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中国で加速する「メタバース+eコマース」。バーチャルライバーが24時間ライブショッピングする企業も登場 | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~

3 years ago
メタバースは次世代インターネットの新しい形であり、デジタルの未来を具体的に示す破壊的イノベーションと言えます。事業者はメタバース分野に布石を打つことで、将来的に先行者利益を獲得することができます

アリババ、テンセント、バイトダンスなど中国インターネット大手企業は「メタバース」への投資を加速しています。アリババが毎年開くカンファレンス「Apsara Conference」において、達磨研究所(アリババのテクノロジー研究機関)のXRラボ責任者・譚平氏は「メタバースは次世代インターネットになる」と提言しました。

メタバースとは?

メタバースは、SF作家「ニール・スティーヴンスン」氏が手がけたサイバーパンク小説「スノウ・クラッシュ」が起源で、「メタ」と「バース」の2つの言葉を組み合わせた造語です。接頭語の「メタ」は「高位」「~を超えた」を意味し、「バース」は「宇宙(ユニバース)」の略語で、両者を組み合わせて「宇宙を超越する」、つまりメタバースを意味します。

現時点のメタバースはまだ発展の初期段階。今後、5G、クラウドコンピューティング、XR(クロスリアリティ)、AI(人工知能)、デジタルツインなどの最先テクノロジーの進化が、メタバース関連産業のさらなる拡大をけん引していくと見られています。

eコマース分野でのメタバース

メタバースは「ユーザーの数」「利用時間」「お金を使う」という観点から、ビジネスの価値があると言えます

アリババは「Apsara Conference」で、ホログラフィック構造(仮想世界での地図・人・モノのモデル構築)、ホログラフィックエミュレーション(仮想世界の人・モノで現実世界の動きを再現すること)、バーチャリティとリアリティの融合(仮想世界の情報を現実世界に展示)、バーチャリティとリアリティの連動(仮想世界でのアクションが、現実世界でフィードバックされる)――この4つのアプローチでEC+メタバースを設計できる考えを示しました。

アリババはこの4つのアプローチによって、「人」「物」「場」を網羅する仮想空間でのeコマースモデルを構築。最終的には仮想世界と現実世界をつなぐ“場”を創り出そうと考えています。

Z世代がメタバースECのコアユーザーになると考えられるため、商品は物理的なモノからバーチャルなモノへのニーズ拡大、AR・VR・MRなどのテクノロジーによって、多感覚的なインタラクションと没入型ショッピング体験が実現されるでしょう。

ECサイトへののトラフィックが増加すると同時にコンバージョンが悪化し、消費者の要求がさらに高くなっていく将来において、「メタバース」は間違いなく大手インターネットプラットフォームなどが新たなトラフィックを獲得するための手段になるはずでしょう。

アリババに就職したバーチャルヒューマン「AYAYI」が2021年、ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」にアカウントを開設。その初回投稿の閲覧回数は約300万回に達しました。バーチャルヒューマンを活用した新たなプロモーションとして注目を集めています

AYAYIの「小紅書」への初投稿(画像左)と個人ページ
AYAYIの「小紅書」への初投稿(画像左)と個人ページ(出典:小紅書)

Z世代がメタバースの消費主力層

これから訪れるメタバース時代のeコマースの消費者は主にZ世代になるでしょう。

ここ10年の中国モバイル・インターネットの急速な普及時代に育ったZ世代は、メタバースの概念を受け入れる能力が自然に備わっています

iiMedia Researchの調査によると、中国のモバイルソーシャルプラットフォームにおけるZ世代ユーザーの割合は32.9%に達しており、若年化の傾向を示しています(2021年上半期の時点)。2024年には、「95後」ユーザーがモバイルソーシャル市場規模の62.2%を占めると予想されます。

Fastdataの2022年1月のデータによると、全世界でZ世代の人口は24億7000万人に達し、世界人口の32.1%を占め、世界で最も人口の多い世代となりました。

現在のZ世代の大半は成人しており、その購買力の向上により、今後のメタバースにおけるeコマースの最も大きな成長ドライバーになると考えられます。

バーチャルの世界では低コストで24時間ライブショッピングも

バーチャル・アイデンティティはメタバース世界の特徴の1つです。さまざまなテクノロジーを組み合わせ、アイデンティティまたは機能を擬人化したバーチャルヒューマンは今後、AI、CG、モーションキャプチャーなどの基礎テクノロジーの進化に合わせて、メタバース形態を構成する重要な1つになるでしょう。つまり、さまざまな産業で活用されると考えられています。

eコマースにおけるメタバースの最も重要な役割の1つは、低コストで仮想IPを作成できることです。バーチャルヒューマンレポートでは、2030年までに中国におけるバーチャルヒューマンの市場規模は2700億人民元に達すると推定しています。

現在、バーチャルヒューマンに関するテクノロジーは、主にeコマース業界において、ライブコマースやブランドイメージキャラクターなどに利用されています。

Tmallでは、すでに一部の事業者がバーチャルライバーを使ってライブ配信を行い、業績を伸ばしています。バーチャルライバーは、人件費をかけない低コストによる24時間ライブ配信を実現する一方で、ユーザーとの高頻度な交流を実現、コミュニケーションを活性化しているのです

日本のコスメブランド「meeth」のTmall海外旗艦店のバーチャルライバー
日本のコスメブランド「meeth」のTmall海外旗艦店のバーチャルライバー

「meeth」で行ったバーチャルライバーの事例を説明しましょう。消費者が商品に興味を持つと、「ライブ解説」ボタンをクリックするとライブルームに入ることができます。そこでバーチャルライバーがライブで商品説明を実施。ライブルーム内の該当商品リンクにある「ショッピングカート」ボタンをクリックすると、商品を購入することができます。

接客面では、AIなどのテクノロジーを搭載したバーチャルヒューマンが対応、スタッフの作業を減らしています。同時に品質や効率の向上、バーチャルヒューマンのインプット情報も蓄積され、ブランドによるバーチャルライバーの長期運用を支える重要な役割を担っています。

メタバースは「人」「モノ」「場」のビジネスモデルを強化

メタバースがeコマース業界に与える影響大きいと言えるでしょう。AR・VR・MRなどのテクノロジーによって、将来のオンラインショッピングは物理世界の壁を破り、視覚、聴覚、触覚までを含めた多感覚のインタラクティブなショッピング体験へと変わります。消費者の購買シーンはデジタルショッピングモール、デジタルショールームなどになる可能性を秘めています。

つまり、メタバースは次世代インターネットの新しい形であり、デジタルの未来を具体的に示す、破壊的イノベーションなのですメタバース分野に布石を打つことで、先行者利益を獲得することができます

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2019年のグローバルB2C-EC市場について(画像は『海外ECハンドブック2021』から)
越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著:トランスコスモス)
地域別のEC市場規模(画像は『海外ECハンドブック2021』から)

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  • 地域別EC市場データ
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  • アジア10都市EC利用動向調査
  • EC市場データランキング(TOP10)
  • 各国のEC市場環境比較表2019年
    などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
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トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)
房颖(Fang Ying)

動画広告の制作ポイントは?代表的な媒体ごとの特徴・種類やメリット・デメリットを解説!

3 years ago

本記事では、動画広告における制作ポイントや媒体ごとの特徴についてご紹介します。

また動画広告の種類やメリットを把握するだけでなく、デメリットも踏まえて検討することが可能です。

動画広告を検討している方、動画広告について知りたい方はぜひご一読いただき、ひとつの参考にして下さい。

動画広告とは

動画広告とは、その名のとおり、動画を活用した広告を指します。

従来までは紙やテキストを用いた広告や静止画のディスプレイ広告が主流でしたが、現代では動画広告が主流になっています。動画広告はテレビCMを含め、主に多くのWebサイトやSNSなど、インターネットで幅広く活用されています。

動画広告が主流となっているのは、以下のような背景があります。
・画像・テキスト・文字に比べて視聴者に伝わりやすい
・再生数や視聴時間など、比較・分析が容易
・インターネットやデジタルデバイスが普及している
・5Gをはじめとする通信技術の向上

短い時間で視聴者に伝わりやすく、商品・サービスへの理解の相違が生まれにくい点も動画広告の魅力です。

動画広告の市場規模

動画広告は、企業がプロモーションを行う上で必要とされる広告手法です。動画広告の市場規模は年々上昇傾向にあり、今後も伸びていくことが予想されています。

以下のグラフは、サイバーエージェントが実施した、「動画広告市場規模推測・予測」です。

引用:株式会社サイバーエージェント

2020年は、動画広告の市場規模は2,954億円。2021年から2022年と、市場規模は右肩上がりに上昇しています。さらに2023年には7095億円と、2020年の倍以上の市場規模に到達すると予想されています。

また2025年となると、市場規模は1兆円規模に到達すると予想されており、動画広告の市場規模は大きく拡大することが予想されています。

これほどまでに動画広告が主流となり、市場規模も右肩上がりになっている背景には、大きく以下のような理由があります。
・新型コロナウイルスによるリモート・巣ごもり需要の拡大
・あらゆる業界で推奨される「DX化」の動きの拡大

2020年には新型コロナウイルスが世界中で流行し、自宅で娯楽を楽しんだり、またこれまでの業務を自宅で行う動きが拡大しました。その影響でデジタルデバイスやインターネットの閲覧時間も増え、それと同時に動画広告の再生回数も増えていることが原因のひとつとなっています。

また現代ではあらゆる業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が推奨され、デジタル技術の変革による影響が大きいといえます。

動画広告の種類

ひとえに動画広告といっても、その種類は多岐にわたります。中でも代表的なのが、「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」の2種類です。

この章では、その2種類の違いをくわしく見ていきましょう。

インストリーム広告

インストリーム広告は、主に「視聴者のネットサーフィンやブラウジングを妨げる形で流れる広告」を指します。

わかりやすい例でいうなら、YouTube広告があげられるでしょう。動画を再生しようとすると特定の広告が流れ、視聴者のブラウジングは数秒間ストップしてしまいます。

ブラウジングとは、インターネット等を閲覧することをいいます。
数秒間視聴したあとにスキップ可能な広告は「スキッパブル型」といい、最後まで視聴しなければならない広告は「アンスキッパブル型」といいます。

インストリーム広告の種類

インストリーム広告には、大きく以下の種類があります。
・プレロール広告
・ミッドロール広告
・ポストロール広告

YouTubeを例にして、上記3つの広告の種類を解説します。

まずプレロール広告は、見たい動画を再生する前に流れる動画広告のことを指します。

ミッドロール広告は、動画を見ている途中で差し込まれる動画広告のことです。

またポストロール広告とは、YouTubeにはありませんが、動画の視聴後に流れる広告を指します。

インストリーム広告の特徴

インストリーム広告の特徴は、主に以下のとおりです。
・ネットサーフィンやブラウジングの途中で差し込まれるため、視聴者への接触が容易
・視聴者に強制的、かつ直接的な形で訴求ができるため、高い効果が得られる

インストリーム広告は、通常の広告とは異なり、視聴するユーザーの動きを妨げる形で広告が差し込まれるため、よりダイレクトに視聴者へ接触が図れます。

また強制的かつ直接的な形で視聴者へ訴求できるため、宣伝効果も高いといえます。

インストリーム広告を利用する際の注意点

インストリーム広告を利用する際は、以下の注意点を抑えておきましょう。
・動画広告の冒頭の1~2秒でインパクトをつける
・視聴者が不快に思わない尺に設定する

ユーザーは興味のある動画や関心を持った動画を見る傾向が強いため、冒頭の1〜2秒で視聴者を惹きつけるインパクトが重要です。

またインストリーム広告は、視聴者の動きを止める広告です。アンストッパブル型の動画広告にする際、不快に思われない程度の尺にすることが大切です。

アウトストリーム広告

アウトストリーム広告は、インストリーム広告とは反対に「視聴者のネットサーフィンやブラウジングを妨げない広告」のことです。

例をあげると
・Webサイトの下方に表示されたバナー広告
・視聴している動画の横に、さり気なく表示されている広告
などが該当します。

アウトストリーム広告の種類

アウトストリーム広告には、大きく以下の3種類があります。
・インリード広告
・インバナー広告
・インターステイシャル広告

インリード広告は、SNSフィードやニュース記事など、コンテンツ間に表示される動画広告です。

インバナー広告は、Webサイトやメディアのバナー広告欄に表示される動画広告です。

インタースティシャル広告とは、主にWebページを遷移する時に表示される動画広告をいいます。

アウトストリーム広告の特徴

アウトストリーム広告の特徴として、大きく以下があげられます。
・配信できる媒体やメディアが幅広く、よりさまざまなユーザーの興味に訴求できる
・SNSでの動画広告は、大きく拡散される可能性もある

アウトストリーム広告は、さまざまなWebサイトやメディアに幅広く掲載できます。そのため、ユーザーの興味に合わせた効果的な広告の配置が特徴です。

またSNSに動画広告を掲載することで広く拡散され、制作費以上の費用対効果を得られる可能性が高い傾向があります。

アウトストリーム広告を利用する際の注意点

アウトストリーム広告を利用する際の注意点としては、以下があげられます。
・より視聴者の目を惹きつける工夫が必要
・配信メディアごとに訴求の内容を変える

インストリーム広告とは異なり、アウトストリーム広告は視聴者のブラウジングを妨げない手法です。視聴者が「つい見てしまう」ような惹きつける広告を制作するために工夫が必要です。

また配信メディアによってユーザーの特性、抱えている悩みも異なります。それに応じて訴求内容を変えた動画を複数制作して媒体ごとに動画を分けて配信することがオススメです。

動画広告のメリット

動画広告にはさまざまなメリットがあり、具体的には、大きく以下があげられます。
・視聴者の記憶に残りやすい
・ストーリーを伝えやすい
・費用対効果の高さ
・費用対効果を明確に把握できる

視聴者の記憶に残りやすい

視聴者の記憶に残りやすいことは、動画広告の最大のメリットです。

動画の広告を用いることで、視聴者の「視覚」と「聴覚」に訴求することができます。

視聴者は何らかの情報を得るとき、主に視覚と聴覚を使います。なかでもとくに視覚で87.7%、聴覚が7%の情報を得るとされています。動画広告をユーザーに訴求することで、「視覚」「聴覚」両方に訴えることが可能です。

そのため短い時間で多くの情報を訴求でき、視聴者に強いインパクトを与えられることがメリットといえます。

ストーリーを伝えやすい

ストーリーを伝えやすいことも、動画広告のメリットです。

商品を購入してもらうには、「ストーリーによって人の心を動かす」ことが重要になります。

テキストや画像と比較し、動画広告の場合は
・今どんなことに悩んでいるのか
・商品を使うことで、どんな未来が得られるのか
のような一連のストーリーが、圧倒的に視聴者に伝わりやすくなります。

商品・サービスなどの利用ストーリーをコンパクトに訴求できるのは、動画広告ならではの特徴です。

費用対効果の高さ

高い費用対効果が得られることも、動画広告のメリットです。

一つの動画広告を制作することで、
・自社の公式サイト
・他社メディア
・YouTubeをはじめとするSNS
など、さまざまな場面で利用ができます。

さまざまな用途で活用できることを前提に作成すれば、費用対効果を高めることが可能です。また動画広告では、成果報酬型の課金形態が多くあります。成果に応じた課金がメインになるため予算の設定を事前に検討することができます。

