居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り

■『ケータイ国盗り合戦』と『怪盗ロワイヤル』に共通すること

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■『ケータイ国盗り合戦』と『怪盗ロワイヤル』に共通すること

筆者

「ゲームはしないの?」

A子「いや、ケータイのゲームとかはよく遊んだりするんですけど。『怪盗ロワイヤル』とか『ケータイ国盗り合戦』とか」

S氏「あのへんは名前しか聞いたことないな。『ケータイ国盗り合戦』って、他のユーザーと国盗りとかするの? 『信長の野望』みたいな?」

A子「いや、別に他のユーザーと争うゲームってわけじゃないですね」

S氏「え????」

A子「自分でその場所にいけば、いつでも国盗りできます」

S氏「他のプレイヤーの国を盗ったりしないの?」

A子「しません」

S氏「それ、どこがゲームなの?」

A子「うーん…。ゲームかって言われたら悩むかも。けど楽しいですよ」

筆者

「『ケータイ国盗り合戦』は非常に興味深い事例だよね」

S氏「そうなんだ」

筆者

「まず、ゲームデザインの観点からみると“ゲームらしさ”と呼ばれている部分の多くは“ジレンマ”の存在にあることが多い

S氏「ジレンマっていうのは、要するに“あっちを立てればこっちが立たず”ってことね」

A子「そういうゲーム多いですよねー。でも考えるゲーム苦手なんですよ」

S氏「考えるのがおもしろいんじゃないか?」

A子「えー、ゲームするときくらい頭使いたくない

S氏「え…!!」

筆者

「『ケータイ国盗り合戦』をはじめとする最近のケータイゲームは、ビニールプチプチに近い感覚があるんだよね。なにか手持ち無沙汰なときに、『とりあえずやっとくか』的な

S氏「ビニールプチプチって、梱包材のビニールを指でつぶす遊びのこと? そんなのゲームじゃないと思うんだけどなあ」

A子「うーん、じゃあ私が好きなのはゲームじゃないのかなあ」

筆者

「『ケータイ国盗り合戦』のおもしろいところは、このシステムそのものは『国盗り合戦』という名前なのに、特に他のプレイヤーと国を盗り合ったりしないところなんだ。つまりこのゲームは、ネットワークを経由してはいるけれども、ネットワークゲームではなくてスタンドアローンのゲームになってる」

S氏「しかしそれだとゲームというよりスタンプ帳じゃない?」

A子「それがいいんですよ」

筆者

「国盗り合戦をプログラム単体で見ると、確かに単なるスタンプ帳に過ぎないんだけど、ジレンマがないわけじゃない。実際、プログラム的には国盗り合戦の仕組みは単純だけど、クリアしようと思ったら実際にその場まででかけないといけない。これは現実の時間とお金を消費するわけだ」

S氏「ああ。つまり、ジレンマがプログラムの外に存在しているから、人や環境を含めたゲーム全体を系(システム)としてみれば、ジレンマは存在しているのか」

筆者

「そのとおり」

A子「何言ってるかぜんぜんわかんない」

筆者

「えーと、だから、要するにプログラムとしてみれば単なるスタンプ帳でも、遊ぶには実際に時間なりお金なりを使わないといけないから、できるだけ早く、安くめぐろうと思ったらそれなりに頭を使うでしょ? この部分がゲームなんだ、ってことかな」

A子「でも、フツーそんなマジになってやんないっしょ。たまに『そういやあそこで国盗りしてないなー』と思って出かけたり、知らない土地にいったついでに国盗りしたりはするけど」

筆者

「そう、そうやってときどき思い出したように遊ぶっていうのが、最近のゲームのトレンドになってきてるんだよね」

S氏「そんなのが主流になっちゃうと、俺はつまらないなあ」

A子「でも実際、iPhoneも持ってるけど、すごい気合い入ったゲームとか、買っても遊ばないですよね。“あー気合い入ってるなー”って思うくらいで」

筆者

「そう。凝ったゲームよりも、『怪盗ロワイヤル』や『ブラウザ三国志』みたいな、ときどき断続的にやるようなゲームを結局遊んじゃうんだよね」

S氏「『怪盗ロワイヤル』ってなにがおもしろいの?」

A子「財宝を盗ったり盗られたりってところかなあ。もうちょっとでコンプできるってときに他のプレイヤーに財宝を盗まれたりすると本気でムカつくから!」

筆者

「『怪盗ロワイヤル』は随所にFlashアニメの演出が入って、結構飽きないように作ってあるんだよね。ボスが定期的に出てくるのも日本のゲームらしくていい。もともとはアメリカで大ヒットした『MafiaWars』の流れから設計されているゲームだけど、日本風のアレンジが効いてる」

S氏「Facebookゲームかあ。ああいうのもどうもなー。好きになれないんだよな」

A子「遊んでみると意外と楽しいんですけどね」

筆者

「さて、『怪盗ロワイヤル』と『ケータイ国盗り合戦』に共通していることがあるんだけど、なにかわかるかな?」

S氏「えー? ゲームっぽくないところ?」

A子「文字ばっかりのところ?」

筆者

「近い。でも僕が意図していたのは、どちらも“地図がないゲーム”だっていうことなんだ」

S氏「地図がない…。グラフィックスがないに等しい話だな。俺がおもしろくないと思うのはそこか」

A子「でも、『国盗り合戦』はオプションで地図を見られますよ」

筆者

「地図は見られるけど、それが主役ではないじゃない。地図じゃなくて現実の地形が重要なのであって」

S氏「地図はオマケに過ぎないと。確かに普通のゲームではマップが主役だからな。マップ専門のデザイナーとか企画者とか何人も抱えてるくらいだし」

A子「え、そうなんですか?」

筆者

「コンピュータゲームに地図、というかマップが必要になった背景の1つは、『コンピュータのなかに世界を構築する』という役割から来てるんだ。要するにコンピュータを一種の箱庭として、そこにいろんなものを用意してあげてプレイヤーをもてなす、ということだね」

S氏「その箱庭をできるだけリアルにするために、プログラマー達が血反吐を吐いた」

筆者

「でも、最近のケータイゲームは、地図を意図的に排除している。こうすることでゲームの地図が外在化し、プレイヤーは好きなイメージで遊ぶことができる。『国盗り合戦』ではそれが現実の世界という形で外在化し、『怪盗ロワイヤル』ではプレイヤーの想像力のなかで外在化するというわけ」

S氏「構築する世界システムをコンピュータの中だけで閉じない、という考え方ね」

筆者

「作り手の立場からいえば、箱庭世界を作り込むことは、神になることに等しいことだから、実はできれば作り込んだ世界を作りたい。けど、遊び手からしてみれば、それとこれとは別、ということになる」

S氏「うーん、おもしろくない結論だ(笑)。しかし3Dプログラミングをしていると、確かに神になったような錯覚はあるな」

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