有名サイト、かってに解析!

日本企業のサイトはトップページの情報量が多すぎる

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日本企業のサイトはトップページの情報量が多すぎる

外国の航空会社のサイトの例も紹介したので、トップページについても、もう少しお話ししておこう。

多少の偏見があるかもしれないが、おおむね日本の企業サイトはトップページのコンテンツが多すぎる傾向があるように感じている。「ANA」も「JAL」も海外航空会社のサイトに比べて、非常にコンテンツが多いのである。海外航空会社のサイトの多くは、非常にシンプルだ。たとえば図9の「アメリカン航空」のトップページを見てほしい。ほとんどの要素がファーストビューにまとめられ、しかも予約がメインだ

初回で「toyota.jp」を取り上げた際、リニューアルで非常にすっきりしたトップページに変わったことを評価させていただいたことをご記憶だろうか。

いろいろなことをお伝えしたいという思いは理解できないでもないが、「ANAからのお知らせ」の1つ1つを誰が見るのだろう? 執筆している時点(2011年1月27日)のトップニュースは霧島連山・新燃岳の噴火なのだが、一番上の「特別なお知らせ」のようなものこそ目立たせて、顧客に注意喚起を呼び掛けるような工夫が必要なのではないだろうか

多様なアクセス環境を意識して

図10:Android端末から見た「ANA」のトップページ
図10:Android端末から見た「ANA」のトップページ

さてちょっと話が逸れるのだが、最近iPhoneをはじめとするスマートフォンで普通のPCサイトを見る知人が周りに増えてきている。携帯の公式サイトは別にあるにしても、PCサイトをiPhoneなどで見るケースが、一般に増えているのだろう。この場合でも、ページの左上にフライト予約機能を配置しておけばアクセスしやすい。また「ANA」でも「JAL」でもこの予約機能のエリアの下に「テキスト版サイト」へのリンクが用意されている。PCサイトをモバイル環境から見る場合など、さまざまなアクセス環境を意識しているのは、良いことだ

さらに「ANA」の方は、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンからのアクセスはユーザーエージェントを認識して、図10のような表示をしている。ご覧のようにスマートフォンから見ると、このように利用頻度の高そうな機能をボタンとして並べており、非常に使いやすいインターフェイスに変身していることは好感が持てる

「ANA」の閲覧シチュエーションを想定

今回想定したサイト閲覧シチュエーション

のっけからトップページや予約機能についてずいぶん熱く語ってしまったが、今回は次のようなシチュエーションを想定してサイトを見ていくことにしよう。

誰が新規訪問の個人ユーザー
何の目的でフライト予約
何をしに「東京国際空港(羽田)」から「新千歳空港」へのフライトの検索と予約
どこのページへ航空会社(ANA)を指定してサイトトップへ

アクセス解析視点の仮想目標

上記の想定シチュエーションを、アクセス解析的に言い換えると以下のようになる。

  • 参照元が検索エンジン
  • 検索語が「ana」「全日空」など
  • ランディングページがサイトトップ
  • コンバージョンページはANA国内線の予約完了ページ

「ANA」をエキスパートレビュー!

それでは、このシナリオでサイトに訪問した人が遭遇するサイトの問題点を考えていこう。まずはじめは検索エンジンで「ana」あるいは「全日空」などを検索することになる。

2011年1月下旬現在で、「Yahoo! JAPAN」でも「Google」でも、これらのキーワードでは当然ながら、自然検索の1位に「ANA」が表示されている。「Yahoo! JAPAN」でも「Google」でも自然検索の上にリスティング広告(検索連動型広告)の表示があるが、他社も入札してきているためか、ANAもキャンペーンページの広告を掲載しているところは、よくあることながら悩ましい(図11図12)。どちらのリスティング広告もANAのトップページではなく「ダイナミックパッケージ(旅作・タビサク)」へリンクされている。

図11:「Yahoo! JAPAN」で「ana」を検索した検索結果画面
図11:「Yahoo! JAPAN」で「ana」を検索した検索結果画面
図12:「Google」で「全日空」を検索した検索結果画面
図12:「Google」で「全日空」を検索した検索結果画面

今回のまとめ

さて、前半はここまでだ。ちょっと本題に入るまでが長くなってしまったが、ここまでで、アクセス解析的にはどういうところに着目して数字を見たらよいだろうか。

  1. 検索連動型広告でパッケージツアーが目的でなかった人の割合の把握

    「Yahoo! JAPAN」「Google」ともに、検索結果画面で、間違えて検索連動型広告をクリックして「ダイナミックパッケージ(旅作・タビサク)」にたどりつくユーザーが多いのではないか、と思われる。そのような仮説のもとに、検索連動型広告流入別に、広告の「ランディングページ」から「次のページ」へ移動割合を調べ、「次のページ」に「このパッケージツアー関連以外のページ」が占める割合がどれぐらいか、すなわち間違えてクリックしたユーザーはどれぐらいいるのかを調べてみたい。

  2. 国内線の予約機能部分のテスト

    ここはアクセス解析などの数字では測りにくい部分なので、ユーザビリティテストを行ってみたい。次回にもまたがる話題になるが、具体的な予約のタスクを数人の被験者に試してもらい、操作しながら、迷った点などを話してもらうことで、改善ポイントを探ってみたい。私の場合であれば、すでに書いた通りだが、「時刻指定とあるが、これは出発時間を入れるのか到着希望時間を入れるのだろうか」とでもつぶやいたに違いない。

◇◇◇

さてこの連載では、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

などを随時募集していきたいと考えている。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。

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