企業ホームページ運営の心得

YouTubeとデジカメで問い合わせは増やせる。百聞が一見なら動画は千聞

動画を使えば商品のそのままを見せることができます。プロの映像を求めるのもいいですが、デジカメでも十分です
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百十伍

牛タンと震災

GW直前に「牛タン」が届きました。贈り主は、ある商品をヤフオクで落札してもらった方でした。東北地方への商品発送直後に震災が発生したため届けられなくなり、数日後にネットで連絡がとれたので返金する際に「寸志」を足したことへのお礼を兼ねたものでした。荷物には手紙が添えられており、つづられた内容から震災当日の状況が目に浮かびます。それは繰り返し流されたテレビの映像がベースです。

百聞は一見しかずといいますが、映像(動画)はより詳細な状況を伝えます。1000年後、2000年後の子孫に、「大震災」を伝えるためにプロアマ問わずに「震災動画」をどこかで集約させる必要があると感じたできごとでした。人類史に残る災害記録ですから、グーグルあたりに期待したいところです。

それはさておき、本稿はもっとチマチマした商売での「動画」活用の話。

かつての過ち

数年前は商売用ホームページでの「動画」の掲載に否定的でした。データ量が多い動画を、処理速度の遅いサーバーと貧弱な通信回線を用いて流すことのデメリットが目についたからです。また、後に例を挙げますが、素人の思いつきで撮られた動画はマイナスプロモーションになりかねません。

しかし、環境が変わった今は動画をすすめます。インフラの整備が進んだことは体感されていることでしょう。YouTubeを筆頭とする動画配信サービスが登場し、受け手であるパソコンの処理能力も飛躍的に向上しました。通信回線はいわずもがなで、ストレスなく携帯電話に動画をダウンロードできる機種やサービスも登場しています。そして一番の環境変化は視聴者が

素人映像に慣れた

ことです。かつては一笑に伏された素人動画への理解が深まったことには「ニコニコ動画」も一役買ったことでしょう。

動画で注文が舞い込む

動画の最大のメリットは「そのまま」を見せられることです。

自動車のバンパーをタバコ大の大きさにまで粉砕できる機械

と書いて、どんな機械がイメージできるでしょうか。機械の大きさや処理方法、バンパーを挿入する向き、操作方法など、これではわかりません。これらを文章で表現しようとすると次のようになります。

本体外形は四角い煙突状で、大きさは跳び箱を台の上に持ち上げたほど。本体上部を開いて自動車から取り外したバンパーを差し込み、スイッチを入れるとタバコ大に粉砕する

わかりやすくなったでしょうか。動きのある商品の詳細を文章で表現しようとすると複雑になりがちです。ところが、動画なら「そのまま」を映せばことたります。バンパー破砕機のデモ運転を「動画」で公開すると、次々と引き合いがありました。

できるだけカジュアルに

動画は気楽に撮影して公開します。わたしがオススメしているのは「デジカメ」です。手ぶれが気になるなら三脚にセットして撮影します。市販品のハンディカムならプロ並みの映像がとれますが、データ容量が大きくなり、編集するには相応のパソコンのスペックが求められます。その点、デジカメの動画は(比較的)軽いのです。また、被写体が人物の場合、「(動画撮影用の)カメラ」を向けられると途端に緊張してぎこちなくなるのですが、デジカメなら「軽いのり」で演じてくれます。携帯電話の動画撮影機能も高機能化していますが、こちらは手ぶれが激しいので、お手持ちならデジカメがいいでしょう。

プロに発注する必要はありません。そもそも動画に慣れていないと、客に伝えるコンテンツと綺麗な映像を混同して役立たずな「作品」に走る傾向があるのです。もちろん、予算が余って仕方がないのなら話は別で、ぜひ、わたしに個人的にご連絡ください。一作品100万円のカメラマンも用意できます。

本当にあった怖い映像

これは実際にあった映像です。

ある不動産サイトで動画再生ボタンを押すと、スケッチブックに書かれた「タイトル」が映しだされ、カメラは移動を始めます。リビングとおぼしき洋間から廊下へと「バック」で進むので映像は、後ろから前へと流れていき、新幹線で進行方向に背中を向けて進んでいる時の不快感に襲われます。

数メートル進むと回れ右して階段を上がります。2階の各部屋をウォークインクローゼットのなかまで進み、戻る時はいつも「バック」です。手ぶれがひどく映像を見ていると船酔いに襲われる様子はまるで「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」。職業柄、どんなコンテンツでも最後まで見ることにしているのですが、絶えず襲いかかる嘔吐感にブラウザを閉じたのでした。

どうやら「室内」を見て回るというコンセプトのようですが、それが伝わる前に生理的嫌悪感が勝っては逆効果。「動画」にするのは「動き」のあるものです。自らが動いて「動画」を撮るのはタブーです。

社長のコメントはOK

我が子の運動会を撮影するときも、我が子にあわせてカメラが動かしてはいけません。カメラは固定したままでも、被写体が動くことで「動画」となるのです。先ほどの工務店なら、「ダウンウォール」や「電動カーテン」、あるいは建築中の「職人」の作業風景が「動画」となります。どうせ「トライ&エラー」を繰り返すのです。まずは気楽に始めてください。

大事なのは商品の良さが伝わるかどうかですから、派手な演出は必要ありません。そして、公開はYouTubeなどの大手動画サイトを利用します。容量や公開が簡単というだけでなく、公開範囲の制限をしなければ、YouTubeを自社の「放送局」がわりに利用できるからです。

意外にも動画向きのコンテンツが「社長挨拶」です。客が見ることはあまりありませんが、取引先や下請け企業、なにより「社長本人」がみること請け合いです。そして動画を気に入れば社長自身が「宣伝マン」になってくれます。たまには「社長のための福利厚生」をしても罰は当たりません。

普及を待たれるHTML5では、動画は「ネイティブ」にサポートされ、今後はますます「ふつう」になっていきます。しかし、「良い映像」とは別のはなし。動画の一番の手本は「テレビ」です。特に「カメラワーク」は勉強になります。

今回のポイント

映像は動くものを撮影する

テレビ映像を手本とすると良い

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