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ECモールと出店者の取引に関する独禁法上の問題点、モール内検索順位の不透明性などを公取委が指摘

6 years 1ヶ月 ago

公正取引員会(公取委)は10月31日、ECモールなどデジタル・プラットフォーマーの取り引きに関する実態調査の結果を公表した。独占禁止法や公正な競争政策において問題になるおそれがある取引慣行として、プラットフォーマーが出店者に対する取引条件を一方的に変更することや、モール内検索アルゴリズムを明示しないことなどを上げた。

一方的な規約変更による取引条件の変更

出店料の引き上げや、新たなサービスの利用を義務化して利用手数料を設定するといった規約変更を一方的に実施し、出店者に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題になるおそれがあると指摘している。

公正な競争環境を確保するには、プラットフォーマーは規約を変更する際に、「変更内容を事前に通知し、十分に説明する」「規約変更について出品者から合理的な意見が寄せられた場合には、その意見をできる限り考慮する」「規約変更の通知から適用までに十分な期間を設ける」といったことが必要だとしている。

公正取引員会(公取委)は10月31日、ECモールなどデジタル・プラットフォーマーの取り引きに関する実態調査の結果を公表
取引実態と評価―取引先に不利益を与え得る行為について(画像は公正取引員会が公表した資料を編集部がキャプチャ)

検索結果や手数料などで自社・関連会社を優遇

モール内検索の表示順位や決済方法、手数料などの条件について、プラットフォームを運営している会社や、その関連会社を優遇した場合、独占禁止法上問題になる可能性があるとしている。

公取委は、プラットフォーム運営事業者が取引の公正性や透明性を高めるために必要なこととして、「検索順位を決定する主なパラメータと、そのウエイトを明らかにする」「検索順位の上位を広告枠や自社関連商品にする場合、消費者に誤認を与えないよう、そのことを明らかにする」「手数料や表示方法などについて、自社や関連会社と、出品者との間で公平に取り扱う。異なる条件にする場合には、その内容や理由を出品者と消費者に明示する」といった見解を示している。

公正取引員会(公取委)は10月31日、ECモールなどデジタル・プラットフォーマーの取り引きに関する実態調査の結果を公表
取引実態と評価―競合事業者を排除し得る行為について(画像は公正取引員会が公表した資料を編集部がキャプチャ)

直販を有利にするためのデータ利用

ECモールなどの運営事業者が直販事業を有利にするために、プラットフォームを運営・管理する立場で得た販売データや顧客情報などを利用した場合、独占禁止法上問題となる可能性があると指摘した。

公正な競争環境を保つには、プラットフォーマーや関連会社は、デジタル・プラットフォームの運営管理を通じて得た販売情報や顧客情報などの利用の有無、利用目的、利用範囲などについて、出品者や消費者に明示する必要があると指摘している。

公正取引員会(公取委)は10月31日、ECモールなどデジタル・プラットフォーマーの取り引きに関する実態調査の結果を公表
取引データを利用した運営事業者の直接販売について(画像は公正取引員会が公表した資料を編集部がキャプチャ)

政府はプラットフォーマー台頭時代のルール整備目指す

政府は2018年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」において、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応するために必要なルールを整備する方針を打ち出した。これを受け、公取委と経済産業省、総務省は「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を2018年7月に発足。2018年12月に「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」を策定し、プラットフォーマーの取引実態に関する調査を実施するとした。

公正取引員会(公取委)は10月31日、ECモールなどデジタル・プラットフォーマーの取り引きに関する実態調査の結果を公表
本実態調査の要点について(画像は公正取引員会が公表した資料を編集部がキャプチャ)

公取委はオンラインモールやアプリストアの運営事業者を対象に、出品事業者との取り引きの実態を調査した。2019年1月23日に公取委のウェブサイト上に情報提供窓口を設置。2019年9月末までに、オンラインモールに関する情報は795件、アプリストアに関する情報は20件、その他の情報は99件が寄せられたという。

また、2019年2月から3月にかけて、出品事業者や消費者に対するアンケート調査を実施。さらに、プラットフォーマーや出品事業者に対する聴き取り調査も実施した。

渡部 和章
渡部 和章

プレゼン動画を活用するメリットと制作のポイント

6 years 1ヶ月 ago

プレゼン中の女性

動画が幅広い用途で活用される中、営業時や発表時などのプレゼン内で動画を活用する手法をご存知でしょうか。動画を活用することで、商談や発表をスムーズに進められる可能性があります。この記事では、プレゼン動画を活用するメリットや制作時のポイントを紹介していきます。

プレゼン動画としての動画の活用シーン

プレゼン動画として、動画が活用できるシーンは多岐にわたります。

採用説明会においては、職場の雰囲気や仕事内容をより具体的に紹介することができます。

株主総会や決算説明会など、数値データを多く扱う発表のシーンにも動画が活用できます。口頭のみでの説明が長く続くと、聞き手は飽きてしまい集中力が切れてしまう可能性があります。一方、動画では動きをつけて説明にメリハリをつけることで、視聴者が飽きない工夫をほどこすことも可能です。

また、動画を自社のウェブサイトなどへ掲載することで、株主総会や決算説明会に出席できなかった方に向けて、企業への理解を促す接点を作ることができ、イメージアップにつなげられる場合もあります。

プレゼン動画を活用するメリット

プレゼン動画にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのポイントについて紹介していきます。

理解度を向上させられる

商品やサービスによっては、文字や画像だけでは特徴や魅力が伝わりづらいものがあります。動画で直感的に商品やサービスの紹介をすることで、実際に利用しているユーザーにはより深い理解を促し、まだ利用経験がない潜在的なユーザーに対しては理解度の向上と販売促進が期待できるでしょう。

また、使い方や手順が複雑なサービスや商品の場合、動画なら使い方や手順を直接見せながら説明できるので、視聴者が理解しやすく、視聴者自身が使用するイメージを持ちやすくなります。マニュアル本を読みこむことが一般的な中、動画があれば視聴者は分厚いマニュアル本を読む必要がなくなります。映像と音で訴求する動画は、ユーザーの関心を高く保ちながら商品の魅力を発信できます。

さらに、顧客や取引先企業との商談やコンペのシーンなどでよく聞かれる質問とそれらに対する回答をまとめれば、営業ツールとしての活用もできるでしょう。

視覚的な訴求が可能になる

視覚と聴覚で、人間は多くの情報を得ているといわれています。とりわけ、人間の視覚に対する依存は大きく、視覚的な訴求力が高い動画のメリットは大きいでしょう。また、動画は感覚的に情報を伝えることに優れています。たとえば、文章や図では伝えきれない印象や雰囲気といった部分を、動画なら視覚的に表現することができます。

さらに、人は基本的に動くものを目で追う性質があります。画面に動きが生まれる動画は、プレゼンに取り入れるだけで視聴者の興味をより引きつけるでしょう。

また、プレゼンテーションでは一方的に登壇者が言葉のみで一方的に伝えるコミュニケーション手法になりますが、動画を使って視覚的な訴求も含めて伝え方を工夫すれば、より視聴者へ深く印象づけられる可能性が高まります。

未開拓の顧客層にリーチできる

プレゼン動画は、そのまま自社のウェブサイトに埋め込んだり、YouTubeにアップロードしたりもできるので、プレゼンテーション後の活用方法があることもメリットです。動画には、企業内のプレゼンテーションだけではなく多くの視聴者に見てもらうという活用法もあるのです。これは、一般の消費者のみが対象ではなく、他企業の購買担当者といった未開拓の顧客層にもアピール可能です。さらに、動画の質が良かったり拡散したりすれば、実現できていないプロジェクトの実現を助けてくれる企業が見つかる可能性も出てきます。

プレゼン動画を制作する際のポイント

プレゼン動画を制作する際に、気をつけたい点がいくつかあるので見ていきましょう。ここでは、2つの留意すべきポイントを紹介していきます。

世界観を重視する

動画制作でまず大切なのは、企業のブランドイメージや商材のイメージにあった世界観を意識することです。たとえば、ラグジュアリーなホテルのサービスをプレゼンテーションするのに、ポップな色調やイメージを多用すると、サービスと動画の印象にズレが生じ、サービスのイメージの統一性が失われます。

また、動画に使用するBGMも重要です。企業や商品のイメージにマッチしないものを選んでしまうと、違和感が生まれ、サービスのイメージダウンにもつながりかねないため、気をつける必要があります。

わかりやすさを重視する

動画に期待する役割のひとつとして、相手にプレゼンテーションの内容をよりわかりやすく伝えるという面があります。

たとえば、テロップの中で重要なキーワードは動画内で目立たせることでポイントとなる部分を視聴者に印象づけることができます。また、ひとつの動画は長くならないように配慮し、動画を複数にわけることもポイントです。

プレゼン動画の活用事例

プレゼン動画の活用事例もチェックしていきましょう。ここでは、動画制作サービスのCrevo(クレボ)が手がけた動画を3本紹介していきます。

ネットショップの顧客管理・育成ツール「MakeRepeater(メイクリピーター)」

出典:Crevo制作実績

ネットショップの顧客管理・育成ツールである「MakeRepeater(メイクリピーター)」のサービス紹介動画です。プレゼン動画だけではなく、営業ツールとしての活用も想定して作られています。

ナレーションと字幕、端的な文字での説明で、サービスの特徴と魅力を存分に伝えています。マーケティングツールは種類が多岐に渡るため、イメージが伝わりにくい商材であることも多いことを考慮し、アニメーションを活用し視聴者の理解を促す工夫がされています。

Wi-FiセキュリティVPNサービス「Wi-Fi Security for Business」

出典:Crevo制作実績

社外Wi-Fiを安全に利用できるサービス「Wi-Fi Security for Business」の紹介動画は、サービスの理解促進が目的です。冒頭で時間や場所にとらわれない働き方が求められる時代であることにふれ、視聴者に興味を喚起させています。そして、そんな時代に合うツールとして、すぐに利用を開始できたりサービスの信頼性が高かったり、または導入コストが低かったりする本サービスの魅力を端的に解説しています。シンプルかつ短時間にまとめることで、サービスの魅力が際立つ事例となっています。

 工法「ロードプラス」

出典:Crevo制作実績

本動画では、「ロードプラス」という、狭い車道の車道拡幅を行うことができる工法を紹介しています。3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)をうまく用いることで、言葉では伝わりにくい工法の過程をリアルかつわかりやすく再現します。拡幅工事について深い専門知識がない自治体の職員といった視聴者にも、理解しやすいプレゼン動画といえるでしょう。

プレゼン動画としての動画を活用しよう

プレゼン動画は、商品やサービスの魅力を端的に伝えるために積極的に活用したいツールです。プレゼン動画の活用シーンや得られるメリットは多いので、工夫次第で大きな効果が見込める可能性があります。動画制作サービスのCrevoでも動画制作を手がけているので、動画の制作を検討する際には相談してはいかがでしょうか。

動画制作サービスのCrevo

Crevoのプロデューサー
VIDEO SQUAREを運営するCrevo(クレボ)では、数多くの動画制作・映像制作にたずさわっています。国内外約5,000名のクリエイターネットワークを活かし、ご依頼ごとに最適な専属チームを作ります。また、はじめての動画制作でも安心のサポート体制が整っています。動画制作・映像制作ご検討の方はぜひお問い合わせください!

