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【シニアのEC利用】8割以上が5年前からネット通販を利用、理由は「価格が比較しやすい」

6 years ago

マーケティングリサーチ会社のアスマーク(旧マーシュ)は11月11日、「プレシニア・シニアのネットショッピングに関する実態調査」の結果を発表した。それによると、シニアの8割以上が5年以上前からネットショッピングを利用しており、1年以内に利用した人は少数にとどまった。

アスマークが実施した「プレシニア・シニアのネットショッピングに関する実態調査」 ネット通販を利用し始めた時期について
ネット通販を利用し始めた時期について

ネットショッピングを利用する理由をたずねたところ、「価格の比較などがしやすいから」が各年代・性別において過半数を超えた。「欲しいと思ったらすぐに購入できるから」「ポイントが貯まりやすくお得だから」と続いている。

アスマークが実施した「プレシニア・シニアのネットショッピングに関する実態調査」 ネット通販で買い物をする理由
ネット通販で買い物をする理由について

今後のネットショッピングの利用意向を聞いた結果、男性シニアにおいては各世代とも「増えると思う」「やや増えると思う」との回答者が合わせて50%超。これに対し、女性シニアは「70~79歳の女性」で58%が「増える」と予想しているが、他の年代では「増える」が50%を下回っている。

アスマークが実施した「プレシニア・シニアのネットショッピングに関する実態調査」 今後のネットショッピングの利用意向について
今後のネットショッピングの利用意向について

今後の利用意識がある理由としては具体的に、次のような声があがっている。

  • 飲料や酒類など重たいものを持って帰るのがつらくなってきた(女性60~64歳)
  • 実店舗より安いし、品ぞろえが豊富だから(女性60~64歳)
  • お店では店員の商品知識がない。ネットではレビューで評判が分かるのと商品を教えてもらえる(男性70~79歳)

日本は現在、65歳以上が4人に1人を占め、2040年には3人に1人という超高齢化社会。そのため、シニアの消費に対する注目度が高まっている。アスマークは、高齢者のIT利用率も増加し、「ネット=若者のもの」というイメージは過去のものとなったとしている。

アスマークは、プレシニア・シニアのネットショッピングの利用状況や意識を把握し、その現状と今後の展望を考察するため、調査を実施した。

調査概要

  • 調査名:プレシニア(55~64歳)、シニア(65~79歳)のネットショッピングに関する実態調査
  • 調査対象者:全国/55~79歳男女/直近1年以内にインターネットで商品を購入した人
  • 有効回答数:800ss
  • 調査期間:2019年10月18日(金)~2019年10月21日(月)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査機関:アスマーク(旧株式会社マーシュ)
石居 岳
石居 岳

毎週30万人以上が利用する生協ECサイトの注文をもっと便利に。サイト内商品検索の改善でUXが向上!

6 years ago

食品などを中心に、毎週30万人以上の生協組合員が利用するECサイトがある。関東信越1都7県、7つの生活協同組合(生協)が加盟する「コープデリ生活協同組合連合会」が運営するECサイト「コープデリeフレンズ」だ。

毎週更新される同サイトは、食品や日用品など1万点以上の商品を扱い、組合員は、パソコンやスマートフォンから1週間分の食材などをまとめて注文している。選べる商品が多数ある反面、商品の探しにくさといった課題もあり、特に商品検索については、組合員から改善を求める声が寄せられていたという。

組合員に「買いやすい」「利便性の高い」ECサイトを提供するため、商品検索の精度向上に取り組んだ、コープデリ生活協同組合連合会のECサイト改善策の舞台裏に迫る。写真:吉田浩章

組合員数500万人を超える大組織

コープデリ生活協同組合連合会は、宅配事業やスーパーマーケットなどの店舗事業などを展開。総事業高(商品などの供給高に共済や福祉事業収入を加えた金額)は年間5500億円を超える。組合員数は500万人超。

「コープデリeフレンズ」など宅配事業のメインは週1回商品を届ける「ウイークリーコープ」で、基幹カタログ「ハピ・デリ!」に掲載した商品を、専用OCR用紙、インターネット、電話などで注文する。

「ウイークリーコープ」を利用する組合員は毎週約150万人で、ECサイト「コープデリeフレンズ」の利用者はその内の2割にあたる約30万人。中心となる組合員は30~40代で子どもを抱える世帯。

ここで、コープデリ生活協同組合連合会のECサイト名にある「eフレンズ」に触れておきたい。PB商品の開発や提供など、全国生協の事業支援をしている連合会組織「日本生活協同組合連合会」が、全国生協に提供するインターネット注文システムの共通基盤の名称が「eフレンズ」で、多くの生協組織がこの基盤をネット販売に活用している。

コープデリ生活協同組合連合会も、この「eフレンズ」を利用して、2001年にECをスタートした。ネット注文の浸透などによって事業規模が拡大し、2016年、共通基盤を活用した運用から、独自基盤となるECプラットフォームを活用したECサイト運営に移行したが、サイトの名称はそのまま「eフレンズ」を継続して使用している。

コープデリ ハピ・デリ! ほぺたん 基幹カタログ コープデリeフレンズ ウィークリーコープ
基幹カタログ「ハピ・デリ!」とコープデリのキャラクター「ほぺたん」(写真:吉田章浩)

組合員から寄せられる改善要望「欲しい商品を探しやすく」

ECサイトでの買い物が当たり前になり、組合員のITリテラシーも向上。それに比例するように「コープデリeフレンズ」へ求める組合員のサービスレベルも上がり、要望が増えていった。

改善事項として寄せられていたのが「サイト内商品検索の精度」。組合員から定期的に「商品を探しやすくして欲しい」という改善要望があがっていた。

具体的には「キーワードとのマッチング精度」「検索結果の並び順」といった課題があった。掲載商品が1万点以上あるため、欲しい商品へ簡単にたどり着くにはサイト内検索の精度は必要不可欠。だが、たとえば「とうふ」と検索した際、「砂糖不使用の〇〇ヨーグルト」の「さとうふしよう」の“とうふ”部分とマッチングし、「ヨーグルト」が最初に表示されてしまうようなケースもあり、検索の精度については大きな課題があった。

