ユーザー視点からのチェック&想定閲覧目的の達成度合いは?
ユーザー視点からのチェック&想定閲覧目的の達成度合いは?
今回は、「かかりつけの近所のお医者さんからの紹介で、大病院である三井記念病院に診察に行く」というユーザーの視点で、サイトを見てみた。その視点から見ての評価を最後にまとめておこう。
ユーザー視点からの評価
全体としては、トップページでの情報提供で若干難があるものの、サイト全体のページの作り方は統一感がある。今回のサイト訪問目的に対しては問題ないレベルで、サイト訪問の目的を達成できたと言えよう。
想定目的の達成度合いは?
今回、初診で診療を受けに行くための事前調査として、想定した閲覧目的は、以下の3つだった。
- 病院の場所の確認
- 当日診察の流れの確認や準備
- 診療日と予約方法の確認
「三井記念病院」のサイトを見てきて、結果的に今回想定した目的の達成度合いは下記の通りだった。
目的 | 達成度合い |
---|---|
病院の場所の確認 | ○ |
当日診察の流れの確認や準備 | ○ |
診療日と予約方法の確認 | ○ |
前回+今回のまとめ&アクセス解析でどこに着目するか?
最後にデータ解析的にはどういうところに着目して数字を見たらよいかについては、前回の「帝京大溝口病院」のサイトの場合と一緒に解説していく。
- トップページは使いやすいか?
トップページは「帝京大溝口病院」の方がユーザーのお目当てのコンテンツに行きやすい構造ではないかと思う。直帰していなユーザーだけに絞って1訪問あたりのページビュー数を比較すると、「三井記念病院」の方が目的のページまで行きにくくて、相対的に多くなるのではないだろうか。トップページのページ滞在時間も(どこに行けばいいのか迷ったために)長くなっているのではないだろうか。
もちろんここでデータを相対比較することはできないので、「三井記念病院」のトップページは、コンテンツのリンクを探しに下までスクロールされることが多いのではないか、しかし下のコンテンツがクリックされるわけではないのではないかという仮説を立ててみた。逆に「帝京大溝口病院」の方はスクロールされることが少ないと考えられる。これらは「ヒートマップ」や「クリックマップ」などのデータを提供しているツールがあるので、そのようなツールを利用して検証してみたい。
あとは「三井記念病院」のトップページはグローバルナビゲーションのあるページとないページをA/Bテストでページ滞在時間を比較して、グローバルナビゲーションありのトップページの方が、ページ滞在時間が短くナビゲーションを素早く誘導しているのではないかという仮説を検証してみたい。
「帝京大溝口病院」のトップページは強いて言えば、メインビジュアルの左側の薄いオレンジ色のリンクのコントラストを上げることで、ここに位置するリンクのクリック率が上がるのか上がらないのかを検証してみたい。
あとは、「帝京大溝口病院」のトップページの背景色の切り替えボタンが本当に利用されているのかどうかを検証したい。面白半分にここをクリックすることはあっても、ずっとその状態で見ている人がどれくらいいるのかが分かれば、このボタンの有効性が明らかになる(特別な仕掛けをしないとそのような計測はできないとは思うが)。
- 人気ページを調べてコンテンツ誘導に活かしたい
前回、病院サイトに訪問する人の目的は大きく分けて、患者として訪れる場合と、医療関係者として訪れる場合(職員応募など)が考えられるという話をした。これらの人たちの割合も違うと思うので、単純に全体のページビュー数を比較してもあまり意味はないだろう。そこで、例えば患者が見そうなコンテンツの中で、相対的にどれが見られているのかによって、コンテンツの配置決めや、トップページに直接リンクを配置するといった判断ができるようにしたい。
直感的に言って、患者であれば、病院の場所、診療時間、自分の診療科のやっている曜日くらいしか見ないだろう。その仮説を持った上で数字を見て、もし意外なコンテンツが見られているのであれば、その理由を考え、どういうナビゲーションでそのページへ誘導したらよいのかのヒントとしよう。
- サイト内検索は活かされているか?
どちらのサイトもコンテンツが大量にあるわけではないので、サイトマップやサイト内検索の機能を使われることは少ないのではないかと思われるが、これらの機能を使う直前ページがどこか、直後に行ったページはどこかというデータを調べて、どこで迷っているのか、どういうリンクを張ってあげることでページ移動しやすくなるのかといったヒントとしたい。
またサイト内検索であれば、その結果表示のページが有効に使われて次のページに移ることが出来たのか、有効なページがなくて、戻ってしまったのかといったことも明らかにして、検索結果の精度あるいは有効なコンテンツを加えることのヒントにしたい。
◇◇◇
前回、今回と、病院のサイトを見てきた。病院サイトを見に来るユーザーは、訪問意図が明確だ。コンテンツやページをたくさん見たいわけではない。できるだけ素早く、知りたい内容を知りたいのだ。よって、サイト内を回遊させず、知りたい情報がどこにあるか、一目で分かるナビゲーションが理想だ。結果、ページ滞在時間や、1訪問あたりのページビュー数は少ない方がよいということになる。サイトの目的によって、指標も、指標の数値の大小も変わるということを知っておこう。
◇◇◇
この連載では、
- Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
- 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論
などを随時募集している。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。
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