので、広告としても機能するがあくまでも個人間コミュニケーションツールであると考えることが重要なのだという。

2つの活用目的を明確にしてメディアを使い分ける

ソーシャルメディアでの広告活用は、次の2つの目的があるという。

  • 商品、サービス、イベント、キャンペーンなどの告知および販売
  • ソーシャルメディアアカウントの活性化

たとえば、Facebookで「広告を作成」をクリックすると広告マネージャが表示され、告知や販売などの直接ビジネスにつながる項目(下図、青枠)とアカウントを活性化させる直接ビジネスにはつながらない項目(下図、赤枠)があり、メディア側もはっきり2つの目的を分けて広告を出してほしいというメッセージを出していると田村氏は言う。広告を出稿する側もこれらの目的を明確にすることが重要だ。

Facebookの広告マネージャの画面

クライアントから、どのメディアに出稿すれば効果的かとよく聞かれるが、メディアによって広告の重要度は異なるという。

Facebookは、2018年2月にアルゴリズムの変更を公式に発表し、個人同士のコミュニケーションが活性化されるように、企業ページが個人のニュースフィードに表示されにくくなっている

この傾向は、1年半前くらいから始まっていて、3つのソーシャルメディアの広告の重要度を次のように示す。注意しなければならないのは、Instagramにはフォロワーを増加させる広告メニューがないため、クリエイティブにハッシュタグを入れるなど、クリエイティブを工夫する必要があるということだ。

各ソーシャルメディアの広告の重要度

Facebookは、前述のような厳しい状況もあるが、広告を使うことでしっかりと2,000万人のユーザーにリーチさせることができ、有効なツールとなり得る。また、Instagramはクリエイティブに力を入れる必要があり、Twitterはオーガニック運用を行い、獲得したフォロワーとコミュニケーションしながら有効活用できるという。

広告・運用活用事例から見る成功運用のコツ

ソーシャルメディアの広告・運用活用事例として、田村氏はまず、ウェブ解析士協会のFacebook広告・運用効果比較を示す。

Facebook広告

ウェブ解析士協会は、ファンを獲得するためのFacebook広告(Page Like Ad/ページいいね!広告)を出しており、次の4つで運用してみたという。

  • 2017年のウェブ解析士会議の集合写真
  • 同協議会代表の江尻氏と海外パートナーのツーショット写真
  • 江尻氏が講演しているところとテキストを写した2枚の写真
  • イラストを使ったクリエイティブ

4つのクリエイティブの中で、最もファンを獲得できたのは、代表の江尻氏と海外パートナーのツーショット写真であると明かす田村氏は、さまざまなクリエイティブを出してきた中で、江尻氏の写真が最も効果的であったと冗談交じりに笑う。

原因はわからなくても、クリエイティブに何を使えば反応が良いかという現象をしっかりと見て、その傾向に合わせてクリエイティブを作っていくことで結果が出てくると田村氏は解説する。

また、ウェブ解析士協会では、投稿をユーザーに届けるための広告(Page Post Ad/ページ投稿広告)も出稿している。この広告によって、ウェブ解析士協会では、これまで数百人にしかリーチしていなかった投稿を4,000人以上にリーチさせることができたが、そのための費用はわずか1,000円しかかかっていないという。

Instagram

もう1つの事例は、Instagramだ。ユーザー数を伸ばしているInstagramでは、フォロワーが多いインフルエンサーを集めて商品などを撮影してもらい、ハッシュタグを付けて投稿するイベントが非常に多く開かれている。

しかし、集められたインフルエンサーには、商品の魅力やどう撮ってほしいかなどの説明がないイベントも多く、自分(インフルエンサー)のことを媒体としてしか見ていないのではないかなどの不満が出るケースも多いのだという。

これらのイベントを成功させるには、企業の担当者がインフルエンサーに商品の魅力などをしっかりと説明することが欠かせない。それによって、インフルエンサーが楽しみながらよい写真を撮ることができるのだ。

これからの運用で心がけておくこと

一般社団法人ウェブ解析士協会 ソーシャルメディアマネジメント研究会代表 田村憲孝氏

これからのソーシャルメディア運用で心がけておくこととして、新しいメディアが台頭したときにクライアントに伝えるべきことの話題に移る。

2017年春に、「Mastodon(マストドン)」というメディアがTwitterの代わりになるのではないかと話題になったが、現在は大きな動きとはなっていない。

もし、新しいメディアが出てきたとしても、焦らずにしっかりと地に足を付けて既存のメディアを運用することが最も重要であると田村氏は話す。もし新しいメディアに興味があるなら個人で使ってみて、ヘビーユーザーが身の回りに出てきたなら運用を考えてみるという姿勢で十分だという見解を述べた。

また、「Twitterの運用は今からでは遅いのか」と聞かれることがあるが、「そんなことを言う前にいち早く始めてほしい」と話し、4,500万人もユーザーがいるTwitterを活用しない手はなく、単価数百円でファンも獲得できると田村氏は説明する。

また、休止してしまったTwitterアカウントも、簡単に復活できるという。

ソーシャルメディア運用で切り離せない炎上

最後に田村氏は、「炎上の性質が変わってきている」と説明する。以前は、明らかに「やらかした」投稿が原因で炎上が発生していたが、今は自分の考えを投稿すると違う考えの人から批判を浴び、炎上するケースも増えてきているという。炎上が発生してしまったときは、一人で考えずに誰かに相談し、すぐに削除せずに、本当に悪いことを発言したのかを考えることが重要となる。

田村氏は、「ソーシャルメディアは交流ツールであることを忘れてないでほしい。また、先行者利益などはないので、すぐにアカウントを作って始めて、やるかやらないかではなく、何をやるかを考えてほしい。人口減少の中で、若い世代のファンを獲得するには、楽しく正しくソーシャルメディア運用を行う必要がある」と話して講演を終えた。

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