サイト内の検索精度対策に携わるスタッフは、さまざまな業務も兼任する担当者数名。辞書のメンテナンスに手が回らない状態が続いていた。また、使っていたのは、ECプラットフォームに標準搭載されていたサイト内検索エンジン。検索結果の精度を向上させるにはシステム的にも限界があった。

「goo Search Solution」は改善要望に対応できると判断

「『米』で検索すると豚や鶏などの肉類が最初に出てくる」(米を飼料にして育った豚や鶏の商品名に『米』が付いているものがあるため)。コープデリ生活協同組合連合会のECサイト改善業務に携わる櫻井 貴之氏(宅配インターネット事業部 開発グループ グループ長)は、定期的に組合員から指摘を受けたと振り返る。外部ツールの導入を2018年末から検討し、2019年8月にはサイトでの稼動をスタートした。

コープデリ コープデリeフレンズ ウィークリーコープ goo search solution 櫻井貴之氏
櫻井貴之氏(宅配インターネット事業部 開発グループ グループ長)

導入したのはNTTレゾナントの「goo Search Solution」。課題だった「マッチング精度」と「検索結果の並び順」の解消が見込めるツールと判断したのが導入の決め手となった。参考にしたのは実際に導入されているサイト。

「比較検討していた他社ツールの導入サイトを見ると、うちと同じく検索意図から外れた商品も検索結果の上位に出ていた。一方、『goo Search Solution』導入サイトを見ると、検索意図に沿った商品がきちんと上位に表示された。食品小売系ECサイトの実績はなかったものの、精度が高かったので組合員さんの改善要望に応えることができると判断した」と、櫻井氏はこう導入理由を説明する。

加えて、「他社ツールは定期的な辞書メンテナンスが必要なようだったが、『goo Search Solution』はAI型の自己学習機能により、今までやっていた辞書メンテナンスがほとんど不要になるといった点も評価した」(櫻井氏)と言う。

「コープデリeフレンズ」は、各生協(関東信越1都7県、7つの生協)分の商品マスタを2週間分(2企画分)ECサイトに掲載するため、「検索対象となる商品データは膨大な量になる」(櫻井氏)。そのため、検索アイテム数によって従量課金制となるツールではコストが大幅に増えるといった問題もあった。「『goo Search Solution』は割と柔軟な課金体系のため、コスト面でも他社ツールより導入メリットがあった」(櫻井氏)

コープデリ コープデリeフレンズ ウィークリーコープ goo search solution
「米」と検索すると、適切なワードのサジェスト、および検索結果が表示されるようになった

導入後、検索結果に関する指摘がなくなる

導入後、その効果は顕著に表れた。「組合員さんから検索結果に対するご指摘は今のところいただいていません」。櫻井氏は驚きを隠さない。「コープデリeフレンズ」では、EC利用者の1割が検索から商品を購入。毎週3万人が商品検索を利用している。「検索後の閲覧ページ数が減り、検索結果経由のクリック率とコンバージョン率は向上した。数字上でも、組合員さんのユーザビリティが向上したことがわかる」(櫻井氏)

「goo Search Solution」では、ポータルサイト「goo」の表記ゆれ辞書と、自社サイトの検索結果から自動で作られる辞書、2つの辞書を使用している。辞書の併用によって表記ゆれを解消し、マッチング精度の向上につなげているのだ。 また、「goo Search Solution」はユーザーの検索後のクリック率やコンバージョン率から自動で表示順位を決定し、検索意図にあった順位で商品を表示することが可能。「検索しても表示されない商品があれば、管理画面からすぐに表記ゆれ対応ができ、反映も即時。指摘があればすぐ対応することが可能となっている」(櫻井氏)

可処分時間の拡大要望の増加で、商品検索の重要性はさらに高まる

「コープデリeフレンズ」を利用する組合員のメイン層は30~40代の子育て世帯。共働き世帯が増加し、今後、さらに生活の中の「可処分時間」の拡大を望む世帯が増えると予測される。

食品の購入から調理までの時間短縮ニーズが高まり、食品のECビジネスでもその顧客ニーズに対応することが求められる。こうしたことを踏まえ、櫻井氏はインタビューをこう締めた。

欲しい商品をすぐに見つけることができる商品検索機能は、掲載商品数の多い生協のECサイトでは機能向上が必須。商品検索からの注文は、EC注文全体の構成比からするとそれほど多くはないが、商品を探す時間をできるだけ短縮し、欲しい商品をすぐに見つけることができるECサイトを提供することで、組合員さんの生協利用満足を向上させることができると考えている。(櫻井氏)

 

「コープデリeフレンズ」が導入した「goo Search Solution」とは?

NTTレゾナントが開発・提供するサイト内検索サービス「goo Search Solution」は、膨大な単語の「表記ゆれ」のパターンを蓄積したデータベースを持つのが特徴。20年以上に渡って運営しているポータルサイト「goo」で収集した検索履歴から、膨大な量の「表記ゆれ」のパターンを蓄積し、いわゆる“表記ゆれの辞書”をEC事業者に提供している。

手間をかけず、効率的にECサイトの検索サービスの精度などを向上できるサイト内検索サービスで、トイザらス、アスクル、ふるさとチョイス、オンワード・マルシェなどさまざまなECサイトが導入。コンバージョン率アップ、業務効率化につなげている。

また、「goo Search Solution」の特徴の1つとして、人工知能(AI)が検索ログから学習して検索結果を自動で最適化する機能がある。ユーザーが入力した検索クエリやクリックした項目、購入まで至っているか否かといった情報をベースに、検索エンジンが最適な検索結果をキーワードごとに学習し、表示順位を決定。手間をかけずに、最適な検索結果をユーザーへ表示する。

