企業ホームページ運営の心得

最もFacebookをチェックする意外な人物は? だから提唱するリセット記念日

ネット上に投稿した内容は、不都合であっても残り続けてしまうものです
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百伍十七

リセット記念日

会計年度のはじまりとなる4月1日、これから初出社する新社会人のみなさんはいま、希望と不安がないまぜになった不思議な心地でしょうか。すでに研修がはじまり、慌ただしい日々を送っているでしょうか。そんななか、IT企業やWeb関連業界での新しく始まる日々の予習として「Web担当者Forum」にたどり着いたあなた。あるいは新年度からWeb業界に転職する人も、本サイトはとても役立つのでブックマークをお忘れなく。そして、そんなあなたに提案です。

3月31日はリセット記念日

TwitterやFacebook、mixiなどの過去の投稿をすべて削除したり、いっそのことアカウントを停止したりする日にあてるという提案です。また、新米パパにも、婚活中の「女性」へもオススメします。今年はちょうど日曜日にもあたりますので。

最もアカウントをチェックする人々

採用担当者がFacebookのアカウントで、人物をチェックするというまことしやかな噂が米国から流れてきたのは、彼の国の採用面接では「家族構成」を尋ねることすらコンプライアンス違反とされるからです。他にも、性別や年齢といった、本人が自主的に選択できない事柄を尋ねることは差別につながるという考えによります。Facebookなら本人に尋ねることなくチェックできるということで、いささか都市伝説の匂いがしますが、これはSNSの真実です。私が「リセット記念日」を提唱した理由を、より日本的に述べるとこうです。

上司や同僚がアカウントをチェックする

同僚の名前でのアカウント検索を止めるアプリをザッカーバーグはまだ開発していません。もちろん、他人に見られて恥ずかしくないツイートやブログなら、なんら問題はありませんが、リアルで接点のある同僚が過去を追いかけ始めれば、その捜査能力はネットの住民の比ではありません。また、同じ職場ですから些細な誤解から逆恨みをされた日には、SNSは最強の燃料投下ツールに早変わりします。

過去は発掘できる

すでに懸念は現実のものとなっています。とある人物……仮に「彼」としておきます。彼はアダルト漫画雑誌の販売中止を、某ネット書店に申し入れるようTwitterで啓蒙活動をしていました。それが理由かどうかは明らかにされていませんが、ネット書店から漫画雑誌の取り扱いが消えました。「彼」は実名活動を広言していたこともあり、あっという間に、TwitterもFacebookもなかった20世紀の「彼」の活動が「発掘」され晒されました。さらに特殊な性癖を唾棄していた「彼」が、同種の書籍を海外向けに転売していたと暴露されます。実名で発言の過去は容易に発掘できることを示した一例です。

この顛末に詳しい方なら違和感を覚えるであろう「彼」という表現は、「彼」がお子さんの情報を公開しており、そのお子さんの人生への配慮からです。そしてこれが次の世代の懸念です。

EUでの議論

いまEUでは「忘れられる権利」が議論されています。ネット上に掲載された個人情報の削除を求める権利です。実際には3人の集合写真で、1人だけが削除を求め、残りの2人が表現の自由だと削除を拒んだ場合の対処など、結論は見えていませんが「こどもの写真」は将来の火種となるリスクを内包しています。

Facebookに子供の写真を掲載している人は沢山います。しかし、子供本人が写真を公開するリスクを正しく理解したうえで同意しているのでしょうか。鼻水をたらした写真、トイレをガマンできなかった一コマなど、親から見ればすべての瞬間が世界で一番の宝物です。しかし、子供はいずれ独立した人格を持ちます。そのとき、子供の頃のあられもない写真が理由で、恋が破れたり、イジメの対象となったりしたとき、その人生にどんな償いができるというのでしょうか。さらに、

親を相手に損害賠償請求

を起こすリスクも内包します。先ほどの事件を「彼」としたのは、こどもの情報を公開してからです。本稿の論旨に素性を晒す必要性がないと事実関係を一部置き換えています。実際、子供の写真を公開するリスクについてはマイコミジャーナルの連載でも書いているで、本稿をお読みの後にでもお立ち寄りください。

過去にこだわるのは

婚活中の女性にも「リセット記念日」をオススメします。恋した女性の名前をFacebookで見つけたら、ストーカーならずとも追いかけたくなるものです。そのくせ大半の男は、女性の過去を気にします。過去の男と自分を比較して優劣をつけたがる「男子」は多く、序列を気にする社会性からの習性です。

過去を気にするような男はいらない

という男前な決断も結構ですが、男という生物は程度の差こそあれ女々しい生き物であることを、婚活中のあなたお伝えしておきます。

最後にツイートやプロフィールを「非公開」にしていても安心はできません。ネット上に書き込んだ情報が絶対に流出しないという保証はないのです。

AKB48の流出

今年の1月、人気アイドルグループAKB48のメンバー2人が活動停止を発表しました。裏アカウント(実名ではないアカウント)で投稿していた異性との親密な写真が、捜索隊によって発掘されたことが理由です。非公開設定でも、リツイートやコピペは晒されます。画像においてはそのまま見る方法もあります。つまり、一度発信した情報をコントロールすることはできず、先の「忘れられる権利」もこれに基づいてのことです。

SNSを社会人としての節度を持って活用している人もいます。しかし、社会人になると個人的と前置きしても、所属する組織と完全に切り離すことが困難であるように、学生と社会人の「節度」は異なります。そこで、新生活を前にした3月31日を「リセット記念日」にと提唱するのです。

ちなみに、配属先の上司はオジサンだからSNSなどわからないと油断してはいけません。仮に40才とすると、インターネット元年と呼ばれた90年代半ばは組織の中で一番の若手で、パソコンを覚えるように強制された世代です。よく言えば最先端、実状は「便利屋」としてこき使われ、ネットリテラシーが高い傾向にありますし、そもそもWeb業界関係の人なら、新社会人より「上手」とみて間違いないでしょう。

今回のポイント

不都合な過去はリセットしておくこと

最も過去を見たがるのは同僚

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