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「デジタルだけでは顧客価値を担保できない」――ディノス・セシールが印刷プラットフォームのグーフに出資した理由

6 years 1ヶ月 ago

ディノス・セシールは11月8日、パーソナライズされた訴求力の高い紙メディアの印刷を実現する印刷プラットフォームサービス事業のグーフに対して、第三者割当増資引受により出資したと発表した。

グーフとはすでに、ECサイトの買い物カゴに商品を入れても購入に至らないカート離脱対策で協業。カート離脱した顧客データをすぐにハガキDMの印刷につなげ、メールと同等のスピード感で送付して購入促進を図る施策を実施、メールのみ送付の顧客と比較した購入率が20%高いという結果を得ている。

ディノス・セシールは11月8日、パーソナライズされた訴求力の高い紙メディアの印刷を実現する印刷プラットフォームサービス事業のグーフに対して、第三者割当増資引受により出資したと発表
カートに商品を入れても購入に至らない「カート離脱」の顧客に対し、最短24時間で紙のDMを印刷・発送する取り組みのスキーム

ディノス・セシールでは、コストに左右されない最適な印刷数量、印刷場所が選べるといった配送距離の短縮などの環境対策面も含め、今後も紙メディアが事業戦略の中心となることが想定される。

アナログとデジタルの融合を加速させる新たなソリューション提供企業として、グーフが今後の重要なビジネスパートナーになると判断。成長性も踏まえ資金調達に応じることにした。CECO(Chief e-Commerce Officer)の石川森生氏は次のようにコメントしている。

「デジタルだけではディノス・セシールの顧客価値を担保できない」―EC責任者としてそう感じた瞬間から、紙によるコミュニケーションをデジタルテクノロジーを使ってアップデートする探求が始まりました。グーフ社はその誰も踏み入れたことのない未知の領域への水先案内人であり、ディノス・セシールの価値を未来へ繋げるためのミッシングピースかもしれません。私たちはこれから互いのアセットを掛け合わせ、いつもお客様に喜んでいただける持続可能なサービスを追求していきます。

グーフは、長年培ったデジタル印刷のノウハウをもとに、クライアント企業のMAやECなどのデータと連携してパーソナライズされた印刷データを生成。最短24時間での印刷を可能とするAPIサービス「Print of Things」を提供している。

「Print of Things」を利用することで、顧客ごとの属性に応じた印刷が可能になる。発送までの時間や発注ロットに左右される費用といった印刷課題の解決にもつながり、紙メディアを有する企業にとって自由度の高い印刷を実現するという。

さらに今後、クラウドで全国のさまざまな印刷会社の印刷機をフラットにつなぐネットワークサービスの構築もめざしている。

たとえば、クライアント企業の最寄りの印刷会社や配送拠点で出力。紙メディアの配送コスト、配送時間の削減が見込めるなど、グーフのテクノロジーが紙メディアにさらなる価値をもたらすことが期待できる。

ディノス・セシール7月、サイバーセキュリティ関連サービスを提供するFlattの第三者割当増資を引き受けたほか、9月にはファッションに特化したSNS型採用プラットフォームを提供しているREADY TO FASHIONにも、第三者割当増資を引き受ける形で出資している。このほか、10月9日にはファッションAI事業を展開するニューロープに対して、第三者割当増資の引き受けにより出資することを明らかにした。今期、スタートアップ企業への出資は4社目。

石居 岳
石居 岳

【寄稿】ウェブサイトの「一覧・詳細ページ分析と改善案」の考え方を学ぶGoogleアナリティクス勉強会に潜入してきました。

6 years 1ヶ月 ago

 

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こんにちは。
ネットサーフィンしていると見ているページの改善がしたくてたまらなくなる、提案型ウェブアナリスト兼ウェブ解析士の井水(いみず)です。

 

本日は、SEOやコンテンツマーケティングで有名な、Faber Company(ファベルカンパニー)の、Googleアナリティクスの勉強会に潜入してきました。


はじめは参加レポート程度で記事作成を考えていたのですが、社内でこんなサイト改善のノウハウや事例が学べるなんてずるい!と思いつつあれもこれもと使えそうなものをこっそりメモしつつ・・・(笑

 

詳細や事例の多くは公開できませんが、ダイジェストならOKということでシェアします。講師は、はいそうです「Faber Companyの社外取締役 Chief Analytics Officerでもある、ウェブ解析界の巨匠、小川卓先生」です

 

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本日のテーマはというと、こちら。


ウェブサイトにおける「一覧・詳細ページ分析改善案の考え方」

です。

 

ご存知の通り、コンバージョンUPのためにめちゃくちゃ貢献してくれるページたちの改善です。では、さっそくまいりましょう。

 

 

一覧ページの改善の考え方

小川さんの経験上、一覧ページの改善はどんなサイトでも改善すると良い共有点があるようです。そこで一覧ページならではの分析&改善ポイントとして、まずは以下3つを抑えるとのこと。

 

1. 一覧ページの目的は適切な選択肢を提示し選んでもらうこと
2. ヒートマップを活用して、利用されている箇所を明確にする
3. 絞り込み・お気に入り利用促進を狙う

 

それでは見ていきましょう。

1.選択肢を提示し選んでもらう

例えば不動産賃貸サイトの場合、ユーザーが一覧ページを見る際は何かしら希望の条件で絞り込んで物件を見ます。その際にどんな条件で絞り込んだ場合に、コンバージョンに結びつくのかを知ることが大切です。

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*絞り込み条件ごとの各指標まとめ (PPS = Pageview per session です)。

 

その結果、ユーザーにとってどういう条件で探すことが物件選びの決め手となるのか、そして、どれが成果につながっているのかを確認できます。上記のデータを見るだけでもたくさんの気付きがあるのではないでしょうか。

理由がわかれば、特集ページを作成する、優先的にレコメンドするなどの施策に繋がっていきます。まずユーザーがどういった手法やニーズで情報を探そうとしているのかを把握しましょう。 

2. ヒートマップを活用して、利用されている箇所を明確にする

一覧ページの閲覧箇所をヒートマップで確認すると最上部と最下部が見られていることがわかります。

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最上部はもちろん関連性の高い物件が出ているので、よく閲覧される傾向にあります。そして情報があるところの最下部は、そこでいったんスクロールが止まるため、目に入りやすくなります。逆に真ん中のエリアは見られていないことが多いようです。

離脱を防いで、一覧ページから詳細ページへ遷移すればするほど、コンバージョンにも結びつきやすくなりますが、一般的な遷移率は5割〜7割くらい。この数値は「エリア」「条件」など絞り込みをさせればさせるほどその率は上がっていきます

 

では、どのように絞り込みを促すとよいのでしょうか?
またどのように一覧ページの改善につなげると良いのでしょうか?

 

3. 一覧ページの改善方法
一覧ページを改善する際に押さえておきたいポイントは以下の3つです。

・絞り込みをしてもらうための機能×出すタイミング×出す場所

・一覧→詳細→CV(一覧情報少な目)一覧→CV(一覧情報多め)

・適切なものが無い時の「横ずらし」を提案する

ひとつ前提として押さえておきたいことが、ただ絞りこませるだけでなく「絞り込めば理想の物件に出会える」という直接的ポジティブコピーとセットにすることが重要です。

一覧ページに出している(各商品)情報が少なければ「詳細へ」に誘導するかがポイント。しかし一覧ページでの情報が多めだと詳細に行かずにコンバージョンしてもらうためのボタンが必要にになります。

 

更にユーザーの思いとして、1位ページ目にいい内容がでてこなければ、2ページ目にいっても、今以上に欲しい商品が出てこないと感じています。

その対策として1ページ目が終わると次の一覧ページ誘導するのではなく、別の条件の検索(絞り込み)を提案するということが効果的です。

 

具体例を見ていきます。

事例1)物件サイトで、一覧ページにさらに以下のような情報を加えるたことで遷移率が大幅にUPしました。

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事例2)
ヒートマップで離脱が多くなっている箇所を特定して新たな検索提案しました。

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以上絞り込み機能の利用促進の事例でした。

 

詳細ページの改善案の考え方

詳細ページならではの分析ポイントがあります。
それは以下の3つです。

1. いかに複数の詳細ページを見てもらうかがCVアップの鍵
2. ページ内のどの機能が利用され興味を持たれているのか
3. 商品状況をデータで取得して分析できる状態にする

それでは見てまいりましょう。


1. いかに複数の詳細ページを見てもらうかがCVアップの鍵

買い物をするつもりのユーザーの多くは指名買いではない限り、自分の欲しい物をわかっていないという傾向にあります。解決したい「こと」はあるけど、それに必要な「もの」が分からないという事です。

