迷わず行けよ、吉祥寺!――終わりのないトラブルとの戦い/【小説】CMS導入奮闘記#9
コラムCMS導入プロジェクトに潜むトラブル
プロジェクト管理を学ぶとわかるが、ほとんどのトラブルはプロジェクト初期に決定されている。つまり、プロジェクト初期(立ち上げ・計画)に見逃された要素がプロジェクトの後半でトラブルになるのだ。
トラブルを解決するための労力は、事前解決の数倍の労力を必要とする。また、トラブル解決のための負荷は制作側だけが負うものではなく、企業担当者にも大きくのしかかる。それでなくても、多くのCMS導入において企業担当者の負荷は小さくない。数百ページの確認などはよくあることで、各部署の調整はストレスのたまる仕事だ。数千頁の確認は、一頁あたりどのくらい時間がかかるかを考えないと「1週間確認をし続ける」ことになりかねない。
CMSの導入プロジェクトが初めての企業の場合、担当者や関係者が「進行中に初めて気づく」ことは多い。担当者本人から仕様策定後に、「やっぱりああしたい」と仕様変更を求めることもあるが、その行為は自分に何倍にもなって返ってくることを知っておくべきだ。
ITプロジェクトにおける最も重要なマイルストーン(プロジェクトで重要な意味をもつイベント)は「仕様策定」であり、CMS導入においてもそれは同じだ。プロジェクト途中の方針転換は、次のような結果を引き起こしてプロジェクトの失敗につながる。
- 担当者の負荷の増大
- スケジュールの遅延
- 予算の追加
- 品質の低下
7話のコラムの繰り返しになってしまうが、制作会社のプロジェクト管理能力と経験が不足する場合には、プロジェクトの成功率は低くなる。予算や社内政治の都合から、力量不足の制作会社と制作をしなければいけない場合には、発注側の担当者のプロジェクト管理能力が問われる。また、予算やスケジュールに余裕を持たせる必要があるだろう。
逆説的だがプロジェクトは不確実性があるからこそプロジェクトなので、完全な体制をつくることはできない。トラブルはつきものであり、その際に制作パートナーだけではなく社内の協力者は大切だ。
- 政治的に調整をしてくれる上司/経営企画層/役員
- 技術的な解決をしてくれる情報システム部門
- 作業負荷を分担してくれる同部署スタッフ
高負荷な企業担当者を「助けてくれる」これらのステークホルダーはプロジェクトの情報共有を行い、良い関係を築くことでプロジェクトのリスクを減らす事ができるだろう。
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