■ARで現実の世界をゲーム化する

「確かに世界の作り手であるゲーム作家としては、現実の世界をゲーム化すると、ゲームの世界のコントロールが難しくなる。そこでなにか現実の世界をうまく利用しながらも、現実の世界の一部を作り込んで別の現実をゲーム化できないか、と思ったんだよね」
S氏「それが今回の『クリムゾンフォックス』か」
A子「次もやるんですか?」

「反響が思ったより大きくて、さっそく、翌週の月曜日には次回作へ向けて動き出したよ。今回は初回ということもあって、難易度とかゲームの規模とかの調整に悩んだけど、次回はもっと本格的なゲームにしていこうと考えているんだ」
S氏「今回、告知も急だったから参加できなくて残念がってる奴がうちの職場にも結構いたよ」
A子「新しい試みとしておもしろいですよね」

「まあARをゲーム化する試み自体は、それほど目新しいものじゃないんだけど、実際の店舗にこれだけ迷惑をかけて開催したイベントは、意外と珍しいかもしれないね」
S氏「まあでもおかげで結構良さそうな店に出会えたし、そういうのも楽しかったね」
A子「でもちょっとマーカーの位置が渋滞していて、それがわりと興ざめだったかなあ」

「もともと100人規模くらいが限界かなあと思って設計していたんだけど、入場制限したのにその倍は来ちゃったからね」
S氏「もっと他のプレイヤーと絡むような要素があればいいのになと思った。あの日、渋谷でiPhone持ってウロウロしてると、不思議な連帯感とかあったからさ」
A子「でもたった200人だったとは思えないくらい、町中のあちこちで見かけましたよね」

「意外と少ない人数でも、町中で滞留するとたくさんいるように見えるんだよね。今回の仕事で僕は渋谷が少し小さくなったように感じたよ」
S氏「土地勘ができるとそうだろうね。しかしデバッグが大変そうだ」

「そりゃー大変だったよ。なにしろなぞなぞでしょ? テストプレイをしようとすると、一度解いちゃうともうテストできないからさ。会社の人間を片っ端から拉致って、フィールドテストを毎日やったんだよね」
S氏「それでも難しすぎなくて良かったと思うなあ。そのおかげでみんなゴールできてるんだし」
A子「それは本当にそう思う。でももう少し、お話の要素とかあったほうが盛り上がったかも。『次が気になる』っていう部分とか。そもそも『クリムゾンフォックス』とはなんなのか、とか」

「みんな言いたいことはいろいろあるみたいだねえ。実際のところ、今回のゲームのバックグラウンドとなるストーリーは用意してあったんだけど、いきなりそういう話をドバーンと見せても、喜ぶ人とドン引きする人に分かれるんじゃないかと思ってさあ。一日限定のイベントだし、とり合えず間口を広げようと思ってそっちのストーリーのほうは、今回は省略したんだよね」
S氏「うーん、でもこれにストーリー性が加わると、悔しいけどコンピュータゲームよりおもしろくなっちゃうかもなあ。体を動かすだけでちょっと楽しいし。サバイバルゲーム感覚というか」
A子「今回、どんな人が参加してたんですか?」

「いろいろだよ。ふだん渋谷に来ない人や、恋人同士、果ては家族連れの人まで、たくさん」
S氏「次はiPhone 3GSでなくてiPhone 3Gでも参加できるようになるといいね」
A子「そうするともっと間口が広がりますね」

「すでに次回へ向けて企画はスタートしているから、そのあたりはご期待くださいとしか。でももっとゲームっぽい仕掛けも考えているよ」
S氏「それは楽しみだね」
その十四!
既存メディアはモバイルとのユニークな組み合わせに活路を見いだすべし!