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フードロス削減ECのクラダシ、商品1点から購入できる常設店舗。実店舗ならではの「3つの仕掛け」とは?

2 years 11ヶ月 ago

フードロスの削減をめざす食品ECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは、東急モールズデベロップメントの商業施設「たまプラーザ テラス」に、「Kuradashi」の常設店舗を開店した。

常設店舗では、①商品が日々入れ替わる楽しさ②フードロス削減への貢献や支援団体への寄付を気軽にできる③商品をお得な価格で購入できる――という3点の価値を顧客に提供。東急モールズデベロップメントとの共創を通じた地産地消・フードロス削減の推進にも取り組む。

「Kuradashi」常設店舗の外観
「Kuradashi」常設店舗の外観

「Kuradashi」初の常設店舗

クラダシは「Kuradashi」初となる常設店舗を、東急田園都市線たまプラーザ駅直結の「たまプラーザ テラス」に開店した。「Kuradashi」の購入体験を、オンラインだけにとどまらずオフラインの拠点を持ちながら双方で連携して発信していきたい考え。

東急モールズデベロップメントさまが掲げる「循環型社会の実現に向けて、地域の皆さまと一緒にサステナブルなまちづくりを共創していく」ことに共感し、クラダシは初の常設店舗を「たまプラーザ テラス」に出店した。

当社のビジョンは“日本で最もフードロスを削減する会社”で、大切にしているのは「社会性」「環境性」「経済性」。この3つの合理性を成していくことをミッションに掲げている。東急モールズデベロップメントさまとともに、地域に根差したサステナブルな世の中を作っていきたい。

クラダシ 代表取締役社長 関藤竜也氏
クラダシ 代表取締役社長 関藤竜也氏

テーマに合わせた3つの仕掛け

ECサイト「Kuradashi」では、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある食品などをお得な価格で販売している。売り上げの一部は、環境保護などさまざまな団体への寄付などに充てているという。

「Kuradashi」の常設店舗には「見る・知る・関わる」の3つのテーマに合わせた仕掛けを用意している。

  • 「見る」:店舗におけるフードロスの削減量や社会貢献度合いを可視化できる仕組み
  • 「知る」:サステナブルな商品や企業の取り組みを紹介する実験的なコラボレーションブースを店舗内の一角に設置。また、フードロスやSDGsについて学び、より社会と街に貢献するようなイベントなども実施する
  • 「関わる」:ECでの購入体験と同じように、常設店舗でも購入金額の一部を社会貢献活動の支援に充てることができる。購入者は会計後に、各団体の活動内容から、支援先を自身で選択できる仕組みを設けている

化粧品、産直品、冷凍・冷蔵食品なども展開

常設店舗では、さまざまな理由でフードロスになってしまう恐れのあるメーカー各社の食品、ロスが問題になっている化粧品などの販売も行う。食品はECサイトと同様に、冷蔵・冷凍の商品やロスワインなどの酒類、産地直送の商品もラインアップする。

ECサイトでは原則、ケース単位での販売を行っているが、常設店舗では1点単位での購入が可能となる。

店舗内での買い物イメージ
店舗内での買い物イメージ

東急モールズデベロップメントとの共創とは?

東急グループは横浜市・青葉区の地元農家と連携している。クラダシは東急モールズデベロップメントとの共創を通じ、規格外品や天候によって豊作になってしまった地元農家の農作物の不定期販売などを「Kuradashi」で行う。地域と連携したフードロス削減をめざしていく。

共創により、青葉区地元農家との連携も図る
共創により、青葉区地元農家との連携も図る

今後は、地元農産物と生産者、都市農業を知る機会作り、食育などの活動にも取り組む予定。東急モールズデベロップメントの佐々木桃子社長は「クラダシさまと一緒にフードロス削減活動に取り組んでいきたい」と話している。

東急モールズデベロップメント 代表取締役社長 佐々木桃子氏
東急モールズデベロップメント 代表取締役社長 佐々木桃子氏

「Kuradashi」常設店舗概要

  • オープン日:2023年5月26日(金)
  • 営業時間:10:00~20:00
  • 店舗場所:「たまプラーザ テラス」GATE PLAZA1F
  • アクセス:東急田園都市線たまプラーザ駅直結
高野 真維

広告主のインフルエンサー探しを助けるプラットフォーム 「KOL Radar」とは? ChatGPT搭載でテキスト検索も可能に

2 years 11ヶ月 ago

iKala Interactive Media Inc.(本社台湾)の日本法人iKala Japan(アイカラジャパン)は、企業とインフルエンサーのマッチングを支援するプラットフォーム「KOL Radar(ケーオーエルレーダー)」にChatGPT搭載の新機能を実装、利用企業は自社の商品のPRに最適なインフルエンサーを見つけることができるようになる。

新機能はChatGPTを搭載した「AIインフルエンサー検索」。従来のキーワード検索に加え、テキスト検索ができるようになった。

「KOL Radar」の検索画面
「KOL Radar」の検索画面

たとえば「25~35歳に人気の美容・スキンケアインフルエンサーを探して」といったテキスト検索で、広告主にとって最適なインフルエンサーを表示する。

「KOL Radar」で表示するインフルエンサーは、Facebook、YouTube、Instagram、TikTok、Twitterといったメディアから抽出する。対象インフルエンサーは1万5000人(2023年4月21日時点)。独自のAI技術とビッグデータを活用し、インフルエンサーの選定に関わるデータを解析。企業の届けたい商品やサービスとインフルエンサーとの相性を可視化している。

AIによってデータを分析しているため、マーケティングに向けたとても正確なデータを得ることができます。「KOL Radar」を利用いただいているクライアントのアカウント数は、日本を含めて約4万件となっています。

iKala Interactive Media Inc.の共同創設者 兼 CEO セガ・チェン氏
iKala Interactive Media Inc.の共同創設者 兼 CEO セガ・チェン氏

「KOL Radar」を用いたインフルエンサーマッチングのための質問例

  • 「25~35歳に人気の美容・スキンケアインフルエンサーを探して」
  • 「化粧品関連のPRの経験が豊富なインスタグラマーを探して」
  • 「旅行好きでフォロワーが多く投稿頻度の高いインスタグラマーを提案して」

これにより、企業やブランドは、時間をかけずに最適なインフルエンサーを選ぶことができるようになる。「KOL Radar」の利用企業は、テキスト検索を追加料金なしで利用できる。

「KOL Radar」の費用は月額5万円(税別)から。日本では化粧品のEC事業者による利用が多いという。

日本では化粧品EC事業者を中心に利用拡大

「KOL Radar」の導入事業者とそうでない事業者を比べると、エンゲージメント率は約30%高いことがわかっています。この場合のエンゲージメント率は、起用したインフルエンサーの投稿に対する「いいね」の数、ポジティブなコメントの数、シェア数などです。(セガ氏)

なお、従来のキーワード検索や、ChatGPTを搭載したテキスト検索に加え、2023年7~9月をめどに、画像検索もできる仕様にバージョンアップを計画している。

「KOL Radar」が保有するインフルエンサーのデータは、台湾、日本、香港、マレーシアの4つの国と地域。アジア向けの越境ECに乗り出す企業にぜひ導入をお勧めしたいです。

アフターコロナが近づくにつれて、ほとんどの人が各国を行き来できるようになってきています。クライアント企業からは、インバウンド需要に向けたマーケティングも、アウトバウンド需要に向けたマーケティングも、問い合わせが両方増えてきました。インフルエンサーマーケティングの市場は明るいと言えます。(セガ氏)

iKalaとは?

iKalaは、AI技術によるDXおよびD2Cの支援事業を手がける台湾のスタートアップ企業。台湾、日本、シンガポール、タイ、香港、マレーシアでサービスを展開している。日本法人は2021年9月に設立した。日本では「KOL Radar」を中心に事業を展開している。

CEOのセガ氏(左)と、日本法人iKala Japan カントリーマネージャーの土屋隆司氏
CEOのセガ氏(左)と、日本法人iKala Japan カントリーマネージャーの土屋隆司氏
高野 真維

