昨年Youtubeから一躍有名になった登美丘高校ダンス部『バブリーダンス』。 年末の紅白歌合戦では郷ひろみとコラボし、今年はなんとハリウッド映画『グレイテスト・ショーマン』のプロモ-ションビデオでコラボし話題になっていますね。

このバブリーダンスを筆頭に、デジタルネイティブ世代である若者の間では「フィルムカメラ」「カセットテープ」「レトロ家電」「純喫茶」「銭湯」「ネオ横丁」……と、モノからコトまでいろいろな方面で昭和~平成初期を中心とした「レトロ回帰」がブームとなっています。そして昨年あたりからは、このレトロブームが一部世代の流行りではなく、より幅広い世代を取り込んだ世の中的なトレンドとなっているのではないか!?と注目しています。

参照元:http://tokyosento.com/

「東京銭湯」
若者の手で銭湯が営まれ、若者もお年寄りも集まる新しい場所としてさまざまなイベントが催されています。その他、銭湯×企業のコラボ企画など、銭湯界隈は大小限らず活動が盛んなようです。

参照元:https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/play_space_invaders/

「PLAY!スペースインベーダー展」
インベーダー誕生40周年を記念して開催された展覧会。巨大ガラスにゲーム画面が投影され、そこで実際にゲームをするという体験型の展示が特徴的でした。
最近の展覧会で流行りの「インスタ映え」と「体験型」の双方を取り入れています。

企業事例は “ドラマ・映画パロディー”系多し

企業プロモーションで「レトロ回帰」を扱っている事例では、バブル時代の“ドラマ・映画パロディー”系、または“ブランドリバイバル”系をテーマとしたものが多いようです。

トレンディドラマあるあるが凝縮! KIRIN iMUSE 「トレンディの法則」

新ブランドのプラズマ乳酸菌飲料「iMUSE(イミューズ)」のPR動画。
バブリーダンスからくる“バブル期”注目の流れと最近流行ったあるある動画を取り入れ、トレンディドラマでよくあったシーンを凝縮したパロディムービーに仕上がっています。

ブームを巻き起こした映画と見事にマッチング! JR 東日本 「私を新幹線でスキーに連れてって JR SKISKI」

参照元:http://jr-skiski.com/

2018年度JR SKISKIキャンペーンでは、JR東日本発足30周年と80年代バブル期のスキー流行の後押しとなった映画『私をスキーに連れてって』公開30周年が重なり、コラボして展開されました。
毎年さまざまな若手女優が起用され「あの女優は誰?」と話題に上がるJR SKISKIの広告。今年は「懐かしい!」や「映画は知らないけど、レトロな感じが新しくてかわいい!」という新たな文脈で広告が広がり、話題になっています。

参照元:https://www.phonogram.co.jp/lp/furyo/

その他、BtoBということもあり話題化までには至っていませんが、80年代に流行ったドラマ『不良少女と呼ばれて』をパロディー化した「不良ページと呼ばれて」という、ウェブ制作会社の企業サイトもあります。完成度が高いので、ぜひ見てみてください。

銭湯ブームにのっかった「入れる!?『雪印コーヒー』の湯」

参照元:http://www.yuki-coffee55.jp/sento.html

雪印コーヒー55周年を記念したキャンペーンでは、歴史ある銭湯「明神湯」とタイアップしました。
期間中、明神湯全体がそのブランド世界観になっており、本当に入れる「雪印コーヒー」の湯のほか、オリジナルグッズや無料サンプリングなどさまざまなコンテンツが用意されていました。最近の銭湯ブームとブランドテイストを上手く合わせたキャンペーンですね。
サイトには当日の写真も掲載されているのでぜひチェックしてみてください。

 
その時代を通ってきた人たちは、懐かしさに思わず見てしまい、その時代を知らない若者は、その時代が持つ個性に興味を持ち、不自然さに思わず突っ込みたくなる。
若者から親世代、おじいちゃん世代まで、それぞれの世代が注目ポイントを持てることで広い世代に対して伝播が見込め、PR的にもポジティブムードが作りやすそうですね。