EC事業者は検索エンジンの表示結果をメンテナンスしなくても、ユーザーが最も購買に結びつきやすい検索結果を自動で生成するため、運用負荷が軽減されるという。

goo search solution
ネットショップ担当者フォーラム編集部
ネットショップ担当者フォーラム編集部

資生堂、花王、パナソニックなど日本の21ブランドが1日で15.5億円以上を販売!【2019年「独身の日」まとめ】 | 上海で働く駐在員の中国EC市場リポート

6 years ago
STORY of BACKYARD 08

2019年の「W11(独身の日)」、天猫(Tmall)での取扱高は、昨年比125%の約4.16兆円。2018年とほぼ同じペースの伸びを記録しました。1日で1億元(15.5億円)以上を達成したブランドは、昨年比約2倍の299店舗。日本企業も21社ランクインしました。日本企業の商品について、どんな商品が売れたのかお伝えします。

取扱高は約4.16兆円。昨対比125%で成長率は2018年とほぼ同じ

天猫(Tmall)における「独身の日」取扱高の推移(2016年〜2019年)
図1 天猫(Tmall)における「独身の日」取扱高の推移(2016年〜2019年)
監修:エフカフェ

2019年11月11日の「独身の日」、中国国内の天猫(Tmall)の取扱高は約4.16兆円。2018年から2019年の成長率は125%という結果でした(中国元比較)。

これまでの取扱高は下記のとおりです(1元=15.5円で換算/一部はエフカフェの試算)。

  • 2016年……2.05兆円(1,207億元)
  • 2017年……2.85兆円(1,682億元)
  • 2018年……3.62兆円(2,135億元)
  • 2019年……4.16兆円(2,684億元)

4年とも同じ傾向なのは、最初の2時間で全体売上の約半分を達成していることです。これは、予約商品ではない場合、人気の商品は売り切れになるため、事前にカートに入れていた商品をまとめて決済するためです。午前1時より予約販売の支払いが可能になるため、最初に集中しています。

1日で1億元以上が昨年比約2倍の299店舗! 日本企業も21社ランクイン

1億元を達成した店舗は299店舗。そのうち、日本の21ブランドがランクインしています。2018年は6ブランドでしたから大躍進です。

2019年「独身の日」で1億元を達成したブランド一覧
図2 2019年「独身の日」で1億元を達成したブランド一覧
(一部抜粋。四角で囲まれたブランドが日本企業)
※エフカフェが天猫(Tmall)のサイトよりキャプチャ、加工

越境ECを含めた輸入商品のランキングを見ると、1位にヤーマン、3位に花王、7位などムーニーなど、ここでも日本企業が7社もランクインしています。ちなみに2018年は1位がムーニー、2位がメリーズでした。

天猫国際(Tmall Global)を含むトップ20
図3 天猫国際(Tmall Global)を含むトップ20
(四角で囲まれたブランドが日本企業)
※エフカフェが天猫(Tmall)のサイトよりキャプチャ、加工

日本企業の売れ筋商品はこちら

昨年と比較してみると、化粧品、美容用品、家電において日本企業のブランディングがさらに高まり、マーケットシェアが拡大していることがうかがえます。

では日本企業のどんな商品がどれくらい売れたのか、具体的に見ていきます(あくまでエフカフェがWeb検索などから判断した予想の一部抜粋になります)。化粧品メーカーは単体での販売だけではなく、キット化することで販売単価を上げ、数字を伸ばしています。

ユニクロ「ヒートテック タートルネックT長袖」
ユニクロ「ヒートテック タートルネックT長袖」(women)
金額:69元
販売件数:20万件以上
SK-II「ピテラ エッセンス スターターキット」
SK-II「ピテラ エッセンス スターターキット」
金額:590元
販売件数:10万件以上
ヤーマン「Bloom」(美顔器)
ヤーマン「Bloom」(美顔器)
金額:3599元
販売件数:1万件以上
コスメデコルテ(コーセー)「ヴィタ ドレーブ」(化粧水)
コスメデコルテ(コーセー)「ヴィタ ドレーブ」(化粧水)
金額:600元
販売件数:7万件以上
資生堂「アルティミューン パワライジング コンセントレート N キット」
資生堂「アルティミューン パワライジング コンセントレート N キット」
金額:1180元
販売件数:9.5万件以上
キヤノン「インクジェットプリンター TS3180」
キヤノン「インクジェットプリンター TS3180」
金額:438元
販売件数:2.5万件以上
花王「メリーズ L54枚」(おむつ)
花王「メリーズ L54枚」(おむつ)
金額:82.5元
販売件数:10万件以上
パナソニック「ドライヤー」
パナソニック「ドライヤー」
金額:89元
販売件数:2.5万件以上
高岡 正人
高岡 正人

GMOペパボのEC構築サービス「カラーミーショップ」が「LINE Pay」のオンライン決済「LINE Checkout」を実装

6 years 1ヶ月 ago

GMOペパボは11月18日、ECサイト構築プラットフォーム「カラーミーショップ」の決済機能として「LINE Checkout」を2020年1月下旬に実装すると発表した。

「カラーミーショップで構築したネットショップが「LINE Pay」を導入する際、開発作業やシステム接続が不要になり、「LINE Pay」を簡単に導入できるとしている。

「LINE Checkout」は「LINE Pay」のオンライン加盟店向けのサービス。ECサイトに「LINE Checkout」を実装すると、「LINEアカウント」に登録済みのユーザーの氏名や住所、電話番号、メールアドレスといった情報をログインや決済に活用できる。

GMOペパボは11月18日、ECサイト構築プラットフォーム「カラーミーショップ」の決済機能として「LINE Checkout」を2020年1月下旬に実装すると発表
「LINE Checkout」の利用イメージ(画像はGMOペパボのHPから編集部がキャプチャ)