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」

2 years 11ヶ月 ago

博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は、Z世代の買い物行動・買い物価値観の深掘り、次世代コマースの利用動向の把握を目的とした「Z世代×ニューコマース調査」を実施した。

Z世代特有のコマース行動を把握するため、今回の調査では主にY(ミレニアル)世代(26~41歳)とX世代(42~59歳)と比較。Z世代(15~25歳)特有のコマース行動を「バイヤー型消費」と命名し、4つの特徴を提示した。

  • 開拓志向……Z世代のコマース行動には「積極的に情報収集をして、自分が欲しい情報を自ら取りに行く
  • 越境志向……良いものを選ぶために国内・海外問わずにフラットに製品を購入する
  • 見極志向……自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める
  • 即決志向……良いと判断したものは、自分の直感を信じて即決で購入する

開拓志向

「トレンドを気にしながらSNSを駆使して人と被らない商品を探し続ける」「独自の消費スタイルである研究消費(自分の好きなカテゴリーでの買い物では多少の失敗は気にせず、それを自分の知見にしていく)」「次世代コマースも活用しながら新しい商品を探す」など、積極的な情報収集をしながら買い物を行う消費行動。

定量調査の「トレンドや流行りの商品を選ぶ」に対して、該当すると答えたZ世代は39%。Y世代よりも12ポイント、X世代よりも23ポイント高い。「人と被らないブランド・メーカーを選びたい」と答えたZ世代は42%で、Y世代よりも6ポイント高く、X世代よりも7ポイント高かった。

「店舗よりもSNSで商品を探した方が人と被らないファッションを探すことができると感じる」に該当すると回答したZ世代は45%で、Y世代よりも16ポイント、X世代よりも24ポイント高い。

生活意識において、「趣味や好きなことを深く極めたい」という質問に対して、Z世代は74%、Y世代は64%、X世代は63%となっている。

「ライブコマース内で扱う商品のことを、事前にどの程度知っていることが多い」かを聞いたところ、Z・Y世代ともに42%が「新しい商品を見つけるために視聴」と回答した。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
開拓志向について

Z世代がソーシャルコマースを利用する理由は、1位が「お店に行かなくても商品が買えるから」(28%)。2位は「欲しいと思う商品が多いから」(24%)、3位が「今まで全く知らなかった商品を知ることができるから」(22%)、4位が「思いがけず良い商品に出会えるから」(20%)、5位が「珍しい商品に出会えるから」(20%)。

ソーシャルコマースを利用する理由

越境志向

国内のメーカー・ブランドだから購入するという意識は薄く、良い商品を追い求めて海外サービスも駆使しながら商品を購入する行動。

「越境志向」においては、海外の新興ECサイトを通じて購買を行うユーザーも一定数見られた。「自分が知らない海外メーカーの商品でも、SNS上で日本人の評価が高ければ購入したいと思う」と回答したZ世代は57%で、Y世代よりも14ポイント高い。

「日本のブランド・メーカーを応援したい」に当てはまると答えたZ世代は53%。Y世代よりも7ポイント低く、X世代よりも13ポイント低かった。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
越境志向について

見極志向

SNSのタイムラインに流れる情報を鵜呑みにせず、お気に入りのインフルエンサーや個人のアカウントの商品への評価や投稿から情報を集めて吟味する消費行動。

「企業が発信する情報よりも、評価が高い個人のSNSの情報を参考にして買うことが多い」に当てはまると回答したZ世代は51%で、Y世代よりも16ポイント、X世代よりも28ポイント高い。

「製造プロセスや情報を公開している(透明性のある)ブランド・商品を選びたいと思う」に該当すると回答したZ世代は43%で、Y世代よりも5ポイント高い。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
見極志向について

即決志向

今までの情報収集やその時に自分が本当に欲しいと思った直観を信じて即決で購入する消費行動。

定量調査で「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%で、Y世代よりも7ポイント高い。

クイックコマースユーザーの利用理由を聞いたところ、「自由に使える時間が増えたから」にZ世代の20%が回答。Y世代・X世代よりもそれぞれポイントが高かった。

Z世代のコマース行動「バイヤー型消費」とは?買物行動の特徴は「開拓志向」「越境志向」「見極志向」「即決志向」
即決志向について

Z世代のクイックコマースユーザーに利用理由を自由回答で聞いたところ、「大事な時間を確保したいとき」「欲しいものをすぐに手に入れたいとき」という利用理由がZ世代に顕著だった。

石居 岳

オンワードHD、ウィゴーの発行済み株式20%を取得し資本業務提携

2 years 11ヶ月 ago

オンワードホールディングスは、若年層向けアパレル「WEGO」を展開するウィゴーの発行済み株式20.27%を取得し、資本業務提携を締結したと発表した。

オンワードHDは、ウィゴーの第三者割当増資を引き受け、約20%の発行済み株式を取得。資本業務提携は、オンワードHDとウィゴーがそれぞれ培ってきた強みを組み合わせ、事業拡大につなげることを目的としている。

ウィゴーは10~20代のZ世代をメーンターゲットに、「ファッション」「カルチャー」「ライフスタイル」を組み合わせて新しい価値を創造するファッションカンパニー。全国の有力ショッピングセンターなどの商業施設で168店舗を展開している。

オンワードHDはウィゴーの強みであるZ世代向けのマーケティングプラットフォームを活用し、若年層といった新たな顧客の獲得につなげる。

ウィゴーは、オンワードHDが有する商品・生産プラットフォーム、ECを中心としたデジタルプラットフォームを活用することによるさらなる事業発展を期待している。

 

石居 岳

商品購入に直結するデジタルマーケティングは何? 上位を占めたのはEメールとSNS【消費者1000人調査まとめ】 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2 years 11ヶ月 ago
Eメールは購買行動に大きな影響があるようです。以前見た商品がセール中であることを示すメールが「影響力がある」と回答した人は43%を占めます。調査結果を踏まえ、効果的なデジタルマーケティングを解説します

オンライン通販の利用者がどのようなマーケティングに反応するのかを理解することは、小売事業者が事業に投資する際の指針になります。米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsが実施したデジタルマーケティング調査(2023年5月にオンライン通販利用者1070人を対象に実施)から、Eメール、マーケットプレイス、リテールメディア、ソーシャルメディア、インフルエンサーなど、デジタルマーケティングに生かせる消費者動向をお伝えします。

記事のポイント
  • オンライン通販の利用者は、メルマガを開封して、メール経由で購入している人が多い
  • Facebook広告は、購入につながる可能性が最も高いSNS
  • 調査対象となったオンライン通販利用者の55%は、インフルエンサーの影響では購入しない

購買行動への影響力トップはEメール、SNSは3位

オンライン通販利用者の購買行動には、さまざまなマーケティング施策が影響を与えており、なかでもEメールは購買行動に結び付く大きな要素になっています。

「どのような取り組みが購買行動に影響力を持つか」という質問に対して、43%が「以前見た商品がセール中であることを示すメールが最も影響力がある」と回答。一般的な内容のメールでも39%が影響力を受けていると答えています。Eメールによるマーケティングの有用性が高いと言える結果ではないでしょうか。

そのほかには、「在庫切れ商品の再入荷メール」(24%)「カートに入れたままの商品」(20%)「注文・発送確認メール内のプロモーション」(13%)なども、購買行動に影響を与えているようです。

ソーシャルメディアが購買行動に大きな影響力を持つと回答したのは36%。ソーシャルメディア上の広告に注目していると答えたのは27%でした。一方、インフルエンサーの影響は14%にとどまり、購入を促進する可能性は低いと言えます。

また、カタログや印刷物などのアナログなマーケティングが購買行動に影響すると回答した割合は24%実店舗やショッピングモールでの広告は26%でした。これらのマーケティングや広告も、購買意欲を高める要因となっていることがわかりました。

会員やロイヤルティプログラムの特典は、オンライン通販利用者の22%がコンバージョン促進する影響力があると答えています。

また、購買行動に影響力があるマーケティング施策に21%がテキストメッセージをあげました。マーケティングの観点からテキストメッセージが購買行動に影響力を与えていることは興味深いことです。

一方、「検索エンジンに連動した広告」(16%)「オンラインで閲覧したコンテンツ」(14%)「オンラインで商品を見た後に消費者を追跡するリターゲティング広告」(10%)は、他の項目よりも購買行動への影響力が低いようです。

