SmartNewsとエン・ジャパンが語った、“広告のあるべき姿とは?”
ニュースアプリの広告はどうなのか。ニュースアプリでは国内最大級のユーザー数を誇るSmartNewsでさまざまな広告プロモーションを行うエン・ジャパンの「エン転職」がなぜSmartNewsを選んだのか。広告効果、広告のあるべき姿などを語った。
2015年7月30日に行われたスマートニュースとWeb担のセミナーの第1部では、スマートニュースの川崎氏とエン・ジャパンの田中氏が登壇し、エン・ジャパンが実施したSmartNewsの新しい広告モデルの導入事例とともに、広告の捉え方を語った。
コンテンツ提供を通じてユーザーの新しい発見に貢献していきたい
スマートニュースさんと一緒にプロモーションを行う前は、成果に直結しやすい運用型広告を活用するあまり、オンラインでのブランド認知向上施策がおろそかになっていました。
それに気づいたことがきっかけで、「『人』、そして『企業』の縁を考える」という自社の事業理念に立ち返りました。そして、「コンテンツ提供を通じてユーザーの新しい発見に貢献する」という視点で戦略を見直すことにしました。そのプロセスでスマートニュースさんと出会い、プロダクトの思想に強く共感したので、一緒に取り組みをさせていただくことになりました。
と登壇したエン・ジャパンの田中氏は話し、スマートニュースと行っているプロモーションを3つ説明した。
今回のプロモーションでは、会員数を単純に集めるだけでなく、本当に転職を必要としている人に求人情報や転職ノウハウを提供することで、ブランド認知を向上させることが目的だという。
左の広告例が、CPC課金型の広告モデルで一般的なインフィード広告。中央の広告例が、エン転職の公式キャラクターである「転職アドバイザー 縁ゆかり」が転職ノウハウを提供する動画広告(電車内ビジョン「トレインチャンネル」とタイミングを合わせて配信)。右が新しくスポンサードした「キャリア」というチャンネルで、転職やビジネスに関する情報を選定して配信している。
田中氏は、広告の評価について、次のように語った。
広告単体の成果だけでなく、インフィード広告と動画広告を一緒に実施したときの成果や、あえて期間をずらしたときの成果を検証しながらキャンペーンを進めています。
スマートニュースと行っている広告の説明を終えた田中氏に続いてスマートニュースの川崎氏がスマートニュースにおける広告の考え方について語った。
ユーザーにとって極めて自然で、価値のある広告配信を目指す
今までのメディアは、広告とコンテンツを大きく分けて捉えていました。私自身、そこにかなり違和感を抱いていました。本来であれば、広告を作るときにユーザーのことをしっかりと考えて、コンテンツとしても価値のある広告を作らなければいけません。
我々スマートニュースでは、「元のメディアにあったかのような、ユーザーにとって極めて自然な状態である広告のことを指す」いわゆるネイティブ広告として広告配信を行い、コンテンツとしても価値のある広告を広告主さんと一緒に作っていくことを目指しています。
と川崎氏は語り、現状のバナー広告の問題点を次のように指摘した。
バナーを何の文脈もなく提示するといったことは、極めて不自然に配信されているわけです。そのために、クリックスルーや広告のパフォーマンスが悪くなり、結果的に広告の露出を増やさなければクリックされなくなります。また、誤タップで広告費が消費されるといった悪循環になってしまいます。広告を通じてユーザーが求める情報を提供することを目指していこうというのがSmartNews Adsの根本的な考え方です
次に、田中氏と川崎氏による対談形式のインタビューが行われた。まず、川崎氏から田中氏に対し、質問が投げかけられた。
田中氏と川崎氏の対談
川崎氏:なぜ、スマートニュースを使ってオンライン上のプロモーション施策を行っているのでしょうか。
田中氏:ニュースアプリ自体の認知度が上がってきた昨年の夏頃に、ユーザー数が多いところから運用施策を行うことにしました。それを機に、さまざまなニュースアプリに出稿し始めました。
出稿先を検討するとき、ニールセンのデータでMAU(月間アクティブユーザー)やその推移などを参考にしました。
広告の費用対効果の点で、SmartNewsは他と比べて効果が高いため継続的に出稿しています。
川崎氏:MAU以外で重視したポイントはありますか。
田中氏:コンタクトポイントの回数と長さですね。1日24時間という限られた時間のなかでターゲットに効果的に接触できる点で、ユーザーの利用時間が一番長かったSmartNewsを選びました。
川崎氏:ニュースアプリの総訪問時間を円グラフにすると、約6割をスマートニュースが占め、2位以下の訪問時間と比較すると3~4倍の時間の差があります。ニュースアプリのなかで滞在時間が長いのがSmartNewsの特徴だともいえます。
また、SmartNewsがどの時間帯に見られているかを調べると、興味深いことがわかります。