ユーザーは「LINE Checkout」を使うと、初めて利用するECサイトで会員登録やパスワードの管理が不要になるほか、配送先やクレジットカード情報などを入力する必要もない。そのため、ECサイトの会員登録におけるユーザーの離脱やカゴ落ちを防ぐ効果が期待できる。

「カラーミーショップ」を使って開設されたネットショップの数は2018年12月時点で累計15万店舗。

渡部 和章
渡部 和章

CG動画とは?CG動画を活用するメリットと事例

6 years 1ヶ月 ago

CG動画

「CG」という言葉を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。一方で、CGが具体的にどんなものなのか、動画に取り入れることでどんなメリットが生まれるかはっきりとはわからないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、CG動画の概要や活用した際のメリットについて、事例とともに紹介していきます。

CG動画とは

CGとは、コンピューターグラフィックス(computer graphics)の略語です。撮影した実際の映像を編集したものは実写映像と呼ばれますが、それに対してCGはパソコン上で描かれたものを指します。つまり、CG動画とは人工的に作られたイメージの動画を指しています。現代のCGは技術が向上し、よりリアルな描写が可能となりました。

CGの種類

CGには種類があり、平面か立体かによって大きく2つに分類されます。ここでは、それぞれの特徴について紹介していきます。

2DCG

2DCG(Two Dimensional Computer Graphics)は、「二次元コンピューターグラフィックス」を表す略語であり、平面的に見えるものを指しています。一番シンプルなアニメーション表現です。2DCGは紙に描いたものをスキャンしてデジタル加工したり、直接コンピューターの中で描いたりして制作できるのも特徴です。

3DCG

一方、3DCG(Three Dimensional Computer Graphics)は、「三次元コンピューターグラフィックス」を表す略語で、特徴としてコンピューター上に仮想空間を作ることができる点があげられます。その仮想空間にコンピューターで作った人物や物体などを配置し撮影することで、立体的な表現が可能となります。縦×横×高さの概念で作られているため、2DCGとは見た目が大きく異なります。

立体表現ができる本技術では、奥行きを動画内に取り入れたい時に使われることが多いのも特徴でしょう。

CG動画を活用するメリット

ここでは、CG動画を活用するメリットについて、3つのポイントから紹介していきます。

撮影できない映像の映像化ができる

3DCGの魅力は、実際に存在していても撮影が難しかったり撮影できなかったりする映像を、リアリティをもって映像化することができる点です。たとえば、人の体内を映像にしたり、地中内部の様子を表現したりするケースなどで、3DCG技術は使われています。

また、本技術を用いれば架空の世界を映像化することも可能です。リアリティのある表現が叶うため、説得力のある映像作りが可能となります。

コストを抑えることができる

動画制作にあたり、制作コストは重要な要素のひとつです。たとえ実写で撮影できる場合でも、CGを利用したほうがコストを抑えられるケースがあります。

たとえば、空や水の中を舞台にしたシーンなどでは、実写だと手間もコストもかかります危険な撮影では、場所を決めて許可を取り、安全に配慮した上で行わなければならないにもかかわらず、思い描く画とは違った結果になることも少なくありません。CGを活用すれば、構図や雰囲気などを細かく調整できるため、撮り直しの心配がないのでコストを軽減できる可能性が高まります。

余計な情報を排除できる

実写で撮影する場合、余計なものが映像に映り込んでしまう可能性があります。一方で、CG動画では必要な部分だけを映像化できるため、映り込みを除去する手間やコストが節約できます。また、実写では生々しくなってしまうシーンでは、逆にリアリティを排除できるのもメリットといえるでしょう。CG技術は使い方次第で、動画の質や雰囲気を大きく向上できる場合があります。

CG動画の事例

ここでは、動画制作サービスのCrevo(クレボ)が制作した、CG動画の事例を3つピックアップして紹介していきます。

決済サービス「Paidy」

出典:Crevo制作実績

オンラインショップで利用可能な決済サービス「Paidy(ペイディー)」の企業ブランディング向けコンセプトムービーです。こちらは2DCGを使った事例です。カラフルな幾何学形模様のグラフィックと文字で構成された映像で、「Paidy」の裏側を支えるテクノロジーを表現しています。文字が静止画では表現が難しい目に見えない「テクノロジー」をアニメーションで端的に表現しています。

排水圧送ポンプ「SFA」(オフィス編)

出典:Crevo制作実績

排水圧送ポンプ「SFA」をオフィスで活用したシーンを3DCGで表現しています。流しの移設や増設といった、実写での撮影では難しいシーンを立体感のある映像でわかりやすく訴求しています。動画内では社員が流しの位置で困っている状況を見せており、「SFA」を活用することで社員の問題が解決する様子を紹介することで、製品のメリットをわかりやすく伝えています。

工法「ロードプラス」

出典:Crevo制作実績

「ロードプラス」という工法を3DCGで説明しています。この工法は狭い車道の拡幅を行うことが目的ですが、実際の施工手順には撮影できない部分も多く、実写撮影で表現するには限界があります。そこで3DCGを活用し、施工手順をリアルに再現しています。そして、本工法によって車幅が改善されるイメージがより視聴者にリアルに伝えられるようにもなっています。

様々なメリットを持つCG動画を活用しよう

CGは、視聴者の理解を促したり、商品やサービスの世界観を表現したりすることに役立つアニメーション技術です。CG動画を活用すれば、伝えたいことをより多く視聴者へ届けられるメリットがあります。また、場合によってはコスト削減も図ることもできます。動画制作サービスのCrevoでも多くのCG動画の制作を手がけてきました。制作ご検討の際は、ぜひご相談ください。

動画制作サービスのCrevo

Crevoのプロデューサー
VIDEO SQUAREを運営するCrevo(クレボ)では、数多くの動画制作・映像制作にたずさわっています。国内外約5,000名のクリエイターネットワークを活かし、ご依頼ごとに最適な専属チームを作ります。また、はじめての動画制作でも安心のサポート体制が整っています。動画制作・映像制作ご検討の方はぜひお問い合わせください!