オンライン購入のきっかけとなる、影響力のあるマーケティング施策( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
オンライン購入のきっかけとなる、影響力のあるマーケティング施策( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

数字でわかるEメールが商品購入に与える影響度

3人に1人がメールの内容を参考に週1回は商品を購入

以下のグラフから、Eメールが小売事業者にとってマーケティングの強力な武器であり続ける理由がわかります。オンライン通販利用者の半数が少なくとも毎日Eメール広告を閲覧し、25%が少なくとも週に数回、9%が毎週、6%が毎月閲覧しています。

小売店からの広告メールを開封する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
小売店からの広告メールを開封する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

オンライン通販利用者の3人に1人は、単にメールを開封するだけでなく、メールの内容を参考にして、少なくとも週に1回は商品を購入。16%が「毎日」または「1日に何度も」という高い頻度で購入しています。「週1回」または「週に数回」と回答した割合は20%に達しています。

「月1回」は23%、残りの32%が年に数回購入していることがわかりました。「Eメールをきっかけに購入したことがない」と回答したのは9%にとどまっています。

小売事業者からのメールを読んだことがきっかけで購入する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
小売事業者からのメールを読んだことがきっかけで購入する頻度( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

開封率が最も高いメールは「以前見た商品のセール通知」

Eメールを開封する可能性が高い上位3つのプロモーションを聞いたところ、プロモーションや割引に関するメッセージが最多で、半数が「開封する」と答えています。

また、注文に関するメールも開封率が高くなっています。その内訳は、「発送確認」(40%)「注文確認」(38%)「配送確認」(32%)です。

そのほか、「ロイヤルティプログラムに関連したプロモーション」(31%)「送料無料の案内」(30%)「新商品の案内」(23%)なども関心を集めています。

回答割合が低かったのが、「在庫再入荷のお知らせ」が17%、「シーズンキャンペーンのお知らせ」が15%。「購入した商品のレビュー依頼」は14%、在庫切れする前に通知を送る「商品補充のリマインド」は9%にとどまっています。

いずれにしても、Eメールは、マーケティングおよび顧客に対する情報提供の重要な手段であることがうかがえます。

最も開封しやすいEメール(上位3つを選択)( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
最も開封しやすいEメール(上位3つを選択)( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

マーケットプレイスの広告が与える影響

AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に閲覧できる広告について、ユーザーに与える影響を調べたところ、「いつも影響がある」または「よく影響がある」と回答した割合は35%、「たまに影響がある」とのは37%でした。

一方、「めったにない」または「まったくない」と回答した割合は28%。小売事業者にとって、このようなマーケットプレイスに表示する広告で自社の存在感を出すのは難しいことですが、購買行動につながるマーケティングの機会にもなり得ます。

AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に目にする広告は、どれくらいの頻度で購入に影響を与えているか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
AmazonやeBayなどのマーケットプレイスで買い物をする際に目にする広告は、どれくらいの頻度で購入に影響を与えているか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

購入につながる可能性が高いSNSはFacebook

6つのSNSについて、オンライン購入につながるかどうかの順位を調べたところ、Facebook、YouTube、Instagramはオンラインでの購買に関連する機会を多く提供している可能性があることがわかりました。順位は次の通りです。

  • Facebook: 58%
  • YouTube: 45%
  • Instagram: 40%
  • Pinterest: 27%
  • TikTok: 21%
  • Snapchat: 10%

オンライン通販利用者の半数以上が、ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを通じて商品を購入することに抵抗がないことが判明しました。このことは、デジタルマーケティングや市場の成長にとって良い兆候です。

ソーシャルメディアのアプリやプラットフォーム内で購入をする際の快適さ( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ソーシャルメディアのアプリやプラットフォーム内で購入をする際の快適さ( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

インフルエンサーの影響力は限定的

オンライン通販利用者の大半は「インフルエンサーの影響で購入しない」(55%)と回答。一方、26%は「小売事業者のWebサイトに掲載されているインフルエンサーのコンテンツから購入する」と答えています。

「インフルエンサーのリンクツリーを通じて購入する」と答えたのは19%。このことから、インフルエンサーの役割は購買行動の観点では限定的であると言えます。

インフルエンサーがSNSで紹介した商品を購入するか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
インフルエンサーがSNSで紹介した商品を購入するか( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

SNSを通じて買い物「しない」人は少数。大多数は「新しい商品を見つける場所」の位置付け

ソーシャルメディア利用者がSNSを通じて買い物をする理由は、商品発掘と魅力的なプロモーションが上位を占めています。

オンライン通販利用者の38%がソーシャルメディアを新しい商品を見つける場所として捉えていると回答。26%は新しいブランドや商品を試すことができる、22%はインフルエンサーを評価すると答えています。

利便性の側面もあります。36%はソーシャルメディアを定期的に利用して買い物をしています。また、24%は、ソーシャルメディアの影響で常に最新の情報を得ることができると回答しました。ソーシャルメディアを通じて買い物をしないと答えた人は、わずか4%でした。

ソーシャルメディアを通じて買い物をするようになった理由( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ソーシャルメディアを通じて買い物をするようになった理由( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

広告表示が購買行動に与える影響、「影響することがある」のは少数派

多くの小売事業者が、自社のECサイト上でさまざまなブランドや外部の小売事業者からの広告を配信しています。

オンライン通販利用者の4人に3人は、小売メディアネットワーク上の競合他社の広告に気が付くものの、その多くは購買行動に影響を受けていないようです。ECサイト上に表示される広告について、「まったく気にしない」(24%)を除くと、以下のような調査結果が得られました。

  • いつも広告を見ている:21%
    -買い物に影響することがある:11%
    -買い物に影響を与えない10%
  • ときどき広告に気が付く:55%
    -買い物に影響を与えるかもしれない:28%
    -買い物に影響を与えない:27%
ある小売事業者のWebサイト上で別の小売事業者からの広告を見たとき、最もよくとる行動( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
ある小売事業者のWebサイト上で別の小売事業者からの広告を見たとき、最もよくとる行動( 出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

消費者は、いつ、どこで、どのように事業者からのマーケティングをうけとり、購買行動に影響を受けるかを自ら決めています。

つまり、小売事業者が効果的なマーケティングを行うには、消費者の行動やニーズを観察し、マーケティング施策に注意を払い、結果を分析することが必要です。

マーケティングで唯一変わらないことは、「変化していくこと」だからです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

【有力アパレルのEC】好調のアダストリア、オンワード、パル。伸び悩んだTSI、バロックジャパン、三陽商会。その理由は? | 通販新聞ダイジェスト

2 years 11ヶ月 ago
アパレル各社は、コロナ禍でECの売り上げが急拡大している事業者と、伸び悩んでいる事業者にわかれている。それぞれの成功事例と、今期の成長戦略を解説する

2月に本決算を迎えた有力アパレル6社のEC売上高が出そろった。コロナ禍でアパレル各社のEC売り上げは急拡大したが、昨年からは“リアル回帰”の傾向が強まったことでECチャネルは伸び悩む企業も出てきた。

一方、コロナ3年目も順調にEC売上を伸ばしたアパレル企業には、モール型ECで数多くのブランドを販売しているなど、いくつかの共通点が見られる。有力アパレルの2023年2月期におけるEC業績と今期の施策などを見ていく。

“モール型”の自社EC3社、ECの売上好調の理由は?

