企業ホームページ運営の心得

コンテンツマーケティングにおける1つの極意と2つの心得

商売用コンテンツを作る上での極意を1つ挙げるとするなら「全部を言わない」ことを選びます
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Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の434

絶対的な理由とは

EtiAmmos/iStock/Thinkstock

本サイトをはじめ「コンテンツマーケティング」という言葉をあちらこちらで見かけます。「オウンドメディア」との違いがいまひとつピンと来ませんが、コンテンツを中心とするアプローチは、Webにおけるマーケティングの王道であると確信しているのでツッコミはしません。

だから、難しいといえます。マーケティング(≒商売)という視点を含んだコンテンツは、学校の授業で習う「作文」ではなく、事件や事故を伝える新聞とも構造が異なるからです。そして「広告」とも微妙に異なります。

そのすべてを説明することは困難をきわめますが、商売用コンテンツを作る上での極意を1つ挙げるとするなら「全部を言わない」ことを選びます。今回は、その極意と合せて、重要な2つの心得を実例を絡めて紹介します。

相続の相談先といえば

次の文は、ある不動産屋が「不動産相続」のお客を得るために制作したコンテンツの要点を抽出したものです。

相続といえば、弁護士や司法書士というイメージがある。しかし、不動産の相続には注意が必要だ。不動産の売却には「売る」タイミングがあるからだ。法律家は不動産のプロではなく、売り時を逃すリスクもある。一方、不動産屋は不動産のプロであり、高く売るノウハウを持っており、懇意にしている法律家を紹介することもできる。なにより不動産屋への相談は無料だ

だから、相続の相談はご近所の不動産屋へ、と呼びかけるコンテンツです。

集客と接客の違い

まず、広告とコンテンツの違いに触れておきます。

同じ企画で不特定多数に向けた「広告」として書き下ろすなら、「不動産屋なら相談無料」を冒頭に用意することでしょう。1人でも多くの読者に興味を持ってもらうための仕掛けで、すべての「広告」の目的は「集客」にあるといっても過言ではありません。だからこそ、サイト内に掲示する誘導アイコンや、リスティング広告に「無料」を打ち出すことは間違いではありません。

しかし、「集客」と「接客」は異なります。「接客」に期待するのは問い合わせや契約、あるいは販売です。相続についての解決法を求め、そのための費用をいとわない訪問者が「お客」ならば、必然的に「無料」の優先度は下がります。そこで「相続といえば、弁護士や司法書士」と論点整理から始めているのです。

1つのコンテンツで「集客と接客」を実現したいという願いは痛いほどわかりますが、両者は似て非なるもので、うっかりやってしまいがちな設計ミスです。

語弊の放置

上記の説明には「語弊」があります。不動産屋が弁護士などの法律家を紹介できるように、法律家も親しい不動産屋に不動産売却を委託できるからです。また、不動産関連を得意とする法律家の場合、不動産屋だけでなく、建築関連業界に明るいことも多く、こうした人脈が、不動産売買で有利に働く事例は少なくありません。

また、賃貸専門の不動産屋もあれば、離婚調停に強い法律家もいて、どちらが有利と断定できないのが実状ですが、そのすべてに触れる必要がない。これが「全部を言わない」ということです。

あえて「語弊」を放置すると言ってもよいでしょう。なお、「本当に条件の良い物件は、身内でまわす」とは、実際の不動産屋から聞いた話。不動産を相続する予定があるなら、近所の不動産屋と親しくなっておいて損はありません。

事件報道などでは両論を併記し、さまざまな状況を紹介しなければなりませんが、商売用のコンテンツは、そもそもライバルを蹴落としてでも自社の優位をアピールするのが目的で、「偏り」がでることは否めず、むしろ意識的に「偏らせる技術」が求められるのです。その第一歩が「全部を言わない」です。

2つの心得

実際に「不動産取引を得意とする司法書士もいる」と語弊への反論があったとしても、安心してください。それが今回、紹介する2つの心得です。

まず、この手のコンテンツを「知っている人は読まない」ものです。相続に明るければ、ネットで検索する必要がなく、親しい法律家がいるならその人に相談するので、「相続」を説明するコンテンツに来ることは珍しいからです。仮に同業者などからツッコミが入っても、語弊=見解の相違ですし、なにより同業者はお客ではありません。

その流れがもう1つの心得へとつながります。「批判者は客にならない」。ネットユーザーの中には、小手先の知識を並べることで承認欲求を満たしたいのか、あるいは狭小な価値観からの正義を振りかざしたがるタイプなのか、一般論になり得ない個別事例を並べ折伏を求めてくることもありますが、安心して下さい。

この手の連中は「客」になることはありません。放置しておいて害はありませんが、Twitterなどで批判されたのなら「貴重なご意見ありがとうございました。今後のコンテンツ作りの参考にさせていただきます」と、事細かに反論せず、お茶を濁すとよいでしょう。

本当の理由

最後に「全部を言わない」を、もう少しかみ砕くなら「お客は店側より知識がない」という前提に立つということです。お客を馬鹿にしているのではありません。懇切丁寧に説明を尽くしても、専門性を高めれば高めるほど、基礎知識や周辺情報がなければ理解できないことは多いのです。気取って言うなら、コンテンツの極意とは「情報の非対称性」。

相続の事例においては、遺言が公正証書であるか否かや、名義変更していない土地の相続問題、果ては遺贈による隔世相続などもあります。実際のところは「ケースバイケース」だとしても、「ケースバイケース」では「コンテンツ」にならず、問題を単純化するためにも「全部を言わない」のです。

また、仮にコンテンツで「全部」を伝えることができる事例でもそれはNG。コンテンツで完結し、「お客」がいなくなってしまうからで、商売用コンテンツで全部を言ってはならない理由です。

今回のポイント

説明のしすぎは不親切になることが多い

同業者や批判者は客にならない

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