動画の活用を増やすことで制作費以上の高い宣伝効果を得られます。

費用対効果を明確に把握できる

動画広告は、データ集計や分析が可能です。そのため費用対効果を検証し改善を行うことで今後のプロモーションに活かすことができます。

例えば紙媒体の広告の場合、誰がどの場所にどのくらい興味を持ってくれたかといった情報を把握することはできません。

動画広告では専用ツールを用いることで、以下のような情報を分析できます。
・動画広告の再生回数
・動画広告の再生・滞在時間
・動画広告のクリック率
・動画を通じて購入につながった数

「動画広告がどのくらい見られていて」「どのくらい興味を持たれているか」「その動画の効果でどのくらいの商品が売れているか」これらの情報がわかることで、その後の「改善」も容易になるのは、動画広告のメリットです。

動画広告のデメリット

動画広告には大きなメリットがいくつもありますが、デメリットも存在します。

具体的には、以下のとおりです。
・制作期間や制作コストがかかる
・動画のクオリティに効果が左右される
・動画のネガティブな印象が残りやすくなる

この章では、上記3つをそれぞれくわしくご紹介します。

制作期間や制作コストがかかる

動画広告には、製作期間・制作コストがかかる点がデメリットです。

動画広告の種類によっても大きく異なりますが、制作会社に任せた場合、撮影でもアニメーションでもおおよそ1〜2ヶ月以上の製作期間がかかります。
自分で動画を作成するとなると、さらに制作期間が必要になります。

また動画広告はテキストやバナーなどの静止画広告と比較すると、高額なコストがかかる点にも注意が必要です。

動画のクオリティに効果が左右される

動画広告を出稿したからといって、必ずしも知名度や売上が向上するとは限りません。
その費用対効果は、動画のクオリティによって大きく左右されてしまう点がデメリットとなります。

動画のクオリティが低かったり、伝えたいことが表現できていない動画の場合、ユーザーに興味を持たれずスキップや離脱につながります。

万が一、関心のないユーザーに届いてしまった場合、企業のイメージダウンにつながることも否めません。

動画のネガティブな印象が残りやすくなる

動画は視聴者にポジティブな印象を残しやすい一方、ネガティブな印象を残しやすい点も特徴です。

たとえばテレビCMなどでは、頭から離れないフレーズや、聞き慣れない不快な効果音などを用いたものもあります。そうなるとその企業へ苦情が殺到したり、SNSで炎上してしまうことがあります。

動画広告においても例外ではなく、ネガティブな印象を視聴者に残してしまうと、イメージダウンにつながることで、結果的に逆効果になります。

そのため個人での制作においては、なるべくネガティブなイメージを与えないよう工夫する必要があり、イメージダウンを懸念される場合は、動画制作会社へ依頼することでデメリットを未然に防ぐことができるでしょう。

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動画広告の動画制作・映像制作

静止画と動画広告の比較

静止画広告と動画広告を比較すると、以下の表のようになります。

静止画広告動画広告
視聴者への伝わりやすさ伝わりにくい
(視聴者の解釈が生じる)
伝わりやすい
(視聴者の解釈が生じにくい)
同じ時間で得られる情報量少ない
(情報が限られる)
多い
(動くため情報が多い)
広告の印象の残りやすさ残りにくい残りやすい
クリック誘導率低い
(画像のみで確認)
高い
(映像と音で確認可)
購入前後のイメージ相違多い
(角度や見え方が実物と異なる)
少ない
(動画であらゆる角度で確認できるため)

静止画広告に比べると、動画広告がいかに優れている手法であるかがわかります。動画広告は、同じ秒数でも得られる情報量に圧倒的な違いが生じるものです。

そのため視聴者の商品・サービスへの理解の相違を生みにくく、印象にも残りやすくなっています。映像に加えて音声で確認できるため、クリック誘導率も高いうえに購入後のイメージ相違も最小限に抑えることができる点が大きなメリットとなるでしょう。

とはいえ静止画広告にも相応のメリットはあります。「訴求したい内容を1枚の画像で表現できる」という点です。多くの情報量を必要としないサービスや製品の場合、画像のほうがインパクトを残せる場合もあります。

その点動画広告の場合、視聴者は基本的にスキップ前提で見るため、全く印象に残らないケースもゼロではありません。

それぞれに良し悪しがあるので、サービスや製品によって動画と画像をうまく使い分けるようにしましょう。

動画広告を作る際のポイント

動画広告を作る際には、以下のようなポイントを抑えることが大切です。
・動画広告を配信する目的を決める
・ターゲットを設定する
・配信先と動画広告の種類を決める
・ストーリー性のある動画を制作する

この章では、上記4つのポイントを、それぞれ詳しく見ていきます。これから広告動画の制作を検討している方は、ぜひ参考にして下さい。

動画広告を配信する目的を決める

動画広告を作る際は、配信する目的を明確に定めることがポイントです。

動画広告によって、
・どんなことを実現したいのか
・何を伝え、何を感じてほしいのか
といったことを、制作に着手する前に明確に決めておきましょう。

たとえば「認知度を20%アップさせる」「売上を40%向上させる」「Webサイト滞在時間を60%アップさせる」など、具体的に数字で示すのがおすすめです。

目的があやふやだと、何を伝えたいかわからない動画になってしまいます。

ターゲットを設定する

ターゲットを設定することも、動画広告制作において重要なポイントです。

「せっかく高いお金をかけて動画を作成するのだから、たくさんの人に響く内容にしたい」と考えるのは自然でしょう。しかし実際はターゲットを狭く絞り、「一人の誰か」に深く刺さるような構成にしたほうが、話題を集めたり、拡散されやすい傾向にあります。

とくに「コンバージョン率アップ」を狙う場合、自社の製品・サービスに興味のあるユーザーをターゲットにすると効果的です。

まずは動画を作る前に、「どの年齢層のどんな人に向けたものにするか」を定めることが大切になります。

配信先と動画広告の種類を決める

「配信先」と「動画広告の種類」をあらかじめ決めておくことも、動画制作におけるポイントのひとつです。

配信先が自社のWebサイトか、特定のメディアか、あるいはSNSかで、動画の内容や尺が変わってくるためです。

また配信先のメディアによって、視聴者層も異なります。SNSなら若い年齢層、ニュースサイトなどなら若者〜中高年など、さまざまでしょう。そのため、自社のサービスや製品の年齢層に合わせると効果的です。

動画広告をメディアに合わせて適切に制作することで、より高い宣伝効果が生まれるうえ、視聴者からの共感にもつながります。

ストーリー性のある動画を制作する

動画広告を作る際は、ストーリー性にこだわることもポイントです。

たとえば何かものごとを説明する際も、事実ベースで伝えるよりストーリーに沿って伝えたほうが、聞き手が理解しやすくなります。動画においても同様で、ストーリー性をもたせることで、視聴者への訴求力が圧倒的に増します。

またストーリー仕立ての訴求ができるのは、動画広告ならではのメリットでもあります。ストーリー性を存分に活用できるうえ、高い費用対効果が期待できます。

ただストーリー性をもたせるには、ある程度尺が必要です。視聴者に伝えたい訴求ができる構成になっているかの構成にまとめることが重要となります。

動画広告を出稿するときの代表的な媒体

「動画広告を出稿するとなると、どんな媒体があるの?」と疑問を抱く方も多いでしょう。

動画広告を出稿する媒体は、大きく以下に分類されます。
・YouTube
・SNS動画広告
・アプリ動画広告
・Webサイト

この章では、それぞれの媒体がもつ特徴などをまとめています。

またSNSとWebサイトについては、具体的なサービスをいくつかあげつつ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

YouTube

アクティブユーザー数(世界)約25億人以上
アクティブユーザー数(国内)約6,900万人以上
用いられる動画広告の種類・インストリーム広告(スキッパブル広告/ノンスキッパブル広告)
・ディスカバリー広告
・バナー広告
広告による宣伝効果
年齢層主に10~50代前半

YouTubeは世界最大の動画プラットフォームです。

世界中のアクティブユーザー数は約25億人、日本国内だけでいっても約6,900万人と、他社と比較しても圧倒的なアクティブユーザー数とシェアを誇ります。

2020年の新型コロナウイルスの影響による、リモートワークの推奨や、巣ごもり需要の拡大によって、今もなお成長が止まりません。

YouTubeで用いられる広告は、主にインストリーム広告です。

動画の開始時と途中などで、スキップ可能(もしくは不可能)な動画広告を挟むことで、視聴者にダイレクトな訴求を行います。また動画の下方に小さなバナー広告が配置されているのを、よく目にする方も多いのではないでしょうか。

利用の年齢層も幅広いため、ユーザーの趣味・嗜好に沿った適切な宣伝が可能なプラットフォームです。

SNS動画広告

YouTubeのような動画プラットフォームとは異なり、SNSサービスにおける動画広告のことを指します。

代表的な具体例としては以下のようなサービスがあげられます。
・Facebook
・Instagram
・LINE
・TikTok
・Twitter

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Facebook

アクティブユーザー数(世界)約29億1,000万人以上
アクティブユーザー数(国内)約2,600万人以上
用いられる動画広告の種類・インストリーム広告(スキッパブル広告/ノンスキッパブル広告)
・フィード広告
広告による宣伝効果
年齢層主に20~40代前半

Facebookは世界で29億1,000万人、日本国内で2,600万人のアクティブユーザー数
を誇る、世界最大のSNSサービスです。

ユーザーの実名での利用を推奨している特徴や、友人とのダイレクトなやり取りが可能な点から大きな話題を集め、現在の規模に至りました。なお現在は会社名を「Meta(メタ)」へと変更しています。

Facebookで用いられる広告は主にインストリーム広告とフィード広告です。実名制での登録や、その他のプロフィール項目が充実していることから、ターゲティングの精度が高い傾向です。

そのためユーザーの嗜好や興味関心に沿った宣伝が可能となっており、より高い動画広告の効果を実感できるでしょう。

Instagram

アクティブユーザー数(世界)約10億人以上
アクティブユーザー数(国内)約3,300万人以上
用いられる動画広告の種類・フィード広告
・ストーリーズ
広告による宣伝効果
年齢層主に10~30代半ば

Instagramは、前述のFacebook社(現メタ)の傘下のSNSプラットフォームです。

主に画像および動画の投稿がメインのSNSとなっており、国内でも3,300万人以上のアクティブユーザー数を誇ります。とくに10〜30代といった若い年齢層から絶大な人気を誇り、「インスタ映え」という言葉も生まれました。

こちらのInstagramで用いられる広告は、主にフィード広告と、ストーリーズです。

ストーリーズとは、縦長のスマホで全画面表示されるショート動画のような機能のことで、国内のデイリーアクティブユーザーの70%が利用するほどの人気を誇ります。とくに現代においては、通常の画像や動画の投稿は見ず、「ストーリーズしかまともにチェックしていない」というユーザーも少なくありません。

この背景から、もしInstagramで動画広告を運用する場合、こちらの「ストーリーズ広告」をメインに作成するのがおすすめといえるでしょう。実際にフィード広告とストーリーズ広告を比較しても、クリック回数や単価、また表示費用などどれをとってもストーリーズに軍配が上がります。

さらにInstagramは、広告配信をFacebookページと連携できる点もメリットです。

LINE

アクティブユーザー数(世界)約1億9,400万人以上
アクティブユーザー数(国内)約9,200万人以上
用いられる動画広告の種類・トーク画面上部バナー
・LINE NEWS広告
・タイムライン広告
広告による宣伝効果
年齢層主に10~60代半ば

LINEは日本国内のチャットアプリにおいて、絶大なシェアを誇るSNSサービスです。世界中のアクティブユーザー数は1億9,400万人、その中で日本国内のアクティブユーザーは約9200万人と、約半数が日本のユーザーとなっています。

国内におけるメインの連絡手段のため利用の年齢層も10代をはじめ60代半ばと、非常に幅広いことが特徴です。

LINEにおける広告は、チャット画面の上部に設置されているバナー広告やLINE NEWS、タイムライン広告がメインとなっています。

またLINEはチャットのみならず、以下のようなさまざまなサービスを運営中です。
・Smart Channel
・LINEショッピング
・LINEウォレット
・LINEクーポン
・LINEポイント
・LINE BLOG
・LINEマンガ
・LINEチラシ

それぞれのサービスで、利用の年齢層や、適した広告スタイルは異なります。

そのためLINEで動画広告を配信したい場合、自社製品に合わせた適切な動画広告を幅広く選択・利用できる点は魅力といえるでしょう。

TikTok

TikTokは、中国のテクノロジー企業「ByteDance」が運営するSNSサービスです。ショート動画投稿型のSNSという位置づけとなっており、世界のアクティブユーザー数は10億人を超えるほどの人気を誇ります。

日本国内のアクティブユーザーは約1,700万人程度と比較的少ない傾向ですが、まだ新しいサービスということもあって今後の規模拡大が期待されるでしょう。

若い年齢層から絶大な人気を誇る点が大きな特徴であり、ユーザーの約42%が18〜24歳となっています。そのため、もし動画広告にて、若年層へのアプローチを集中的に図りたい場合、TikTokはうってつけです。

TikTokで使用される広告は、主に以下の3つです。
・起動画面広告
・インフィード広告
・ハッシュタグチャレンジ広告

中でもとくに起動時広告は、TikTokユーザーに必ず見てもらえる広告ですので幅広いリーチが期待できます。
またハッシュタグで動画投稿を促す「ハッシュタグチャレンジ広告」も、TikTokならではの広告手法としてあげられます。

Twitter

SNS動画広告として、Twitterもあげられます。

TwitterはアメリカのSNSサービスで、アクティブユーザー数は世界で3億3,000万人、日本国内で5,895万人となっています。他のSNSサービスと比較するとまだまだ数は少ないですが、Twitterの強みは「影響力」「拡散力」にあるといっていいでしょう。

Twitter広告の特徴は、タイムラインを閲覧している最中に、広告が画面内に入ると自動的に再生されます。そのため能動的なユーザーをはじめとした、あらゆる方々の興味・関心を惹くことができる点が魅力です。

またTwitterの強みとして、ターゲティングの精度もあげられます。
・ユーザーの年齢、性別、出身地などの個人情報
・フォローしているアカウントの系統
・ツイートの内容
・ツイートの表示時間
なども精密に分析するため、よりユーザーの興味・関心に基づいた広告を表示できる点が特徴です。

またTwitterは、爆発的な拡散現象「バズ」が生じやすい媒体でもあります。ユーザーに深く刺さる動画広告を用意することで、制作費を大きく上回る費用対効果を得られる可能性があります。

アプリ動画広告

アプリ動画広告とは、あらゆるアプリ内に何らかの形で表示される広告の総称です。ひとえにアプリといっても多種多様ですが、代表的なものは下記になります。
・ゲームアプリ
・マンガアプリ
・ポイ活アプリ
・タスク管理アプリ
・家計簿アプリ
・キュレーションアプリ

また、動画広告の種類にもさまざまなものがあります。たとえばゲームのロード中に出てくる広告であったり、画面タブを切り替える際に出てくる広告などです。使うアプリによって、それぞれ最適な広告の表示方法が設けられています。

アプリ内広告には傾向として、一定の秒数の間スキップが不可能な「インストリーム系広告」が多い傾向です。また「ユーザーの行動を妨げない」バナー型の広告を採用しているアプリも存在します。

Webサイト

動画広告を出稿する際は、Webサイト広告も代表例としてあげられます。

Webサイト広告はその名のとおり、サイト上に配置・配信する広告のことを指します。そんなWebサイト広告の中でもとくに代表的な媒体となるのが、以下の2つです。
・Google動画広告
・Yahoo!動画広告

