企業ホームページ運営の心得

はじめてのCI。取り組みはコーポレートカラーから

CI作りの初手は色です。CIが定着すると、その色を見ただけで企業を想起するようになります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百十六

怪しい会社のCI

かつて勤務先で「CI」の策定を任命されました。CIとは「コーポレートアイデンティティ」の頭文字で、企業の理念を簡潔に表すことの総称ですが、私に与えられたミッションは新しい「ロゴマーク」の作成です。本稿ではロゴ、ブランド名、キャッチコピー、コーポレートカラーなど周辺にあるものすべてをまとめてCIとしています。

CIは便利です。チラシやDMなどでも「色調」が統一され、「ロゴ」とともに「キャッチコピー(あるいはミッションステートメント)」が掲げられていると立派な会社に見えてきます。もちろんホームページ、TwitterやFacebookでも同じ効果を期待できます。「怪しい会社」ほどCIがしっかり策定(なかみは嘘だらけでも)されているのは、逆説的な効果の証明といえるでしょう。

Web屋ならクライアントへの提案として、社内Web担当者ならプロジェクトやサービス単位で「CI」を活用できます。

いきなり踏んだ地雷

CIを策定するうえで、ヒアリングから開始するのは社内でも社外でも同じです。要望を汲み上げることが後の作業量を軽減するのはすべての仕事に通じ、決定権を持つ人の「逆鱗」を特定しておくことは処世術の基本です。会社員時代、これを知らずに地雷を踏みました。

いまの色使いはいただけませんね

会社員時代のCI策定ミッションでは、従来使われていた「ロゴ」はとりあえず作られたものだと聞いていました。そこで私が立ち上げた「制作部門」で、本格的なものを作ろうとなったのだ……というのは指示をだした所属長の思いこみでした。当時のロゴは、かつて社長がデザインしたもので、社長が期待していた答えは「変更する必要がない素晴らしいデザイン」と制作部門からの礼賛だったのです。

色気という基本

CI作りの初手は「色」です。CIが定着すると、その色を見ただけで企業を想起するようになります。厳密には「コーポレートカラー」。「オレンジ」といえばサッカーのオランダ代表……ではなく国内では携帯電話の「au」ですし、「モスグリーン」をみればスターバックスコーヒーを連想する人が多いのではないでしょうか。

コーポレートカラーは何色でもいいのですが、目立たなければ印象が弱く、見逃されることもあるでしょう。そこで「目につく色」を選択してください。私が踏んだ地雷は、白のキャンパスに黄色とピンクで描かれた幾何学模様でした。「目立たない色使い」を指摘し、社長のご機嫌を損ねたことでCI策定ミッションは「非公認」に格下げされました。

中小企業などでは「コーポレートカラー」がない企業が圧倒的に多いことでしょう。そんな時は「封筒の色」を参考にします。

CIの作りかた

ウグイス、ピンク、ブルー、イエロー、グレー、クリーム、オレンジなどなど。ビジネスで用いる封筒は定番商品だけでも、多くの色があります。そこに「社長の好み」が反映されるのは、嫌いな色の商品をわざわざ購入する理由がないからです。

「コダワリがあるわけではない」という言葉を鵜呑みにするのは厳禁です。私の指摘に、勤務先の社長は同じことをいっていましたが、私が提出したデザインをすべて「継続審議」にすることで非公認にしたのです。本当にコダワリがないとしても「お好みの色は」と尋ねるのがいいでしょう。

余談ですが、取引先を訪問した際に、さりげなく封筒の色を確認して「黄色がお好きなんですか?」と先方の社長に尋ねると好感度が上がります。実際の好き嫌いは関係なく、細部に目を配る神経の細やかさ……を演出できるからです。

アートではない

実際に図案化するコツは次回に紹介しますが、ロゴは「わかりやすさ」が重要です。会社員時代より100件以上のロゴを作りましたが、奇抜で斬新なものが受け入れられることは希で、色使いも単色やシンプルなものが好まれます。「デザイン」を評価できる能力を持つ人は多くないのです。

一目みただけで理解できる「わかりやすさ」により、客はロゴに込められた意味を理解し、上司やクライアントは決裁の判子を押しやすくなります。その反対は「ひとりよがり」です。特にアーティスト志向の強いデザイナーでよく見かけますが「作品」へのコダワリから難解だったり、センスが良すぎたりすると客は理解できないことが多々あります。ロゴは「作品」ではなく「商品」です。

「わかりやすさ」のために「名前(社名や商品名・サービス名)」や「業務内容」を図案化します。

ロゴから見えてくるもの

「Web担当者Forum」のロゴはサイト名であり業務内容でもある「Web」を図案化しています。工具通販を手がける「ヤスリドットジェイピー」の運営会社では「ヤスリ」を図案化してシンボルマークにしていますし、ある電気設備工事会社では「コンセント」をモチーフにしています。そしてさらに「わかりやすさ」を強めるために「理由」を用意してあげます。

「理由」を用意してあげることで、理解を容易にするのです。先ほど紹介したヤスリが3本ならんでいるのは、現社長が三代目のヤスリ屋であることを意味し、亀甲枠は先代が得意とする「ダイヤモンド加工」を表しています。電気設備会社のロゴのコンセントに「S」があるのは、この社長のコダワリである「誠意」を織りこんでいるからです。

工具通販会社のロゴ
電気設備工事会社のロゴ

応用は無限大

CIを策定することで、無理なく統一感がだせるのがサイト作成での1つのメリットです。「色」はもちろん、ヘッダーとフッターの定位置にロゴやキャッチコピーを配することでサイト全体に「統一感」が生まれるのです。これは新聞や雑誌などでも使われる「ページもの」の基本中の基本技だったりします。

次回は、実例を引用しながら具体的なデザインの「コツ」について。画力がなくても作る方法も紹介します。

会社員時代に取り組んだCI策定ミッションは、非公認となったことで地下に潜ります。そしてCIの強さを知ります。企画からデザインまで1人で手がけていた私は、「自分だけのCI」を乱発して、人脈と実績を拡げ……いまに至ります。独立時に最初に手がけたのはもちろん自社の「CI」でした。

今回のポイント

CIはまず「色」を決める

追求するのは「わかりやすさ」

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