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Crevoの関連サービス

アニメーション動画制作・映像制作

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宅配専用でCO2削減&騒音低減などの小型EVトラックをヤマト運輸が導入

6 years 1ヶ月 ago

ヤマト運輸は11月19日、宅配に特化した小型商用EVトラックを導入すると発表した。2020年1月以降、500台の車両を東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で順次導入する。CO2の削減や、住宅街での騒音低減といった環境面での取り組みを強化する。ヤマト運輸によると、宅配に特化した小型商用EVトラックを日本で開発したのは初めて。

車両はドイツポストDHLグループ傘下のストリートスクーターと共同で開発した。

シートヒーターを標準装備しているほか、シートの高さを普通乗用車並みするなど、乗り降りしやすく体への負担軽減に配慮した設計にしたという。

また、荷室の床面を90cmの地上高にすることで、大きく屈むことなく、荷室に乗り込むことなく荷物の積み下ろしを行えるようにした。

鍵を操作せずに運転席や荷室の施錠・開錠ができるキーレスエントリー機能を実装。車両を真上から見下ろした映像が映る「バードビュー」機能も搭載している。

ヤマト運輸の栗栖利蔵社長は新型車両の導入について、次のようにコメントしている。

今回、約2年の開発期間を経て宅配業務に特化した新型車両を導入することができました。新しいEVトラックは、環境負荷の低減だけでなく、実際に車両を使用するドライバーの立場に立った設計を追求することで、より多くの方々に活躍していただくことを実現しています。この車両を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます

ヤマト運輸は今後、EVを含む次世代モビリティの開発と導入を積極的に推進し、2030年までに小型集配車両の半数にあたる約5000台の導入をめざす。

渡部 和章
渡部 和章

あなたのECサイト運営業務、丸ごとサポートします! ECのスペシャリストが支援、多店舗運営で売上即3倍の実績も

6 years 1ヶ月 ago

楽天出身の井澤孝宏社長率いるコマースメディアは、ECサイトの構築から運用、配送代行、コンサルティングなど手がける業務は幅広い。「売り上げが伸び悩んでいる」「サイトを新しく作り直したい」「運営をすべて委託したい」「配送だけアウトソースしたい」など顧客のニーズに合わせたサポートを行うのが特長だ。

経験豊富なスタッフによるサポートで、サイト移行初月に売り上げが3倍に伸びた事例もある。業務拡大のため、現在人材を採用中というコマースメディア・井澤氏に、提供するサービス概要や求める人材像などを聞いた。写真:吉田浩章

コマースメディア コンサルティング 井澤孝宏 楽天 ECショップサポート Shopify
井澤孝宏社長。楽天で経験を積んだ後、自社ECサイトの立ち上げに関わり、売上10億円規模まで成長したタイミングで退職、独立した。モール、自社ECサイト運営双方の経験を活かし、ECのトータルサポートを行う

豊富な運営経験を持つスペシャリスト集団

コマースメディアは2016年、楽天出身の井澤孝宏氏が創業。主要クライアントは、ゴーゴーカレーグループやCygamesなど。EC専業以外、つまり本業を持ちながらEC事業を行いたいといった企業の支援が多く、扱うジャンルは食品、アパレル、インテリア、ガジェットなど幅広い。モール、自社ECの経験を持つ井澤氏を筆頭に、大手企業のEC担当、モール担当など、豊富なECサイト運営経験を持つスタッフがクライアント企業を支援する。

同社が展開するサービスは3つある。

1.ネットショップコンサル

ECサイトを開設したものの、「どこから手をつけたらいいかわからない」「以前と比べて売り上げが落ちた」といったさまざまな課題に対しコンサルティングを行う。商戦期に効果的に売り上げを伸ばすためのアドバイスなどさまざまなニーズに対応する。他社との違いは対応範囲。自社ECから大手主要モールをカバーしEC事業全体のコンサルティングが可能。

2.ネットショップ運営サポート事業

特に引き合いが多いのがネットショップ運営サポート事業。サイト構築からカスタマーサービスなどの運営代行、配送代行まで丸ごと業務を請け負うこともあれば、配送代行だけのサポートなど一部業務の受託支援といったケースもある。

クライアントのゴーゴーカレーでは、サイト構築に始まり、キャンペーン運用、カスタマーサポート代行、配送代行、P/L管理まで全EC業務をコマースメディアが担う。コマースメディア内にゴーゴーカレーのEC事業部が存在するイメージだ。ゴーゴーカレーは以前からECサイトを運営してきたが、コマースメディアの支援によって展開チャネルを拡大、すぐに売り上げが3倍程度になったという。

井澤氏は、売上アップはもちろん、収益構造も重視する。そのため、「レトルトカレーの厚みを5mm薄くして単価を10円下げてほしい。そうすれば配送面のコスト改善で利益を伸ばせる」など、収益改善のために商品開発時点から助言することもある。

3. クラウドファンディングの支援事業(※現在準備中)

ECサイト運営において多店舗展開が必須な理由

モール、自社サイト双方の運営経験を生かし、クライアント企業には多店舗運営の提案を行う。井澤氏はその理由を次のように説明する。

Amazonで購入する方はAmazonだけ、楽天で購入する方は楽天だけといったように、消費者が複数のモールをまたいで購入することは実際のデータを見ていると少ない。つまりパイを取るためには多店舗展開が必須だ。(井澤氏)

井澤氏は、複数モールの運営でもすべてにパワーを注ぐ必要はないと強調する。自社ECサイトを強化する企業がなぜモール店も残して運営しているのか? それは、特定のモールでしか購入しないユーザーが存在するからだという。「運営に力は入れなくていいので、面は取っておこうという考え方」(井澤氏)

EC専業以外の企業がモール店に対し、社内で専任の担当者をつけるのは現実的ではないと指摘する。なぜならモールは仕様変更が多く、日々それらの情報を収集し続けるのは時間と手間がかかるためだ。

