企業ホームページ運営の心得

コンビニ流通網でサプライズ演出、「家族にも内緒なら」という販促

コンビニ受け取りのメリットをネット通販の販促に活用します
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の454

追記:書店殺し

RobertoDavid/iStock/Thinkstock

書店殺しの主犯を「コンビニ」とした記事が多くリツイートされたと、編集長のメルマガにあったので追記します。

そもそも「コンビニ主犯説」は私のオリジナルではありません。四半世紀以上前のプログラマ時代に、コンビニのPOS開発現場で耳にしたものであり、2年前には出版プロデューサー山田順氏も自身のブログで指摘しています。

先の記事では「雑誌の売り上げをコンビニが奪った」と要約しましたが、「週刊少年ジャンプ」のような漫画雑誌や、連載をまとめた「コミック」も書店の生活を支えていました。書籍取り次ぎ大手の日販が発刊している『出版物販売額の実態2015』を紹介している「ガベージニュース」からの孫引きですが、書店における売り上げ構成比は、雑誌とコミックが55.8%を占め、100坪以下の小規模店では63.8%にものぼります。

コンビニ悪玉論を展開したいわけではありません。山間部や離島、過疎の地域を除けば、大半の国民の生活圏に、1つ以上は必ずあるのがコンビニで、その多くは24時間営業であり、「受取窓口」としては最適なインフラです。

そして、「コンビニ受け取り」そのものの「メリット」をアピールすれば、ネット通販の販促に活かせるのではないかという提案です。

ネット主犯説を検証

本論に入る前に、書店殺しの下手人として「ネット」を挙げる声に答えておきます。私も「共犯者」の1人としては認めていますが、主犯とするのに躊躇いがあるのは、いま「ヤフーニュースだけで十分」だと嘯(うそぶ)いている友人らは、ネットがなかった時代からろくに本を読んでいなかったからです。

そんな彼らが、書店の売り上げに貢献していたのは「ジャンプ」ぐらいで、いまの購入先は「コンビニ」です。首都圏では月曜日が発売で、日付が変わった瞬間に売り出す店もあるそうで、翌朝シャッターが開くまで待たなければならない書店に勝ち目はありません。

また、TSUTAYAなどの大型書店や、ヴィレッジヴァンガードのような特色ある書店が、株式公開を果たすなかで、「街の書店」ばかりが廃れていく理由を追えば「コンビニ主犯説」にたどり着くのです。確かに、ネットは書店から客を奪っていますが、テレビやレンタルビデオ、テレビゲームその他の娯楽産業からも「客泥棒」を働いており、書店を狙い撃ちにしているわけではありません。客泥棒とは「時間泥棒」とも換言できます。

物流業者としてのコンビニ

さて、ここからが本題ですが、まず「物流」の現状を踏まえておきます。

物流業界の人手不足は深刻で「宅配便」の継続そのものを危ぶむ声もあり、目下の最大の懸案は、届け先が不在時の「再配達」によるロスです。そこで「宅配ロッカー」の整備が進められていますが、コンビニ受け取りなら追加コスト不要で解決できます。

現時点ではコンビニと、宅配業者の組み合わせに制限があり、幅広く利用できるとはいえません。しかし、荷物を受取りに来店したお客は、「ついで買い」をしてくれます。利用者が増加すれば、競争原理が働き、コンビニ各社が積極的に取り組んでくることでしょう。「コンビニ受け取り(配送)」に、送料割引きなどのインセンティブが生まれれば、一気にブレイクするかもしれません。

さらに、コンビニ業界は各店舗に1日3回配送されるほど、きめ細やかな物流網が整備されており、ここに「通販」を加えることは造作のないこと。すると、コンビニ各社が物流事業をはじめる可能性だって否定できません。

手ぶらというメリット

日本全国、津々浦々に拡がる店舗網を利用できるコンビニ受け取りサービス。忘年会・新年会の会場近くのコンビニで、あらかじめ「ネットで注文」しておいたコスプレ衣装や手品の仕掛けを受け取ったり、海水浴場近くの店舗でビーチマットや花火を受け取ったりできれば、その分の手荷物を軽くすることができます。私が調べた限り、これを「メリット」として打ち出している通販サイトは確認できませんでした。

たとえば、今週末に開催される東京浅草の「三社祭」。友人たちと見に行くとして、自宅から「半纏(はんてん)」を着ていくのは気恥ずかしいもの。そんなとき、あらかじめ人数分をネットで注文しておき、(浅草)国際通りのコンビニで受け取ります。祭のさなか、みんなで着れば恥ずかしくはありません。御輿は担がなくても、参加した気分を味わえることでしょう。なお、帰りの心配は無用。祭が終わるころには、半纏を着ていることが自然になっているものですから。

サプライズの援軍

注文した商品が、「自宅に届かない」ことがアドバンテージとなるカテゴリがあります。女性の脱毛グッズ、男性の薄毛治療、痩身ツールなど、家族にも知られたくないコンプレックス解消のための商品群を、コンビニ受け取りなら内緒で受け取れます。これはお客に取って重要なメリットです。

コンビニ受け取りは、妻や旦那、両親や子供といった「同居する家族」へのサプライズプレゼントを演出できます。いまどきなら、シェアハウスの友人という設定もアリでしょう。サプライズのコツは「いつ用意したの?」と驚かせること。「プレゼントを押し入れに隠していたら見つかった」とは、クリスマスあるある話ですが、サプライズも同じく、当日まで隠し続けるのが課題です。

影が薄い父でも

サプライズの当日着で「ネット通販」を使う手もありますが、同居人がいる家庭で、だれにも悟られずに宅配便を受け取るのは至難の業です。自分以外のだれかが荷物を受け取り、勝手に開けられてしまえば台無しですし、中身がアクセサリーだと気づいた奥さんに、浮気を疑われれば逆サプライズ。そこで自宅に届かないコンビニ受け取りの出番です。

事前にネットで注文しておき、サプライズの当日、会社の帰り道でも、犬の散歩のついでにでも、自宅近くのコンビニで受け取ればOK。今年はすでに終わってしまいましたが「母の日」や、母の日と比べると影が薄い来月の「父の日」でも活用できます。

今回のポイント

コンビニ受け取りという販促

コンプレックスとサプライズが狙い目

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