サイトにある商品を比較してもらうことでユーザーが自分の欲しい物を、より明確にすることが可能になり判断ができるようになります。そこで大切なのが、いかに複数の詳細ページを見てもらうかという視点です。 

ではどのように詳細ページを複数見ても得ばよいのでしょうか?
その対策を紹介します。



まず複数の詳細ページを見てもらうためにはレコメンドが鍵になります。

その上でのポイントは、譲れる条件と譲れない条件を分析から整理し「譲れる条件」をレコメンドするです。

 

例1)不動産物件を選ぶ場合
5万円以内の物件を探している人に8万円の物件をススメても絶対に刺さりません。

例2)旅行の場合
台湾旅行のプランを探している人に、ラスベガスのプランをレコメンとしても選ばれません。

 

これらからわかるように譲れる条件を察知してレコメンドするようにしましょう。
またレコメンドする理由をあえて記載することもユーザーの納得につながり評価を得やすいです。

 

2. ページ内のどの機能が利用され興味を持たれているのか

レコメンドのUIはABテストがオススメ(件数・情報量・並び順)です。
こちらは、やってみて良いものを採用することが確実です。

またヒートマップツールでどの機能のニーズが高いかを把握し、利用を促進することも良いでしょう。


その際の確認ポイントとしては、

・CVあり・CV無しのセグメントで分析
・スクロールの離脱ポイントを対策する
・閲覧時間が長いところへの対策、情報の必要あり/なしの切り分け

などが挙げられます。

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次は技術的には高度になりますが、とても有効な方法を紹介します。

3. 商品状況をデータで取得して分析出来る状態にする

Googleアナリティクスを設置するだけでは取れないデータを、カスタムディメンションをつかって取得するという手法です。

 例えば商品ごとの在庫やセールの有無です。
これらを取得することで、

 

・在庫なしのページをどれくらいみられているか
・値引きしている商品とそうでない商品どのくらい購買に差が出るのか

などがわかります。

 

一般的に売れてる商品はよくチェックされますが、お客様が買いたいと思っている商品なのに在庫不足のものは売れない商品と見られがちです。これは機会損失を招きます。

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これらはデータ取得のために工夫が必要ですが、有効なデータは取得すると改善が加速します。 


どんなページでも使える改善案の考え方

一連の改善ポイントを学んだ上で最後はグループワークを行いまいした。
テーマは以下です。

 

Q. 結婚式場のチャペルのページのレイアウトを考えてみましょう。

さて、各チームに別れて皆さん色々なアイデアが飛び交います。

でた意見の一部を紹介します。

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・チャペル全体像を移した写真
・花嫁のこだわりを叶える設備やスタッフ
・音楽を流す

 

などなどどれもユーザーのニーズに応えられそうな内容が盛りだくさんでした。

 

結果、
小川さんからの回答は・・・

ユーザーのニーズに合わせてコンテンツを入れる→50点

気持ちを考慮したコンテンツと導線を用意している→100点

 

よくユーザーのニーズに応えるコンテンツを作るとはいわれますが、もう1点「読み終わった後の気持ちを想像しコンテンツを用意する」という点を意識してページを作る。

つまりコンテンツづくりはそのページに何が必要かだけでなく、次に何が必要になるかをセットで考えることが重要とのことです。

 

私もワイヤーフレームはよく書くのですが、コンテンツを作って公開後にリンクを付け足していく、ボタンを目立たせる経験が多々あり。また他社の分析で導線を整理するだけで成果が上がったことも多々あり。

作ってから交通整理をするのでななく、目的地へ迷わずたどり着ける道を作ることがコンテンツ制作のあり方だと改めて感じました。

 

その後は質問タイム、沢山の質問がでてこれまたFaber Company社員さんの熱量が感じられました。

 

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最後に

本セミナーの学びとして、記事を読んでくれた方が次に役立ちそうな、小川さんの記事のリンクを付けておきます!

 

www.mediatechnology.jp

 

それはHappy Analytics!!

ナイキがデジタル+ショッピングの新店舗「実店舗でデジタル主導の体験を」

6 years 1ヶ月 ago

スポーツブランドのナイキは11月1日、ナイキメンバー(会員)の意見や会員データを活用して品ぞろえやサービスを変える新店舗「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」を東京・渋谷に出店した。

ネットで注文した商品の店頭受け取りや、アプリを通じた特典の提供など、デジタル技術を活用したサービスを展開。実店舗でデジタル主導の体験を提供する。

「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」は「Like Live」と呼ばれる新しいコンセプトストア。会員データなどをもとに、消費者のニーズに対応した商品やサービスを提供する。ナイキによると米国以外で「Like Live」を出店するのは今回が初めて。

アプリを活用して実店舗の買い物体験を変える「NIKE アプリ・アット・リテール」のコンセプトを採用。店頭の商品バーコードをスマホアプリで読み込むことで、商品情報を閲覧できる。商品の店頭受け取りや、取り置きもアプリで行える。

「NIKE アプリ・アット・リテール」を採用している実店舗は、日本では「NIKE HARAJUKU」(東京・原宿)に続く2店舗目。

「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」ではこの他、アプリ内のメンバーパスを使ってデジタル自動販売機「Nike Unlock Box(NIKE アンロック ボックス)」から無料ギフトを3週間に1回の頻度で受け取れるサービスなども提供している。

渡部 和章
渡部 和章

GoogleのBERTアップデートはコンテンツマーケティングにどのような影響を及ぼすのか?

6 years 1ヶ月 ago
2019年10月末にGoogleはBERTと呼ばれるアップデートを導入したことをアナウンスしました。検索キーワードの10分の1に影響を与えるという発表もあり、多くの注目を集めました。BERTとは「検索キーワードとコンテンツの理解をより良く行えるようになる」という技術となりますが、具体的にはどういった変化があったのでしょうか。BERTがもたらした変化とSEO担当者としての考え方を、ニール・パテル氏が提案している記事を紹介いたします。 続きを読む

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップを公開します

6 years 1ヶ月 ago

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップを公開します。

ツイートは下記にまとめました。

次のブログなどにて取り上げていただきました。

こちらは出演者のブログ

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(6)木達 一仁さん

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、木達 一仁さん(ミツエーリンクス)の『【クロージング・トーク】インクルーシブネスを超えて』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

コメント

クロージング・トーク「インクルーシブネスを超えて」を担当しました木達です。

CSS Niteでの登壇は今回が通算で5回目、昨年9月に開催されたLP58「Coder’s High 2018」以来だったのですが、終始、早口かつ声が上ずり気味で、聞き取りにくいところが多々あったと思います(アンケートでもご指摘をいただきました)。まずはその点をお詫びいたします、申し訳ありませんでした。

講演内容につきましては、他の登壇者の皆さんがお話しされた内容にほんの少しずつ触れながらも、締めのセッションとして私が特に強調したかったのは以下の2点です:

  • 電気や水と並ぶまで情報がライフラインと化した昨今、Webコンテンツにとって必須の品質としてアクセシビリティを捉え、それを高めるための取り組みを、業界としてますます強化しなければならない
  • そうした取り組みに着手することは大事だけれど継続はもっと大事であり、いきなり欲張ったりせず「できること」から少しずつ、プロセスとカルチャーの両面から実践していただきたい

特に2点目については、「小さく産んで大きく育てる」という言葉を用いてお願いをしました。ともすると、いきなりWCAGやらJIS X 8341-3やら、小難しいガイドラインを読み始めがちなのですが、当日の配布資料にあった植木校長の「基本のキ」から小さく始めていただければと思いますし、澤田さんが解説された「ちゃんと画像の代替テキストをつける」、最初はそれだけでも十分かと思います。

ただし、一度始めた取り組みは、途中でやめたり縮小させないでいただきたいと思います。そうしていただくことで、確実にWebはよりアクセシブルなメディア/プラットフォームへ進化し続けるでしょうし、それが回り回って社会全体に、あるいは異なるニーズをもつ私たち一人一人にきっと良い影響をもたらすと、私は信じます。

アンケートにご記入いただいた感想はすべて、拝読させていただきました。「勇気づけられました」「心が軽くなりました」「小さく始めていこうと思います」「モチベーションが上がりました」「もっとやる気が出ました」など、大変ありがたい感想もあって、嬉しく思います。またいずれ、ご縁がありましたらCSS Niteの場でお目にかかりたいと思います。改めて参加された皆様、そして鷹野さん・植木さんはじめ運営側で尽力くださった皆様に、感謝申し上げます。ありがとうございました。

質問と回答

品質の先に何があるんですか!

哲学的な問いをありがとうございます。深いですね……脊髄反射的には「幸福」という言葉が思い浮かんだのですけど、自分もその答えが知りたくて、さまざまな品質向上の旗振り役を担ってきた気がします。あくまで一意見として、ご納得いただければ幸いです。

Tシャツ欲しいです

本当(本気)ですか?ありがとうございます!!実は、私が着ていた「アクセシビリティ チョットワカル」とプリントされたTシャツは、SUZURIというサービスで作ったもので、同じものをどなたでもご購入いただけます。ちなみに何枚お買い求めいただいても、私に儲けなどは発生しませんので、ご安心ください。

アクセシビリティっていう呼び名、アクセシブルじゃなくないですか?日本語で適切な呼び名あると思いますか?