コロナ3年目も継続的にEC売上高を伸ばしたのは、アダストリアオンワードホールディングスパルの3社だ。

3社とも数多くの人気ブランドを扱うモール型の自社ECを運営。ユーザーがブランドをまたいで買い回りしやすい環境は、ネット時代にはアドバンテージとなる。

また、オンワードは自社ECの構成比が高いが、アダストリアとパルは「ゾゾタウン」を軸に外部モールでも売れる商品を開発して販売好調で、ECチャネル全体で消費者から支持されているのが強みだ。

【アダストリア】サイト休止も販促や商材拡大などが奏功

アダストリアの前期における自社ECと外部モール経由を含む国内EC売上高は前年比8.9%増の626億円だった。

同社は30以上の自社ブランドを取り扱う自社通販サイト「ドットエスティ」が好調だが、今年1月に不正アクセスを受けて自社ECも8日間休止したものの、前期はプロモーションの強化や商材の拡大などで自社ECが継続成長したほか、子供服のEC専業をグループ化したこともEC売り上げを押し上げた。

アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」
アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」

国内の全社売上高に占めるEC化率は前年比1.4ポイント減の28.7%で、そのうち自社ECは約15%となり、引き続きEC売り上げの過半を占めた。

前期は、自社ECの認知向上を目的としたテレビCMなどの集客強化に取り組み、自社ECの会員数は前年度末から190万人増となる1550万人に拡大した。

EC売上高は今年1月単月では前年同期比11.4%減だったが、サイト再開後のクーポン施策や春物需要の好調もあって2月単月は同14.8%増と急回復。サイト休止がなければ、EC売上高は2ケタ成長もあり得た

今後は、中計で掲げる「デジタルの顧客接点・サービスの強化」を推進する。店舗販売員がスタイリングを発信できるツール「スタッフボード」のSNS展開を強化。SNSフォロワー数の多い社内インフルエンサーのインセンティブ額をアップしてモチベーションの向上を図るほか、研修制度を充実させることでスタッフのSNS総フォロワー数を前期末の約300万人から600万人をめざす

デジタルの顧客接点・サービス強化などの施策により、EC売上高800億円をめざす(画像は編集部が2026年2月期を最終年度としたアダストリアの「中期経営計画」発表資料からキャプチャ)
デジタルの顧客接点・サービス強化などの施策により、EC売上高800億円をめざす(画像は編集部が2026年2月期を最終年度としたアダストリアの「中期経営計画」発表資料からキャプチャ)

一方、自社ECのオープン化戦略を推進中で、「ヤーマン」「シロカ」「靴下屋」など、各カテゴリーの有力企業が参画したことで、新規顧客の獲得や相互送客につなげている。

【オンワードホールディングス】ECは堅調な成長

オンワードホールディングスの国内EC売上高は前年比9.5%増の約448億円で、EC化率は同0.2ポイント増の30.0%だった。

主力事業会社のオンワード樫山を中心とした自社EC売上高は前年比8.8%増の約385億円、外部EC経由の売上高は同14.1%増の約63億円となり、自社EC比率は85.9%と引き続き高い水準を維持した。

オンワードの自社通販サイト「オンワード・クローゼット」
オンワードの自社通販サイト「オンワード・クローゼット」

実店舗で試着できるサービスが売上拡大を後押し

オンワードでは自社通販サイト「オンワード・クローゼット」で取り扱うほぼすべての商品を実店舗に取り寄せて試着、購入ができるサービス「クリック&トライ」を強化しており、前期末時点の導入店舗数は前年の200店舗から340店舗に拡大。全体の43%まで導入が進んだ。

「クリック&トライ」の予約点数は前年上期の5万5000点に対し、下期は11万6000点に急増し、通期では17万1000点となった。また導入店舗の売上高はコロナ前の2019年度水準に回復。未導入店舗の売り上げを19ポイント上回るなど、リアル販路の売り上げ拡大に貢献した。

「クリック&トライ」は取り寄せた店舗で決済するため、EC売り上げにはカウントされないが、自社ECの閲覧数や、実店舗と自社ECを併用するクロスユース率が拡大することで、ECの成長にも貢献すると見ており、今後も同サービスの導入店舗を広げる。

急成長したD2Cブランドも

D2Cブランドは、「アンフィーロ」がロングセラーヒット商品の誕生で前期売り上げが96.3%増と急拡大。昨年秋冬シーズンからはメンズ・ユニセックスラインも本格始動した。「アンクレイヴ」もECを主販路に、ポップアップ展開とSNSでの顧客接点を拡大。素材感にこだわったセットアップ商品に加え、ニットやカットソー、ブラウスなどが好調で売上高は17.0%増となった。

【パル】計画を大きく上振れ。自社EC売上は3倍

パルのEC売上高は前年比28.7%増の約423億円とコロナ3年目も高成長を維持計画の400億円を大きく上振れした。

50以上のブランドを取り扱う自社通販サイト「パルクローゼット」の売り上げは35・3%増の約156億円、「ゾゾタウン」経由が27.9%増の約223億円、その他が12.6%増の約44億円となり、各売り場で好調を維持。衣料品の売上高に占めるEC化率は40.0%まで高まった。

自社通販サイト「パルクローゼット」では小柄な女性向けの商品や着こなしを集めたコーナーも
自社通販サイト「パルクローゼット」では小柄な女性向けの商品や着こなしを集めたコーナーも

20年2月期のEC売上高は176億円、うち自社ECは52億円だったが、コロナ禍の3年間でEC売上高は2.4倍、自社ECは3倍に拡大した。

同社はこの間、服などをECで購入するのに慣れていないユーザーでも安心して利用できるサイト作りに注力したほか、店舗スタッフによる情報発信を強化してきた。

「顧客に選択肢を」。多様なコンテンツを配信

前期からは、自社ECの価値を高める取り組みとして、ブランド横断型の企画を強化。小柄な女性向けの商品を集めた「低身長女子」コーナーを設けた。同社では小柄女性専用のブランドを立ち上げるのではなく、各ブランドで対象となる商品を作る方が、デザインやテイストなどを含めて顧客の選択肢が増えると判断した。

また、SDGsをテーマに、必要なものを必要なだけ生産するという完全受注生産型のTシャツを販売する企画には30以上のブランドが参加し、それぞれがオリジナルデザインのTシャツを作った。

加えて、自分の骨格から似合う服を探したいというニーズがあることから、骨格診断のコンテンツ「骨格タイプ別ほめられ服」を定期的に発信。スタッフのSNSでも骨格別の着こなし方などを提案し、人気が高いことから、常設コンテンツとして展開することも視野にあるようだ。

今期はEC売上高500億円超、うち自社ECは230億円を目標に掲げている

パルがめざすECの成長戦略(画像はパルグループホールディングスの2023年2月期決算説明会資料から編集部がキャプチャ)
パルがめざすECの成長戦略(画像はパルグループホールディングスの2023年2月期決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

伸び悩んだアパレル各社の再成長戦略

一方、EC事業で伸び悩んでいるのがTSIホールディングスバロックジャパン三陽商会だ。伸長率が低い理由はそれぞれだが、各社ともSNS活用とOMO推進などに取り組むことでEC再成長を目指している。

【TSIホールディングス】下期はV字回復。「過度な値引きの抑制」「専売品強化」が好影響

TSIホールディングスの国内EC売上高は前年比1.1%減の約388億円で、EC化率は同3.4ポイント減の31.0%だった。自社EC売上高は1.5%増の181億円、自社EC比率は同1.2ポイント増の46.6%だった。

前期のEC事業は上期に停滞したものの、下期は前年同期比2.0%増と回復した。自社ECは上期にサプライチェーンの乱れもあって苦戦。下期はSNSを軸にしたOMO施策や、コンテンツの拡充などでV字回復した。とくに直近の12~2月は7.9%増で、今期に入っても好調を維持しているという。

上期は停滞も、下期は回復基調となった(画像は編集部がTSIホールディングスの2023年2月期決算説明会資料からキャプチャ)
上期は停滞も、下期は回復基調となった(画像は編集部がTSIホールディングスの2023年2月期決算説明会資料からキャプチャ)

昨年9月のオフィス移転時に新設したライブ専用の撮影スペースを活用し、レディースブランドを中心にEC事業のSNS運営改革が進展した。

外部ECモールについては、過度な値引きの抑制や専売品強化などで収益性が大幅に改善し、全社営業利益計画の達成に貢献。今後は収益性を保ちつつ売り上げ拡大をめざす。

【バロックジャパン】今期はロイヤリティ向上やオムニチャネル化を加速

バロックジャパンの国内EC売上高は前年比1.2%増の約105億円だった。前期は、SNSの発信力を軸にしたOMOを推進。インスタグラムで発信する社員比率は80%に上り、オンライン接客コンテスト「スタッフオブザイヤー」では同社ショップ店員が2年連続で上位受賞するなどSNSを活用した接客力を強化している。