この章では、上記2つのそれぞれの特徴などを見ていきます。

Google動画広告

Google動画広告は、Googleが運営・提供する広告のひとつです。

主にWebサイトの両脇や下方に広告枠を設け、ユーザーの邪魔にならないよう表示する「アウトストリーム広告」の形式がメインとなっています。

Google動画広告には、以下のようなメリットがあります。
・アウトストリーム型が一般的なので、ユーザーのストレスが小さい
・さまざまなWebサイトへ広告動画を掲載することが可能
・サイトのジャンルとユーザーの特性、両軸で正確なターゲティングが可能
・ユーザーのより潜在的な要求を考慮したアプローチが可能

インストリーム広告とは異なり、ユーザーの動きを妨げないため、ユーザーがストレスを感じないのがメリットです。また表示されたサイトとユーザー層の特性を分析し、より成果につながる広告が制作できます。

Google動画広告は、基本的に音声オフでの再生です。そのため制作の際は、「音声がなくても伝わる動画」に仕上げなければなりません。

Yahoo!動画広告

Yahoo!動画広告は、株式会社Yahoo!が提供・運営する動画広告のことを指します。

主な広告の掲載箇所としては、以下のとおりです。
・Yahooのスマホアプリのタイムライン
・Yahoo!JAPANのウェブページの横
・Yahoo!ニュースの上部、中間、下部

Yahoo!動画広告もインストリーム広告とアウトストリーム広告、好きな方を選択できます。自社のサービスやターゲット層に合わせ、使い分けるのがいいでしょう。

なお、前述の「Google動画広告」と「Yahoo!動画広告」、2つを用いることで、世の中のほぼすべてのWebサイトに動画広告を掲載することが可能です。

動画広告を成功させるポイント

せっかく動画広告を制作するなら、成功させたいと思うのが当然でしょう。

動画広告の成功のためのポイントとしては、大きく以下の3つがあげられます。
・メディア媒体に適した出稿をする
・開始3秒で惹きつける
・モバイルに最適化する

この章では、上記3つをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

メディア媒体に適した出稿をする

メディア媒体に適した出稿をすることが、動画広告成功のポイントです。

たとえばWebサイトの種類やSNSの特色などによって、ストーリー性のある動画広告よりも、単調な商品紹介動画のほうが高い効果を発揮するケースもあります。

もしくは自社の商品やサービスの種類と媒体の組み合わせによっては、「画像広告でシンプルにさりげなく主張する」選択肢もあります。

メディアや自社サービスの特徴を把握し、適切な出稿を心がけることが大切になります。

冒頭3秒で惹きつける

成功している動画広告に共通しているのは、「冒頭3秒」で消費者にインパクトをあたえている点です。

動画広告はあくまで、「視聴者が本当に見たいコンテンツの脇役」のような位置づけです。そのため、スキップしたり離脱したりと広告を避けられる確率が高くなる傾向です。

ただその中で視聴者の目を惹きつけたり、続きが気になるよう興味を持たせるなど、創意工夫をすることで動画広告から成果につなげることができます。

スルーされがちな動画広告に興味を持ってもらうため、冒頭3秒にインパクトのある構成は重要です。

モバイルに最適化する

モバイルに最適化することも、動画広告の成功のために重要なポイントです。

現代ではPCユーザーよりも、スマホや小型のタブレット端末で動画を見るユーザーが増加しています。

そのため、スマホに最適な動画を制作することが必要です。スマホはPCに比べて画面が小さいので、テロップや文字を大きく目立たせた動画を作るほうが効果的といえます。

視聴者の閲覧するデバイスも考慮した動画広告の制作は、広告後の反響に大きく影響を与えるでしょう。

まとめ

以上、動画広告の制作のポイントや種類、具体的な媒体についてご紹介してきました。
動画広告は、掲載する媒体や広告の種類によって、戦略は180度変わります。
媒体に合わせたアプローチ方法を把握し、効果的な動画広告を制作しましょう。

動画制作サービス「Crevo」は、動画広告をはじめ、動画制作に関する幅広い要望を叶えるサービスを提供しています。どんなに些細な事でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください!

crevoAdmin

ヤフーが発表した「Yahoo!ショッピング」「LINE」「PayPay」との連携によるEC強化とは

3 years ago

ヤフーは、「LINE」「PayPay」との連携をさらに強化し、eコマースの成長を促進していくと発表した。

「Yahoo!ショッピング」内の優れた店舗を表彰する「ベストストアアワード2022」で、小澤隆生社長執行役員CEOが「LINE」「PayPay」との連携を強化し、ECの成長を促進すると公表した。

ヤフーは、「LINE」「PayPay」との連携をさらに強化し、eコマースの成長を促進していくと発表
「Yahoo!ショッピング」強化策

月間利用者数約9400万人の「LINE」と、登録ユーザー5500万人超の「PayPay」との連携強化の1つの施策として、「Yahoo!ショッピング」訪問ユーザーに対する再訪問、購買機械の増加、リピート購入などにつながる売り場作りやマーケティングソリューションを強化するという。

「Yahoo!ショッピング」での買い物で使える「ヤフーショッピング商品券」の提供量拡大、現在実施している「PayPayで毎日5%」キャンペーンによる日常的な購買行動を加速させる販促を予定している。

「Yahoo!ショッピング」の「LINE公式アカウント」については、お気に入りの在庫や再入荷、商品発送通知などがリアルタイムで受けることができる機能をアップデートしていく。詳細は近く発表予定という。

ヤフーは「2020年代前半に国内物販EC取扱高No.1」というeコマース取扱高に関する経営目標を変更。従来の「ポイント・販促中心」から、「グループアセットを最大限活用することに注力し、成長と収益性のバランスを両立」に変えた。

Zホールディングス ヤフー 経営目標の変更
経営目標の変更(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

そのため、ショッピングモール事業へのポイント還元投資はいったん抑制。コストコントロールの範囲内で取扱高の成長に取り組むとしている。

石居 岳

製品・ソフトウエア開発などの一部経費を東京都が最大1500万円を助成する「新製品・新技術開発助成事業」とは

3 years ago

公益財団法人東京都中小企業振興公社は、実用化の見込みのある新製品・新技術の自社開発を手がける都内中小企業者などに対し、研究開発の一部経費を最大1500万円まで助成する「新製品・新技術開発助成事業」の募集を始めた。

「新製品・新技術開発助成事業」は、実用化の見込みのある新製品・新技術の自社開発を行う都内中小企業者などに対し、試作開発における経費の一部を助成する事業。技術力の強化および新分野の開拓を促進し、東京の産業の活性化を図ることを目的としている。

申請は国が提供する電子申請システム「Jグランツ」で受け付ける。令和5年度の募集から、直接人件費の助成限度額が500万円から1000万円に引き上げとなる。

対象となる事業分野

  • 新しい機能を付加した製品や製造技術などに関するハード面の研究開発
  • 新しいソフトウエア、アプリ、システムなどの研究開発
  • 新たなサービスの提供による生産性向上、高付加価値を目的とした研究開発

助成対象者

都内の本店または支店で実質的な事業活動を行っている中小企業者(会社および個人事業者)など、都内での創業を具体的に計画している個人。

創業年数、業種の指定はなし。東京都内での創業を具体的に計画している人も申請できる。

助成対象経費

原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、直接人件費。

直接人件費は、ソフトウエアの開発にかかる工程、ソフトウエア以外の開発における設計工程に直接従事する時間のみが対象となる。

申請期間

3月13日~4月5日17時まで。助成対象期間は2023年9月1日~2025年5月31日(最長1年9か月)。

「新製品・新技術開発助成事業」の説明動画
石居 岳

集客は広告・SNS・SEO対策のバランスが重要。検索エンジン最適化の基礎と4か月で流入数2倍の事例を解説 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

3 years ago
SEO対策のイロハと、実際に対策に成功した事例を見ながら、自社ECにおける効果的なSEO対策のヒントを紹介する

みなさんは「SEO対策」についてどんなことを知っていますか? SEOは「検索エンジン最適化」とも呼ばれ、自社サイトが検索結果の上位に表示されるようにするためのさまざまな施策を指します。ご存じの通り、ECサイトにおいても、SEO対策が集客力や認知度の向上においてとても大切な要素。今回は、改めてSEO対策が必要な理由とその基本、実際に対策に成功した事例を見ながら、自社ECでベストなSEO対策を行う上でのヒントを探したいと思います!

基本をおさらい! SEO対策がなぜ必要なのか?

ECサイトへの基本的な流入経路は、自然検索、広告、SNSの3つがあります。その中でも、「自然検索」が全体の流入の50%を占めていると言われています。

つまり、自然検索からの顧客の流入をいかに確かなものにするかが、ECサイトでの集客の大きなポイントになるのです。そのためには、SEO対策をしっかりと練っておくことが必要と言えるわけですね。

また、SNSや広告でのプロモーションを用いた集客には即効性がありますが、「別途の費用がかかる」「施策をストップしたら流入が途絶える」などのデメリットもあります。

一方のSEO対策は、効果が出るまでに少し時間がかかる分、費用がかからず、検索結果の上位に表示されるようになることで長期的な集客を見込むことができます。

SEOは「検索エンジン」と「無料」が交差する枠。低コストで長期的な集客を見込める
SEOは「検索エンジン」と「無料」が交差する枠。低コストで長期的な集客を見込める

広告やSNSでのPRを通した即効性のある訴求と、SEO対策を施した検索での長期的な集客、これら両者のバランスが大切と言えそうです!

ベーシックな3つの対策をチェック

SEO対策には、サイト内部に対して行う内部対策、サイトの外部から行う外部対策、そしてサイト内容に対して行うコンテンツ対策があります。

ECサイトの内部対策

①クローラーがサイト内で適切に巡回できるよう促す

クローラーとは、検索エンジンが検索結果の順位を決めるための要素をサイト内を巡回して収集し、データにまとめるロボットのようなものです。

検索エンジンは、「クローラーが集めたWebサイトのデータをランク付け→そのランクが高いWebサイト順に検索結果を表示する」という流れで動いています。

つまり、まずはクローラーがサイトに来て、サイト内を適切に巡回してもらいやすくすることが、検索結果上位をとるための第一歩になるわけです。そのための主な方法が以下の3つになります。

  • サイトマップを構築する

サイトマップとは、そのWebサイトに存在するページや繋がりを網羅したページのことで、言わばそのWebサイトの目次のようなものです。クローラーは、リンクをたどりながら日々世界中のサイトを巡回しています。

一方、サイトのリンクからいちいち新しいページに飛ぶよりも、サイトマップという全体像からページを探す方が、クローラーにとっては高速で効率よく巡回することができるのです。

  • サイトの階層構造をシンプルにする

サイトの階層構造とは、「トップページから目的のページまでに何クリックでたどり着けるか」を表した言葉です。

注意しなければならないのは、トップページから何度もクリック操作しないとたどり着けないページは、クローラーから重要でないと見なされてしまう恐れがあることです。

そのためには、サイトの構造をシンプルでわかりやすくすることが必要です。関連性の高いページやより下位の階層にあるページを、内部リンクなどによって素早くアクセスできる工夫を施せば、クローラーからもより認識されやすくなります。

  • 「パンくずリスト」を設置する

いきなり食べ物が出てきましたが、「パンくずリスト」とは、サイトを訪れたユーザーが現在サイトの階層内のどの位置にいるのかを示した部分のことです。

たとえば通販サイトであれば、ページの上部に「top>メニュー>おすすめ商品」みたいに表示されている部分ですね。

この「パンくずリスト」は、クローラーにとってもサイト構造を理解し適切に巡回する助けになるので、なるべく設置しておきましょう!

②サイトが適切にインデックス(クローラーが集めた情報を検索エンジンのデータベースに登録すること)されるように促す

  • ページのインデックス漏れがないかチェックする

検索エンジンはインデックスされた情報をもとにページをランク付けするので、ページが検索結果に表示されるには、それが確実にインデックスされていることが前提です。

インデックスの確認は、各検索エンジンが提供している検索分析ツール(Googleであれば「Google Search Console」)を使って行うことができます。

  • 適切なTitleタグやdiscriptionタグを設定する

Titleタグとは、検索結果の項目に一番大きく表示される、ページに移る際に実際にクリックする部分のことを指します。

検索されたキーワードとTitleタグに設定されているキーワードが合致しているページほど、検索結果で上位に表示されやすくなります。

たとえばECサイトであれば、あまり多くのキーワードを用いすぎず「〇〇を取り扱う通販サイト」のようなシンプルな形にまとめることがおすすめです!

それに加えて、discriptionタグ(Titleタグの下に表示されるサイトの説明文)もユーザーが検索エンジンに訪れるかどうかの判断材料になり、表示順位に影響します。そのページで最も伝えたい内容を簡潔に記述しましょう!

ECサイトの外部対策

①良質なコンテンツを継続的に作る

外部対策で最も重要なのが、「他のサイトからの外部リンクの数」になります。これは、参考として引用される回数が多い学術論文ほどより質の良い論文とされるのと同じ考え方で、他者のサイトからのリンクが多いサイトほどより良いサイトであると考えるためです。

コンテンツ対策にもつながるのですが、外部リンクを多く獲得するには、まず良質なコンテンツを提供することが肝要です。

ポイントは、継続的に良いコンテンツを配信すること。良いコンテンツが増えるほど外部サイトからの評価も高くなり、結果的に外部リンクも増える確率が高くなります。長期的に発信し続けることで、確実な効果が現れるはずです!

‍②SNSで拡散しやすいサイト設計を行う

良いコンテンツ制作を行っても、それがなるべく多くのユーザーの目にとまらなければ意味がありませんよね。そのためには、SNSでの拡散を狙うことが最も効果的。ユーザーが、「この記事をシェアしたい!」と思った時すぐに投稿できるような仕組みを入れましょう。

たとえば、文頭や文末など見つけやすい場所にソーシャルボタンを入れておくと良いかもしれません。ページのスクロールに合わせてボタンが移動するような工夫なども考えられるので、自社ECに合わせたデザインを考えてみましょう!

ECサイトのコンテンツ対策

コンテンツの質は、サイトの質にも直結します。良いコンテンツを作る際に欠かせないのが、適切なペルソナとキーワードを設定することです。

‍①ペルソナを設定する

ペルソナとは、年齢や性別、職業から趣味、生活習慣など、想定しているターゲットを実在する人物のように詳しくイメージした人物像のことを指します。具体的な顧客をイメージすることで、よりユーザー目線で効果的な施策を行うことができます。

‍②適切なキーワードを設定する

その上で、ペルソナがどのようなキーワードで検索するのかを把握しましょう。注意点としては、検索数が多いキーワードは競合が多くなり、検索上位にヒットする難易度が高くなること。

特定のキーワードのみにこだわらず、それに関連して検索されるような言葉をサブキーワードとして設定し、コンテンツに組み込むことがコツになります。

具体的なペルソナとキーワードを設定しておくことで、ユーザーのニーズに合ったコンテンツを作りやすくなるのです。

ここでもう一度基本の対策をまとめると、

内部対策

  1. クローラーがサイト内で適切に巡回できるよう促す
  2. サイトが適切にインデックスされるように促す

外部対策

  1. 良質なコンテンツを継続的に作る
  2. SNSで拡散しやすいサイト設計を行う

コンテンツ対策

  1. ペルソナを設定する
  2. 適切なキーワードを設定する

となります。

次にご紹介する事例を通してこれらのイメージを少しつかんでみましょう。

ECサイトでSEO対策に成功した事例3選

キーワード選定で売上40%アップに成功した事例

最初は、キーワード選定を工夫したことで昨対売上比が大幅アップした、トイレ・給湯器などの住設設備のECサイト事例です(編注:事業者は匿名)!