逆に気になったのは、なぜ「アクセシビリティ」という呼び名がアクセシブルではないとお感じになったか、です。発話しにくいでしょうか、それとも意味が類推しにくいとお考えだからでしょうか。私自身は、もう何年もこの言葉と向かい合ってきたせいで麻痺してしまったのか、特にアクセシブルでないと感じたことはありません。そのいっぽうで、障害者対応や高齢者対応という色がついてしまっている印象から、別の言葉に置き換えられないか……などと考えたことはあります。

あらゆる製品やサービスの基本要件、基本品質としてアクセシビリティの認知が進めば、いずれ「アクセシビリティ」という言葉を使わなくてもよくなるかもしれません。

「アクセシビリティおじさん」自称するのは良いですが「1社に1人」のように役割として呼称するのは疎外感があります。年齢や性別で固定されるものではないはずなので

おっしゃる通りだと思いますし、自分が言葉足らずで失礼しました。年齢や性別関係なく、アクセシビリティ向上の旗振り役という意味合いで「アクセシビリティおじさん」という言葉を捉え直していただければ、ありがたく思います。言い直させていただけるなら、私が申し上げたかったのは、「1社に1人」くらいにまで旗振り役の数が増え、自分がその中に埋没してもむしろそれで本望、ということです。

インクルーシブとユニバーサルは同じものと捉えてよろしいのでしょうか?

異なる言葉である以上、辞書的かつ厳密には同じ意味ではないわけですけど、Webデザインという文脈において実務上は同じものと捉えていただいて支障はないと思います。ユニバーサルデザインとは何か、については障害者の権利に関する条約の「第二条 定義」に、以下のようにあります。

「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。

まさにその、「最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる」ようにするためのアプローチとして、より上流の工程から多様なユーザーを想定し、あるいは実際に多様なユーザーと一緒になって(巻き込んで)デザインに取り組む手法が、近年呼ばれているところの「インクルーシブデザイン」と自分は理解しています。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(5)小林 大輔さん、樋田 勇也さん

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、 小林 大輔さん、樋田 勇也さん(サイボウズ)さんの『サイボウズの組織的な取り組みとビジュアルデザイン』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

コメント

ご参加頂いたみなさま、本当にありがとうございました。登壇者の小林です。アクセシビリティをいかにチームで取り組んでいくか、私自身も試行錯誤の日々です。
発表した内容がそのまますべての組織に当てはまるとは限らないかもしれません。それでも、理想を大切にするマインドや、みんなを巻き込むプロセスの考え方は、きっと多くの組織で必要になると思います。
参考になることが一つでもあれば嬉しいです。

同じく登壇者の樋田です。当日は多くの方に、都心だけでなく全国からお集まりいただき大変感謝しております。アンケートを全て拝見させていただきました。アクセシビリティが特別な対応ではなく普段のデザインの延長にあることをお伝えたしたのですが、それがちゃんと伝わっていることが感じられてとても嬉しいです。
懇親会でも話題になりましたが、どうかアクセシビリティ 対応は「できる/できない」という考え方をしないでほしいなと思います。ハードルを感じた時は「実はすでに出来ていること」を探してみるのもオススメです。

質問と回答

小林/樋田それぞれにいくつかご質問をいただいているので下記で回答いたします。

ガイドラインはどんな内容ですか?実際に見てみたいです

(小林)現在、kintone チームにはデザインガイドラインと実装ガイドラインがありますが、
例えば実装ガイドラインの場合だと、以下の項目があります。それぞれに数行の説明があるという構成です。今回の「アクセシビリティ確保の基本のキ 10 項目」に近い内容になっています。

  • マークアップ
  • 画像
  • ボタンとリンク
  • 入力フォーム
  • 見出し
  • ホバーとフォーカス

発表でもお伝えしましたが、ガイドラインそのものではなく、ガイドラインをもとにチームを支援したり、議論していくことがとても重要だと感じています。

ガイドラインで困ったことはありますか?

(小林)ガイドラインを作成すること自体はそこまで難しく感じたことはなかったです。
どちらかというと、ガイドラインから外れた実装等が見つかったとき、どんな風に交渉して修正してもらうかが難しかったです。
後から指摘するのは辛い交渉になりがちですし、修正できないことも多いので、できるだけ早いタイミングで一緒に相談しながら実装する、といった対応がおすすめです。

アクセシビリティ検証会にはデザイナーやディレクターは参加しましたか?どう巻き込んだらよいか、コツがあればききたいです。

(小林)サイボウズの場合、週 1 の検証会にはディレクターは参加していませんが、デザイナーは積極的に参加しています。
ディレクターを巻き込めた事例もいくつかあります:

  • 外部の講師の方を招いて、講演をしつつ、ワークショップとして検証会も同時に行う
  • 外部の障害当事者の方を招いて、ユーザビリティテストを行い、観察してもらう

社外の講師や社外の当事者の方が話すと、説得力が強まりますし
普段、勉強会等に参加しないメンバーにも参加してもらえたりしました。

ユーザのことを考えると、時間がかかったりコストがかさんだり・・・な印象があります。決定権のある人との交渉はどのように行なっていますか?

(小林)まずはコストをかけずにできるところからやってみてはどうでしょう。例えば HTML は、ほとんど工数に変化を与えずに、アクセシブルにすることができる場合があります。

コストがかかる場合は難しいですね。サイボウズでも試行錯誤していますし、うまくいかないことも少なからずありますが、例えば、決定権のある人にユーザビリティテストに参加してもらい、その直後に問題をまとめて、優先度の交渉をして、改善したことがあります。問題を体感してもらった直後に交渉をしていくのがいいと思っています。

業務が多くて、なかなかアクセシビリティの話をチームに共有できません。どうしたらよいですか?

(小林)今回紹介した、社内のグループウェアでの共有は、最初の活動として比較的やりやすいと思います。今回の CSSNite の感想や、アクセシビリティのニュースなどを、少しずつ共有してみてはどうでしょう。

輪講形式の勉強会は、最初の 1 回目~ 2 回目くらいは発案者が発表をする必要がありましたが、そのあとは、担当者を決めて持ち回りで発表していくことにしたので、忙しくても継続することができました。

アプリという言葉はアプリケーションをイメージしてややこしいと思ったのですが、そのような意見は出なかったのでしょうか?

(樋田)デスクトップ版、モバイル版に限らず、議論になるところです。今回は kintone において「アプリ」という言葉がすでにプロダクト内外問わず広く使われており、変えてしまうことの方の混乱が大きいだろうということでそのままになっています。

やわらかいデザイン、やさしい感じのデザインなどを求められたとき、コントラスト比の確保が難しいように思うことがあるのですが、難しくないですか、そんなことありませんか。どう対応されてますか。

(樋田)同じ疑問を持っているデザイナーの方も多いと思います。確かに難しいように感じてしまいますよね。
WCAG や JIS のコントラスト基準は「あらゆる要素」に対してコントラスト比をつけるよう求めているわけではないので、やわらかいテイストのデザインの中でもコントラスト比を確保することは可能だと思います(例えばロゴはコントラスト比を確保する必要がないです)
デザインの中で「すべての人に伝えなければいけない情報」が何かを整理した上で、柔らかい雰囲気を出すための要素と、ちゃんと情報を伝えなければいけない要素を分けてみることをオススメします。分けることが難しい場合は、代替の要素を置いてみるなど工夫をしてみてください(ヘッダーイメージ上のテキストはコントラストを確保できないけど、その下のテキストを読むことで理解できるようにする、など)。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(4)澤田 望さん

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、澤田 望さん(SAWADA STANDARD DESIGN)の『代替テキスト決定ツリーの使い方』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

セッション4「『代替テキスト決定ツリー』の使い方」を担当いたしました澤田です。
岡山の中年講師の話を最後まで聞いていただきまして、本当にありがとうございました!

アンケートでもたくさんの質問を寄せていただきましたが、参加者の皆さんが自分事として真剣に考えていただけた結果かなと、たいへん嬉しく受け取っています。
次回フォローアップにて、すべて回答いたしますので、少々お待ちください。

画像に対する代替テキストは、さまざまなアクセシビリティ向上施策の中でももっとも基本の「キ」でありながら、実に奥が深い(難しいという意味ではなく、様々な解釈や手段のある)トピックです。
そういう意味では、代替テキストに対する考え方にも多様性があることを感じていただけたのではないかと思います。

勉強会「リーダブルな夜」では、セッションやハンズオン終了後に参加者の感想や意見を伺う時間を設けて、なるべく登壇者からの一方通行にならないよう、お互いに知識を深められるように努めています。
今回はそれがSNSであったり、懇親会であったり、別の形でしたが様々なご意見を伺えたことは素直に嬉しかったです。

当方自身は普段、一般企業/公共系サイト等のアクセシビリティ検証作業を担当することが多いのですが、いまだに代替テキストに関する問題は多く、なかなか減らない印象を持っています。
「誰が考えるべきなのか」「本来の担当者に考えてもらうためには、組織や仕組みなど何をどう変えればいいのか」を含めて、皆さんが代替テキストと向き合い、現状より少しでも改善されることを願っております。
その際に「代替テキスト決定ツリー」がお役に立てれば本望です。

勉強会「リーダブルな夜」
URL:https://readable-na.world/

次回は7月8日(月)19:30からの予定です。
詳細が決まりましたらSNSでご案内いたします。
もし岡山にいらっしゃる予定のある方、興味がございましたら是非ご参加ください!

