企業ホームページ運営の心得

Amazonお墨付きの日本版サイバーマンデーに便乗。クリスマスを破壊するネット商戦

Amazon制定の日本版サイバーマンデーは12月14日、販促として便乗しない手はありません
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の435

世界的大企業の戦略に便乗

サイバーマンデー
neirfy/iStock/Thinkstock

米国では、11月の第4木曜日(今年は11月26日)を建国にちなんだ故事(創作説あり)から「感謝祭」として祝い、その翌日の金曜日から年末商戦が始まります。実店舗には、クリスマスギフトを求める客が溢れかえることから、「ブラックフライデー(黒字になる金曜日)」と呼ばれます。

全米小売業協会(National Retail Federation)の発表によれば、今年は感謝祭からの4日間でオンラインの買い物客が1億300万人に達し、実店舗の1億200万人を上回ったといいます(推定値)。そして、ブラックフライデーのWeb版である「サイバーマンデー」(感謝祭翌週の月曜日)においても、多くの支出が期待できると注目が集まっています(本稿執筆時には、まだ結果はでていません)。この流れは、今年から定着のきざしを見せるかもしれません。

今年のサイバーマンデーは、11月30日でした。一方、日本ではAmazonが「12月の第2月曜日」を「日本版サイバーマンデー」と宣言しており、今年は来週の12月14日。つまり、まだ便乗できる……というより、世界的大企業のマーケティング戦術に「便乗」するチャンスです。

公務員とセールの関係

米国で感謝祭明けの翌月曜日にWebの消費が盛り上がる理由は、ブラックフライデーから始まる週末、消費者はリアル店舗の渉猟に忙しく、ネットに接するのが週明けになるというのが1つ。

次に、これが提唱された2000年代中ごろは、まだ米国の一般家庭に高速回線が敷設されておらず、比較して高速だった「会社のネット」を利用して買い物をしていたというもの。

さらに、2005年に「Shop.org」が、サイバーマンデーという言葉を提唱したことで、このタイミングにセールを開始する、いわば便乗する店舗が増えて拍車がかかり、米国で定着しました。

日本版サイバーマンデーは、米国から2週間遅れで感謝祭もありません。それでは、Amazonはどうして12月の第2月曜日にしたのか。その理由が「日本記念日協会」のサイトにありました。

日本では12月が冬のボーナス時期でもあり、多くの通販サイトでセールが行われることから、日本版の「Cyber Monday」(サイバーマンデー)を目指して、アマゾンジャパン株式会社が制定。日付はAmazon.co.jpでも、多くの企業でボーナスが支給される12月の第2週に年間で最も多くのお客様がサイトを訪れていることから12月の第2月曜日とした。

市場はある

12月の第2週とは、公務員の冬のボーナス支給日である「12月10日」にかかっており、多くの企業でボーナスが支給されます。Amazonご自慢の「AWS」を安定稼働させるためにも需要予測は欠かせず、そのAmazonがこの日に訪問者が増えるというのですから、

購買目的でネットにお客が溢れている日

だと推測できます。

実はリアルにおいても、多くの小売店が、年末商戦は「公務員のボーナス支給日」に照準を合わせます。すると、リアルの客を奪うために、サイバーマンデーを仕掛けたとみることもできます。世界的大企業Amazonが、日本市場と自社サイトを分析した結果を踏まえて設定したのであれば、そこに「市場」があるのは間違いありません。

サイバーマンデーへの便乗は、Amazonの販促戦略へのハッキング……とは気取りすぎでしょうか。

マクドナルド跡地の争奪戦

競合他社の戦略へのハッキングは、リアルの世界ではポピュラーな手法です。たとえば、「オリジン弁当」が出店に際して重視するのは「コンビニ」の有無です。綿密なマーケット調査の上で出店されるコンビニがあるということは、その地域に「お弁当需要」があるということ。また、焼き鳥の「鳥貴族」が、チェーン展開する居酒屋のある場所に出店するのも同じ理由です。さらに、事業立て直しのために、大量閉店が話題になっている「マクドナルド」の跡地は、コーヒーショップなどの競合店が先を競って契約を狙っていると言われています。

Web系企業がイベントを仕掛け、キャンペーンを打つとき、それは彼らの調査から「商機」と判断された時期の可能性があります。ただし、ひっきりなしにセールをしている企業はこの限りではなく、トップダウンで設定された「ノルマ」を達成するための自転車操業でしょう。

サイバーマンデーへの期待

日本版サイバーマンデーには、「非クリスマスイベント」としての期待もあります。なぜなら、日本のクリスマス(イベント)は「長すぎる」からです。

米国では、感謝祭からクリスマスまでの約1か月なのに対して、日本ではハロウィン終わりから約2か月もの間、クリスマスソングのヘビーローテーション。その結果、「本番」を迎える前に消費者はすっかり飽きているのです。ここ2~3年ほどは、ハロウィンの盛り上がりによって若干遅くなりましたが、それでもクリスマスケーキの予約を9月から始める店舗は珍しくありません。

また、いわゆる「イブイブ」にあたる「天皇誕生日」の存在感が強まり「聖夜」が軽視されつつあります。

ハロウィンの再来を

そこで、サイバーマンデーに期待するのです。「非クリスマスイベント」として定着すれば、クリスマスへの倦怠感は払拭され、「家族」や「恋人同志」という制約もなくなり、対象業種の拡大は自由自在、なにより「サイバー」です。ネット通販へ、さらなる注目が集まることは、Web担当者にとってチャンス到来を意味します。

もともと、日本版サイバーマンデーの12月第2月曜日は、米国では「eBay」が「グリーンマンデー」と名づけていました。「クリスマス休暇前に自宅に届く締切り間近の月曜日」と、駆け込み需要を喚起する狙いです。先人に習うのも一手です。たとえば、ハロウィンの残照を利用しつつ、よりクリスマス色を強めた、

クリスマスパーティーに間に合うドレス、ファッション、コスプレ特集

といったように。

12月の第2週はサイバーマンデーと強弁することで、新味を演出します。実のところ、ハロウィンもこうした「ゴリ押し」を十数年繰り返した結果、定着していったのです。なにより、サイバーマンデーはAmazonのお墨付き。また、街角の販促屋としての私の経験上も「はずれ」の少ない季節です。事実上は単なる「歳末大売り出し」ですから。

今回のポイント

大手が仕掛けるイベントには便乗

「ハロウィン」の再来への期待

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