今期は、公式アプリ「シェルターパス」会員のロイヤリティアップ施策を強化するほか、試着予約などのオムニチャネルサービスを加速してファン層の囲い込みを図る。

バロックジャパンリミテッドが運営する自社通販サイト「シェルター ウェブ ストア」
バロックジャパンリミテッドが運営する自社通販サイト「シェルター ウェブ ストア」

外部ECは新規獲得チャネルとして活用する。とくに経由売上高が50億円を突破した「ゾゾタウン」との連携を強化しており、OMOの一環として「ゾゾモ」を導入。「ゾゾタウン」上でバロック店舗の在庫確認や取り置きができ、実店舗への送客が実現した。

【三陽商会】EC刷新、ブランド間の買い回りを促す計画

三陽商会のEC売上高は前年比1.6%増の約82億円だった。前期は値引き販売の抑制を継続しながら、EC専用商材の拡充や実店舗との相互送客の強化などに取り組んだ。

昨年4月には新ライン「シービー・クレストブリッジ」の1号店と自社ECの顧客行動データをシームレスに解析・統合し、ユーザーごとに最適な商品やイベントなどの情報を紹介する取り組みのトライアルも実施した。

「シービー・クレストブリッジ」店舗でのスマートフォンによるチェックインのイメージ
「シービー・クレストブリッジ」店舗でのスマートフォンによるチェックインのイメージ

今期は9月をメドにECプラットフォームを刷新。ブランドサイトとECを統合してメディアコマース化を推進するほか、各ブランドのブランディングを担保しながらブランド間の買い回りを促す

また、ブランド横断企画やスタッフコーディネート、EC限定商材などのコンテンツ強化により、プロパー販売を強化するという。

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通販新聞

自分史(大学時代)

2 years 11ヶ月 ago

自分史(中高時代)に続いて、こんどは大学時代について書いていく。なおこの回顧録には自分以外に登場する人達がいるが、直接的な人物名の記載はない。但し一部所属や肩書などの記載から推測できる場合はあるが、自分との関係性の文脈で必要最小限にしか触れていない。

・大学時代
自分史(中高時代)で書いたとおり、大学は東大2類(
理2に入学した。東大は1-2年が教養課程と呼ばれ、理2だとそこの必修科目の他に文広く科目を選択して単位を取得していく。そして3-4年の専門課程に進むにあたって、自動的に進学できるところ(文1は法学部、文2は経済学部、理3は医学部へ進む)以外は、自分の行きたい学部学科を申告して、1-2年次の成績の上位の人間から定員を埋めていくという制度(進学振り分け)になっている。つまり自動的に進学できないところは、1-2年でもしっかり勉強して、行きたい学科に進めるように成績を上げる努力が必要ということだ。理2は、工学部を除いた理系と一部の文系に行くことが多い。

まずその教養課程1-2年の時期を振り返る。1-2年は駒場キャンパスで自宅から電車で通った。理系だと第二外国語の選択はドイツ語が主流だが、フランス語を選択した。1クラス60人くらいだったと思うが、クラスは同じ第二外国語を選択した理2と理3の人の混成で構成される。女子は理系の中では多めの10人弱、同じクラスに高校同期が2人もいたのは驚いた。手元に残っている4年間全体の成績表を見ると、1-2年の教養課程時代の細かい明細の記載はなく、優(80-100点)A/良(65-79点)B/可(50-64点)Cの成績別合計単位数くらいしか記載されていないが、教養課程の成績は7割程度が「良」といった感じ。東大で「優」が楽に取れる程の実力はなかったというところだろう。

そして入学して間もなく分かったのは、大学数学の抽象度の高さに愕然としたことだ。高校数学が少し得意くらいなレベルでは太刀打ちできない理系の専門課程に進んでもついていけないと判断した(実際はそんなことはなさそうだが)ので、教養課程の自分の平均点で行けそうなところを探して、文科系と理科系の中間みたいな「教養学部教養学科 科学史・科学哲学」に進んだ。1学年10人弱と小所帯で女子は二人、そのうちの一人は教養課程で同じクラスの女子だったのでびっくりした。3-4年の専門課程は普通本郷キャンパスにある学部に移動するのだが、自分の場合は専門課程も教養学部だったので、4年間駒場キャンパス通いだった。

3-4年は専門の科目は過半数が成績は「優」だったが、外国語は概ね「良」、卒論は指導教員にも付かなかったし、自己流でやったので「良」。実際やっていた勉強は専攻の「科学史・科学哲学」に拘らず、心理学とか、興味の湧く分野については本を読み漁っていた。今も関心分野は広く様々な学問分野の本を読んでいるが、この当時から変わっていない

交友関係だが、入学してすぐ、多分任意参加だったと思うけど、新入生歓迎旅行?みたいなものに参加したのは覚えている。泊りだったか日帰りだったか記憶にないが、そういう行事は確かに友達作りのきっかけになると思った。その後、同じクラスになった高校同期の二人と今更つるんでもなあ、新しい友人でも作りたいと思い、駒場キャンパスの敷地内にある駒場寮に住んでいるクラスメートの所に行ってみたり、いろいろとしてみたものの、まあ会話が弾むわけでもなく、中高までと同様に、特定の非常に親しい友人を持つに至らずといった感じになっていった。3-4年の専門課程でもそうだった。やはり一人が気楽で一番落ち着く性格は変わらない。空き時間の友は図書館だったかもしれないw

大学でしっかりやったと自慢できるものは勉強ではなく、体育会系の器械体操部で4年間活動したことだろう。体は柔らかい方だったので、最初のハードルは軽く乗り越えられた床運動以外に器具を使った種目が5つあり、これらも必須なのでこれらの上達には時間が掛かった。今まで全く使ったことのない筋肉を使うため、基礎筋力をつけるまでの孤独で長い鍛錬を経る必要があるからだ。練習場所は駒場キャンパスの体育館だったので、4年間その駒場通いだったのも良かった。大学時代の知人で今でも付き合いがある人は同級生は皆無で、体操部の同期や先輩後輩が殆どだ。

中高に体操部はなかったので、まったくの初心者だったが、ゼロから一つずつ教えて貰って上達していく面白みはあった個人競技なので上達すれば点数が上がっていくので、地道に努力を続ければ着実に上達していくことと、一人でできる競技というのが自分にピッタリだったので、器械体操は社会人でも現役を続けた。まだビデオカメラが高価だったのでできなかったが、自分の演技を撮影して繰り返し修正を加えて練習できたら、もっと早く上達しただろう。体の動きを知るということで、大学時代にパントマイムを習っていたこともある。バレエやダンスなども少し研究したものだ。

あと趣味的なところでは、一つ目はスキューバダイビング。山も好きだったが海も好きでスキューバのライセンスを海外で取得したのもこの時期。社会人になってからも含め、何回か東南アジア方面に潜りに行ったことがあるが、近場の国内では潜ってないし、それほど熱心でもなかった。目的地は風光明媚だが、まあ東南アジアは空港周辺含め一瞬たりとも気を抜けない危険な匂いがして、海外旅行はとにかく疲れた。あとは、自転車でもそれなりに距離があるが、自宅から駒場キャンパスに通うこともあったので自転車は結構乗っていて、奥多摩方面に一人で、あるいは器械体操部の強者と山中湖方面に自転車でツーリングに行くこともあった。

あとは国内の長期旅行に2回行ったことだろうか。北海道へは男二人旅、九州は一人旅だったと記憶しているが、どちらも10日~2週間程度、電車の旅で周遊券を使い、宿泊はユースホステルを利用するというもの。北海道の旅は台風直撃で道路が寸断され、知床半島だけ巡れなかったのが残念だったのと、九州は雨の山中で道に迷い、山であわや遭難という経験も。特に現地の人との交流もなく、旅行は自分には合ってないということが確定した時期かもしれない。今や部屋に居ながらにして、全世界の風光明媚な風景や美術館巡りもできるいい時代になったものだ。

話は逸れるが、大学教育まで含めて振り返って、日本の教育内容に一言。少なくとも自分に必要なかった教育として挙げられるのは、まず国語の作文。小中学校あたりの作文は殆ど感想文を書かせるだけ。感情表現は芸術系の授業に移してほしい。文学作品鑑賞や解釈みたいなものに正解はないんだし、積み上げ型の勉強になるものではない。国語は接続詞の使い方や論理的な文章作成手法などの訓練を繰り返しやって、みんなが論理的な日本語を話せる/書けるようにして欲しい。仕事でも、それはみんなが実感しているのではないだろうか?