若者の間でキテイルのは音楽系

カセットテープブーム

若者の間でさまざまな“レトロ回帰”が広がっているなか、バブリーダンス以前からインディーズ音楽が好きな若者中心に流行っていた「カセットテープ」。現在、アメリカや日本でも売上拡大しており、大衆的なブームとなりつつあるようです。

参照元:「walts」http://waltz-store.co.jp/

インディーズだけでなく、でんぱ組.incなどの人気アイドルもカセットテープを制作・販売、東京・中目黒にはカセットテープ専門店もあり、一般的に使われていた時を知らない若者の間でお洒落なアイテムとして注目されています。

「見た目は80年代、中身は2017年モデル」Bluetooth搭載のカセットデッキ 参照元:http://www.sansui-doshisha.jp/mobile/index.html

USB/SDカード対応のラジカセ 参照元:https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1102411.html

昭和歌謡・昭和アイドルもブーム!?

まだニッチではありますが、70~80年代の昭和歌謡もじわじわブームとなっています。
その時代のアイドルをまねた歌手グループがデビューしたり、アイドルが昭和歌謡を歌うライブが開催され、年配者だけに限らず若者も足を運んでいるようです。

「ベッド・イン」

※参照元:http://bedin1919.chu.jp/

“バブル時代の煌めきをもう一度”というキャッチコピー通り、バブル感満載の歌手グループ。
昨年末から、多くのマスメディアで取り上げられており、レトロ回帰の流れとともに人気急上昇のようです。

 

アイドルが昭和歌謡ショー開催 参照元 :https://mainichi.jp/articles/20171120/k00/00e/040/204000c

レトロ回帰で“インスタ映え”。 “撮る”という行為に再注目か

レトロな演出に特化したスマホアプリは、まだ大きなブームとはなっていないようですが、アート感度の高い人や韓国の若者の間で人気となっています。
ある調査では、「アナログ的な要素のある商品・サービスを使ってみたいと思いますか。」という質問に対して、SNS投稿をよくする人で「使ってみたい」と答えた人は75.3%、あまりSNS投稿しない人で「使ってみたい」と答えた人は58.3%と、投稿者のほうがアナログな商品・サービスへの関心が高いというという調査結果も出ており、その影響を受けてか、今回取り上げるアプリも、体験自体に力を入れたアプリが多いことが特徴です。

「Camcorder」

80年代から90年代で普及していたVHS(Video Home System)と呼ばれるホームビデオレコーダー風の動画を撮影することができる動画撮影アプリ。2006年をもってVHSは発売終了になっているため、大人にとってはどこか懐かしいですが、本物を見たことのない若者にとっては目新しく、SNS上にありふれているフォトジェニックな動画よりも逆に「インスタ映え」を狙えるのかもしれませんね。

▲動画撮影時の画面

「Huji Cam」

気軽に写ルンです風の写真を撮ることができるカメラアプリ。無料にも関わらず写真そのものの加工だけでなく、「撮る」という体験自体も本物のフィルムカメラのような演出が施されており、撮るという行為から楽しめるつくりになっているのが特徴です。
※富士フィルムの公式アプリではありません。

左:撮影時の画面 右:撮影写真

「Gudak Cam」

左:撮影時の画面 右:撮影写真

Huji Camよりも、さらに「写真を撮る」という体験にフォーカスしたカメラアプリです。2017年下半期に韓国の若者の間で流行っていました。
このアプリの最大の特徴は、なんと「現像」という概念がアプリ上にあることです。一般的なフィルムカメラ同様、24枚撮り終えた後、新たに写真が撮れるようになるまで1時間、その写真を見る(現像)ためには丸3日間待たなければならないのです。今年あたり日本で流行るかもしれませんね。
※Kodakの公式アプリではありません。


いわゆる“インスタ映え”だけでは物足りなくなった若者たちが、新たなコト消費としてこういった手間のかかるアプリを使うのでしょうか。

まとめ

幅広い世代に、それぞれの文脈で広がる「レトロ回帰」。デジタルネイティブ世代の若者にとって「レトロ回帰」というのは、コンテンツとして愉しめ、さらにSNSでシェアする価値がある体験・モノとして定着しつつあるのかもしれません。
まだまだ続きそうな「レトロ回帰」ブーム。文通?ポケベル?次は何が流行るのか注目ですね!