“守り”から“攻め”へ Google アナリティクス 360 スイートがもたらすデジタルマーケの変革
もはや使っていないマーケターはいないほどメジャーなマーケティング分析ツールであるGoogle アナリティクスを中心に、さまざまな機能をパッケージした統合マーケティングスイート「Google アナリティクス 360 スイート」が発表された。従来のGoogle アナリティクスからどのように進化し、そしてそれによって企業のデジタルマーケティングはどのように変革することが期待できるのか。
Google アナリティクス 360(旧Google アナリティクス プレミアム)をはじめとするアクセス解析ツールの導入支援を手掛ける株式会社イー・エージェンシーの野口氏が、「~セグメント新時代へ~ Google アナリティクス 360とA/Bテストツールで行う“分析→改善” 次の一手」と題し、「アナリティクスサミット2016」において解説した。
Google アナリティクス 360 スイートの全体像
野口氏はまず、このGoogle アナリティクス 360 スイートの概要について説明した。
Google アナリティクス 360 スイートは、アナリティクスだけでなく、
- タグマネジメント
- A/Bテストおよびパーソナライゼーション
- BIツール・データビジュアライゼーション
- DMP
- メディアアトリビューション
といったデジタルマーケティングに求められるあらゆるツールを統合した製品群だ。アクセス解析に特化したGoogle アナリティクス 360を発展させて、分析から改善までを包括的にサポートするツールとして提供される。
Google アナリティクス 360は、まるっと請け負うマーケティングスイートへと進化した
と、野口氏は説明する。
内容は、Google アナリティクス 360に加えて、「タグマネージャ 360」「オプティマイズ 360」「データスタジオ 360」「オーディエンスセンター 360」「アトリビューション 360」という6つの製品から構成され、それぞれ有償で提供されるという。Google アナリティクス 360を中核に各ツールが連携し、シームレスにデータ連携していくのだ。
- デジタルマーケティングで求められるさまざまな機能をパッケージ
- Google アナリティクスを基盤としたA/Bテストやパーソナライゼーションが可能に
- Google AdWordsや広告サービス、アドサーバーと接続
- Googleも自社データと外部データを統合できるDMPを提供
- 外部データを含むアトリビューション分析が可能に
Google アナリティクス 360 スイート、どう活用する?
続いて野口氏は、このGoogle アナリティクス 360 スイートの活用方法として、「分析→改善ショートカット術」を紹介した。ポイントは、Google アナリティクス 360 スイートを改善アクションの司令塔として活用し、レポーティングや分析に追われる“守り(分析)のマーケティング”から、パーソナライゼーションやA/Bテストを活用した“攻め(改善)のマーケティング”への転換を実現しようというものである。
これまでのGoogle アナリティクスでは、主にレポーティングや分析・課題発見を主に行うことが多かった。それに対し、
今回のGoogle アナリティクス 360 スイートでは、Google アナリティクス 360で設定した“セグメント”を、リマーケティング広告に加えて、A/Bテスト、パーソナライゼーションといったマーケティングの改善に役立てることができる
と、野口氏は説明する。
その改善アクションのキーワードとなるのが、「もったいない」という視点。膨大なGoogle アナリティクス 360 スイートのレポートデータを「もったいない」という意識のもと効率よく活用し、改善へと繋げるというのだ。
Google アナリティクス 360で始める「もったいない分析」と改善アクション
では具体的にどのように「もったいない分析」を実現するのか。野口氏はその具体的な方法を解説した。
活用するのは、Google アナリティクス 360限定の機能である「Custom Funnels(国内名称:カスタムの目標達成プロセスレポート)」という機能だ。野口氏は次のように説明する。
どんなにマーケティングを駆使して集客しても、集めたユーザーはサイト内でどんどん離脱していく。この状況は「もったいない」。
このもったいない=機会損失をCustom Funnelsでは簡単に可視化することができる。自社サイト内にある態度変容のポイントになるページの離脱量=機会損失量を測ることで、自社サイト内の改善すべき点を探ることができるのだ
このようにしてサイト内に潜む「もったいない」機会損失のポイントがわかると、人はその「もったいない」を改善したくなる。サイト内の機会損失を“自分ごと化”することができるのだ。そして、この「もったいない分析」は改善アクションに直結し、「もったいない」ポイントを改善さえすれば、効果はすぐに表れることが期待できる。
具体的には、
- コンバージョンまであと一歩という離脱者に対するピンポイントなリマーケティングの実施
- もったいない離脱ポイントについて集中的にA/Bテストやパーソナライゼーションを行うことによるコンバージョンの最適化
などを行うことで、即効性のある改善が実現するのだ。
ひとりのスタッフが自分の業務に関連する“もったいないファネル”をひとつ持っていれば、改善すべきポイントが量産されるのではないか(野口氏)
- 自社の態度変容ポイントに合わせてCustom Funnelsを設定する
- 態度変容ポイントでの離脱量(=機会損失量)を計測する
- 離脱したユーザーにピンポイントでリマーケティング広告を出稿する
- A/Bテストやパーソナリゼーションによって、離脱量が多いポイントを集中的に改善する
ビジネス活用視点から見たGoogle アナリティクス 360 スイート
最後に野口氏は、このGoogle アナリティクス 360 スイートをビジネス視点から俯瞰した際の価値について説明した。
経営者や事業マネージャの悩みは、競合がひしめくなかでデジタル成熟度を上げて事業売上にどう貢献させるかということ。Google アナリティクス 360 スイートを使いこなすことは、手段に過ぎない(野口氏)
としたうえで、企業のデジタル成熟度を示す
- マーケティング・アクティベーション(Marketing Activation)
- データリッチ化(Enrich Data)
- 教育・組織化(Education&Organization)
- デジタル変革(Digital Transformation)
という4つのファクター(頭文字をとってMEEDの法則)のうち、マーケティング・アクティベーション(マーケティング施策の活性化)がデジタル成熟度アップの起点になると説明。
そして、このマーケティング・アクティベーションを9つのステップに分類したうえで、多くの企業がレポーティングと分析・課題発見のステップでとどまってしまい、その上位にある具体的なアクションに繋げることができていないと指摘した。そのうえで野口氏は、Google アナリティクス 360 スイートはまさに、この見える化の段階からアクションの段階までを網羅的にサポートしている点を紹介し、次のように語った。
Google アナリティクス 360 スイートは多くの企業のマーケティング・アクティベーションを実現する切り札になるのではないか
しかし野口氏は、次のようにも指摘する。
統合マーケティングスイートであるGoogle アナリティクス 360 スイートを導入すれば安心……ではない
最後は次のようにまとめた。
よいプラットフォームを導入した効果を最大化させるためには、
- 内部教育と組織化によるツールの組織内定着化
- 社内のさまざまな部門や協力会社が保有するデータを統合するデータリッチ化
が必要で、この両輪によってデジタルがもたらす社内貢献度を最大化できるのではないか
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