「情報過多なのでは」というご意見について

参加者の皆さん、本当に多くの疑問質問をいただきましてありがとうございました。「情報過多なのでは」と疑問を感じられた方から、次のようなコメントをいただきました。

  • ギモンが残った。
  • 「alt=""」で良いケースが多かったかと...
  • alt書きすぎ問題も発生する可能性があると感じました。
  • 主観を入れるのは疑問。視覚健常者が得る情報よりも上回っている。受け手に判断させるべきでは?
  • 本当に必要なのかな... Twitterを見たらご意見がいろいろあって、もう少し基準があると良いなと思いました。
  • 感覚的な話が多く、結局制作者側の考え方次第のような気が。特に例えで出た内容は現実的ではないと感じた。
  • どこまでaltで補足するか(長すぎて伝わらないかも?)ちょっと悩みます... クライアントにも知ってほしいかも。
  • alt属性は、イメージが主のコンテンツ以外ではあまり詳細を書くとかえって本文の読み下しにじゃまでは... と気になった。
  • 情報量が多い画像のaltの内容には個々の考えや好みがありそうで、マークアップ以上に宗教戦争の火種になりそうだと思いました。
  • 情景的なものはライティングになってくるので、コンテンツ作る人でないと本当に適切なものは書けないかな。勝手に想像してもまずいし。
  • 挿絵のaltは場合によってはノイズになってしまうかと思ったので、これまであまりつけてませんでしたが、つけた場合もいいのかなと考えさせられました。
  • Web小説などで写真や挿絵があった場合、テキストは入れないのも小説の世界を提供するアクセシビリティなのではと思いました。そもそもどのタイミングで写真の代替テキストが耳に入ってくるのか。

私の見解は以下の通りです。

まず、小説であれば純粋に文字から想像して楽しむための文学作品ですので、著者が望まない写真や挿絵はそもそもコンテンツとして入れるべきではないだろうと考えます。しかし、著者が納得の上でコンテンツに入れられている写真や挿絵であれば、それは何らかの効果を狙った(もしくは説明が必要だと判断した)画像だと考えられますので、その画像の内容を代替テキストに書くべきだと考えております。ただし、どこまで著者が関与したコンテンツなのかという情報は、実装担当者まで届かないケースも多いでしょうから、そのような状況で実装担当者が自らの判断で代替テキストを創作することは危険だと思います。そのような場合は代替テキストを空にするという判断もあり得るでしょう。

当方は検証する側の立場が多いですので、「代替テキストの内容が足りないのでは」「代替テキストの内容が不適切なのでは」といった指摘をすることがあります。しかし、コンテンツのオーナーや原稿制作者から「そのままで問題ない」と判断されるケースは少なくありません。セッション後半でお話ししたように「適切さ」についてはコンテンツ/原稿制作者側ではないと意図を汲んだ判断ができません。現状では実装担当者が判断しなければならない案件や体制が多いと思いますので、コンテンツ/原稿制作者側に代替テキストも考えてもらえる運用体制づくりの必要性を感じています。

今回、当方がカモメの写真を例にしたページで「小説の挿絵なら?」というタイトルをつけたことは、皆さんに疑問を抱かせる結果となってしまいましたので、説明する題材のタイトルとして良くなかったと反省しております。また、文学作品的ニュアンスのないコンテンツを例にすれば、皆さんがもっと理解しやすい題材になったかもしれません。

また、次のようなコメントもいただきました。

  • 例題のブルースのaltについて。それ以外のaltも...。写説のさし絵のaltなど。altをつけることによって情報過多になり、逆に分かり難くなることがあると思いますが、その場合どうしていますか?
  • 等価性を担保するのが難しいと感じた。却って悩みが深まってしまった。
  • 文字数は短い方が良いと思ってましたが、長くても良いですか?

「情報過多かどうか」の判断について、当方は「画像の中から視覚的に読み取れる情報かどうか」「付随的な情報(写真に映り込んだ意味のない看板の文字など)ではないか」の二つを軸に判断をしています。「多い/少ない」ではなく「足りているか/足りていないか」での判断です。

例えば、非常に多くの代替テキストを設定した画像に対して、スクリーンリーダーの利用者は「長くて理解しにくい」という感想を抱くかもしれませんが、ビジュアルブラウザーの利用者も同じ画像から同じ(もしくは近い)情報量を得ているはずです。ただ、一次元的な音声に比べて二次元的な視覚情報の方が全体像を把握しやすいため、重要な事項を認知(取捨選択)するための負荷が少なくて済む(ので苦にならない)のではないかと考えています。代替テキスト全体の情報量は多いまま変わらなくとも、個々の文を短く切ることで音声の認知負荷を下げることはできますので、なるべく長文は避けると良いと考えます。

「リーダブルな夜のテーマ」の例については、たしかに「不安げに」の部分はあの画像からは読み取れませんでしたので、おっしゃる通り情報過多でした。申し訳ございません。

さらに、このようなコメントもいただきました。

  • カモメの例など「phとかぶらない情報を」というのは同意なのですが、オス/メスの説明など、むしろ文章からもphからもわからないことをaltだけで言ってしまっていて、情報過多なのでは?と思います。

(※「ph」の部分が読み解けませんでしたので、「ph」のまま表記しています)
あのユリカモメの写真は当方が撮影したものですが、撮影した際には大きさの違う複数の個体を確認していました。その中からオスだと判断した写真を今回使用しましたが、あの写真の中だけでは確かに比較対象がないためオスだと見分けることは難しいですね。その前提がない状態で考えると、たしかに、おっしゃる通り情報過多といえるかもしれません。

その他のご質問/ご意見と回答

実例では本文と画像の例でしたが、実際には本文、画像、その画像のキャプションで構成される原稿が多いです。こういった場合でのaltに迷うことが多いです。具体的な指針はありますか?

「画像+キャプション+本文」も「画像+本文」と考え方は同じで、「意味がある画像なのかどうか」「隣接するテキスト(この場合は本文+キャプション)で説明されていない内容がないかどうか」を判断します。
代替テキストとキャプションと、どちらを充実させるかという判断になった場合は、キャプションの方を充実させましょう。見えるテキスト情報の方が、より多くの利用者に恩恵がありますので。

上流の方々に響きやすいaltを設定する意味としては何になりますか?

当方がお話ししたのは、「代替テキストの内容が適切なのかどうか、を判断できるのは上流の担当者であることが多い」という内容でした。ですので、「上流の担当者に納得してもらいやすい代替テキストを書きましょう」という意味ではありませんでした。当方の言葉が聞き取りづらかったり、スライドが理解しにくかったかもしれません。その点はお詫びいたします。

なかなか大規模サイトだと全部は難しいなとは思った。/「適切さを判断できる人」に挙げられた職域の人にどう対応してもらうか、について課題だと考えています。

(※2名の方からの質問をまとめさせていただきます)

大規模サイトの隅々まで徹底させることは、代替テキストに限らず難しいことですよね。言葉による啓蒙だけでは難しい壁があります。当方の過去の経験では、ガイドラインの整備と並行して原稿のフォーマットを作成し、代替テキスト入力欄を設けるなどし、原稿制作者に入力してもらう仕組み作りを進めていました。とはいえ、一方的に押し付けるのではなく「ここはこんな感じの説明を入れるといいですよ」的なフォローは必要ですし、原稿制作者側とコミュニケーションしながら進めることが重要ですね。

デザイナーが代替テキストを指定する必要はありますでしょうか?

コンテンツに使用されている写真/グラフ/図などは、上流の担当者ではないと判断ができないものが多いですが、ナビゲーションエリアにおけるアイコンや商品画像など、デザイナーでも判断できる画像はあります。
特にサイト全体で使用される共通画像については、実装担当者と調整しておく必要があると思います。

誰が代替テキストを書くことになるのかの話がもう少し詳しくお聞きしたかったです。

今回は「代替テキスト決定ツリーの使い方」がテーマのセッションでしたので、誰が担当するのかというテーマについてはあまり時間が割けませんでした。ただ、決定ツリーを使って様々な判断基準を知っていただいても「実際の業務では自分たちの負荷が増えるだけ」と捉えられないよう、担当の件についても少しだけ触れました。より理想的な制作フローに改善できるよう、少しでもヒントになっていれば幸いです。

辻ちゃん植ちゃんの時間にもでてきたが「アーリエリア?ウェルアリア」と聞こえた単語は何ですか?

聞き取りづらかったようで申し訳ございません。「WAI-ARIA(ウェイ・アリア)」という、アクセシブルなリンチ・インターネット・アプリケーションを制作するための(属性を追加する)仕様になります。

組織図のaltは「組織図」にしていました。さっそく見直します。

実際のコンテンツの構成を見ないと判断は難しいです。組織図を描いた画像とは別に、組織の内容がリストなどテキスト情報として十分に実装されているような場合でしたら、「組織図」で問題ない可能性もございます。ただし厳密には組織図の制作者ではないと「テキスト情報として十分」かどうかの判断はできませんので確認は必要です。もしテキストで説明しきれていない部分がある場合は、補足していただけたらと思います。

idで紐づける方法で読み上げた場合、内容が被ったりしないのでしょうか?

読み上げ時の操作方法と、スクリーンリーダーの仕様によって違いはありますが、Mac版VoiceOverなどは一つ一つのオブジェクトを指定して読む場合、aria-describedby属性に関係付けられた対象を読み上げますが、ページ全体を自動で読む場合はaria-describedby属性に関係付けられた対象を読み上げません。ですので、関係付けられてはいますが、読み上げ時に重複しているという印象は受けにくいのではないかと感じています。

「イラスト:◯◯」の「:」コロンですが、つけたほうがよいでしょうか。読み上げた時うざったいのかなと思って... 半角スペースにしてもよいものでしょうか。

うざったいかどうかの判断はできませんが... 当方は「:」の後に続く文面の中で半角スペースを使う可能性が高いと感じており、区別がつきにくいため、「:」を使うことが多いです。また、スクリーンリーダーによっては「:」などの記号を読み上げないものもありますので完璧ではないです。

アクセシビリティ的にはnullとすべき場合に、SEO的要請からはどのように対応すべきでしょうか?当該画像に特段の意味がなければ問題ないでしょうか?

意味のない装飾画像に代替テキストは設定すべきではありません。力強く空("")にいたしましょう。

スライダーのimgが複数枚ある場合、altには何を入れますか?

(キービジュアルエリアなどのカルーセル表示する)スライダーには、複数のimg要素を使用することが多いのではないかと思いますので、それぞれのimg要素にそれぞれの代替テキストを設定します。最新の制作事情をキャッチアップできていませんので、時流に乗っていない回答でしたら申し訳ございません。もし、1つのimg要素の内容を動的に書き換えて画像を切り替えるような仕組みの場合は、alt属性値も画像に合わせて切り替える必要があります。

レスポンシブデザインでPC用スマホ用で同じ意味を持つ画像をそれぞれ別の画像で表示する場合、altはどのようにいれれば良いでしょう?(片方は空にしていたのですが、iPhoneのVoiceOverでは表示されるスマホ用しか読み上げないらしく)

回答になっているかどうか自信がありませんが、レスポンシブWebデザインで表示する画像を切り替えるのでしたら、img要素+alt属性値を複数用意するのではなく、srcset属性+sizes属性などを利用して画像を切り分ける方法ですと、alt属性値は一つで済みますのでシンプルで良いのではないかと感じています。

今回のスライドのような実際の良い例をたくさん見れるところがあれば教えてください。

業務で関わりのある企業サイトを直接ご紹介することはできませんので、なかなか難しいのですが、米国内の空港に乗り入れる日本の航空会社(米国航空アクセス法の対象)のサイトは充実している印象を持っています。

代替テキストの適・不適を判断してくれるソフトとかないでしょうか?