たとえば、メーカーが自社で専任のEC担当者をつけてノウハウをためているケースもあるが、その体制のまま多店舗展開も行うのはオススメできない。モール店は仕様がすぐに変わっていくので、学習コストを考えると割に合わない。それであれば、商品開発にフォーカスした方が絶対に良い。多店舗展開のECサイト運営は、当社のような専門企業に外注する方が効率的だ。(井澤氏)

コマースメディアは「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」「au Wowma!」「ヤマダモール」「ベネフィットワン」「Qoo10」などの主要モールのほか、顧客の要望があれば他のモールへの出店支援も行うという。

モールでのサイト運営経験のほか、さまざまな企業の運営代行を引き受けているため、モール側で大幅な仕様変更があっても、リアルタイムに対応できることが強みだ。

コマースメディアは「Shopify」のエキスパート認定企業

コマースメディアについて特筆しておきたい点がもう1つ。日本で3番目に「Shopify」のエキスパート認定を受けたこと。「Shopify」は現在、注目を集めているECプラットフォーム。顧客のECサイト構築時には要望や適正に合わせて複数のカートを使い分けているが、近年は、ECサイトのリプレイスを依頼される場合、「Shopify」で対応することが多いという。「『Shopify』はECで重要とされる機能が改修をしなくても網羅されている。その分マーケティングなど他のことに集中しやすく、結果的に売り上げを伸ばしやすい」と井澤氏はその理由を説明する。

 

あなたのECサイト運営経験は「価値があるんです」。次のステップに生かしませんか?

現在コマースメディアは業務拡大のため、ECサイト運営の経験者を募集している。ECが好きで、売り場にとらわれずに広い視点で、「どうやってこの商品を売っていくか」を考えられる人を特に求めている。また、自主的に業務内容を広げていきやすい環境にあることから、「独立志向がある人も向いている」と井澤氏は言う。

「自社ECサイト、モール運営経験のどちらか1つでもいいが、双方あるとより望ましい。複数の経験があると理解度が向上するからだ。物流やカートは顧客企業の規模や扱うジャンルによって向いているサービスが変わってくる。各サービスのメリット、デメリットを把握しているとより適切な運用・提案ができる」(井澤氏)

コマースメディアはリモートワークを推奨しており、オフィス通勤を義務付けていない。地方で育児をしながら完全リモートで働いている女性社員もいる。コミュニケーションを図るために週に1度は出社し、全社員で顔を合わせるが、それ以外は営業時間内にオンラインになっていることを条件に、働く場所は自由としている。リモートワークをするためには、コミュニケーションスキルと業務スキルが必須なことから社内での承認が必要になるが、承認が下りればカフェ代などに充当できるようリモートワーク手当てもつく。

昇給チャンスが年に2回あり、会社に利益が出たら全社員に分配される仕組みがある。社風は自由で、望む制度があれば社長に提案できる環境も整っている。

コマースメディア コンサルティング 井澤孝宏 楽天 ECショップサポート Shopify リモートワーク
多くの社員がリモートワークを行っているため、取材日に出勤していたのは井澤社長含めて2人。卓球もできる広々としたオフィスだ
コマースメディア コンサルティング 井澤孝宏 楽天 ECショップサポート Shopify ORBITVU 撮影代行
360度ビュー撮影などの機能を備えた自動商品撮影システム「ORBITVU」を社内に導入。ECサイトの商品撮影代行も行う
コマースメディア コンサルティング 井澤孝宏 楽天 ECショップサポート Shopify
「店長レベルや現場担当者も自身の価値に気付いていない人が多い。転職でそのスキルを生かしてキャリアアップしてほしい」と井澤氏
コマースメディア
公文 紫都
公文 紫都

【調査データ】Googleマイビジネスで3.7以上の評価を得ると、コンバージョンが増加する

6 years 1ヶ月 ago
ローカルクエリにおいて、Googleマイビジネスの内容がローカルパックとして表示されるケースが増えてきました。検索結果におけるGoogleマイビジネスの重要性は高まるばかりですが、実際のユーザーの影響度はいかほどなのでしょうか。今回はGoogleマイビジネスのレビューとコンバージョン率の関係についての記事を、Search Engine Landよりご紹介します。 続きを読む

リピーターが生まれるECサイトの条件とは? 「ozie」の柳田社長に聞く中小企業が勝つための顧客対応 | ECサイト研究最前線

6 years 1ヶ月 ago

配送コストの上昇、価格競争、少子高齢化などによってECビジネスにおける競争が年々激しさを増している。こうした環境下、中小のEC企業が成長を続けるにはどうすればいいのか? その1つにあげられるのが、ファン作りなどを通じた定期的な購入顧客の育成だ。ワイシャツの人気ECサイト「ozie(オジエ)」を運営する柳田織物・柳田敏正社長が中小のEC事業者に向けて、顧客対応を通じた競争力の向上策を提言する。 写真◎渡 徳博(wit)

接客はECサイトのブランディングにつながる

中小企業のECビジネスは、“やらないこと”は“やらない”を徹底しなければ競争力は向上できない。いろんなことに手を出してしまうと全体的にコストが増え、競争力が落ちてしまう。

受注業務など接客に関すること以外のバックヤード業務は、できるだけ自動化した方がいい。システムで処理できる業務はシステム化すること。そのためには、自社がやるべきこと、やらないことを見極めるが重要になる。そして、“やらないこと”は“やらない”を徹底し、売るための業務や顧客対応にリソースを集中していきたい。接客などの顧客対応は競合とも差別化できる業務であり、ECサイトのブランディングにもつながるからだ。

価格や商品で差別化しようと思っても今の時代はなかなか難しい。では、どうすればいいのか? 消費者に“このお店いいな”と思ってもらうために、コミュニケーションで差別化しなければならない。つまり、消費者の購入の選択肢に入らなければならない。だからこそ、コミュニケーションを通じた接客がより重要になるのだ。