そして、大学の第2外国語は意味がわからない。英語ですら10年教わってもまともに話せないのに、いわんやをやだ。2年間やる無駄は勘弁して欲しい。物凄く労力を割かされた。そして英語も大学でやるべきことなのか、大抵英文学を読むみたいな非実用英語しかやらないし。やるなら、専攻学科を英語で授業したらどうだろう

そして最後に就職活動について触れよう。前述のとおり、勉強は広く浅くしかできない自分が、学問を究めるなどという選択肢があるはずもなく、すぐに就職して稼いで独り立ちする道以外に考えられなかった。理系の工学部などだと、教授がメーカーと通じていて就職の際に推薦して決まる場合が多いようだが、そういうツテは無かったので、自分の場合は自力のみ(学科の先輩などのコネもツテもなし)で普通に正攻法で当時の就職協定を完全に順守して就職活動を行い、2-3社から内定を頂き、希望の会社からの内定を頂いた。

コネは無かったし、そういう恩の貸し借りみたいなのは昔から嫌いだったので、一般試験と同じで、普通に受けて内定を貰って入社する以外の方法に興味もなかった。当時はパソコンが流行り始めた頃で、当時人気急上昇のNECに入れた。まあ、大企業で人気企業に無難に入っておこうという程度のことしか考える能力はなかったし、仕事とは何か右も左もわからないので、それでよかったと思う。とにかく渦中に入ってやってみないことには始まらないという考えは、今でも変わっていない

就職先に関しては、教養学科全体としてはカバーしている専攻分野が広いので、先輩たちが行く先は様々な業種に亘っていた。分野の近い学科の卒業生の就職先はメディア企業が多かったので、NHKとかも候補だったが、就職試験を受けた記憶はない。あとは、入る気はなかったけど、何事も経験と思い(なぜか)リクルートを受けてみた。性格診断的な?ペーパー試験の後、数人ずつの集団面接までは記憶がある。集団面接はみんな自己主張が凄くて、俺が俺がという人たちの受け答えに圧倒されたというか、この賑やかな人達とは仕事したくないなと確信したことは記憶している。この辺りの対人意識は昔から変わっていない

武蔵への入学も、東大への入学も、NECへの就職もゴールではなく、単なる新しい始まりの初期値でしかなかった。が、またそれら一つ一つが重要な分岐点でもあったと思っている。仕事をする前提で必要となる基礎体力、基礎知識、最低限の道徳性は、なんとかクリアできていたのではないだろうか。人としての道から外れることなく踏ん張った自分を褒めてやりたいし、親からの支援、様々な良好な外部環境があったことには感謝しかない。

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自分史(中高時代)

2 years 11ヶ月 ago

自分史(~小学生時代)に続いて、こんどは中高時代について書いていく。なおこの回顧録には自分以外に登場する人達がいるが、直接的な人物名の記載はない。但し一部所属や肩書などの記載から推測できる場合はあるが、自分との関係性の文脈で必要最小限にしか触れていない。

・中高時代
中高は最寄りの公立よりさらに近い場所にある私立男子校の武蔵に通う。徒歩か自転車で通ったので楽だった。自由な校風で、校則は聞いたことがない。「下駄は履いてくるな」の言い伝えくらいだろうか。新入生が入った直後の4月には、水投げ(詳細省略)の洗礼があったりした。中学の社会科と国語は、教師の趣味みたいな内容だったが、中高一貫校の強みで中学は自由度が高かったということだろう今は大学受験における私立御三家みたいな一角からは外されていると思うけど、進学校と呼ばれる割には当時から学校が勉強を強制してガンガン指導していくことは少なかった。建学の理念の一つに「自ら調べ自ら考える」とあり、自分でやれっていうことなんだろう。これはいまだに自分の生きる原則として体に染みついている

学校行事は、中1に山上学校、中2で海浜学校、中3で地学巡検、毎年の強歩大会(30-35kmくらい走る/歩く)、スキー教室(任意参加)などの野外活動と、記念祭(文化祭)や体育祭などがあった。最初の中1?の強歩大会では、多分ゴールまであと2kmもないくらいの所で動けなくなって(体力がないw)搬送された苦い思い出も。入学式や卒業式などは大学の講堂で行われ、校歌を歌う機会もその程度だったので、校歌殆ど覚えられなかった。同じ敷地にある武蔵大学の施設では、図書館とプールをよく利用した。

部活動は任意だったが、いろいろフラフラした。中学で最初は気象部に入ってみたが、麻雀クラブみたいな感じだったのでやめたが、気象観測とか嫌いではなかった(今でも気象は興味の対象)。そして大きく方向転換して体力もないのに山岳部へ。ここは持久力の鬼みたいな人達の巣窟なのに、全く持久力のない俺が入ってトレーニングでも足を引っ張り、縦走などの長距離重装備(もちろん持参のテント泊)の山行でもすぐに潰れるし、よく2年くらい続けてやったものだ。粘り強く諦めない根性みたいなものは、この時代に養われたと思う。何度も登山道から離れて藪漕ぎをしたり、岩登りの初歩の沢登りもしたりと、多少危ない経験も楽しい思い出となっている。

山岳部では月例山行の他に、1週間未満の縦走や1週間程度のスキー合宿を何度か経験。八方尾根に学校の山小屋があり、スキー合宿はそこでの自炊生活。風呂もなく自分達でストーブも薪で焚いた。冬山は八方尾根のゲレンデから上の「上の樺」より少し上くらいまで登った程度で、雪上訓練はゲレンデでアイゼンとピッケルの練習だけ、本格的に雪山の頂上を目指すような経験まではない。

スキー合宿ではOBに教えてもらう形式なのだが、残念ながら上手くなることはなかった。自分で考えて試行錯誤しないと上手くならないのはこの頃からだ。実はスキーは自分で考えて練習してメキメキ後から上達したものだ。合宿を終えても山荘に残ることができたが、その時だと思うが、一人でスキーをしている最中にリフトの鉄柱に激突してしばし気絶していたところを多分部員が見つけてくれ、麓の病院へ搬送される事故があったことは記憶している。

山岳部での厳しいトレーニングの甲斐あってか、持久力は辛うじて人並み程度になったことは疑いの余地はない。基礎体力や筋力はこの時に養われた。ただ午後の練習で疲労しすぎて夕食が進まず、成長期を逃してチビのままになってしまったのは残念か。山岳部でダメ部員のまま上級生に残ることは無理と判断し、サッカー部へ。こちらはぎりぎり試合ができるくらいの部員しかいなかったので弱かった。自分はキック力はないし、やはり足を引っ張った方だったと思う。単独行を除けば山登りも集団行動だし、チームで行うスポーツは、自分には合わないということを痛感した時期だった。

スポーツでもう一つ言うと、自分は大きな球を扱う球技(サッカー、バスケ、バレー)は比較的得意な方だったけど、小さな球を扱う球技(テニス、野球、卓球)は苦手だった。まあ、概ね背が低いとスポーツは不利なので、いずれにしても小学校時代と同じで、すばしこく動き回るので一見うまそうに見えることもあるが、実際はそれほどでもない平均的な感じだったのではないだろうか。

学校以外の遊び/趣味は、ギターを弾いたり(単音だけの)シンセで遊んだりの「やる」音楽と、洋楽を中心に「聴く」音楽、自転車でフラっと近所を1時間くらい乗り回すなど、どれも一人でやれるもの。洋楽は全米トップ40をラジオで聴くのが主な情報入手の方法。高校後期はプログレが好物になった。同期にはバンドを組んでいる奴も多数いて、視聴覚教室でライブやっているのを見たこともあるが、爆音過ぎてバンド活動には興味は湧かなかった。またどんどん視力は悪くなる一方なので、テレビ以外の「見る」エンタメ(映画を見るとか)は避けていたし、今でも映画は細かい字幕に集中しなければならないと頭が痛くなるし苦手だ。3Dメガネとかも、すぐに気持ち悪くなり30秒が限界。