残念ながら「内容が適切かどうか」を判断してくれるソフトウェアは存じ上げません。自動ではありませんが、 Web Developer などの機能拡張を使って画像と代替テキストを並べて表示することができますので、「内容が適切かどうか」の判断がし易くなると思います。また、 A11yc のような、画像と代替テキストの一覧表を作成してくれるツールは効率的にチェックができて便利です。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(3)辻 勝利さん(コンセント)、植木 真さん(インフォアクシア)

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、辻 勝利さん(コンセント)、植木 真さん(インフォアクシア)の『辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシブル GO GO!!「スクリーンリーダーで『Backlog』を使ってみる」の巻」』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

辻 勝利(コンセント)

先日はお忙しい中、Webアクセシビリティの学校特別授業にご参加いただき、本当にありがとうございました。 これを機に、皆様と様々な分野のアクセシビリティを高めていけることを願っております。

僕たちのセッションでは、スクリーン・リーダーを使ってBacklogを操作している様子をご覧いただきましたが、もしかしたらこれをきっかけに、ご自身でもスクリーン・リーダーを触ってみようと感じてくださった方もいらっしゃるかもしれません。

このフォローアップでは、そんな方のお役に立てるよう、スクリーン・リーダーと便利な関連リンクをご紹介したいと思います。 是非アクセスしてみてください。

NVDA

無償でオープンソースのスクリーン・リーダーで、今回デモで使用いたしました。

VoiceOver

Mac OSやiOSに標準搭載されているスクリーン・リーダーです。

植木 真(インフォアクシア)

辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」をご存知ですか?

実は、2007年9月~2011年5月まで、辻ちゃん・ウエちゃんは、ポッドキャストをやっていたのでした。その迷コンビが復活してのセッション、アンケートを拝見すると、皆さんに楽しんでいただけたようで嬉しく思っています。

「アクセシビリティ」というと、必ず話題に上がるのがスクリーンリーダー。そして、最も難易度が高いのも、スクリーンリーダーのアクセシビリティ確保ではないかと思います。

でも、必要以上に身構えることはありません。今回「Backlog」を事例として紹介した基本の「キ」を実践してみるだけで、辻ちゃんにとってもより快適に利用できるコンテンツに「高める」ことができます。

スクリーンリーダーの読み上げを初めて聞いたという方もいらっしゃいましたが、辻ちゃんが紹介しているリンクなどを参考に、まずは体験してみてください。Windowsユーザーの方には、「NVDA日本語版 操作ガイド」に沿って試してみることをオススメします。

質問と回答

Q1.ページ遷移するものが、aではなくbuttonだったり、ハンバーガーメニューのような開閉イベントを処理するものがbuttonではなくaだったり、この辺のHTML要素の使い方はあまり気にしなくて大丈夫なのでしょうか?

情報を設計するときにアプリ内でこういうパーツはボタンで、こんなパーツはリンクで、みたいにきちんと一貫性を持たせてもらえれば良いのではないかと思います。スクリーンリーダーの「NVDA」の場合、ボタンはB、リンクはKで拾い読みすることができるのですが、例えば、全てボタンだけで作られていたとしたら、もしかしたらユーザーとしては押したいボタンを探すのが少し大変かもしれません。とはいえ、サイト内やアプリ内で操作に一貫性があることがもっともありがたいこと、のような気がします。

Q2. aとbuttonの違い、使い分けがだんだん分からなくなってきました...。どのように分けるべきですか?

ページ遷移するものはリンク(a要素)、何かの機能を実行するものはボタン(button要素)にしたほうがよいと考えます。例えば、ユーザーがブラウザの新しいタブやウィンドウで開けるなら、それはリンク(a要素)だと考えればよいという考え方もあるようです。

Q3. フォームで氏名を入力する場面で、「氏名:姓[ ]名[  ]」のような場合、labelは姓と名だけにつければいいでしょうか?

「姓」と「名」をlabel要素でマークアップするのに加えて、全体をfieldset要素で囲んで、「氏名」をlegend要素でマークアップすることで、全体をグループ化できます。

Q4. 色を反転していた理由は、見づらいからだったのでしょうか?

スライドの色を反転していた理由は、その通りです。白の背景に黒文字よりも、黒などの濃い背景に白文字のほうが、見えやすく目に負担をかけないといわれています。海外のアクセシビリティのカンファレンスでは、スライドの背景を黒にすることが推奨されていることもあります。

また、ロービジョンなどの視覚障害がある人は、PCの画面を白黒反転していることがあります。伊原さんのセッションでも紹介されていた動画を最初からご覧いただくと参考になるかもしれません。

Q5. 辻さんはセッションの内容を覚えて喋っていたのでしょうか? 点字メモ等があるのか?

点字ディスプレイを演台の上に置いて、点字を指でなぞりながら、スライドの内容にあわせてお話をしていました。ディスプレイはBluetoothで演題下に置いたPCと接続されており、話している間にもTwitterでメンションされた内容も表示されておりました。ちなみに、辻ちゃんが使用しているのは、Focus 40 Blue V 点字ディスプレイという点字ディスプレイです。もちろん、ウエちゃんと入念な打合せとリハーサルを繰り返して、本番に臨みました。

Q6. CSS無効化はどれぐらい使うものなのでしょう?

普段はほとんど使うことはないのですが、想定している操作が行えなくて困ったときなど、ふと思い出してCSSを無効化して試すことがあります。ただ、画面上から隠してあるものまで(エラーメッセージとか)読み上げてしまうので使いづらいことも多いのですが…。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(2)松森 果林さん

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、松森 果林さん(聞こえる世界と聞こえない世界をつなぐユニバーサルデザインアドバイザー)の『誰もが隣にいる人と一緒に楽しむために』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

参加者の皆さま、こんにちは。松森果林です。

拙い話を最後まで楽しんでいただき、誠にありがとうございました。普段あまり意識することのない、聞こえない世界や聞こえにくい世界について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しく思います。

そして、ひとつでも多くの動画コンテンツに字幕がつくといいなぁと願っています。字幕付きのとっておきの動画ができたら、教えてくださいね!楽しみにしています。

今回の授業をきっかけに、お仕事や日常の生活の中で「こんなとき聞こえない人だったらどうするんだろう?」「見えない人だったら?」「車いす使用者だったら?」そんなふうに想像する習慣をつけていくと、世界がちがって見えてくると思います。

著書

もっと知りたい!という方は拙著を手に取っていただけると嬉しいです。

ダイアログ・イン・サイレンス

また、「伝える」ことを生業としている皆さんにおススメなのが「ダイアログ・イン・サイレンス」というエンターテインメントです。

音を遮断し、言葉を使用せず、90分間言葉の壁を超えて対話を楽しむエンターテインメントです。日本では2017年初開催にあたり、私は企画監修に関わりました。今年で三年目となり、参加者からは「この体験をすると世界中どこでもだれとでもコミュニケーションがとれる気がする」などの感想があり、企業研修としても活用いただいております。チケットがあっという間になくなってしまうので、興味のある方はぜひお早めにどうぞ!

  • 期間:2019年8月9日(金)~18日(日)10日間
  • 会場:LUMINEゼロ NEWoMan新宿 5階
  • 時間:11時~19時20分スタートの回まで(1日18日回予定)
  • 参加費(事前予約制):大人4,500円、大学生3,000円、小・中・高校生2,000円

詳しくは、ダイアログ・イン・サイレンス公式HPをご覧ください。

質問への回答

Q1. 音楽やカラオケはどのように楽しむのですか?

聴覚障害者でも音楽が好きな人、関心を示さない人など様々ですが、楽しみ方は人それぞれです。

音楽は、ヘッドホンや車の中で最大音量にして音楽を楽しむ人から、手話歌や、手話パフォーマー、ダンサーなどもおり、ろう者の太鼓グループなども各地にあります。楽しむ手段も多様で、音を振動に変えるデバイスは、ヘアピン型、ボール型、クッション型、ジャケット型、手に握るタイプなどもあります。

カラオケの楽しみ方は、歌詞が表示され色が変わることから歌うタイミングが分かりやすいですよね。ガッツリ歌う人から、手話で歌う人、手話で表現する人など様々です。聞こえない人同士の場合は、音程やリズムなど関係なく超音痴でも堂々と歌えたりします(笑)

私個人としては、音楽は大好きで昔の歌(昭和の…)なら今でも覚えています。

ライブは、歌っている人の表情、声を出すときの呼吸や動き、そして空気を伝わる響き、お客さんの拍手など臨場感を感じられるので、来日公演なども良く行きます。そしてその時には、必ず前の席を確保するようにします。見えることが大事なんです!

Q2. 手話は世界共通ですか?

よく聞かれる質問です。

手話は言語です。音声言語に英語やフランス語、中国語などがあるのと同様に、手話もちがいます。同じ英語圏でも、アメリカ手話とイギリス手話では大きな違いがあります。

また、国内でも方言があるのと同様に、手話も地域による違いがあります。国際会議や多様な国の聞こえない人が集まる場では「国際手話」が使われます。

手話は、国の文化や歴史を反映した表現も多くあり、例えば「食べる」という表現でもアメリカではパンを食べる表現、日本ではお箸をもって食べる表現など視覚的にイメージしやすい豊かな表現力を持った言語なのです。

Q3. 日本語と手話は違うの?

