会社・商品・同僚社員を、心を込めて自慢する――逆走キャリアで学んだ3つの共通点とは?
みなさま、はじめまして。株式会社ポーラの中村俊之です。
実はポーラで働き始めたのが2018年1月からであり、2017年末まで新卒で入社したコニカミノルタ株式会社に所属しておりました。業界は変わりましたが、これまで一貫してメーカー社員として勤めています。
このコラムでは、これまで担当してきた販売やマーケティングやブランディングなどに関わる話を、自分なりの言葉でお伝えできればと考えております。今回は簡単な自己紹介となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
パーチェスファネルを逆走してきたキャリアと学びの共通点
恵まれたことに、これまでさまざまな職種や業務を経験させてもらいました。
国内のB2B営業から始まり、販売企画や営業支援、CRMやWebのリニューアル、日米欧中での新規事業立ち上げ、コーポレート部門では企業ブランディング、グローバル向けのデジタルキャンペーン、グループのデジタルコミュニケーション統括。部門業務と平行して担当していた新規事業開発。
そして現在ポーラではCRM担当として、どうすればお客様にとってよりよい体験をお届けできるか、を考え、描き、実行するため、日々奮闘しております。
一貫した職種での深いキャリア形成ではありませんが、パーチェスファネルを逆走するように異動し、顧客体験を構成する接点に広く携わってこられたことが、今の自分の財産だと感じています。
職種を変えたり増やしたりと慌ただしいキャリアではありますが、そこから学んだことには、「自慢すること」「つなげること」「小さな穴をあけること」という3つの共通点がありました。
共通点1:時には商品を、時には会社を、そして時には社員を。心を込めて自慢する
営業でも、マーケティングでも、ブランディングでも、私にとっての共通点は「自慢をすること」でした。
新入社員の私を育ててくれた歴代のトップセールスでもあるリーダーや先輩たち、広報ブランド部門でイロハを教えてくれた上司や同僚、そして社内外の尊敬する人たちから学んだ共通点です。
営業デビューしたての頃、認識齟齬やクレームなどの場面で、それが自分以外のメンバーに端を発しているとわかると、つい逃げたくなりました。自分に自信がないときほど、「その件は○○がxxxしまして。申し訳ありません」と自分は悪くないアピールを練りこんだ言葉を口にしてしまいそうになります。
ところが先輩たちは、絶対に特定の関係者を悪く言いませんでした。お客様から信頼の厚いセールスであればあるほど、どんな場面でも仲間を下げるようなことは絶対に口にしないのです。
その場における会社の代表として立ち振る舞い、ご迷惑をおかけしたのであれば真摯にお詫びをする。
追い込まれている状況であればあるほど、言葉の端々にその人の姿勢や大事にしている考えが、にじみ出るものだと感じました。
そのことに気付き始めてから、セールストークとして聞いていた先輩たちの話が、まるで自分の子供や家族の自慢話をしているように聞こえ始めました。
この子(製品)は、きっと皆さんにお役立てできます。
うち(会社)は真面目なので、品質には自信があります。
家族(開発や生産)が知恵と経験を結集して生み出しました。
もちろん直接的に上記のようなことを言っているわけではありませんが、見方を変えると、セールス文句も親バカたちによる愛くるしい自慢話のようにも聞こえます。それは押し売りのような話し方ではなく、とても自然なコミュニケーションでした。
時には商品を、時には会社を、そして時には社員を。心を込めて自慢する。
営業、マーケ、企業ブランディング、インターナルブランディング。仕事内容はそれぞれ違いましたが、「自慢をすること」が私にとっての共通点でした。
けっして完璧ではなく、むしろできなかったことのほうが多いですが、自分が納得できた仕事においては上手に自慢ができていたように思います。
共通点2:つなげることで意味や価値を生み出していく
仕事の内容に関わらず、自分なりに大事にしていきたい共通点に「つなげる」というキーワードがあります。そして今、「つなげる」ことの重要度はいっそう高まっているように感じます。
