2016年こそオウンドメディアをはじめるチャンス! 3つの理由とアドバイス
私はインフォバーンのプロデューサーとして、これまで、さまざまな企業のオウンドメディアを立ち上げ、運営のお手伝いをしてきました。そのなかで、よくこういった相談をいただきます。
2015年は、オウンドメディアでのコンテンツマーケティングに取り組んだ企業が爆発的に増えた年。これからはじめようというWeb担当者の方も多いと思います。そんな方々に向けて、今まで数々のオウンドメディア戦略を立案・実践してきた見地から、3つのアドバイスをお届けします。
記事末では、オウンドメディアの基本や立ち上げ方法について学びたい方を対象とした執筆者のセミナー情報も掲載しています。
オウンドメディアをはじめるなら今がチャンス!
2015年は、自社サイトをメディア化し、継続的にコンテンツを掲出していく、つまりオウンドメディアを利用したコンテンツマーケティングの事例が多く登場しました。コンテンツマーケティングの領域を支援するプレイヤーも急激に増えているようです。
弊社でも、はじめに紹介したように、「そもそもやるべきなのか」「何から手をつければよいのかわからない」といった相談を受けることが多くなっています。
確かに、オウンドメディアは事前に予算や運営体制を準備し、長期的に取り組んで行くことが必要な施策ですから、取り組もうと思ってはいても、継続させることに不安を感じたり、どこからはじめればよいか迷ったりして先に進められないという方も多いでしょう。
ですがそんな方にこそ、「今がチャンスですよ!」と言いたい。それには次の3つの理由があります。
理由1失敗事例に学べる
「チャンスである」という理由の1つ目は、先行して実践している企業の事例が豊富に蓄積されつつあり、そこから多くを学べるということです。
オウンドメディアを運営していくにあたり、未経験でイチからはじめると、初期段階で多くの課題に直面したり、失敗に気づいたりすることもあります。他社が経験し、乗り越えてきた課題について学んでおけば、そのようなつまずきやすいポイントに対して、あらかじめ回避策を打てるという利点があります。
一例を挙げると、「ゴール設定やKPIがあいまいなままプロジェクトをはじめてしまう」というものがあります。
「何が実現したら成功なのか? という指標を明確にしなかったために、最初はよかったが、運営していくなかでプロジェクトの目的を見失ってしまった」
まさかと思うかもしれませんが、実際このような例はよくあるのです。
特に「ファンを増やす」「エンゲージメントを高める」といった目標には注意してください。オウンドメディアのPVやUUが増加することは、確かにファンやエンゲージメントを獲得している可能性があります。しかしながら、それが明確な指標で可視化されなければ、その時点での成果が判断できず、改善策も出せません。こうしたケースから「実現したいことは何か?」それは「どんな指標で評価すべきか」明確な定義をしておく必要がある、という教訓を学びましょう。
弊社では、コンテンツマーケティングを「恋愛」にたとえることがあります。「相手に振り向いてもらうためには自分のことばかりアピールするのではなく、相手に興味を持ってもらえそうな話題や魅力を出していくべき」という趣旨です。
先ほどのたとえになぞらえると、ゴールを「1人の女性と結婚する」に置いた場合は、「ラブレターを何回書くか」「電話で何時間話すか」「デートは何回するか」のような形に置き換えることで、具体的に自分がやるべきこと、進展がない場合にやるべきことが見えてきます。ゴールが「5人の女性に告白されたい」なら、また話は違ってくるでしょう。
もう1つ失敗例を挙げると、「コンテンツのチェックフローが従来と同じルールのままで運用を始めてしまう」というものもあります。
この場合、本来コンテンツで共感を得るには、ユーザーからみて役に立つ情報を提供していくべきなのですが、従来と同じルールで広報や広告宣伝部門のチェックが入るため、「我が社ではそのような内容を発信してはならない」とか「もっと新商品のことを詳しく紹介して」などの修正が入り、結局、自社の言いたいことだけが書かれた記事になってしまうのです。こうしたケースからは「予め、今回はどのようなコンテンツであるべきかと、そのためのチェックルールを関係部署と認識合わせしておくべき」という教訓を学べます。
これまでに挙げた2つの例のように、弊社でも数多くの失敗を改善することによって、たくさんの知見を獲得しました。それが後続の案件をより効果的に運営するヒントになっています。
理由2手段を選べる
2つ目の理由としては、オウンドメディアを運営するために障害であったことを解決したり、目的を達成したりするための手段が増えてきたことが挙げられます。
たとえば、生活者にコンテンツを届ける手法(コンテンツディストリビューション)が増えたことがあります。今までは、「新しい価値観の商品について啓蒙し、興味を喚起させたい」という要望には、ターゲットユーザーのリーチ手段として、バナー広告など限られた手段しかなかったのですが、今はコンテンツベースで、かつ自然な形でオーディエンスに接触できるネイティブ広告として、Outbrainや弊社で提供するBrandConnectなど、ニュースサイトやWebメディアの関連記事枠に掲載されるレコメンド広告、TwitterやFacebookなどの広告手法が増えているのです。