このサイトでは、自然検索からの流入を増やすために「商品名」や「製品型番」「商品名 色」などの直接的な顕在層向けのキーワード対策に加え、今後製品購入をする可能性が高い潜在層にもキーワードからのアプローチを行う必要がありました。

そこで行った対策が、ハウツー系のライティング記事「◯◯と◯◯の比較」や、「〇〇の選び方」「〇〇の方法」などの潜在層向けのキーワードでアクセスを集め、専門的な内容を簡潔に掲載することでページの評価をアップさせていきました。

およそ1年間の対策を続けた結果、多くのキーワードで検索数1位を達成、売り上げを40%アップさせることに成功しています!

検索からの流入を促す上で、適切なキーワード選びはやはり重要ですね!

‍※引用:売上40%増! ECサイトのSEO対策事例 

自然検索が大幅増! 内部リンク対策で成功した事例

次にご紹介するのは、アンティーク家具を販売しているECサイト(編注:事業者は匿名)。内部対策を見直すことで、自然検索流入数を大きく改善した事例です!

このサイトでは、コンテンツ追加は頑張っているものの、思うようにランキングの向上や検索からの流入に繋げられないという問題を抱えていました。

見つかった課題は、次の2点。

  1. 商品カテゴリページがクロールされにくくなっている
  2. 商品に関連するページから商品ページへの内部リンクが集められていない

そこで主に取り組んだのが、検索エンジンからの評価が低いページでクローラーの巡回を促進する対策をとったこと、そして商品詳細や写真、コラムなどの詳細ページから、商品ページへの内部リンクを設置したことでした。

他にも細かな調整を加えていった結果、1年間で自然検索流入が193%改善、特に商品カテゴリページへの流入は1157%の改善という驚異的な成果を上げることに成功しています!

内部からの対策が、いかに集客を左右するかを示す良い事例ではないでしょうか。

‍※引用:【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善

申込数が85%向上! コンテンツ対策で成功した事例

最後は車買取サイト(編注:UcarPAC〈ユーカーパック〉が運営するサイト「ユーカーパック」)の成功事例です。コンテンツ強化によって、短期間で大きな成果を上げています!

車買取サイト「ユーカーパック」(画像は「ユーカーパック」トップページから編集部がキャプチャ)

課題として大きかった点は、キーワードに対応するページやカテゴリが用意されていなかったこと。キーワードを検索したユーザーを漏らさずキャッチするため、ユーザーにとって重要なコンテンツを洗い出し、新たにページを作成して追加する必要がありました。

また、キーワードの検索意図からページの配置やレイアウトも変更し、ユーザーの意図に沿ったページへと作り替えていきました。施策後の結果は、わずか4か月で流入数が2倍になり、車査定の申し込みが85%アップという大きな改善でした!

‍※引用:4ヶ月で流入数2倍 CV数85%増した車買取サイトのSEO対策事例

‍どの事例も、先ほど学んだ3つの対策が基本になっていることがおわかりいただけたかと思います。SEO対策にはさまざまなアプローチがあり、ときにはWebサイトに関する専門知識も必要かもしれません。

しかし一度でも対策に取り組めば、ユーザーからの評判も上がり、自社サイトに長期的なメリットをもたらしてくれる可能性が多いにあることも確かです。

基本となる3つの対策を軸にしながら、皆さんもSEO対策の新しいヒントをつかんでいただければ幸いです!

ECタイムズ

アイスタイルの2022年7-12月期売上は19%増の203億円、EC売上は13%増の53億2600万円

3 years ago

アイスタイルの2022年7-12月期(第2四半期累計)連結決算は、売上高が前年同期比19.0%増の203億5800万円、営業損益は前年同期の赤字(6億3300万円の営業損失)から2億5400万円の黒字に転換した。

経常損益は1800万円の黒字(同6億9300万円の経常損失)、四半期純損益は3600万円の黒字(同6億300万円の当期純損失)だった。

EC・小売などの「Beauty Service事業」

化粧品ECサイト「@cosme SHOPPING」、旗艦店の運営など国内小売業を展開する「Beauty Service事業」単体の売上高は同28.1%増の135億2000万円で、2ケタ成長を維持。営業利損益は3億7900万円(前年同期は1億1100万円の営業損失)の黒字。

EC売上高は同13.2%増の53億2600万円。「@cosme BEAUTY DAY」など各種イベントで獲得した新規顧客の定着化、継続的なMD強化施策が功を奏したという。店舗売上も同40.1%増になるなど、増収に貢献した。

人流の戻りや化粧品需要の回復が進んでいる(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
人流の戻りや化粧品需要の回復が進んでいる(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
ECはイベント「@cosme BEAUTY DAY」をはじめとして売り上げが堅調に推移している(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
ECはイベント「@cosme BEAUTY DAY」をはじめとして売り上げが堅調に推移している(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)

「@cosme」を基盤とした「On Platform事業」

「Beauty Service事業」の成長に伴い、販促を含むキャンペーンの利用が増加。化粧品・美容の総合サイト「@cosme」を基盤とした事業を手がける「On Platform事業」単体の売上高は同7.4%増の39億7900万円、営業利益は同90.4%増の7億2700万円。

海外で物販手がける「Global事業」

日本国外で展開するEC・卸売、店舗、メディアなどのサービスが属する「Global事業」単体の売上高は同7.7%減の22億100万円、営業損益は1000万円の黒字(前年同期は7100万円の営業損失)。

このうち、EC・卸売の売上高は同18.6%減の10億9700万円だった。中国の越境EC事業が現地における新型コロナウイルス感染者数の増加の影響を受け、消費の冷え込みや物流が停滞しているためだ。一方で、状況は徐々に回復しているといい、第1四半期(2022年7-9月期)と比較すると増収となった。

香港店舗では、前期に不採算店舗を3つ閉店。残りの3店舗は回復基調にあるという。

EC・卸売の売上高は前年同期比18.6%減の10億9700万円に。中国の冷え込みが継続している(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
EC・卸売の売上高は前年同期比18.6%減の10億9700万円に。中国の冷え込みが継続している(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)

2023年6月期(通期)は前期比16%増収を計画

2023年6月期(通期)の通期業績は、売上高400億円(前期比16.3%増)、営業損益は5億円の黒字(前期は4億5300万円の営業損失)、経常損益は1億7000万円の黒字(前期は5億9300万円の経常損失)、当期純損益は3000万円の黒字(前期は5億7100万円の営業損失)を見込む。

収益部門である「On Platform事業」「Beauty Service事業」の成長による増収と、営業利益の黒字化をめざしている。

上期の業績は売上過去最高、利益黒字転換に成功。引き続き期初予想の達成をめざす(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
上期の業績は売上過去最高、利益黒字転換に成功。引き続き期初予想の達成をめざす(画像は編集部がアイスタイルのIR資料からキャプチャ)
高野 真維

ステマ規制の告示に「待った」の声。事業者や私人への悪影響を大きく懸念するJADMAの要望とは | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
ステルスマーケティングの規制などを目的とした景品表示法の新指定告示の導入が推し進められている。一方で、自民党消費者問題調査会ではJADMAが規制の問題点を指摘し、導入に「待った」をかけた

ステルスマーケティングの規制などを目的とした景品表示法の新指定告示の導入に「待った」がかかった。2月8日の自民党消費者問題調査会(会長=船田元衆議院議員)で日本通信販売協会(JADMA)が規制の問題点を指摘し、要望を行った。

この席では、自民党議員からステマの具体的な被害や取り締まりの対象などを明らかにすべきなどの意見も出たという。ステマ告示問題は、同調査会で引き続き検討の予定で、年度内を目処に性急に進む告示に影響しそうだ。

JADMAが表明した3つの要望とは?

JADMAは万場徹専務が資料(JADMAホームページで公開中)に基づいて説明した。法改正を伴わず国会で審議しないにもかかわらず強力な規制効果が生じ、単なる口コミ規制ではなく、事業者や私人に広汎(こうはん)な影響を及ぼすとした。

JADMAは形成案による強力な規制効果を懸念している(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)
JADMAは形成案による強力な規制効果を懸念している(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)

このため、表現の自由の侵害、経済の萎縮効果、経済発展の阻害などが生じる恐れがある――と懸念を表明。次の3点を要望した。

  1. これまで問題を生じさせていない商取引や商慣習が法令違反とならないような措置
  2. 広告主の意見を聞き、日本の実際の商取引や商習慣を反映した基準の策定
  3. 健全な事業者の不安や懸念に配慮し、社会や経済の混乱を回避する

新指定告示は「広告であることが不明確な行為」全般を広く規制する。違反要件は「表示内容への関与」と「消費者が広告と判別することが困難なこと」の2つ。

新たな指定告示は、問題のない商行為や商習慣まで違反とみなされるおそれがある(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)
新たな指定告示は、問題のない商行為や商習慣まで違反とみなされるおそれがある(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)

運用基準では、レビューやアフィリエイトなど第三者が行う表示について、事業者との関係性や対価提供、第三者の自主的な意思の有無から「事業者表示」を総合的に判断する。

きちんと周知しなければ社会的な影響が懸念される(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)
きちんと周知しなければ社会的な影響が懸念される(画像はJADMAホームページから編集部がキャプチャ)

ただ、どの程度の関係性や対価提供が違反となるのか、判断が難しいケースがある。判断の裁量は、消費者庁に委ねられている

規制対象が不明瞭。“運用基準案わかりにくい”の声も

「運用基準案を読んだが、抽象論と具体的ケースが混在してわかりにくい。お中元やお歳暮、バレンタインのチョコレートをもらっても対価となりかねず日本の贈答文化が壊れかねない」。自民党の政治関係者もこう危惧(きぐ)する。

これまでの規制導入のプロセスでは、ステマによる被害実態、規制すべき対象など規制根拠が不明瞭なままだ。検討会でも、当事者である広告主不在の中で、「ステマ」という言葉が持つネガティブな印象を前提に進んだ。

しかし、ふたを開ければ、「広告であることが不明確な行為」が一律に規制される内容で、対象範囲は極めて広く、社会的な影響も大きい

消費者庁が発表した「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(=ステマ規制)の運用基準案の一部(画像は意見募集のページから編集部が抜粋[※意見募集は現在終了])
消費者庁が発表した「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(=ステマ規制)の運用基準案の一部(画像は意見募集のページから編集部が抜粋[※意見募集は現在終了])

一方で、河野太郎消費者庁担当大臣の指示で年度末を期限に告示の手続きは進んでおり、異例のスピードだ。「河野大臣はSNSなどで積極的に発信しているが、今回の告示で自分の投稿がステマになる危険性もあることをきちんと理解していないのではないか」との声もある。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

【春の小売需要2023】全国的に暖かい春で「季節商品は需要増のタイミングが例年より早い」

3 years ago

ウェザーニューズは製造業・小売業向けに、3~5月の「春の小売需要傾向」を予想した。

2023年春は暖かい空気に覆われやすく、アイスクリームやアイスコーヒーなどのコールド商品、日焼け止めなどの日焼け対策グッズ、虫除けスプレー、扇風機などの春夏向けの季節商品の需要が例年よりも早まりそうだという。

3~5月の気温は全国的に平年並から高い傾向を予想している。エリア別では、北日本は平年より「やや高い」から「高い」、東日本から奄美・沖縄は「平年並」から「高い」見通し。3月は一時的に寒の戻りはあるものの、3~4月は日本付近で偏西風が平年より北寄りを流れやすく、暖かい空気に覆われる見込みだ。

気温傾向
気温傾向

特に4月は平年と比べて寒気の南下がほとんどないため、全国的に平年より気温が高くなりそだ。5月は初夏の陽気が早まると予想している。

たとえば、「アイス」は気温によって需要が大きく左右され、春になると需要が伸び始める。気温の見通しに伴う小売需要の予想によると、2022年4月は2021年や平年と比べて気温が高い年で、「アイス」の検索が4月から大きく伸びた。同様の傾向はアイスコーヒーでも見られ、汗や蚊、扇風機への注目も同時期に高まっている。

2023年3~4月は平年より気温がやや高いから高いと予想され、2022年のように4月頃から需要が伸びると見込まれる。

ウェザーニュース 東京の気温と「アイス」検索の関係(2021年と2022年3〜5月)
東京の気温と「アイス」検索の関係(2021年と2022年3〜5月)

また、春は地上に降り注ぐ紫外線量が急増する季節のため、「紫外線」が注目される。例年4月は9月と同程度の紫外線が降り注ぎ、5月の紫外線量は9月を超えている。

「日焼け止め」の検索と日照時間の関係を見ると、2022年は4月になって日照時間が多くなるタイミングで検索が大きく伸びた。2021年は3月中旬頃から、日照時間の増加に呼応して検索も徐々に増加。「日傘」も同様の傾向が見られるという。

2023年春は、東日本や西日本の降水量が平年並から少ない予想で、晴れて日差しが降り注ぐ日も多くなりそう。このため、3~4月から「日焼け止め」や「日傘」など紫外線対策商品の需要が高まると予想している。

ウェザーニュース 東京の日照時間と「日焼け止め」検索の関係(2021年と2022年3〜5月)
東京の日照時間と「日焼け止め」検索の関係(2021年と2022年3〜5月)
石居 岳

小さな店舗がネットショップも両立させるためにはどうすればいい? すぐにできる方法を教えます【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

3 years ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年2月27日~3月5日のニュース

コロナが収まってきて実店舗が忙しくなり「そういえばネットショップも…」という方も多いのでは? 分けて考えると難しいので、一緒にしてみると意外と楽に運営できるかも。

リストの共通化、役立つ情報の発信から

お店が忙しすぎて、オンラインショップまで手が回りません...は勘違い!すぐできる対策とは | オオスミ浩子|note
https://note.com/hirokoosumi/n/nac1345c8f13b

お店や美容室サロンなど、実店舗を運営されている方々にほぼ100%共通している考え方があります。

お店とオンラインは別、と考えているんです。

実はここが落とし穴で、お店とオンラインは掛け合わせることで効果が何倍にもできるんです。

これは私の経験でもまったく同じです。接点が違うだけでお客さんは同じ店として見ています。別だと考えてしまうと対応も違ってしまいますし、極端な場合は商品ラインナップや金額まで変わってしまいます。そうなってしまうと「あれ? なんか違う?」と思われてしまい、足が遠のくことになりかねません。

美容室は、初めて来店された方にはお客様の住所や電話番号など情報を書いてもらいますよね?