“デジタル”という言葉がビジネスシーンのあちらこちらで登場しますが、その重要な取り組みの1つがデータの活用だと思います。データそれ自体は単なる数値や文字の羅列に過ぎませんが、他のデータとつながることで、初めて情報となり、意味や価値が生まれる。データを活かすには関係性が重要であり、離れているなら誰かがつなげてあげないといけない。
会社の仕事も似ていると思います。営業を始めたばかりの頃は、お客様と関係者の間に立って、必要な情報を伝達することが自分役割だと思っていました。
しかしミッションや課題が複雑になるにつれて要求も回答も消化できなくなり、気付けばただのメッセンジャーになってしまいました。間にいても付加価値を生むことができませんので、お客様からは期待されず、信頼も得られない。むしろ時間がかかるだけ。お恥ずかしながら、そのとき初めて“つなげる”という発想に至ったのです。
誰かと誰かをつなげる。部署と部署をつなげる。会社と会社をつなげる。
橋渡しに留まらず、新たな接点をつくり、それぞれが意思を持ってコミュニケーションを始めたときに、Hubとしての意味や価値が生まれるのでは? と考えるようになりました。
実際に優れたプロジェクトリーダーと働いてみると、ステークホルダーの意思や行動、想いをつなげていくことで、各チームを自走させるだけでなく加速させていました。フロントや中心での機能や役割を果たしながら、次から次へとタスクや関係者つなげて、そこに意味や価値を与えていくのです。表現が難しいのですが、走りながらコミュニケーションと関係性の糸を紡いでいくように見えます。
何かを大きく変えるとき、難題に立ち向かうとき、生み出さなければならないとき。
関わる人それぞれのつながりが複雑で綿密であればあるほど、強いチームになり、推進できるのではないでしょうか。
Web担当を含めたデジタル領域での仕事に携わってきた者として、組織の枠や業務の境界を越えることが求められていると感じています。一昔前にくらべ、他部門や経営層と関わる場面も増えたのではないでしょうか。それは担当者が既存の領域を飛び出して、より広い視点で主体的に推進できるチャンスだと思います。
デジタルを活かしてつなぐべきものが、会社のあちらこちらに転がっています。チームメンバーはもちろん、社内外の同年代や若手がその機会に気付き、結果を出している姿を見て、刺激を受けることも多いです。
共通点3:大きな壁を破るには、まず小さな穴をあける
社内外で活躍している人から話を聞くと、業界問わず多くの方に共通しているのは、大きな壁を破るための“最初の小さな穴“をあけていることでした。
それを実現することで、何を成し遂げたいのか?
これは新規事業を担当していたときに、当時のボスから問われ続けたことでした。
- ビジョンドリブンであること。
- Whyから始まっていること。
- 描く理想に関係者の腹落ち感があること。
- リーダーとして本気でやりぬく覚悟を持つこと。
これらを前提に、リーダーが最初に小さな穴をあけることで壁を破る起点となり、人を動かす“道しるべ”にもなると教わりました。業界をリードする自分より一まわり、二まわり年上の先輩たちに話を聞いてみると、それが当たり前のように実行されています。
私は環境に恵まれ、新しい仕事の立ち上げから携わる機会も多かったのですが、まさに言うは易く行うは難し。いつも苦戦しています。ただ、それでも道なき道を手探りで進む仕事には大きなやりがいを感じています。
現在も、新しい会社とチームに迎え入れてもらい、チャレンジさせてもらっています。まだまだ未熟なところも多いですが、自分なりの小さな穴をあけることで、会社やチームのメンバーとともに新たな道を切り拓きたいと思っています。
これまでの仕事で大切だと感じてきたことは、業務が変わっても、会社が変わっても、共通していることが多いです。ちょうど環境が少し変わったところですが、これからも新たな出会いの中から、異なる視点、時には真逆の考えにも触れながら、大切なことを増やし、視点や幅を広げたいです。
つたない自己紹介となりましたが、次回以降はこれまでの経験してきたことや、気になる考え、フレームワークなどについてお話しできればと思います。今年で38歳を迎える身のため若手というキーワードに少し後ろめたさを感じておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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