ニーズを喚起させる潜在層向けのコンテンツを生活者に届けて「気づきを与える」ような施策を、デジタル上で気軽に実施できるようになったことはオウンドメディアのオーナー側からすると非常に心強い進歩だと言えます。
また、効果測定の分野にもさまざまなツールが登場しています。サイトのコンテンツを分析し、オウンドメディアの外での拡散やリーチ度合いを測ることができるものや、ブランドサイト、ソーシャルメディアやメールマガジンを横断しながら連携してシームレスに効果を測定できるものなど、より選択肢が増えています。
さらには、オウンドメディアをビジネスに貢献させるためのテクノロジーも進化しています。DMPやマーケティングオートメーションツールの発展で、自社内のWebサイト訪問ユーザーの履歴データだけでなく、興味関心・嗜好性などを持った外部のオーディエンスデータを連携するなど、ターゲットユーザーを次のアクションへと導くことが可能になっています。
理由3先行企業の成功があなたを後押し
3つ目の理由は、先行者たちのチャレンジが実を結びはじめており、2016年、誰もが分かりやすく「成功」と言える事例が増えるのではないか、ということです。
たとえば、花王「マイカジスタイル」、資生堂「Beauty & Co. 」など、誰もが知っている企業がオウンドメディアに取り組んでから数年が経ちます。その成功事例をケーススタディとすれば、自社の目指すオウンドメディアの形もイメージしやすくなりますし、社内説得もしやすくなるでしょう。何より、担当者自身にも「信じて続ければうまくいくはず」という励みになります。
これからオウンドメディアに取り組みたいという方の中には、「あんなオウンドメディアを運営したい」という他社事例をイメージされている方もいらっしゃるでしょう。
オウンドメディアの「成功事例」と呼べるものが少なかった数年前だと、そのイメージや価値を社内に向けてどう説明するかというところに、多くのWeb担当者が苦労されていました。
理屈はわかるけれど、どうもイメージがつかない
という理由から説得できなかったり、それを回避するためにまずはデジタルマーケティグへの理解から時間をかけて啓蒙したり、プロジェクトをはじめるだけでも、今より多くの労力を注いでいたのです。
ですが今であれば、他社の成功事例をもって説得する方法もあるでしょう。
オウンドメディアやコンテンツマーケティングでこんな事例のこんな効果を我が社にも!
メディア価値をビジネス貢献させるフェーズへ
これから2016年にかけての業界の展望を軽く紹介すると、継続的な運用で着実に成長してきた企業のオウンドメディアは、戦略上、次のフェーズに入っていて、メディアの価値をどのようにビジネス貢献させるか、本腰を入れて取り組みはじめていくでしょう。
データマネジメントによって、既存のデジタルマーケティング施策との連携を最適化させたり、ECと連携させたりして「コンテンツ接触によって、消費者は自社製品の購入欲求が起きているのか?」を可視化させようとするオウンドメディアも出てきました。
弊社が手掛ける事例のなかには、すでに、コンテンツで獲得した新規流入ユーザーをうまく自社ビジネスのコンバージョンに結びつけ、投資を上回る成果を出せるようになったケースもあります。
チャンスを活かすため、自社のマーケティング戦略を見直そう
数々のプロジェクトに携わった私の経験から、オウンドメディアにおけるコンテンツマーケティングは、「やれば必ずリターンがある、もしくは資産になる」と確信しています。
しかし同時に言いたいのは、
オウンドメディアもコンテンツマーケティングも、単なる手段でしかない
ということです。
ですから、これからはじめようと思っているWeb担当者の方は、「オウンドメディアやコンテンツマーケティングを実践すること」を目的にしなほうがいいと考えます。マーケティング戦略は全体で考えられたものであることが理想です。オウンドメディアやコンテンツマーケティングはその一部を担っている手段であり、目的ではないのです。
まずは、自社の事業課題の中で、次の2つのことを整理してみてください。
- オンラインもオフラインも含めてどのようなマーケティング戦略を持つのか
- その戦略の中でデジタル施策が担う役割とは何か?
これらを整理すれば、オウンドメディアのコンテンツが担うべき役割も明確になります。
そこから先のオウンドメディアの戦略・戦術については、私たちのような外部パートナーとその知見をうまく活用していただければと思います。来年1月に私が登壇するセミナーでも、座学とワークショップを絡めて2日間でオウンドメディアの基礎学びながら、戦略を立てられるようになることを目指しています。前述した、先行企業の成功や失敗事例も沢山ご紹介できるでしょう。
これからオウンドメディア運営やコンテンツマーケティングをはじめようとお考えの方は、ぜひご参加ください。
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