手話は音声日本語とは異なる独自の文法をもった言語です。

Q4. Web動画に字幕があると視聴率があがる、最後まで見てもらえる根拠は?

  • Discovery Digital Networksの事例:公開日からの2週間で比較すると閲覧数が13.48%増というデータが示されています。
  • Facebookの事例:閲覧時間が12%増というデータと、A&W Canadaでも閲覧時間が25%増えたという事例も紹介されています。
  • TBS NEWSの事例:伊原さんのセッションでも紹介されていた事例です。

Q5. ジェスチャー交じりで話す人のジェスチャーはノイズにならない?

面白い質問ですね!

程度や人にもよりますが、ジェスチャーと手話は別物なので、特に気にならないのではと思います。意味もなく手を動かすことはあまりないと思うので、ジェスチャーがあったほうが会話の助けになることも多くあります。

Q6. 美容で気を付けていることは?

笑うこと、睡眠時間の確保、毎日甘くない甘酒を作って飲むこと。

CSS Nite実行委員会

CSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業 フォローアップ(1)伊原 力也さん

6 years 1ヶ月 ago

2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、伊原 力也さん(freee)の『あなたの価値を高めるアクセシビリティ』セッションのスライドなどを公開します。

フォローアップ

ご参加いただきありがとうございました!またアンケートへのご回答もありがとうございます。すべて拝読しました。

私にとって、調べ物をするうえでGoogle翻訳は欠かせません。横断検索サイトを使うことも多々あります。海外の動画だとYouTubeの字幕を活用します。Kindleはスピーチ機能で読んでいます。いつもイベント申し込みフォームの入力はキーボードで進めますし、このフォローアップはmarkdownで書いています。

みなさまが感想欄に書いてくださったとおり、Webは、その存在そのものが圧倒的にアクセシブルになるように作られたメディアです。そのプラットフォーム上で、適切なUIとしてのテキストを準備してマークアップするだけで、分母へのアプローチとなるだけでなく、ときに想像を超えるほどにコンテンツの価値を増幅させることに繋がります。

つまりWebアクセシビリティとは「Webの仕組みに則り、Webの力を活かす」ことであると私は考えています。Webを作っている私たちがその取り組みを少しずつでもはじめることで、利用者が増え、それが伝搬することでWebの価値は高まり、最終的には自分たちの周りや、ユーザーとしての自分に還ってきます。

冒頭で挙げた私の話は、その一例です。誰かがアクセシブルにしてくれたから、私はアクセスできています。そしてみなさんが今読んでいるこのメッセージもまた、そういったWebの一部なのです。このフォローアップページはやがて、アクセシビリティについて調べているであろう多くの人の目に触れるようになるはずです。それが届くのは、このページがアクセシブルなWebに在り、マークアップされているからです。

このつながりを感じて、これからの取組みに活かして頂ければ幸いです。

なお、7月20日(土)にはJapan Accessibility Conference Vol.2が渋谷アベマタワーズで開催されます。今回も300名規模のお祭りとなる予定です。みなさまのご参加をお待ちしております!

質問と回答

アクセシビリティに関する情報収集はどのように行っていますか?

主にTwitterです。Webアクセシビリティ関連の資料まとめ というドキュメントがあり、ここで出てくるような資料を作っている方々をTwitterでフォローしているため、私のTwitterタイムラインには割とアクセシビリティ情報が流れてくるようになっています。

あとは、このドキュメントの冒頭にも載っているA11YJ Slack Teamに参加してみると、イベントや書籍の情報などがキャッチアップできます。

障害当事者が身近にいないこともあり、どういう使い方をしているか、どこが困るところかなどを知ることができるサイト・動画があれば教えてください。

パソコン操作動画集というページがあり、ここにいくつかYouTubeから抜粋された動画が紹介されています。この他にもYouTubeで、たとえば「視覚障害 iphone」のような形で障害のタイプ+デバイスで検索したり、「筋電スイッチ」「視線入力」などの支援技術の名前で検索してみたりすると、いろいろ見ることができます。

支援技術の種類については、東京都障害者IT地域支援センターの展示支援機器(ハード)一覧が参考になります(実際に展示も行っています)。

読む習慣のない、または読むことが苦手なユーザーに対してはどう配慮が必要ですかね & リッチ化するコンテンツとアクセシビリティとの両立の具体例があればご教示頂ければ

いくつかのパターンに分かれると考えられます。まず下記2パターンの場合は、やはりテキストをマークアップして提供することが最善手でしょう。

  • 文章を読むことは可能だが提示されたフォントでは読みにくいような場合は、ブラウザ側でフォントを置き換えることができます。
  • 目で追うのは苦手だが音声なら読めるというケースであれば、スピーチ機能などを使って読み上げることで問題を解消できます。

しかし、このどちらでもなく、テキストや文章という表現形態自体が苦手なユーザーもいます(最近の写真や動画をメインとしたSNSの流行は、その兆候を感じさせます)。ここへの回答は、ある題材を多面的なメディアで伝えるということになるかと思います。

たとえば今回のイベントでは、セミナー動画、スライドPDF、UDトークによる発話書き起こしが提供されます。セッション内で紹介したログミーというサービスも、動画に対して書き起こしを提供しています。このようにいくつかの方向から情報が提供されていれば、自分の状況にあったメディアを選択することができます。

こういった提供形態をなるべくかんたんに用意するには、UDトークYouTube Liveを組み合わせるのがよさそうです。具体的な手順は以下です。

  1. YouTube Liveで動画を撮影します。
  2. UDトークで発話をリアルタイムで字幕化します(具体的な方法)。クオリティを担保するため、複数人でその場で修正を行うのがよいでしょう。
  3. UDトークから取得した発話ログに、発言者や環境音などの情報を追記します。
  4. YouTubeの動画に対し、UDトークの発話ログを「文字起こしと自動同期」という形でアップロードします。

私の同僚の中根さんによる、実際に上記に近い手順を試してみたYouTube動画がありますのでご紹介します。参考になれば幸いです。

売りにつながるという部分がどのサイトでもそうなのだろうかと感じています。ターゲットによっては効果が薄いのではないかと思います。

アクセシビリティとターゲットと効果についてはかなり慎重な議論が必要だと考えています。

まず、どういったコンテンツをどう活用するかは受け手に委ねられています。よく言われる例として「全盲の人がカメラの情報を欲しがるのか」という話があります。これは、以下の観点で「欲しい人にとっては欲しいに決まっている」という話になります。

  • 記録用や、撮ったあとに誰かに確認してもらう前提で、ふつうに使う
  • もともとカメラが好きで、視力が弱まったあとでもガジェットとして興味がある
  • その企業や関連企業に投資していて、新製品の動向が気になる
  • 誰かに頼まれてスペックを調べている
  • 贈り物として探している

松森さんのお話にもあったように、私たちには一緒のものを見て楽しみたいという前提があります。そうであればターゲットにしていない人を排除するという考え方はデメリットになるはずですし、企業イメージという観点からも望ましくない振る舞いです。コンテンツが狙っているターゲットと、さまざまな閲覧状況への対応というのは分離し、なるべく多くの状況でアクセシブルに作るよう取り組むのが原則ではあると考えています。

ただ、実際の効果の話とは別に、やりやすい案件とそうでない案件があるのは事実です。現時点では、発注側がアクセシブルにする必要があると考えるものと、そうでないものがあるということです。ユーザーにとっての緊急度や重要度の高い情報、客観的一次情報に近いもののほうが対応が必要だという判断になりやすく、いっぽうプロモーション系は優先度が落ちる、ということが多いでしょう。

ここは、その状況を上手く活かすほうに持っていったほうが、最終的にアクセシブルになるサイトを増やせると私は考えています。そのあたりの考えはツイートにまとめました。

たとえば今回、CM字幕を提供している会社の一覧を見て、私は少なからず好感を持ちましたし、BacklogやKintoneは良い会社が作っている製品であるというイメージも持ちました。現時点では多くの会社がまだ手をつけられていない状況ですから、やはりできるだけ外に言っていくことが相対的に企業価値を上げることに繋がると感じた次第です。効果は作り出すことができます。そういった視点での価値の増大にも、ぜひ目を向けてみていただければ嬉しく思います。

なお、私はこの「アクセシビリティ vs ターゲット」という構造を、最終的には破壊したいと考えています。CMだから字幕がないとか、プロモーション系は後回しとかは、本来はおかしな話です。アクセシビリティを必要とする人がターゲットとして認知されるようになることでこの状況は変わるという仮説のもと、「アクセシビリティで一発当て太郎」としてfreee社にて日々可能性を模索しています。ご興味があるかたはツイートをご覧ください。

音声ブラウザのバージョンアップは誰にお願いすればよいのでしょうか?