人気ECサイト「ozie」を運営する柳田織物・柳田敏正社長
人気ECサイト「ozie」を運営する柳田織物・柳田敏正社長

中小企業こそ接客に注力すべし

昔は物流費が今よりも安かったので、型版商材でもお得感で消費者に訴求できた。しかし、昨今の配送コストの上昇でそのビジネスモデルは崩壊。低価格で勝負しているECサイトは薄利多売もしくは赤字に陥っている。

価格で勝つことが難しくなっている今、中小企業が今すぐに手をつけることができるのは接客などの顧客対応の業務だろう。僕は、中小のEC企業は今まで以上に、接客へ力を入れなければ厳しくなると思っている接客を通じたコミュニケーションこそ、ECサイトの個性を表現することができるが、コスト削減のために接客などの顧客対応を簡素化したいと考えているEC企業も少なくない。僕は良質な顧客対応こそ、中小企業が大手に勝つための武器になると考えている

ECは結局、さまざまな販売チャネルの中の1つのチャネル。リアルもネットも接客の根本は一緒で、「良いお店」と思われれば、消費者の購入選択肢に入ることができる。ただ、消費者がたらい回しにされるようなマニュアル的な対応になると、クレームになってしまう。臨機応変な対応ができないようであれば、チャットボットにした方がいい。

接客などの顧客対応は、店舗の個性を出すことができ、お客さまに覚えてもらうためのタッチポイントになる。中小企業であれば接客こそ、自社で力を入れてやるべきことだと考えている。

モノで差別化することは難しい。何で差別化する? 接客でしょ。

「ozie」はショールームを作り、リアルの場で接客できるタッチポイントを作っている。“リアルの場で買い物できる”といったことを売りにしているわけではないが、ショールームの利用客はLTV(顧客生涯価値)が高い。リピート率も購入回数も上がる傾向がある。モノで差別化するのが難しくなった今、顧客とのタッチポイントにこそ差別化できる要素があると思っている。

オリジナル商品であってもコモディティ化の進行スピードが速くなり、加えて日本はモノ余り状態。そして、メーカー直販が当たり前になり、大手メーカーは値下げを行う小売に対して卸販売を拒否するような動きもある。

こうしたことも含めて型版商材はもう限界に近いと思う。ポイントや価格という付加価値を付けてもリピート客は生まれにくく、一過性で終わる可能性が高い。セール待ちの顧客が発生したり、ポイントの還元率が高いときにしか購入しなかったり……。

だからこそ、中小企業の小売がこれから先も成長を続けるためには売価を上げていくしかないと考えている。しかし、単に値段を上げるだけではダメ。その分、ECサイトや商品のクオリティを上げていかなければならない。そこには接客などの顧客対応というタッチポイントも入る。

人気ECサイト「ozie」を運営する柳田織物・柳田敏正社長

中小企業はまだまだ大手にも勝てる時代

「やること」「やらないこと」の取捨選択で、今後もECモール主体でいくのか、自社ECを強化していくのかも決めておきたい点。楽天は2020年春、「楽天市場」で3980円以上購入した消費者の送料を無料とする施策をスタートする。送料無料バーが大きく下がるため、普通に考えれば多くの出店者は販管費の大幅増加に直面するだろう。だからこそ、どの市場を主戦場としていくのか決断することは重要な経営判断になる。

もともと接客に力を入れているEC企業は、配送費の増加や、楽天の3980円以上送料無料施策が始まってもさほど影響はないのではないだろうか。それは、多くのリピーターに支えられているからだ。僕の知り合いにも強化軸を接客にシフトしたことで業績のV字回復をはたした水泳用品のEC企業もある。その企業は目先の売り上げではなく、「どんな店舗になりたいのか」という視点で改革を行った。

こんな時代だからこそ、目先の売り上げだけを見ていると大変なことになる。“売り売り”の販促は消費者に飽きられてきているし、企業にとっても体力的に継続することは難しい。また、1回でも低価格販売や大規模セールを実施すると、アイデアがそれ以外出てこなくなる恐れがある。物流費が高騰している今、セール自体の採算が合わなくなってきている。売れば売るほど体力的にきつくなる企業が増えてくるだろう。

ECビジネスを手がけている企業が見るべきことは、「世の中をどうしたいか」といった視点じゃないかな先を見て何をするか? 何をすべきなのか? 経営者や責任者はこうした視点が重要になると思う。

日本は今、人口減少時代に突入した。ただでさえモノ余りの時代に、低価格でたくさん売って利益を出すのは中小企業には難しい。このビジネスモデルで勝てるのは大手だけ。

けれども、僕はまだまだ中小企業も大手に勝てる時代だと思っている。大手企業がガラリと変わるには少なくても1~2年はかかる中小企業の武器はスピード。EC業界の変化のスピードは著しくなっている中で、中小企業はさまざまなことに対して臨機応変に対応することができるのが利点接客やコミュニケーションの部分は意識を変えればいくらでも変えることができるので、今すぐにでも接客などの顧客対応を見直していくべきだろう。

人気ECサイト「ozie」を運営する柳田織物・柳田敏正社長

「ozie」の顧客対応業務はどうなっている?