中学でよくやったことは二つ。まず水泳を徹底的に練習したこと。小学校ではやっと25m泳げるくらいのレベルだったが、自己流にしろ平泳ぎであればゆっくりなら幾らでも(休まず1kmとか)泳げるようになった。夏休みには、中高のプールと大学のプールが交互に毎日12-15時?に自由に利用できたので、家も近いのでほぼ毎日通っていたと思う。中2の海浜学校のクラス分け(Aランク~Eランクくらいまで?)ではBランクとそこそこ泳げる部類に入った。海浜学校では遠泳、深さ5m程度までの素潜り、サーフィンもさせてもらえた。海岸近くに50mはあろうかという岩をくりぬいたトンネルを通ったものだ。その海浜学校の施設も今はない。ということで水泳徹底的にやったスポーツの例か。山も海も自然の美しさと厳しさを学べた

二つ目は小説を何百冊も読んだこと。小説を読んだ理由は、国語が全然ダメだったので、何故か小説を大量に読むとよいのではないかという妄想に囚われて、著名な作家達(夏目漱石とか)の全作品を読破するみたいな感じで貪り読んだ。恐らく大学受験の役には全くなっていないと思うし、夏休みの多くの時間を費やしたりで、今思うと無駄な時間だったと思うが、活字に全く抵抗がなくなったくらいな効果は認める。後に出版社に勤めることになるのは偶然だが。

手元に残っている成績表を確認すると、中学時代はざっくり言えば学年平均より少し上回るくらい。数学だけは安定して出来る方だった。高校は学年平均的な資料はないので、相対比較はできないが、やはり数学は平均より出来る方だったと思う。各学期ごと科目ごとに10点満点絶対評価方式?だったが、6年間を通して各学期平均点は8.0±0.3くらいにほぼ入っていて(ちなみに最大は8.9、最低は7.5)、やる気の激しい上下動はなく、比較的安定していた方だろうか。

勉強は基本的に自己流。数学は好きだったので、中学3年くらいからは授業とは関係なく勝手にどんどん上の学年レベルの学習に突き進んでいった。兄が同じ学校だったので学校独自の教科書のお下がりを参考にしていたような気がする。高校2-3年くらいになると、当時でも予備校に行く人も多かったのではないかと思うが、自分の場合は殆ど通わなかった気がする。通信教育のZ会のテスト?を何教科かやっていたと思うが、基本的には受験参考書や東大過去問集、後はやはり兄が行っていた予備校の教科書のお下がりが中心だったように思う。この頃も、塾に通うのは面倒だったし、人から教わって上達するという方法論に懐疑的だったからかもしれない。今振り返ってみると、ある程度効率的に学習するために指導をしっかり受けてみることを試してもよかったかなとも思う。

受験に関して言うと、理科は得意ではなかったが、記憶力は頼りないものだったので、早くからコースとしては理系だろうとは思っており、何となく東大理科1類を目標としていた。ただ高3の外部模試などでは、合格ラインには達してない評価ばかりだったと思う。最終的にはランクを落として(それでも模試で合格ラインぎりぎり以下くらいだと思う)理2で受験して、幸いにして合格できた。多くの人は試験とか人前での発表の時に、緊張で普段のパフォーマンスを出せないとも聞くが、自分は不思議に変な自信だけはあって、本番に強いというのか全く緊張しないのが強みだと今でも思う。社会人になって仕事でもそう感じるが、しっかり準備したら、あとはどんな結果や評価になって受け止める開き直りみたいな気持ちが功を奏するのだろう。

交友関係だが、学校の中では、中1でとある友人といつも将棋をしていたり、高校では集団でミニサッカーなどの球技で遊んだりしたものだ。自分では殆どやらなかったが、麻雀、パチンコ、競馬、賭け事、酒、その他と素行の悪いことは大体、中高の時代に見聞きした感じだろうか。全般的には群れない性格は相変わらずだったようで、話しやすい友人は複数いたが、常に行動を共にする親密な関係が長く続く友人は殆どいなかったと思う。友人からの愛称は「イブ」が多かったが、書くのが憚れる呼び名で呼ばれることもあったのは内緒だ。

そうは言っても、校外では、高校時代にはサッカー部の同期の何人かで、夏に彼らの一人の軽井沢の別荘に数日泊まったり、紀伊半島の海岸にテント張って数日過ごしたりしたことがある。軽井沢では、山中の自動車専用有料?道路に自転車で無理やり進入し、10km以上?の距離を走りきって、出口のゲートでこっぴどく怒られたりと、結構やらかしたのは覚えている。海岸でのテント生活の方は、詳細の記憶はすでにないのだが、自炊設備を携行した覚えもなく、どうして食を繋いだのか謎だ。

もちろんたまに開かれる同窓会などでは、いろんな人たちの話の輪の中に入っていくことは普通にできるのだが。そんな同期には結構凄い奴が沢山いるのが誇らしい。現在の肩書とは限らないが、外務事務次官、上場大企業のトップ、最高検察庁検事、紫綬褒章受章者、学者、弁護士、医師、作家、各種企業/官公庁/団体のトップも多数と、多士済々。Wikipediaに掲載されている人物は確認できたものでも9人いる。今深く交流している同期はいないが、この同窓会だけは唯一行く意味を感じる大人数での懇親会と言えるだろう。自分がいるインターネット関連業界みたいな世界とは全く違う、いわゆる伝統的な業界や職業についている人達ばかりで、自分が如何に異端の存在であったかも実感できる

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自分史(~小学生時代)

2 years 11ヶ月 ago

仕事もそろそろやめることになるし、今までの人生を軽く振り返って、現在の記憶や記録などから整理しておくのも良かろうということで、書いてみる。なおこの回顧録には自分以外に登場する人達がいるが、直接的な人物名の記載はない。但し一部所属や肩書などの記載から推測できる場合はあるが、自分との関係性の文脈で必要最小限にしか触れていない。

・幼稚園まで
生まれは東京都のどこかだろう。5歳程度までの記憶はゼロ、大泉学園に住んでいたらしい。記憶にある最初の風景は、桜台に移ってからの幼稚園だ。恐らく園長先生を除いて、同級生含め人の
記憶は全くない。

・小学生時代
小学校は普通に最寄りの学校へ行った。1学年は約50人で6クラスだから300名くらいいたと思われる。1-2年/3年/4年/5-6年と3回クラス替えがあり、それぞれを担任した4名の先生と、音楽/図工の先生の顔は思い浮かぶ。図工の先生からビンタを何度も食らったことは記憶に鮮明に残っている。なぜなら、中学以後体育会系部活に入るような学生生活になるが、一度も指導者や先輩後輩間での暴力を体験していないので、余計に記憶に刻まれている。親からは悪さをしたときに、たまに尻をペンペンされることはあったが、基本的に暴力とはほぼ無縁でいられた。

校舎の教室や体育館、プールや校庭や遊具に至るまで比較的鮮明に覚えている。学校前には文房具屋さんがあった。学校前の狭い路地で、毎月学研の「学習と科学」の露店販売で賑わっていた記憶がある。通学路以外の細い怪しい道もよく通ったものだ。

通知表が残っているので、それを確認すると、6年を通して、年間の欠席日数は一桁と少ない。心臓に穴が開いているなどと言われていた割には、今振り返ると、病気がちで欠席が多かったのではなかったということだ。自分でも虚弱で弱いイメージだと思い込んでいたようだ。

算数の成績は2年生から基本的に5段階の5、体育は1年生から4以上、5-6年は音楽図工以外はすべて5。低学年から算盤塾に通っていたので、それが算数を上達させたことは間違いないと思う。学外では低学年からピアノ教室や書道教室に通ったけど、長続きはしなかった。興味も才能もなかったということ。学校の通知表の通信欄を読むと、授業態度は6年通して概ねよい/凡ミスが多くて勿体ないといったコメントが多く、4年生までは私語や大声の指摘が散見する。指摘されればきちんとするけど、放っておくと落ち着きはなく自由奔放っていう感じだったのかなと。