ここでのバージョンアップというのは、以下の3通りの解釈ができそうです。

  • ユーザーがより新しいスクリーンリーダーにバージョンアップすること
  • 既存のスクリーンリーダーの機能がより高機能になるようにベンダーが改修すること
  • ユーザーがより高機能なスクリーンリーダーに乗り換えること

いずれにしても、これはユーザーとコンテンツ提供者とベンダーが互いに発展することが必要だと考えられます。バージョンアップしないのは、現状で満足しているから……というとポジティブですが、以下のような構造により、実際は妥協せざるを得ないケースが多いからだと推定しています。

  1. アクセシブルでない、または使いにくいコンテンツがWebに蔓延している。またそれらのWebサイトの使い方は一貫していない
  2. ゆえにユーザーからするとWebを使うことはモグラ叩きのような探索となってしまい、高度な使い方に取り組むのは合理的でない行動となってしまう
  3. 結果としてタブキー連打+決定キーといった、どのサイトでも通用するであろう使い方だけを頼りに、それで使い物になるサイトだけを利用する傾向が強まる
  4. この使い方においては高度な機能が必要ないため、スクリーンリーダーをバージョンアップするモチベーションや、スクリーンリーダーの機能を高機能にする理由が出現しない

この状況を改善するには、上記を反転させる必要があります。

  1. ユーザーが、使いたいと思うコンテンツの提供者に対してアクセシブルにすることを求める
  2. コンテンツがアクセシブルになるよう提供者が改修する
  3. アクセシブルになったコンテンツを利用するための閲覧技術をユーザーが身につける
  4. その閲覧技術を発揮できるようなスクリーンリーダーを選定する
  5. より高度な使い方に対応できるようスクリーンリーダーベンダーが製品を改善する

論理的にはこうなるものの、実際のところとして、妥協で済んでいる状態から行動を起こそうとするには非常に大きなパワーが必要になります。ただし前例がないわけではありません。私たちはガラケーからスマートフォンに歩を進めました。それは新しい可能性を手に入れたいという気持ちが、現状維持の気持ちに打ち勝ったからです。私はこれをヒントにして、これはぜひ使いたいと思うようなものを皆が作り、かつそれをアクセシブルにしていくことができれば、状況を変えることもできるかもしれない、と考えています。

CSS Nite実行委員会

DtoC+実店舗+サブスクで成長の「FABRIC TOKYO」。森CEOに聞く成功要因と次の一手 | 通販新聞ダイジェスト

6 years 1ヶ月 ago

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)は、初回のみ店舗で採寸し、2回目以降は簡単にオーダースーツやシャツなどをウェブ注文できるD2Cブランド「ファブリックトウキョウ」が好評だ。今年5月には丸井と資本業務提携を結び、実店舗展開も加速している。足もとでは同ブランドでサブスクリプションサービスも開始。「物販にとどまらず、より付加価値の高い小売りのサービス化に挑む」と語る同社の森雄一郎CEOに、D2Cの事業環境や取り組み状況を聞いた。

旧態依然とした業界にメス、カテゴリー絞って品質担保

――米国ではD2Cブランドでユニコーン企業が誕生しているが、事業環境の違いは。

「まずは資金力が違う。日本ではこれまでメディアサイトやC2C、プラットフォーム事業にベンチャーキャピタルや投資家が出資することが多く、大きく資金調達できる物作り企業はなかった。また、日本では起業家や経営者、幹部クラスの人材の流動性が低く、優秀な人材が物作りの会社に入ってこなかった。いまは少し変わってきていて、一定の認知度と規模感のある当社には、大きな企業の転職組も注目してくれている。ただ、起業直後のベンチャーが優秀な人材を確保できるかというと難しい」

――環境の変化は。

「実店舗の出店に際して日本の百貨店では、出店料は売上歩率で徴収するケースが多いが、丸井さんのような有力小売り企業が賃貸テナント型に転換したことは大きな変化だ。また、最近は日本の資金調達も数億円規模では驚かない水準になってきた。ベンチャーマーケットが非常に活況なため、ベンチャー企業に流れ込む投資がこの数年で倍増している」

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)の森雄一郎CEO
森雄一郎CEO

――投資先は。

「インターネットセクターだけでなく、リアルの場が絡むようなベンチャー企業にも資金が流れ始めている。足もとではインターネットで完結するビジネスではなく、OMOと呼ばれるリアルなものをオンラインとマージ(併合)して新しい事業モデルを作ろうという機運が盛り上がりつつある。現状、GDPの6%くらいが小売り産業で、そのうち約10%がECチャネルということは、インターネットをメインにした小売りはGDPの0.6%くらいにしかなっていない

「いま何が起こっているかというと、DGPの大半を占める部分にもインターネットやデジタルドリブンなやり方が入り始めていて、この部分はインターネット業界の人たちだけが取り組むのではなく、既存産業の人たちも一緒になって改革していく必要があり、そこにいち早く動き始めたのが丸井さんだ」

――D2Cブランドが次々と誕生しているが、成功に不可欠な要素は。

「4つあって、ひとつはプロダクトが差別化可能かどうかで、これが大前提になる。消費者に選んでもらえ、メリットがある商品かどうかだ。ふたつ目はLTVがしっかり出せるプロダクトであるかが利益ベースでは大事になる。売って終わりではなく、継続して利用してもらえるとか、1回の利益が大きいなどで、LTVを確保できることが重要だ」

「3つ目は、リプレイスすべきモンスター企業がいるかどうか。ライバル企業が数百億円、数千億円の売り上げ規模を持っている場合、大企業であるが故に卸に頼っていたり、マス広告だけに投資していてデジタルを活用できていなかったり、デジタル領域に長けた人材の採用が進んでいない企業がシェアを持っていれば、リプレイスするチャンスがある」

――最後の要素は。

「4つ目は創業メンバーがなぜその事業を行うか、ストーリーがあるといい。また、ストーリーだけでなく、D2Cはパラメーター(変数値)が大きい事業モデルで難易度が高いため、勢いだけでなく、人材やサプライチェーンのマネジメントなどさまざまな要素が経営に求められる。そうした部分をしっかり管理できる経営層かどうかも大事だ」

――利用者がITリテラシーの高い人だけで終わらせないようにするには。

「最初のプロダクトは作れても、顧客数が5倍、10倍と増えたときに、それに耐えられるオペレーションを構築できているかが問われる」

――ゾゾもPBで失敗した。

「ゾゾさんは質を担保できるようになる前に広げ過ぎたことが敗因として大きいのではないか。ゾゾさんとしても初めての物作りだったわけで、第1弾のデニムパンツとTシャツの時点でしっかりノウハウを貯め、サプライチェーンまわりが安定してから横展開すれば良かった」

――御社も意識的に商品カテゴリーを広げていない。

『ファブリックトウキョウ』はスーツとシャツに特化しているし、新たに始めるブランド『スタンプ』では、当面はデニムパンツに徹して認知度を高める戦略をとるのも、品質面で信頼を獲得し、しっかりとノウハウを貯める必要があるからだ」

サブスクサービスを開始、無人店舗の新ブランドも

――丸井との資本業務提携は店舗展開や人的交流も含めて有益だ。

「当社にとって非常に大きな影響がある。実店舗は現状の16店舗のうち、丸井さんには7店舗でお世話になっている。ただ、丸井さんが一番の協力者ではあるが、それだけではなく、三井不動産グループのコレド日本橋やパルコさんの名古屋パルコなどにも出店している。丸井さんは『自社の施設だけで』と制限を設けるような企業ではなく、業界全体のために中心的な役割を担いたいと考える会社だ」

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)は2019年5月に丸井グループを割当先とする第三者割当増資を完了した
2019年5月に丸井グループを割当先とする第三者割当増資を完了した(画像は編集部が追加)

――人材交流は。

「すでに始まっていて、丸井さんから7人が当社に出向し、実店舗のスタッフとして働いてもらっている。人材交流以外でも、丸井さんは店舗でエポスカードを使用するとポイントを付与するなどの施策を行っているが、当社サイトでもユーザーがそういったメリットを享受できるようにしていきたい。丸井さんにとってはカード決済が使われ、当社にとっても2着目以降のオーダーがサイトで完結することでオペレーション効率が上がるなどのメリットがある」

――実店舗は20年9月末までにほぼ倍増となる合計30店舗体制を計画している。

「そのうち千葉など4店舗は決まっていて、まずは早々に20店舗体制になる。来年から残り10店舗の整備を進める」

――物販だけのD2Cから脱却を図る。

物があふれている時代にあって、物で差別化することはもちろん大事だが、それ以上にサービスとして選ばれる存在にならなければいけない。D2C事業を運営していると顧客情報が貯まっていき、お客様のことがよく分かるようになり、サービス面にも取り組みやすくなる」

――サブスクリプションサービスもそうか。

「『ファブリックトウキョウ』でサブスクサービスを始めたのも、実店舗などを通じて顧客ニーズを把握できたからだ。まずは月額398円で加入できるプランとして、9月26日に『保証・交換・補修』とったサポート領域に焦点を当てたサービスを始めたが、10月以降は『着こなし・スタイリング』と『クリーニング・保管』の領域にも順次広げる予定だ」

ビジネスウェアの日常課題を解決する・月額型の新しいサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(Hundred)」
ビジネスウェアの日常課題を解決する・月額型の新しいサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(Hundred)」の公式ページ(画像は編集部が追加)

――新ブランド「スタンプ」は無人店舗に3Dスキャナーを設置して計測してもらう店舗を目指している。消費者には難しくないか。

「難しいことを考慮し、最初のポップアップストアは完全招待制にした。友人や知人などのキーオピニオンリーダーを巻き込んで、まずは理解のある人に体験してもらい、発信してもらうことで『自分も試してみたい』という潜在ニーズが顕在化される。いきなり誰でも作れるのではなく、最初は限られた人からアプローチしていくことが大事だ」

3Dスキャンによる採寸でジーンズがオーダーできる新サービス「STAMP」の新店舗
3Dスキャンによる採寸でジーンズがオーダーできる新サービス「STAMP」の新店舗(画像は編集部が追加)

――「ファブリックトウキョウ」のスタート時もそうか。

「最初はクラウドファンディングから始めた。それまではネット上に自分の身体のデータを預けてオーダーメードの商品を作るという発想はなかった。今では大手さんも取り組んでいるが、当社が始めた14年にはなかった」

――新ブランドのMD展開については。

「当面はデニムパンツのブランドとして定着を図り、その後に商品を広げていきたい。実店舗は10月25日に新宿マルイ本館の『ファブリックトウキョウ』店舗の隣りに出店する。将来的な構想としては、世界に向けて無人型3Dスキャンの店舗をパッケージ化し、プリントシール機や証明写真ボックスのように数千、数万の店舗を出せるようにしたい

――採寸はリアル店にこだわる。

「ゾゾスーツは無料でインパクトがあったが、届いたのに開けていない人が多いと聞く。結局、リアル店舗に行きたい人は多いのだと思う。アップルストアもオンラインで買えるが、店内は混雑している。アパレルも同じで、リアルで体験する楽しさと安心感はいつまでも残るし、デジタルが加速することで人間味が失われていくことに違和感を持つ人は多い。当社はデジタルでは終わらないOMOを進める

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