「ozie」の顧客対応業務の一部をお話しよう。「ozie」ではメール対応業務を日本と中国で行っている。メールの内容に応じて、簡単に処理できるものは中国へアウトソーシング(委託先は成都インハナ)、複雑な対応を要する案件は日本側で対応している。極力、日本のスタッフは“売る”業務や品質の高い接客にリソースを集中できるようにしている

この仕組みを支えているツールがクラウド型のメール共有システム「メールディーラー」(ラクスが開発・販売)だ。顧客対応時における二重返信や返信漏れはもちろん。日本と中国の双方でメールの内容を確認できるのが魅力的だ。「感情の入れ方」など日本側の返信内容を中国スタッフが確認できるので、文章の書き方の勉強にもなる。中国側の顧客対応力向上に一役買っている。

また、中国と日本のスタッフの対応状況が一目でわかるので、ECサイトの顧客対応業務の改善につながっている。

また、「働き方改革」「人手不足」に対応した顧客対応方法を設計できるのもクラウド型の利点だろう。接客のことがわかれば在宅でも仕事ができるので、今の時代の働き方に適した環境を用意できるのも「メールディーラー」の魅力だろう。

「ozie」は「メールディーラー」を2015年に導入した
「ozie」は「メールディーラー」を2015年に導入。メールを共有することで顧客対応の品質向上、業務の効率化につなげているという
瀧川 正実
瀧川 正実

ヤフーとLINEの統合でEC領域やPay系決済のシナジー効果はどうなる?【会見まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

6 years 1ヶ月 ago

経営統合することで基本合意したヤフー親会社のZホールディングス(HD)とLINE。最終の資本提携契約を契約した後、各種申請・審査・手続きを行い、2020年10月までの統合完了をめざす。広範囲に及ぶサービスを手がけている両社だが、この記事ではEC領域のシナジー効果や統合の狙いをまとめてみた。

EC領域でのシナジーは?

LINEとヤフーの経営統合における補完面
両社の事業アセットを相互に補完し合う関係について(画像はZホールディンスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

11月18日に行われた記者会見。Zホールディングス代表取締役社長で、新生Zホールディングス代表取締役社長 Co-CEOに就任する川邊健太郎氏はコマース領域のシナジーについて次のように述べるにとどまった。

LINEはeコマースにあまり力を入れていないが、ヤフーは頑張っている。経営統合でそれぞれの弱い点を補い合うことができる。

会見後に開いた投資家向け説明会では、記者会見よりも一歩踏み込んだシナジーへの言及があった。

月間利用者8200万人のLINEユーザーを、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」「PayPayモール」「PayPayフリマ」「ZOZOTOWN」「一休」「アスクル」に誘導することができる。

 LINEとヤフーの経営統合 集客面でのシナジー
集客面でのシナジーについて(画像はZホールディンスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

具体的な送客方法には言及していないものの、「1人ひとりのユーザーに適したコンテンツを配信していく」の見解をしめした。

現在、LINEが展開している「LINEショッピング」は260社以上の企業が利用し、会員登録数は3000万人超。流通額は2000億規模という。「LINEショッピング」には「Yahoo!ショッピング」も参加している。連携策の1つとしては、「LINEショッピング」からのさまざまなヤフーのコマースサービスへの送客といった施策が考えられる。

「PayPay」と「LINE Pay」はどうなる?

「PayPay」の登録者数は2019年11月17日時点で2000万人。「LINE Pay」は3690万人。審査完了までは具体的なアクションが取れないため、現時点ではブランド統合の可能性などについては言及を避けた。

LINEとヤフーの経営統合 フィンテック事業でのシナジーについて
フィンテック事業でのシナジーについて(画像はZホールディンスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

ある「Yahoo!ショッピング」出店者は「いい買物の日キャンペーン時の決済金額の内訳を見ると半分近くが『PayPay』残高払いだった」と、「PayPay」の浸透に驚きを隠さない。

一方、LINE Payはオンライン加盟店向けの決済サービス「LINE Checkout」を展開。「LINE」上で展開しているモバイル決済サービス「LINE Pay」において、あらかじめ登録したユーザーのクレジットカード番号や住所などのアカウント情報を使い、ECサイトのログインや決済が行えるようにしている。

川邊社長と、LINE代表取締役社長CEOで新生Zホールディングス代表取締役 Co-CEOとなる出澤剛氏が口をそろえていたのが「スーパーアプリ」構想。決済だけではなく消費者の生活をトータルでカバーするアプリのことで、金融、サービス予約、買い物など、お金や生活に関わることをアプリ上で完結できるようにする構想である。

ヤフーの「PayPay」ブランドを冠したECモール「PayPayモール」では、実店舗との在庫連携機能をすでに実装。将来的には「PayPay」で近隣店舗の在庫情報を見れるようにし、オンライン、オフラインのどちらでも、利用者のシーンに合わせて買い物できるようにする仕組み作りを進めている。

こうしたOtoO施策を含めて、EC事業者は「PayPay」と「LINE Pay」の動向は注視しておきたい。

 LINEとヤフーの経営統合 シナジーについて
サービス全体でのシナジーについて(画像はZホールディングスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

統合の理由

統合に至る背景で、川邉社長と出澤社長の両社で共通していたのが「グローバルテックジャイアントの存在」。川邊氏は、「アジアを代表するAIテックカンパニーになる」とビジョンを説明。

売り上げ、利益、研究開発費は米国のGAFA、中国のBATHから大きく引き離されている。「個社でやっていては間に合わない。だから一緒にやっていく」と川邉社長は経営統合に至った背景を説明した。

 LINEとヤフーの経営統合の背景について
海外企業との比較(画像はZホールディングスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

今後のスケジュールとストラクチャ

2019年末から2020年始をめどの最終資本提携契約締結をめざして協議・検討を進めていく予定。2020年1月~9月に各種申請・審査・手続きを行い、2020年10月の経営統合完了をめざす。

 LINEとヤフーの経営統合 組織図
経営統合後のストラクチャ(画像はZホールディングスの説明会資料を編集部がキャプチャ)

経営統合に向けて、ソフトバンクとLINE親会社のNAVERが共同でLINEに対してTOB(株式公開買い付け)を実施して非公開化、LINEを上場廃止とする。ソフトバンク保有のZホールディングス株をLINEに移管。現在のLINEはソフトバンクとNAVERのジョイントベンチャー(JV)とする。その後、LINE事業をZホールディングスの傘下に移管。Zホールディングスの配下にヤフー、LINEの事業機能を継承したLINE継承会社がぶら下がるストラクチャを予定する。

なお、新生Zホールディングスの取締役には「eコマース革命」のけん引役であるZホールディングス取締役の小澤隆生氏が就任予定。

瀧川 正実
瀧川 正実

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