ここで「メールアドレスを書いてもらう」or「 LINE登録をしてもらう」ように促すんです。

飲食店でも物販でも同じですよね。レジなどで一声かける、チラシなどを置いておく、地味ですが効果があります。マーケティングの基本は知り合いを増やすことなので、ここで手を抜いてしまうと将来的にかなり困ることになってきます。せっかく新商品が出ても誰にも告知できないから広告を使うなど、かけなくてもいい費用が掛かってきますから。

ですが、お店のキャンペーンや商品紹介だけでは、すぐにブロックされてしまいます。

お客様のためになる情報を配信しましょう。

これもその通り。割引やキャンペーンの発信をしてもその時だけお客さんが増えて、それ以外の時は閑古鳥…となりかねません。知り合いに話す内容はお得なことだけじゃないですよね? 日ごろの些細なことや接客で気づいたことなど色々なことがあるはずです。「あの人にこれを伝えたら喜んでもらえるかな?」といつも考えているとネタも出てきます。

一期一会という言葉を大切にしたいですね。

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Amazon、「置き配」拡大による再配達削減に向けて三井不動産レジデンシャルリースと協業 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/31668

目前に迫ってきた「物流の2024年問題」。対応した動きも見られるようになってきました。

【景品表示法の改正案まとめ】故意の不当表示に100万円以下の直罰規定、違反状態を早期是正する「確約手続き」など導入 | ネットショップ担当者フォーラム
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薬機法の広告表現を自動チェック&リライト提案する「機械良文」とは? “危ない”表現を改善するツールを薬事法広告研究所が開発 | ネットショップ担当者フォーラム
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法律関連を2記事。ややこしい法律の問題はAIが解決してくれる世の中になるのかもしれません。

社長室からの電話プレゼンからはじまった「車のサブスク」が申込者数15万人を突破。「定額カルモくん」の成長の裏側。中古車のサブスクが成長を早めたワケ。 | アプリマーケティング研究所
https://markelabo.com/n/nae942b571ad3

広告運用者のみなさん、インタビューをしませんか | アユダンテ
https://ayudante.jp/column/2023-02-28/12-00/

ユーザーに直接聞く。悩んだときはこれがベスト。

「MakeShop byGMO」とE-Grant提供のCRMプラットフォーム「うちでのこづち」が提携 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/12471

総合ECシステムのshopserve(ショップサーブ)とAPI連携を開始!STOCKCREWの発送代行サービスで自動発送を実現 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/31442

カートASPは連携先をどんどん増やしていますね。相談してみると新しいツールを教えてくれるかも。

ヤフー「Yahoo!ショッピング」の「超PayPay祭」、販促コストは大幅縮小の見通し | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10682

今は統合に力を向けてそこから、といったところでしょうか。

今週の名言

新規顧客開拓にどれくらいコストをかけられるか【no.2095】 | ECMJ
https://www.ecmj.co.jp/no2095/

いずれにせよ、「新規顧客の開拓にどれくらいコストをかけられるか」。これが勝負の分かれ道になるわけなのだ。

冒頭の記事のようなことをやっていても、新規顧客は獲得していかないといけません。そのための予算は常に確保しておきましょう。

筆者出版情報

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約6割が「場合によっては環境に優しい商品・サービスを選ぶ」。必ず購入する人は3.3%

3 years ago

新井紙材が運営するメディア「環境と人 -human at nature-」が行った「『生活者の購買意欲』と『企業の環境配慮』の相関関係に関する調査」によると、「環境に優しい商品・サービスを必ず選ぶ」と回答した人は3.3%と少数だった。調査対象は全国の20代未満から60代以上の男女500人。期間は2022年12月13日~12月23日。

「環境に優しい商品・サービスを必ず選ぶ」は3.3%

商品・サービスを購入する時に、環境に優しいか否かで選ぶか聞いたところ、「環境に優しい商品・サービスを必ず選ぶ」は3.3%で、「場合によっては環境に優しい商品・サービスを選ぶ」が61.5%だった。「まったく意識しない」は35.2%。

新井紙材 環境と人 「生活者の購買意欲」と「企業の環境配慮」の相関関係に関する調査 商品・サービス購入時に環境に優しいかどうかで選ぶ
商品・サービスを購入する時に、環境に優しいか否かで選ぶか(出典:環境と人)

約6割が「購入頻度と商品の選択に関係ない」

「場合によっては環境に優しい商品・サービスを選ぶ」と回答した人に、購入頻度と環境に優しい商品・サービスを選ぶことに関係があるか聞いたところ、最多は「購入頻度は関係ない 」(67.7%)だった。

「購入頻度の高いもの(日用品・消耗品・食材など)は環境に優しい商品・サービスを選ぶことが多い」は22.2%、「購入頻度の低いもの(家具・家電・自動車など)は環境に優しい商品・サービスを選ぶことが多い」は10.1%だった。

新井紙材 環境と人 「生活者の購買意欲」と「企業の環境配慮」の相関関係に関する調査 購入頻度との相関関係
商購入頻度との相関関係(出典:環境と人)

環境に配慮した商品・サービス、約8割が「価格が同じなら購入」

「場合によっては環境に優しい商品・サービスを選ぶ」と回答した人に、環境に優しい商品を選ぶことと商品の価格について聞いたところ、「価格が同じなら、環境への配慮があるものを購入する」が84.3%で最多だった。

「価格が高くても、環境への配慮が素晴らしいと思えば購入する」は7.1%、「価格が安いなら、環境への配慮があるものを購入する」は8.6%だった。

新井紙材 環境と人 「生活者の購買意欲」と「企業の環境配慮」の相関関係に関する調査 環境に優しい商品を選ぶことと商品の価格について
環境に優しい商品を選ぶことと商品の価格について(出典:環境と人)
調査実施概要
藤田遥

「楽天市場」出店店舗のスイーツが購入できるOMO店舗を東京駅に期間限定でオープン

3 years ago

楽天グループは、「楽天市場」出店店舗が取り扱うスイーツを購入できるOMO店舗「楽天市場スイーツ展」をJR東京駅「ギフトキヨスク東京ギフトパレット」に期間限定でオープンした。期間は3月31日まで。

店舗と新しいユーザーとの接点づくりにつなげる

オフラインでの「楽天市場」出店店舗の商品の露出強化を進めたいと考えている楽天。「楽天市場スイーツ展」では、ECや「楽天市場」を利用したことがないユーザーへの認知拡大、店舗とユーザーとの新たな接点作りにつなげる狙い。店舗にとっては実際に商品を手に取ってもらうことで、知ってもらう訴求ポイントになるという。

東京駅という立地上、性別や年齢を問わず幅広い方に利用していただきたい。ECや「楽天市場」をご利用したことがない方でも、実際に商品を手に取ることで購入のハードルが低くなると思うので、出店店舗や商品などの認知拡大のチャンスだと思っている。(楽天グループ)

人気が高い24商品を販売

「楽天市場スイーツ展」では、「楽天市場」出店店舗6店が扱っているスイーツ全24商品を販売。販売商品は「楽天市場」内のランキング受賞商品やユーザーから人気の高い商品のなかから、キヨスクと検討し、決定したという。

店頭での購入のほか、店頭に展示してある二次元バーコードを読み取ると「楽天市場」の商品ページに遷移し、商品詳細情報を確認してオンラインでも商品を購入できる。

楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット
3月31日まで期間限定でオープンしている「楽天市場スイーツ展」

実施期間は2023年3月1日(水)~3月31日(金)、営業時間は平日が9時30分~20時30分、土祝日が9時00分~20時30分(31日のみ9時30分~20時30分)。「ギフトキヨスク東京ギフトパレット」の営業時間に準じる。

楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット 販売している商品の一例
販売している商品の一例
楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット 二次元バーコード読み込みで商品ページに遷移できる
展示している二次元バーコードを読み取ると、「楽天市場」の商品ページに遷移する
楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット 販売している商品の一例
楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット 販売している商品の一例
楽天市場 スイーツ展 東京駅 ギフトキヨスク東京ギフトパレット 販売している商品の一例

オープンに際し、次のキャンペーンを実施している。

アンケートご回答で10万ポイント山分けキャンペーン

  • 期間:2023年3月1日(水)10時00分~3月31日(金)23時59分
  • 概要:店頭配布するチラシ内の二次元バーコードを読み取り、アンケートに回答したユーザーに先着順で「楽天ポイント」10万ポイントを山分け

「楽天市場 スイーツ展」出品対象商品で使える200円オフクーポン

  • 期間:2023年3月16日(木)~2023年3月31日(金)
  • 概要:期間中に店頭配布するチラシ内の二次元バーコードを読み取り、アンケートに回答したユーザーに、先着順で「楽天市場」で2000円(税込)以上の対象商品購入時に使える200円OFFクーポンを配布
藤田遥

従業員とユーザー 双方の利便性向上を推進するホームセンター大手カインズのデジタル戦略とは?

3 years ago
デジタル戦略を推進するカインズ。ECサイトをオムニチャネル基盤として再構築し、店舗とECの連携を強化したことでさらなる成長を実現している。オムニ戦略統括部の田島和修氏が具体策やポイントについて解説する

1989年の創業から着実な成長を遂げてきた、ホームセンター最大手のカインズ。環境の変化や先々の課題を見据え、2019年以降を第3創業期と位置付けて「プロジェクト カインドネス」を推進している。このなかで特に注目すべき取り組みがデジタル戦略だ。従業員とユーザーの双方に向けて、利便性を高める施策を次々と実施。また、独立採算で業績評価される店舗と同様の扱いだったECサイトをオムニチャネル基盤として再構築し、店舗とECサイトの連携を強化したことでさらなる成長を実現している。

デジタル戦略の具体策や、店舗とECサイトの壁を乗り越えたポイントなどを、田島和修部長(デジタル戦略本部 デジタルビジネス推進統括部 eコマース部)が解説する。

2019年以降を第3創業期と位置付け、変革を推進

全国に228店舗(2022年4月末時点)を展開し、2022年2月期の売上高は4826億円に達する国内最大規模のホームセンター、カインズ。北関東を中心にスーパーマーケットを展開するベイシアのグループ企業で、ベイシアの前身「いせや」のホームセンター部門が分社・独立する形で1989年に設立した。

カインズは、商品を購入したユーザーの暮らしがハッピーで楽しくなることを表現した「くらしに、ららら。」をプロミス(ユーザーとの約束)としている。そしてビジョンには「世界を、日常から変える。」を掲げ、業務において重視するコアバリュー(価値観)には「Kindnessでつながる」「『創る』をつくる」「枠をこえる」の3つを掲げて事業を推進している。

カインズ DX戦略 カインズのプロミス、ビジョン、コアバリュー
カインズのプロミス、ビジョン、コアバリュー

品揃えと価格が重要視される時代だった創業時、「何でも安く揃う」を提供価値としていたカインズは、ユーザーの支持を集めながら急成長を遂げてきた。

2007年からは第2創業期と位置づけ、プライベートブランド商品を製造して直接ユーザーに販売する「SPA宣言」を行った。さまざまな困難を乗り越えながら差別化できるプライベートブランドへと改良を重ね、現在では売り上げの約4割を占めるまでに拡大。SPAを追求したことにより財務面も大きく改善し、資本余力が蓄えられたという。

2018年にはIT小売業宣言を打ち出し、翌年からは第3創業期として「プロジェクト カインドネス」を立ち上げ、現在はそのプロジェクトを進めているところだ。

カインズ DX戦略 創業した1989年からのカインズの変遷
創業した1989年からのカインズの変遷

安定的に売り上げを伸ばし続けているにもかかわらず、2019年以降を第3創業期と位置付けて変革を推し進める理由について、田島氏は「先を見通せば課題が随所にあるから」と話す。

課題の1つが「売り上げにまつわるリスク」だ。少子高齢化が進む日本では総支出自体が減少し、高齢者を中心に買い物難民が増加している。一方でホームセンターの数は増加し、ECやネットスーパーも普及したことで、競争環境はよりいっそう激化しているのだ。

2つ目の課題として「チェーンストアオペレーションのリスク」をあげる。人口減少は消費者だけでなく労働者の減少も危惧されるが、地方に多くの店舗を構えるカインズにとって、すでに商圏の労働人口の減少を実感するところまできているという。ベテランスタッフの退職により、30年間蓄積してきたノウハウを失う事態に陥らないための対策が必須になっている。

3つ目の課題は「消費構成の変化」。モノ消費からサービス消費に消費者の行動が進展しているほか、デジタル購買ニーズもますます高まっている。また、商品を購買する上でも「物理的にモノがあれば満足」という考えから、その商品の背景、ストーリーも重視する傾向が強まっており、こうした時代の変化にどう合わせていくかを考えなければならなくなっているという。

カインズ DX戦略 カインズが抱える課題
現在のカインズが抱える課題

4本の戦略の柱で構成される「プロジェクト カインドネス」

「プロジェクト カインドネス」は、①SBU戦略 ②デジタル戦略 ③空間戦略 ④メンバーへのKindness――の4つを戦略の柱として構成している。

カインズ DX戦略 プロジェクトカインドネスの4本の戦略の柱
「プロジェクト カインドネス」の4本の戦略の柱

「SBU戦略」とは、商品戦略のことを指す。「今までと同じような品揃えをしていては、お客さまは満足しないのではないか?」という仮説のもと、ユーザーにマッチする商品開発を心掛け、新たな顧客価値を創造する大胆なカテゴリーの拡大・縮小に取り組んでいる

「空間戦略」では、店舗空間の中でカインズのブランドをどうやって伝え、ユーザーにとって買いやすい売り場にするのかを追求。エンジニアリングの考えを導入した改革に踏み切っているという。

「メンバーへのKindness」は、カインズで働いている従業員が誇りに思える、働きたい会社にしていくことをめざし、「プロジェクト カインドネス」の土台となる柱として据えている。

特にコロナ禍では「エッセンシャルワーカー」という言葉が話題になったが、カインズも生活必需品を販売する企業として、店舗を閉めることなく営業を続けてきた。現場で働く従業員も「何か困りごとがあって来店したユーザーにしっかりと商品を提供したい」という思いを持って、感染対策に十分な注意を払いながら店頭に立っている。

従業員の努力に報いることができ、もっと働きがいのある会社にしていきたいという考えに基づいた戦略の柱となっているようだ。

社内にエンジニアがいない状況から始まったデジタル戦略

「プロジェクト カインドネス」における4本の柱のなかでも、特にECに関わってくるのが「デジタル戦略」だ。このなかでは、①ストレスフリー ②パーソナライズ ③コミュニティー ④エモーショナル――の4つをテーマに掲げている。

カインズ DX戦略 デジタル戦略で掲げる4つのテーマ
「デジタル戦略」で掲げる4つのテーマ

カインズのデジタル改革の歩みは、前述の通り2018年のIT小売業宣言から始まる。当時は社内にまだ1人もエンジニアがいない状況だったが、翌年、経験豊富なチーフデジタルオフィサーを招き、デジタル戦略本部を立ち上げたことが大きなターニングポイントとなった。

本社は埼玉県本庄市に置きながら、エンジニアを採用するために東京・表参道にデジタル拠点を設置。社内エンジニアを育成しさまざまなデジタルツールを生み出しながら、ユーザーと従業員の双方に「ストレスフリー」や「ワクワク」の体験を提供する施策を試行錯誤し続けているという。

デジタル施策事例① 売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」

ホームセンターは売り場面積が非常に広いため、従業員は来店客から売り場や在庫を聞かれる機会が多い。しかし、カインズの店舗には約10万アイテムが置かれており、従業員にとってもすべての商品の売り場と在庫を細かく把握することは難しかった。

そこで、従業員がスマホで簡単に売り場や在庫が検索できるアプリ「Find in CAINZ」を開発。商品名、キーワード、JANコードを入力すると店内マップが表示されて詳細な売り場がわかるほか、在庫の有無や個数も即時に把握できる仕組みとした。

カインズ DX戦略 Find in CAINZ スタッフ向けに開発した店内の売り場・在庫検索アプリ
カインズ DX戦略 Find in CAINZ スタッフ向けに開発した店内の売り場・在庫検索アプリ
従業員向けに開発した店内の売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」

お客さまの問い合わせに対してスムーズに案内できるようになっただけでなく、これまでは品出しなどの作業でも店内で迷うことが多かったが、無駄歩きを省けたことで、その分の時間をお客さま対応(接客)に使えるようになった。「Find in CAINZ」は従業員のストレスフリーに大きく寄与しており、当社にとってとても画期的な製品になったと思う。(カインズ デジタル戦略本部 デジタルビジネス推進統括部 eコマース部 部長 田島和修氏)