一般的な利用傾向は朝見られて、昼見られて、夜じわじわ上がっていくといった傾向があります。いわゆる夜型のトラフィックカーブになっています。
SmartNewsの場合はユーザーが定めた時間にプッシュ通知を送るため、朝と昼のトラフィックがかなり増加しています。
ユーザーの可処分時間のなかでランチタイムは届きやすいといえるデータです。SmartNewsでは、一日に3回プッシュ通知を行いますが、そのなかでユーザーの反応率でいえば、昼が最も反応しやすいです。また、ユーザー行動において、出勤する前、ランチに行く前、帰宅前といった時間にリーチできるといったことも、SmartNewsならではだと思っています。
川崎氏:エン・ジャパンさんでは、こういった時間帯を意識したプロモーションを行っているのでしょうか。
田中氏:特に、テレビCMとの連動プロモーションを意識しています。エン転職のターゲットであるユーザーに対しては、出勤前と帰宅後にテレビCMで接触できる機会がありますが、ランチタイムにリーチすることは難しいです。
そこで、時間帯を指定して配信できる動画広告の「Golden Jack※」を使って昼帯に配信したところ、広告キャンペーン全体の成果が向上しました。現在は、テレビCMと動画広告でお互いを補完するような形でプロモーションを行っています。
※時間帯を指定できる広告でスパイクする時間帯に合わせて広告を配信することで大きなリーチを得られるように設計した広告。
キャリアチャンネルのスポンサード効果は?
川崎氏:キャリアチャンネルはどういった経緯で始められたのですか。
田中氏:「コンテンツ提供を通じてユーザーの新しい発見に貢献する」という目的を実現できそうだと考えたからです。スマートニュースさんの掲げるミッション「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」という思想に共感して、一緒にコンテンツを作っていきたいと思いました。
キャリアチャンネル上の、バカリズムさん演じるMr.エンが表示されている枠に関しては、エン・ジャパンが表示できる広告枠です。広告枠以外のニュース記事の選定に関しては、エン・ジャパン側は全くタッチしていません。
SmartNewsのアルゴリズムではエン・ジャパンのコンテンツが優先的に表示されることはありませんし、ライバル社のコンテンツだからといって表示しないといったことも絶対にありません。
このチャンネルは、ユーザーに役立つキャリア情報を届けなければ意味がないわけで、それを無視するといずれこのキャリアチャンネルのアクティブユーザー数は減ってしまいます。
そこで、キャリアチャンネルのスポンサードを始めるときに、「広告枠がユーザーにとって評価されないものであれば、広告枠を外す」と決めました。広告主も、ユーザーが求めるコンテンツを努力して作っていくことが大事だと考えています。
ですので、広告であっても更新性を重要視しています。現在は、「転職Q&A」などのコンテンツを配信して、転職活動で役立つ情報を配信しています。コンテンツによってユーザーの反応が大きく変わるので、随時情報を更新して検証をしているところです。
川崎氏:そもそもニュースアプリなので、新しい情報を求めている人が使っています。それと同時に、スマホの時代になったことで、1日に何回も訪れるユーザーが増えました。毎日更新することはもちろん、1日数回更新することを目指していくことが重要なことですね。
川崎氏:キャリアチャンネルの効果はどうですか。
田中氏:目標数値の1.2倍の流入が得られました。
会社のいいところも悪いところも教えるのが、エン転職
川崎氏:エン・ジャパンでは、たくさんのコンテンツを提供されていますが、具体的にどんな情報を提供しているのですか。
田中氏:エン転職のコンテンツは、「信頼できる求人情報」、「失敗しないための転職ノウハウ」、「現社員や元社員のクチコミ」です。
エン転職の求人情報ページには、その企業のクチコミ情報も併記しています。求職者は、エン転職が独自で取材した求人原稿だけでなく、多角的な情報を得ることができます。
これは、2014年8月にリニューアルしたときに強化したサービスです。元社員のクチコミも掲載されるので、求人企業にとって厳しい意見が掲載されることもあります。そのため、社内で「営業がやりづらい」という反対の声もありました。
しかし、求職者は自分に合った仕事内容や職場環境を探しているので、クチコミサイトも活用して情報収集をしています。そこで、最初から「求人情報」と「クチコミ情報」を一緒に掲載して、タブで切り替えるだけで閲覧できるようにしました。
会社のいいところも悪いところも両方発信することは、求職者と求人企業のミスマッチ解消につながると考えています。そんなサービスを必要としている方々に、エン転職を知っていただきたい。その実現に向けた取り組みとして、自社のコンテンツも磨きながら、キャリアチャンネルのコンテンツ提供をサポートしていきたいと思っています。
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