カインズ デジタル戦略本部 デジタルビジネス推進統括部 eコマース部 部長 田島和修氏
カインズ デジタル戦略本部 デジタルビジネス推進統括部 eコマース部 部長 田島和修氏

「Find in CAINZ」を現場に導入する際、アナログ対応に慣れている従業員から「長年の経験で売り場はわかっている」「スマホを使っていないのでアプリがわからないし、従来の端末で十分」といった声も寄せられたという。さまざまな意見に耳を傾け、ボタンの位置や文字のサイズなども含め、使いにくい点を1つひとつ丁寧に改修する作業を重ねてきた。

その結果、当初はアプリの使用に抵抗があった従業員からも「あまり詳しくなかった売り場も、アプリがあればうまく説明できる」「使ってみると使いやすいし、便利」など、業務に役立つアプリとして受け入れられるようになったという。また、入社直後の新人スタッフの早期戦力化にも大きく貢献しているようだ。

デジタル施策事例② スキャン台帳SOTOアプリ

カインズでは園芸用品やプロ用資材など、JANコードのない商品や商品情報のシールが貼れないような商品も多数取り扱っている。

その一例がレンガだ。レジでレンガを出された時、従業員はレジ横のファイルの写真で色やサイズなどを見ながらユーザーに確認するが、それでもわからない場合はユーザーと売り場まで同行して商品を確認する必要があった。これでは数分のロスが発生し、レジの列はどんどん長くなってしまう。

カインズ DX戦略 JANコードがない場合、商品確認のためにロスが生じていた
JANコードのない商品の場合、商品確認のために数分のロスが発生してしまうケースがあった

こうした課題を解決するために開発したのが、スキャン台帳「SOTO(Scan Operation Tool)」アプリだ。

JANコードのない商品をアプリでスキャンすると、候補の商品を絞り込んで表示する。そのなかから該当の商品を選ぶとJANコードが表示され、そのまま会計を通すことができる仕組みとなっている。

カインズ DX戦略 JANコードのない商品でもレジでスムーズに会計ができるSOTOアプリ
JANコードのない商品でもレジでスムーズに会計ができる「SOTO」アプリ

デジタル施策事例③ 「CAINZ PickUp Locker」

カインズでは、店舗に在庫がある商品をアプリ経由で取り置き依頼ができるようにしているが、以前はユーザーがサービスカウンターまで来て、受け取りと決済をする必要があった。

受け取りの利便性を高めるため、オンライン上で決済を完了させ、サービスカウンターで並ばずとも専用のロッカーで商品を受け取れるようにしたのが「CAINZ PickUp Locker」だ。店舗の外に設置している場合は、営業時間外でも商品が受け取れる。

「CAINZ PickUp Locker」はコロナ禍前から始まっていたが、コロナ禍以降は特に「混雑や人との接触を極力避けたい」といったニーズが拡大し、夜間や早朝の人が少ない時間帯に商品を受け取れるサービスとして好評を得ているという。

買い物時間の短縮や、営業時間を気にせず受け取れる点でも、ユーザーの煩わしさ解消とストレスフリーにつながっており、受け取り用アプリのダウンロード数は300万を超えている

カインズ DX戦略 アプリで取り置き依頼した商品を受け取れるCAINZ PickUp Locker
アプリで取り置きを依頼した商品が受け取れる「CAINZ PickUp Locker」

デジタル施策事例④ デジタルサイネージ

10万アイテムを取り揃える広い店舗のなかで、ユーザーが商品を探す煩わしさを解消するため、通路看板の見直しなどの空間戦略に加え、デジタルサイネージの導入テストを開始した。

店舗の入り口に2メートル超の巨大なタッチパネルディスプレイを設置。ユーザー自身が操作することで、欲しい商品カテゴリーの通路番号や陳列棚の場所をピンポイントで表示できる仕組みだ。テスト導入している店舗では、1か月に約400人の来店客がパネルを操作しているという。

カインズ DX戦略 デジタルサイネージをテスト導入
来店客に欲しい商品の売り場を案内するデジタルサイネージをテスト導入

デジタル施策事例⑤ 売場案内ロボット

タッチパネルを搭載したロボットが、店舗でユーザーを案内するテストを実施。売り場の案内だけでなく、たとえば自分に合った医薬品を相談できる機能など、さまざまな機能を盛り込んで実験を行った。

ただ、週末などの通路が混み合うときには安全のためにロボットが動きを停止することが多く、目的の売り場になかなかユーザーを案内できないといった問題が発生したため、現在は実験を休止している。

運用してわかった課題を踏まえ、今後の展開を検討しているところだ。田島氏は「こうしたデジタルツールは、導入して初めて便利な点や課題がわかるもの。今後も積極的に実験を続けていきたい」と話す。

カインズ DX戦略 売り場案内や商品の相談ができるロボットの実験
売り場案内や商品の相談ができるロボットの実験も試みた

デジタル施策事例⑥ スマートドッグラン

カインズは、ドッグランを併設している店舗を多数展開している。ドッグランでは頭数制限を行っているが、従来はまず店舗内のサービスカウンターで空き状況の確認と受付を済ませてから、従業員とともにドッグランに行って解錠をしてもらう――という過程が必要だったため、ユーザーと従業員の双方にとって手間がかかっていた。

「スマートドッグラン」は、ユーザー自身がアプリから希望の店舗と日時を予約でき、発行されたQRコードでドッグランの解錠もできる仕組みになっている。さらに「アプリに犬種、年齢などの情報を入力することで、CRMならぬDRM(Dog Relation Management)が可能になる」(田島氏)と期待を寄せる。「スマートドッグラン」をきっかけに、ペット向けの価値の高いサービスにもつなげていきたい考えだ。

カインズ DX戦略 店舗併設のドッグラン 予約から会場までできるアプリ スマートドッグラン
店舗に併設されたドッグランの予約から解錠までをアプリ上で一貫してできる「スマートドッグラン」

強みを生かしたデジタルマーケティングとECの再構築

カインズはデジタル改革を行うなかで、オウンドメディア「となりのカインズさん」を立ち上げた。

30年以上にわたってホームセンターを運営してきた当社には、専門知識や面白ネタがたくさん蓄積されている。それらを生かして、デジタルマーケティングでどうやってお客さまとインタラクティブな接点を持てるのかと議論するなかで、「オウンドメディアがいいのではないか?」という話は前々から浮上していた。

ただ、メディアやSNSで社員が気軽に情報を発信することに二の足を踏むようなマインド面の制約もあれば、面白いコンテンツとして伝える技術が社内で見出せていないスキル面の制約もあった。そんな社風も変えるべく「となりのカインズさん」プロジェクトが立ち上がった。(田島氏)

「となりのカインズさん」は、社内エンジニアと企画担当がわずか3か月で立ち上げた。コンテンツにはお墓に立てる卒塔婆の売れ筋を紹介したり、「溶接ギャル粉すけ」さんの講座を掲載したりと、カインズならではのインパクトの強い記事を掲載し、約半年で月間100万PVに到達。現在は400万PV以上を誇るほどで、ECサイトや店舗への送客機能として欠かせない存在となっている。

田島氏は「『となりのカインズさん』は、カインズのデジタル改革の旗印になったことが、送客機能以上の大きな成果だった」と話す。立ち上げ当初は、記事に社員の顔を出してもいいのかといった議論もされたが、今では社員の顔が見えるオウンドメディアになっている。プロジェクトメンバーが試行錯誤を重ねながら実績を積み上げ、社内からの理解も得ながら足場を作ってきた結果が表れているようだ。

独立採算の評価から、オムニチャネル基盤としてのECサイトへ

カインズのECサイトは約10年前から運営が始まっていた。ただ、店舗ビジネスに基軸を置いていたこともあり、EC用の商品マスタがなかったり、色やサイズで一括表示できなかったりと、ECサイトとしての基礎機能は少ない状態だったという。このためECサイトは、「売り上げが伸びない→赤字→投資できない→売り上げが伸びない」という悪循環に陥っていた。

さらにカインズは、店舗ごとに独立採算で業績評価をしているため、各店長や売り場責任者たちにとっては、自分たちの売り上げを最大化させることこそが一番のミッションだと言える。その状況下では、ECサイトとの連携が起こりにくいという課題もあった。

こうした課題を打開するために、ECサイトをオムニチャネル基盤として再構築するよう経営で意思決定し、思い切った立て直しを図ることにした。

カインズ DX戦略 ECサイトをオムニチャネル基盤とすべく行った立て直し
ECサイトをオムニチャネル基盤とすべく、さまざまな立て直しを図った

ECをオムニチャネル基盤とする取り組み① システム基盤、新ECサイトの内製化

従来のECサイトは、店舗から独立した形で運用していた。パッケージシステムを利用していたため、社内にエンジニアがいなくても運用できる半面、機能を追加するにも時間と費用がかかってしまう。その上、在庫に関しても店舗との連携ができておらず、“店舗とECサイトの連携技”も非常に限定的にならざるを得なかった。

これを、内製エンジニアを軸に開発する方式に変更し、エンジニアと事業側が共同で要件を決めたり、使いにくい箇所の改修をしたりする作業が即時にできるようにした。「社内のエンジニアがシステム全体の構造を把握しながら設計することで、無駄のないシステムが実現できたことは大きな進歩だった」(田島氏)。

カインズ DX戦略 新ECサイトでエンジニアを内製化 素早い修正対応や開発が可能
新ECサイトではエンジニアを内製化し、素早い修正対応やシステム構造全体を捉えた開発が可能になった

ECをオムニチャネル基盤とする取り組み② 店舗用とECサイト用の商品マスタを統合

従来は店舗とECサイトでそれぞれ商品を管理していたため、たとえば店舗用の商品マスタで商品情報の間違いに気付いてもECサイト側にはその情報が連携されず、間違った情報のままECサイトで販売し続けてしまうといった状況が起きていたという。

店舗とECサイトの商品マスタを統合・一括管理するようにしたことで、ECサイトの商品情報も随時更新・追加されるようになった

ECをオムニチャネル基盤とする取り組み③ ECサイトから店舗への送客

前述の通り、これまでのカインズは店舗ごとに独立採算で評価していたため、ECも各店舗と同様にECサイトの売り上げを確保することが第一優先になっていた。そのため、店舗への送客どころか、来訪したユーザーをサイトから逃さないような作りになっていたという。

ECサイトをオムニチャネル基盤とするよう決定してからは、ECサイト上で店舗での商品取り置き依頼や、店舗の在庫有無・個数なども確認できるようにした。このほか、各店舗のチラシも掲載して特売情報を発信している。

ECサイトで購入した場合配送費がかかってしまうが、店舗取り置きが増えればユーザーが店舗に来店してくれる分配送費が削減できる上、店舗でのついで買いも期待できる。ECサイトから店舗への送客は、カインズ全体としての業績につながるだけでなく、ユーザーの利便性も高まる施策として効果的に働いているという。

ECをオムニチャネル基盤とする取り組み④ ECサイトで受注した商品を最寄り店舗から出荷

カインズは全国に228店舗を展開しているにもかかわらず、以前はECサイトで受注した商品は1か所のEC専用物流倉庫から出荷する仕組みとなっていた。極端に言えば、店舗の近隣に住む人がECサイトで注文しても、遠く離れた物流倉庫から配送しなければならなかった。

リードタイムと配送コストを削減するため、ECサイトで受注した商品を配送先の最寄り店舗からも出荷できる施策を開始。想定通りリードタイムと配送コストが改善した上、地方の店舗も出荷した分の売り上げが立ち、ユーザーと店舗の双方にとってメリットの大きい取り組みとなっている。

ECをオムニチャネル基盤とする取り組み⑤ EC事業評価の変更

店舗ごとの独立採算で評価する仕組みが、店舗とEC連携の障壁となる面が多かったため、「ECが店舗への送客に貢献し、店舗の売り上げにつながる=ECの効果」と考えるよう、EC事業の評価を変更した。

EC事業の評価を改めたことで不要なセクショナリズムを起こすことなく、顧客体験を第一に考えた議論ができるようになり、ECも正しい議論のもとでお客さまの立場から見た利便性を追求できるようになった。

そうして売り上げが拡大したことで、たとえば商品部が積極的にEC向けの画像やメーカー情報を提供してくれるなど、他部署からもECの重要性が認知されるようになっている。大きな良い好循環を創出することができたと思っている。(田島氏)

ECが店舗の“ライバル”ではなく“仲間”になったことで、ECと店舗の双方が成長

ECは店舗のライバルではなく、店舗の集客や売り上げ機能を担う仲間という存在に変わったことが、カインズ全体の成長に大きく寄与している。また、配送コストを改善する取り組みなどによってEC事業自体も黒字化し、投資がしやすい状況にもなったようだ。

現在ではECの情報や機能を整備することが、ユーザーの利便性向上には必要だという認識が全社的に持たれているという。

2019年にデジタル戦略本部が発足して以降、既存メンバーと新しいメンバーが入り交じりながら、デジタル改革を推し進めてきた。意見の相違や衝突もしばしばあったというが、「気が付いたら①Kindnessでつながる ②「創る」をつくる ③枠をこえる――の3つのコアバリューでうまく乗り越えられたと思う」と、田島氏は振り返る。

冒頭で当社の抱える課題をあげたように、環境は常に変化し続けている。そのなかでカインズは今後、省人化・省力化をしながらリソースシフトし、お客さまの買い物体験をよりいっそう改善することをめざしていく。また、地域社会と共創する価値観を重視している当社は、地域の皆さんと「まちのくらし」を共に創る“くみまち構想”を打ち出している。地域社会の発展に貢献する企業であり続けたい。(田島氏)

朝比美帆

Shopify、チェックアウトページの改善など100種類以上のアップデート&新製品など知っておきたいポイントを解説

3 years ago

Shopifyはこのほど、新商品や最新機能を公表する「Shopify Editions Winter '23」で、100種類以上の新製品や機能追加をリリースしたことを発表した。

新たなコンバージョン促進機能

簡単にチェックアウトのUX向上&カスタマイズ

チェックアウトページを1ページに表示

これまでShopifyのチェックアウト画面は3ページで表示されていた。2023年後半から、1ページにまとめた表示に切り替える。

情報入力の手間を減らすことに加え、チェックアウト画面をシンプル化することでページのロード時間も削減。チェックアウト時の顧客のストレスを軽減する。

チェックアウトのときの手間やロード時間が軽減し、顧客のUX向上につなげる(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
チェックアウトのときの手間やロード時間が軽減し、顧客のUX向上につなげる(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

カゴ落ちの多くがチェックアウト画面で起きているという調査結果があり、Shopifyは“コンバージョンを促進するためには、顧客がチェックアウトをいかに合理的に進められるかが重要”と分析。チェックアウトページの改善に至った。

チェックアウトのカスタマイズを柔軟かつ簡易化

チェックアウトページ「Shopify Checkout」をカスタマイズできるアプリとして、事業者向けに「Checkout Editor」、開発者向けに「Checkout Extensions」をそれぞれ追加した。「Checkout Editor」を使う事業者はドラッグとドロップのみで操作できる。

たとえば、「チェックアウトページを自社ブランドの外観へ変更する」「チェックアウトページにロイヤリティプログラムを追加する」といったカスタマイズが簡単にできるようになる。

従来、チェックアウトをアップデートやカスタマイズするには、コード編集のスキルが必要だった。

また、Shopifyの機能がアップグレードされても、事業者がカスタマイズしたチェックアウトには影響しない。

​開発者向けにチェックアウトアプリの開発を推進する「Checkout Extensions」では、UI拡張、ブランディングAPI、その他さまざま機能を提供。開発者はカスタマイズしたチェックアウトアプリをさらに柔軟に開発できるようになる。

開発したアプリはShopifyアプリストアにて提供可能。事業者はそのアプリを活用して独自性のあるチェックアウトページを作成することができる。

事業者、パートナー・開発者にそれぞれアップグレードや新機能を提供する(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
事業者、パートナー・開発者にそれぞれアップグレードや新機能を提供する(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

モバイルコマースに役立つ「Shop」アプリに新機能

「Shop」アプリ(利用は現在英語のみ)は、誰もが簡単にモバイルコマースに事業展開するためのサービス。顧客は「Shop」アプリのストアで商品を購入すると、配送状況をモバイル上で確認できる。

2022年から「Shop」アプリ上での取引者数は2倍以上に増加。なかでもShopifyを使う上位100社の事業者は、「Shop」アプリ内で再購入までにかかる時間が自社が展開するECサイトと比べて6倍以上短縮しているという。

事業者のモバイルコマース戦略促進を図るため、Shopifyが「Shopify Editions Winter '23」でリリースした、国内で利用可能な新機能は次の通り。

「Shop」アプリで展開するストアのカスタマイズ

商品のラインアップや売れ筋商品の表示、口コミ、ブランディングの機能を新たに提供する。「Shop」アプリで展開するストアをカスタマイズし、アプリ内で顧客エンゲージメントを向上させることができる。Shopifyによると、「Shop」アプリで展開するストアを最適化することで、顧客が商品をカートに追加する確率が最大15%高まるという。

「Shop」アプリにサインインする機能をオンラインストアに追加

事業者は「Shop」アプリにサインイン機能を追加できるようになる。これにより、買い物の初期段階で確度の高い顧客を特定しやすくするという。「Shop」アプリや「Shop Pay」によって買い物体験を整流化することで、結果的にコンバージョン率を8%向上するという。コンバージョンの促進に貢献する、そのほかのShopアプリの新機能は次の通り。

  • パスキー:「Shop」アプリユーザーがApple や Android 端末で「Shop」アプリ にサインインする際、顔認証などの生体認証キーで、簡単にサインインすることを可能にする。
  • お気に入り機能:「Shop」アプリ上で気に入ったストアをお気に入り登録する機能を追加。
オンラインストアにサインイン機能を追加。コンバージョンアップを図る(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
オンラインストアにサインイン機能を追加。コンバージョンアップを図る(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)

B2Bの事業拡の支援も拡充

Shopifyは2022年6月、企業間取引(B2B)コマースソリューションを公表。何十種類もの機能を追加してきた。

今回、販売商品数量の条件設定、事業者と顧客との受発注のやり取りを効率化するための機能などの事業者向け機能を追加。

開発者向けには、卸売事業で必要となる受注書や配送指定、B2Bコマース向けのロイヤリティプログラムをカスタマイズして構築するためのAPIを提供する。

NFT有効化で顧客エンゲージメントを促進

トークンゲートコマースも発表した。事業者はNFT(非代替性トークン)を有効化して、NFTホルダーだけが楽しめる体験や商品にアクセスできるようになる。

Shopifyのブロックチェーン技術で、事業者がこれから獲得する顧客のロイヤリティを高めることが可能。NFTトークンの配布機能は、米国の一部事業者に提供していた。

開発者向けにはNFTのロイヤリティを高めるためのAPIやコンポーネントを提供。Shopifyのプラットフォーム上で次世代のロイヤリティ体験をスピーディーに構築できる。

国内でもNFTの取り扱いを開始する(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
国内でもNFTの取り扱いを開始する(出典:Shopify Japanが開催した記者説明会の配布資料)
高野 真維

トランスコスモスがアイスタイルの中国連結子会社に出資、中国版「Tik Tok」旗艦店出店支援と運営代行サービスを展開

3 years ago

トランスコスモスは、アイスタイルの連結子会社であるOver The Border Inc.と資本業務提携を締結した。日本から中国に向けた越境販売支援事業を拡充していく。

トランスコスモスは、アイスタイルの連結子会社であるOver The Border Inc.と資本業務提携を締結

トランスコスモスは、越境ECを活用した海外販路拡大支援を展開。中国市場向けでは「天猫国際」「JD worldwide」、ASEAN市場向けに「Lazada」「Shopee」など越境ECプラットフォームを活用した旗艦店出店支援と運営代行業務を手がけている。

Over The Borderは2021年から、中国版Tik Tok「Douyin(抖音)」において化粧品セレクトショップ「@cosme(アットコスメ)海外旗艦店」を運営している。

主に在日海外インフルエンサーと提携した越境ライブコマース事業を実施しており、アカウント開設から約1年で15万を超えるフォロワーを獲得。月間で2千回を超えるライバータイアップを実施するなど、日本から中国に向けた日系コスメブランドのPRとECに取り組んでいる。

トランスコスモスの旗艦店出店支援や運営代行ノウハウ、Over The Borderの「Douyin」における越境ライブコマースの運営ノウハウを生かし、「Douyin」旗艦店出店支援と運営代行を行うDouyin Partner事業を立ち上げる。日本から中国に向けた越境販売支援事業を強化する。

昨今、ライブコマースは中国国内のECだけではなく、越境での販売チャネルとして存在感を高めており、ブランドの中国進出にとって欠かせない販売方法になりつつあるという。

石居 岳

使用済みクリアホルダーから生まれた商品「Matakul(マタクル)」。製品化まで約2年費やした商品に込められたストーリーをアスクルが語る

3 years ago
使用済みクリアホルダーから製造したアスクルの新PB商品「Matakul(マタクル)」。環境省の実証事業への参加からスタートしたプロジェクトだが、商品化に至るまでの経緯や重要なポイントとは何だろうか

アスクルの新PB(プライベートブランド)商品シリーズ「Matakul(マタクル)」。アスクルの資源循環プロジェクトの一環で誕生した商品で、その原料は企業などから回収した使用済みクリアホルダーだ。発売された商品はクリアホルダー、ペン立てなど計4種類。決して目新しい商品ではないが、商品化に至るまでには資源の回収スキーム構築や共同開発メーカーのたゆまぬ努力など多くのストーリーがあった。商品開発の背景やプロジェクト内容をアスクルに取材した。

3社のメーカーと共同開発した新PBシリーズ「Matakul」とは

アスクルの資源循環プロジェクトから生まれた新PB商品シリーズ「Matakul(マタクル)」。これまでアスクルではオリジナル商品を多数販売している。

商品ラインナップはクリアホルダー、ジェットストリームボールペン、ペン立て、小物入れの計4種類。ボールペンは軸部分のみだが、これらの商品はすべて企業などから回収した使用済みクリアホルダーから作った再生ペレットを使用している。

リヒトラブと共同開発した「クリアホルダーからつくったクリアホルダー」は、使用済みの製品を一度資源にし、同じ商品として生まれ変わる「水平リサイクル」で製造している。一般的なA4サイズで、再生材料ならではの黒点や多少の凹凸を個性として残し、商品化した。

アスクル Matakul マタクル クリアホルダーから作ったクリアホルダー リヒトラブと共同開発
「クリアホルダーからつくったクリアホルダー」。リヒトラブは「使用済みクリアホルダーが新たなクリアホルダーに生まれ変わるという仕組みの一環を担うことは、ファイルメーカーの1つである弊社にとっても重要であると考え、この構想に賛同した」とコメントを寄せた

「クリアホルダーからつくったジェットストリームボールペン」は三菱鉛筆との共同開発商品。ボールペンの軸に、使用済みクリアホルダーから作った再生ペレットを使用しており、一切の着色をしていないため少し黄みがかっているという特徴を持つ。

アスクル Matakul マタクル クリアホルダーからつくったジェットストリームボールペン 三菱鉛筆と共同開発
「クリアホルダーからつくったジェットストリームボールペン」。三菱鉛筆は「率直に新たな取組にチャレンジするチャンスと思い、実現の可能性を含めて社内で検討した。メーカーでもサステナブルな取り組みをスタートしており、トライすべき事案と話が進んだ」とコメントを寄せる

「クリアホルダーからつくったブリックスペン立て、小物入れ」はライクイットと共同開発を行った。使用済みの色付きクリアホルダー、柄入りのクリアホルダーを再生し、原材料として100%使用。色味を安定させるため着色料を少量使用してはいるが、再生樹脂特有の色味を活かしアースカラーとした。

アスクル Matakul マタクル クリアホルダーからつくったブリックスペン立て、小物入れ ライクイットと共同開発
「クリアホルダーからつくったブリックスペン立て、小物入れ」。「プラスチックの資源循環を総合的に推進することを経営ビジョンとし、再生プラスチックやバイオマス素材を活用したモノづくりを推進していることから、再生プラスチックを活用するだけでなく、回収、再生、再製品化という資源リサイクルの仕組みに関わることが必要と感じていたところ、アスクルさまからお話をいただき、取り組みに至った」とライクイットはコメント

製品化には3つのコンセプトを設定

使用済みクリアホルダーから生まれた再生ペレットを使った商品を製品化する上で、アスクルには3つの譲れないコンセプトがあった。1つ目は「使い捨てでないこと」。製品化にはアスクルだけでなく、共同開発したメーカーや、使用済みクリアホルダー回収に参加した企業、分別事業者など多くの人々が携わっている。

アスクルの四夷麻子氏(コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション サステナビリティ(社会・ガバナンス)部長)は「折角皆さまのおかげで成り立っているのに、商品が使い終わってすぐに廃棄されてしまうことは避けたい」と話す。

2つ目は「単一素材であること」。再資源化するにあたり、さまざまな素材が混じってしまうと質の良い再生材にはならないためだ。

3つ目は「回収スキームがあること」。今回のプロジェクトでは、回収スキームをしっかりと構築することで、より多くの企業が気軽に参加することにもつながっている

環境省の実証事業への参加が製品化の始まり

資源循環プロジェクトは、環境省の実証事業「環境省令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に参加したことから始まる。

参加前から、アスクルでは「企業で使用しているプラスチック製品は数多くあるが、リサイクルが進んでいないのではないか」「使用済みプラスチック製品を回収するスキームがないため、ほとんどが産業廃棄物で廃棄されているのではないか」と想定していた。

一方で、単一素材で作られており、薄くて集めやすいクリアホルダーほど資源回収やリサイクルに向いている製品はないと考えていたという。

また、アスクルは国内におけるクリアホルダーの販売シェアが非常に高く、販売者としての責任という観点からも、クリアホルダーの回収・リサイクルを実現したいと考えていた。

環境への取り組みについて検討していたところ、環境省の実証事業の公募があり、本プロジェクト実施に至ったのだ。

2020年11月から2022年3月までの約1年半にわたって実施した実証事業では、大きく2つの目標を設定した。1つ目は「使用済みクリアホルダーの回収スキームの構築」、2つ目は「回収したプラスチックを原料とした製品を開発・製造すること」だ。

アスクル Matakul 使用済みクリアホルダーの回収スキーム
使用済みクリアホルダーの回収スキーム

使用済みクリアホルダーは、回収に参加した企業が共同事業者である白井エコセンターに宅配便で郵送、もしくは直接持ち込む。白井エコセンターで分別・選別を行った後、別の共同事業者である亜星プラスチックリサイクルセンターに運搬し、商品の原材料となる再生ペレットを製造する。その後、再生ペレットから商品を製造、アスクルで販売という流れだ。

アスクル Matakul クリアホルダーの分別・選別のようす 共同事業者の白井エコセンター
白井エコセンターでの、クリアホルダーの分別・選別のようす。値札などのラベルが残っていた場合は、手作業でラベル部分だけ切り落としている
アスクル Matakul クリアホルダーからペレットを製造 共同事業者の亜星プラスチックリサイクルセンター
亜星プラスチックリサイクルセンターでは分別・選別したクリアホルダーから再生ペレットを製造する
アスクル Matakul 回収した使用済みクリアホルダーから製造した再生ペレット
回収した使用済みクリアホルダーから製造した再生ペレット。右が無色のクリアホルダーから製造したペレット、左が色つき・柄つきのクリアホルダーから製造したペレット

企業が参加しやすい回収スキームを構築

1つ目の目標である回収スキームの構築でアスクルが重視した点は、「企業が参加しやすい」ことだ。参加企業は社内で準備したダンボール内に不要になったクリアホルダーを収集し、各企業の都合の良いタイミングで白井エコセンターに配送または持ち込むという方法を採用した。日本全国どこからでも参加でき、回収量やタイミングを設けないことで、実証実験へのハードルを下げた

アスクル Matakul 呼びかけステッカー アスクル資源環境プラットフォームで配布
回収用ダンボールに貼り付ける呼びかけステッカー。Webサイト「アスクル資源循環プラットフォーム」で配布している

この結果、2021年1月~2023年1月の期間で984社が参加し、累計94トンの使用済みクリアホルダーを回収、リサイクル率99%を実現した。

また、事業内の1つの目標としてCO2の削減が含まれており、実証事業期間内で使用済みプラスチックのリサイクル材を使用したプラスチック製品の製造で、原料40トンに対して204トンのCO2削減効果が得られたという。

オフィスなどで使用できるプラスチック製品が製造できるかを検証

2つ目の目標のポイントは「オフィスや事業所で使用できるプラスチック製品を製造できるか」ということ。

現状、使用済みプラスチック製品を原料としたプラスチック製品は、倉庫で使われるパレットや公園のベンチなどが多く、オフィスなどで使用できる製品に生まれ変わることはほとんどない状態だからだ。

また、共同事業者と話し合いを進めるなかで、「クリアホルダーを原料にクリアホルダーを製造する水平リサイクルが、製品リサイクルとしてわかりやすい」と言う提案が出た。この方法ならクリアホルダーを回収して製造するという循環を永続的に作り出せるというメリットがあった

メーカーの理解・協力がなければ成り立たなかった

商品の開発について、四夷氏は「メーカーさんのご理解とご協力があってこその製品化」だと話す。

使用済みクリアホルダーから製造した再生ペレットを使用した商品作りは、メーカーとしても初めての試みだったという。各メーカーの既存の商品製造ラインを使用して新PB商品を製造することになったが、新しい材料がゆえに何が起こるかわからないというリスクを抱えていた

そのため、アスクルは再生ペレットに対して第三者の品質検査を実施し、物性表を作成。品質に問題がないことをメーカーに示し、少しずつ理解を得られるよう努めてきた。

その結果、数あるメーカーのなかから資源循環の意義に理解・賛同した3社が製品開発・製造に協力することとなった。

各メーカーが試作を何度も重ね、商品として販売できるか、品質の低下を招かないかなどの検証を繰り返し、製品化に結びついたのだ。

従来の製造ラインをご活用されたのですが、そこで何かあったら通常の製品の生産にも影響を与えてしまうので、慎重に何度も試作を重ねてご対応いただきました。

再生ペレットを使用した場合、どのような仕上がりになるか予測しにくいこともあり、バージン材90%に再生ペレットを10%混ぜるなど、各メーカーさんがさまざまな配合で商品作りを検討して下さいました。

こうしたご協力の下、最終的に「100%再生ペレットでも商品が製造できる」となり、今回の商品が生まれました。(四夷氏)

アスクル Matakul 使用済みクリアホルダーからうまれた商品につけるマーク
使用済みクリアホルダーから生まれた商品にはマークを付けている

「何かしたい」という企業の考えが参加に結びついた

今回の実証実験に対して、アスクルからの呼びかけは数十社にしか行っておらず、多くの参加企業が自ら資源循環プラットフォームのサイトを見つけ、申し込みをした企業だという。

企業さんとしては「環境のために何かしたいけれども、何をしたらいいかわからない」というもやもやとした考えがあったのではないでしょうか。そこに参加しやすい簡単な仕組みがあったので、結果として多くの企業さんにご参加いただけました。(アスクル コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション サステナビリティ(環境) 立花丈美氏)

クリアホルダーの回収に参加した企業には、回収した量やリサイクル率などの実績報告を行っている。参加企業はこうした数値を統合報告書として自社サイトに掲載し、取り組み例として紹介できるメリットもある

アスクル Matakul あらたの活動報告
使用済みクリアホルダー回収に参加した、あらたの活動報告(画像は「アスクル資源循環プラットフォーム」のサイトからキャプチャ)

参加企業の規模や業種はさまざまで、なかには個人で参加しているケースもある。

バリューチェーンのなかの一員として協力することが重要

実証実験が終了した現在も、使用済みクリアホルダーの回収に参加する企業は多い。こうした状況について立花氏は「きちんと実績を報告することが、企業のモチベーションにつながっている点もあると思う」と話す。

これまでは、自分たちが出した物がどうなっているか知らなかったと思います。今回のプロジェクトでは、自分たちが出した物がどれくらいの重量でどんな風に分別されて、最終的にどのように製品化されるのか、というトレーサビリティをポイントにしている。そういった点も企業さんが引き続き回収に参加することのモチベーションになっているのではないでしょうか。(立花氏)

アスクル Matakul 使用済みクリアホルダーの回収の参加方法 アスクル資源循環プラットフォーム
使用済みクリアホルダー回収の参加方法(画像は「アスクル資源循環プラットフォーム」のサイトからキャプチャ)

クリアホルダー以外の資源回収スキーム構築などをめざす

クリアホルダーの回収方法は郵送または持ち込みのみだが、公平性という観点からアスクル商品配送時にクリアホルダーを回収すると言った方法は実施しない予定だ。

その理由について四夷氏は、「アスクルだけでなく、参加企業さん、メーカーさん、提供事業者さんそれぞれがきちんと責任をもって取り組むことが大切」だと話す。

このプロジェクトに参加して下さっている企業さんは、送料や届ける手間を自身が負担してまで資源循環を実行したいと考えている人たちだと思います。「ゴミとして渡した後のことは知らない」という考えでは、99%のリサイクルというのは実現できません。

参加企業さんがある程度のルールに則ってお届けまでしてもらう、という仕組みを「嫌だな」と思わずにやっていただくことで成り立つプロジェクトだと考えています。(四夷氏)

また、立花氏も「バリューチェーンのなかの一員として、消費者の方も意識を持って協力していただくことが重要」だと話す。

今後の施策については、メーカーと話し合いながら、クリアホルダー以外の資源を回収できるスキームづくりをめざしていく。また、商品の展開についてはさまざまなニーズを鑑みつつ、使用済みクリアホルダーで実施できる再資源化を進めて行くという。

藤田遥

ステマ規制は私権制限につながる恐れ。曖昧な運用基準案や性急な改正が招く弊害は? 識者5人が討論 | 通販新聞ダイジェスト

3 years ago
ステルスマーケティングの規制をめぐる事業者からの不満の声が多くあがっている。曖昧な運用基準案、性急な改正により、表現の自由が妨げられる恐れがあるという

ステルスマーケティング規制をめぐり、事業者から不満の声があがっている。予見性担保を目的に策定された運用基準案は問題事例の具体性に乏しい。通販新聞ではこれを踏まえ、連載「“消費者庁景表法検討会”を検討する!!」(※)に参加した「景表四人衆」(編注:いずれの人物も業界識者。匿名で表記)に新たに政治関係者1名(編注:こちらも匿名で表記)を加え、特別座談会を行った。

※通販新聞では景品表示法に関係する諸問題を討議する座談会を全17回に渡り連載しました。連載最終回の配信はこちら

ステマ規制は「いつか来た道」

「景表四人衆」と、政治関係者1名のプロフィールは次のとおり。(画像中では5人を「景表五人衆」と表記)。

「景表五人衆」のプロフィール。司会は通販新聞記者の佐藤氏が務めた
「景表五人衆」のプロフィール。司会は通販新聞記者の佐藤氏が務めた

――「表示内容の決定への事業者の関与」「消費者が当該表示であることを判別することが困難なこと」の2要件を満たせばステマとして規制できる。

三郎告示の範囲があまりに広すぎる。解釈次第でいかようにも発展する。実態としてステマ規制ではなく言論の自由の侵害になりかねない。私権制限であり、国会での議論や議決を経ず、行政手続きで済ます話ではない。

四郎外形的な要件のみで、中身の悪質性は考慮されない。社員が身分を明かさずSNSで発信した時にすべて捕まえることもできなくはない。

五郎:国会も言論の自由が絡む問題に無頓着でいるのは問題だ。気づかないとすれば行政府になめられる。告示ではなく法律事項と指摘すべきだ。

三郎:メディアも他人事のような報道でいいのか。横並びで消費者が守られるかのように報じている。むしろ、一般の表現の自由が侵害される影響の方が大きい。マスコミが言論の自由を守らないでどこが守るのか。日本の言論環境をめぐる貧困さ、貧弱さ、底の浅さが出ている。

五郎:「ステマ=規制」というネガティブイメージとワーディングで突き進んでいる。立法事実がない中でやるのは言論封殺であり、まさにタモリさんの言う「新しい戦前」。いつか来た道だ。

ステマ規制はこれまでにも世間で大きくとりざだされてきた
ステマ規制はこれまでにも世間で大きくとりざだされてきた

改正景表法は日本の贈答文化を破壊する?

――景表法は事業者を規制するもので個人の発信は制限しないとしている。

五郎:それは認識不足だ。映画も事業者とプロデューサーと協力して制作される。「007(ダブルオーセブン)」(編注:スパイアクション映画)も、ボランジェ(編注:「007」に登場するシャンパーニュ)もオメガ(編注:「007」の主役を演じたジェームズ・ボンド氏が身に着ける腕時計のブランド)も一体だ。

その資金でプロモーションが行われ、商品が売れる。これを期待して資金協力する。映画はそうした文化を育んできた。運用基準は、利益供与の話も不透明だ。

たとえば、国会議員が地元産品をもらい「おいしいです」と(言ったとする)。見返りはないが、その結果、生産者から票が入る。それがステマとなる(ステマだとみなされる)と、「先生(当該の国会議員)はもう褒めないでください」となる。そんなおそれのある国自体が異常だ。

太郎テレビ番組の店紹介など、企画自体がステマみたいなものもある。メーカーが提供するテレビ番組で商品や小道具を使う際も表現を変えたり、市場にないビールを作らないといけない。放送前後に渡り何ら利益供与されていない証明が必要だ。

四郎:少なくとも領収書を出しておかないといけない。

利益供与がある可能性があれば“ステマ”なのか?

五郎時間の概念も不明だ。たとえば、お笑い芸人の「ミルクボーイ」が、「ケロッグ」(編注:日本ケロッグが販売するオートミール)のCMの再現ネタをやったあと、商品提供を受けた。時系列的にもらえることが推察されるならステマになる

三郎:「ヤクルト1000」(編注:ヤクルト本社が販売する乳酸菌飲料)、のマツコ・デラックスの件(編注:マツコ・デラックス氏のテレビでの発言が「ヤクルト1000」の人気の一因となった)が典型だ。あれだけ広がれば企業の立場からすれば当然感謝する。講演に呼ぼうとか、お返しをしようと思う。けれどそれをすれば時系列でアウトになる。

――通常の商習慣、関係性を遮断する。

三郎歳暮や中元など日本の贈答文化を破壊しかねない。なんでも対価になりうる。そもそも、広告とわかるようにしなければ、社員が自社製品をSNSなどで勧められないというのが常識的におかしい。あくまで悪質性、程度問題だろう

――第三者の自主的な意思なら問題ない。

五郎結局疑われたらアウト。これは、やまりん事件(98年、あっせん収賄事件)の頃から。因果性はなくても、金銭提供を受け、要望に応えたという推察で贈収賄は成立する。ステマも同じだ。

“ステマ警察”がはやり出す懸念も

――一般社会でも関係性のすべてがオープンな訳ではない。

次郎何を調査するかは行政に裁量がある。ただ、行政からすればやはりやりやすいところをやる。それが問題か否か、悪質かどうかは関係ない。

三郎:だから影響のある大きいところをやる。告示で広く網をかけてもステマは相当摘発しづらいはずだ。消費者庁からしても「厳しい運用はしないし、できないのだから、業界はガタガタうるさいことを言うな」という感覚もあると思う。

ただ、事業者からすればどこから攻めてくるか分からない。消費者庁も捕まえにくいから、自供しそうな大手をやる。そうなると危険な規制になる

太郎:社会一般から見た公平性がどうなのかという問題がある。

四郎:代理店の中から岡っ引きのような者がでてきて、審査の側からも厳しくなる。

三郎規制が導入されると暇なネット民の間で“ステマ警察”がはやる。この会社の表示はステマではないかと。おそらく消費者庁はすべてを受けきれない。

一方で、ステマでないものをステマと騒ぐステマ警察も出てくる。だから定義やルールを明確にしておかないと滅茶苦茶になる。社会が混乱するというのはそういうことだ。

いまだ示されない立法事実

――検討プロセスの問題点は。

五郎具体的な被害、社会通念上、これに対処しなければならないという立法事実はいまだに誰も示していない。“問題がありそうです”というだけだ。

――消費者庁の調査においては、「ステマで売り上げが2割上がった」とする代理店もいた。

四郎:意味のある数字ではない。通常の広告を打てば5割上がったかもしれない。たまたまそう体感した人の意見で強いバイアスがかかっている。小保方さん(編注:独立行政法人理化学研究所の元研究員・小保方晴子氏)の「STAP細胞はありまーす」というレベル感でステマが問題ですとなっている。

太郎:消費者保護規制では必ず被害がどの程度か件数で示す。今回、国民生活センターに寄せられた相談件数は、5年でわずか40件。“インフルエンサーの勧めで購入したが思ったものと違った”、“クチコミを見て来店したがおいしくなかった”という感想が「消費者被害」と言えるのか

消費者はステマだけを見て購入するわけではない

五郎:主観のコントロールまで責任を持てとなると、たとえば売っているペットボトル飲料にも「あなたの口に合わない可能性があります」とでも書かなければいけなくなる。

“この国に住む人はほぼ蒙昧(もうまい:物事の道理に暗いこと)な愚民なので広告がわからないから、何でもきちんと書きましょう”と言っているようなものだ。

太郎:合理的選択をゆがめるというが、消費者は本当にインフルエンサーの推奨のみを信じて購入しているわけではない。さまざまな要素があり、クチコミも広告も見て意思決定する。ステマだけを見てというのは違う

三郎:インフルエンサーの4割が依頼されたという調査自体がステマのようなものだ。

「景表五人衆」は、消費者庁が示すステマ規制の立法根拠は、疑念を抱く内容も多くあると指摘
「景表五人衆」は、消費者庁が示すステマ規制の立法根拠は、疑念を抱く内容も多くあると指摘

――諸外国で規制されていることも後押しになっている。

四郎FTC法(米国連邦取引委員会法)にも規制はある。ただ、あれは競争法だ。景品表示法は、消費者庁への移管を経て消費者法に変わっている。規制趣旨は非常に重要だが、消費者庁もそのあたりの認識が、ゴチャゴチャになっているのではないか。

次郎:本来、独占禁止法の不公正取な取引方法(欺瞞的顧客誘引)で規制すべきもの。海外も競争法の中で規制しているはずだ。

五郎:イコールフッティング(編注:商品やサービスの提供において、双方が対等の立場で競争が行えるように、条件や基盤などを同一にすること)ではない市場は是正しなければならない。

三郎:“競合企業がどんどんステマをしてずるい”という見方をすれば目的も分かりやすい。その視点で、規制手段を再構成すべきだ。

「表現の自由」をスルー⁉

――性急に検討が進んでいる。

次郎:3月に指定を予定しているが、なぜ短期間でやろうとしているかも疑問だ。

三郎:報道されていたように河野太郎大臣の指示があったからだろう。

――消費者庁に急ぐ理由を尋ねたところ「ボスが言うから」と言っていた。

三郎統一教会問題の影響もある。新法、消費者契約法の改正を猛スピードで進めた。行政と政治が一緒にやれば社会問題を解決できるだろうと叱咤(しったく)を受けた。大臣に言われたら誰も反対できない。

五郎:ややこしいのは、出発点が自民党部会であることだ。ここで日本弁護士連合会(日弁連)のヒアリングを鵜呑みにして提言し、消費者庁がそのまま容(い)れた告示案を作った。

消費者庁からすれば、言われたからやったという思いだろう。最初のボタンの掛け違いが問題。関係者が皆「表現の自由」の観点をスルーしてここまできてしまった。

四郎景表法の改正案を通す予定があるのだから法律事項にするか、告示事項にするか国会で一緒に議論すればよい話。分割して先に進めたためにおかしくなった。

――過去に覆った例はあるのか。

四郎:「漫画村事件」を受けたダウンロード違法化の対象範囲見直しに向けた20年の著作権法改正では、保護されるべき対象の漫画業界が表現の委縮、文化の抑制につながると反対して改正案の国会提出が見送られ、再検討された。

五郎:憲法に絡むのであれば国会を通さないのは問題だ。言論封殺につながると野党がきちんと反対を表明すればがらりと変わる可能性はある。

あまりに横暴な“一律に規制するほかない”発言

――ではどうするのかという問題は残る。

五郎自民党部会で消費者庁は、“よいステマも悪いステマも線引きは難しいから一律に規制するほかない”という考えを示した。なかなかすごい発言をすると感じた。

三郎非常に強権的だ。どうすれば悪質なステマを排除し、通常の商習慣を守れるか。やはり告示を変えるしかない。本来の趣旨に立ち返り、問題事例に基づき範囲を限定したものにする。

太郎消費者庁にまずやるべきものを定めてもらう。告示はそもそもそういうもの。「無果汁」や「老人ホーム」など限定された範囲だが、優良・有利で対処できない誤認を規制する。影響が小さいから告示を可能にしている。

ところが今回は、ものすごく影響が大きいのに告示で進めているのがおかしい原産国の偽装などほかの告示と同レベルで処分されるのはだいぶ差がある

三郎アサリの産地偽装のような大きな問題を景表法で措置せず、被害があるか分からないものをやるのはおかしい

五郎:風説の流布(るふ)、不実の告知が公共の利益に反するというのであれば範囲を限定していかに排除するかを考えないといけない。全体の発信を抑制するのは容易だが、それは独裁的だ。

太郎:ステマをする事業者とインフルエンサーを仲介する悪質なブローカーがいる。これを叩けば終わりだ。

「ステマ気にする社会、住みたくない」

三郎ネットという媒体が出てきて社会における言論の自由の在り方がゆがんできている。意見を発信するのが極めて簡単になり、その数が天文学的に広がった。

米国では、フェイクニュースが広がり社会が混乱している。果たして言論の自由を守ることが今の時代に合っているのかという危うい議論がでてきている。

これまで特定の良識ある人が発信していたから、言論の自由を守ることが議論の前提になっていた。時代が変わり、むしろ発信やその内容を強く規制したほうがよいのではないかという話にすり替わりつつある。今回のステマ規制はその一端に思える

極めて危険だ。皆がステマにあたらないかをいちいち気にしながら発言する社会。こんな社会には住みたくない。

太郎:そこまで行政コストをかけて、違反行為の軽重とパラレルの関係にあるのか。社会に与える影響と均衡がとれていない。

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