意識して特定の友人と群れることは特になかった。先生が変わった3回のタイミングでクラス替えもあったが、同じクラスで仲良く遊ぶ友人はすぐに作れていた印象だ。6年間同じクラスだったのが二人いたのは覚えている。最後の5-6年のクラスメートの記憶はそれなりにあるが、4年以前の記憶は薄い。そして彼らとは中学以降の交流は一切ない。自分は苗字も名前も特殊だから、いじめの対象になったかというと、6年間通してそういう記憶はない。

給食はパサパサのパンにマーガリン、牛乳におかずという時代。美味しいと思ったこともなく、残さず食べろという指導は当時からあって、給食はどちらかというと苦痛だった。朝の便通も快便ということもなく、腸の調子は不安定だったので、現在に至る「食に興味がない」原点はこの辺りから始まっていると考えられる。

運動会、修学旅行、卒業式などのイベント事には興味がなかったせいか、それらの記憶は殆どない。修学旅行で就寝時の2段ベット?みたいな風景だけ微かに覚えがあるが、どこへ行ったのかすら記憶にないw あとイベント事は大抵体育館の2階(1階はプール)で行われていた。学校行事ではないが、高学年の頃に大阪万博があったが、父と兄は大阪まで見に行ったが、俺は興味がなく行かなかった。人嫌いではないが人と群れない、人混みは嫌い、イベントは面倒なだけで興味ない、という性格はこの頃からだ。

体格はチビだったけど、運動神経は良かった方だと思うので、校庭での遊びや反復横跳び/垂直飛びなどの俊敏性を試す計測では常にクラスの中でトップクラスだった。しかし持久力や筋力はなかったので、短距離/長距離/遠投みたいなものは普通だったと記憶している。そう言えば、学校の雲梯で遊んでいる時に持ち損ねて、背中全体で落下して10秒くらいだろうか息ができなくなったことがあるのが、死ぬかと思った最初の経験になるだろうか。まあ世間ではよくある事のようだが。

家での遊びは、庭に柿の木があったので木登り、庭の土を掘って泥遊びなどよくやっていた印象。親父や兄とキャッチボールはしていた気もする。バットでボール打ち返して向かいの家にボール取りに行ったこともよくあった。遊び仲間のお宅へ何人かで押しかけて遊びに行くことはあったようで、何軒かその家付近の光景が思い出される。自分の家に呼んだことはあまり記憶にない。めんこ遊びなど路地での遊びをしていたことが多かった気がする。

高学年になると、算盤教室もやめて進学教室に通い、ガリ勉君になっていったので、そのころから既に近眼でメガネをかけていた。進学教室で毎週のようにあるテストの上位100人?などが誌面で発表される。そこにランクインすることは殆どなかったが、志望していた私立武蔵中学に合格できた。その当時の塾の成績の記録などは一切保管してないので、よく覚えていないが、塾で一緒によく遊んだり話をする友人は何人か居た。平日夜の塾や、土日のテストとか2年以上よく通ったものだ。塾は中野にあり、テスト会場は池袋、四谷などが多かったような記憶があるが、いろんな場所に出向いたものだ。

まあ、ここまで総じて考えると、親には様々な教育の機会を与えて貰ったことへの感謝しかない。と同時に、基本的な身体的能力や性格はこの時代から変わっておらず、生まれつきのものが多いともわかる。

当時の町の様子を振り返ってみると、駅前は線路の両側にお店が沢山あり、本屋は複数、煙突の高い銭湯もあった。駅から少し離れた自分の家の近くにも、八百屋、酒屋、小さな医院や歯医者、畳屋があり、様々な商売が成り立っていた。上にも出てきた算盤塾やピアノ教室や書道教室なども街中にあった。そう言えば、金魚すくいもできる屋根のない金魚屋、少し遠くには私営のプールがあって、たまに行ったこともあるがいつも大混雑だった。チンドン屋が家の前を普通に通っていた。いろんな記憶が芋づる式に蘇ってきたw 近くに豊島園があったが、あまり子供の頃に行った記憶がないが、親が連れて行ってくれなかったのか、自分が行きたがらなかったのかは定かではない。

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日本航空グループが始めたECモール「JAL Mall(ジャルモール)」とは

2 years 11ヶ月 ago

日本航空(JAL)とグループ会社のJALUX(ジャルックス)は5月30日、ECモール「JAL Mall(ジャルモール)」をオープンした。

「JAL Mall」は、JALグループによる通販サービスと、外部企業の出店で構成する。オープン時は約30店のJALグループと外部企業が出店した。

JALグループでは「JALショッピング」「JAL SHOP機内オンラインストア」に加え、新たに立ち上げたJAL公式産地直送オンラインショップ「SORAKARA OTODOKE(ソラカラオトドケ)」が参画。外部企業は、ル・クルーゼ、成城石井、ティファール、フィリップスなどが出店している。

日本航空(JAL)とグループ会社のJALUX(ジャルックス)は5月30日、ECモール「JAL Mall(ジャルモール)」をオープン
「JAL Mall」のトップページ(画像は編集部がキャプチャ)

なお、個別展開していた「JALブランドコミュニケーションストア」「JALアグリポートオンラインショップ」の販売品は、「JALショッピング」に集約した。

「JAL Mall」はマイルの活用範囲を拡大する狙いもある。「JMBお得意様番号」でログインして買い物をすると、100円につき1マイルを進呈。JALカードでの支払いは200円につき2マイル、JALカードショッピングマイル・プレミアムに加入の場合は100円につき2マイルを積算するため、100円につき最大3マイルがたまる仕組み。

マイルから交換して使える「JALお買いものポイント」の利用も可能。1000マイル単位で1000ポイントに交換し、1ポイント1円で利用できる。

JALは、約3000万人のJALマイレージバンク(JMB)会員に対して航空以外の日常生活でサービスを提供し、マイルの「ためる」「つかう」領域を拡大する「JALマイルライフ構想」を推進。物販を手がける出店企業の商品を購入できる“買い物の場”を提供し、全店舗でマイルが貯まり、使えるようにした。

航空系企業のECモール進出では1月末、ANAグループがECモール「ANA Mall」を開設。アンファー、九南サービス、ストリーム、成城石井、髙島屋、ツインバード、DINOS CORPORATIN、ドウシシャ、日テレ7、ハースト婦人画報社、リンベル、全日空商事などが出店した。
ANAのマイルがたまる・使えるECモールとして展開。約3800万人のANAマイレージクラブ会員向けに展開している。ECモールは、ANAグループのグループ会社のANA Xが運営を手がけている。

石居 岳

Chromeのサードパーティークッキー、2024年第1四半期に1%廃止

2 years 11ヶ月 ago

グーグルは、2024年第1四半期に「Chrome」利用者の1%のサードパーティークッキーを無効にする。2024年後半からサードパーティークッキーを段階的に廃止する前に、「Privacy Sandbox」の技術を大規模に評価できる環境を提供するため。

Preparing to ship the Privacy Sandbox relevance and measurement APIs
https://developer.chrome.com/en/blog/shipping-privacy-sandbox/
The next stages of Privacy Sandbox: General availability and supporting scaled testing
https://privacysandbox.com/intl/en_us/news/the-next-stages-of-privacy-sandbox-general-availability

noreply@blogger.com (Kenji)

キューサイが公式ECサイトを刷新。顧客体験の向上をめざしたリニューアルのポイントとは

2 years 11ヶ月 ago

キューサイはこのほど、公式ECサイトをリニューアルした。読みやすさ、使いやすさを重視したレイアウトの変更、季節・トレンドに合った商品の提案強化など、顧客が必要な情報にたどり着きやすいECサイトをめざしたという。

リニューアルで、顧客に快適な買い物の場を提供し、ECサイトのさらなる利用拡大を図る。

リニューアルしたECサイトのトップページ
リニューアルしたECサイトのトップページ

サイト刷新のポイントは?

キューサイは、幅広い年齢層に商品の認知を広げ、購入してもらうチャネルの1つとして公式ECサイトを強化している。2022年の公式ECサイトへの新規来訪者数は前年比132%で増加傾向にある。

ECサイトは、「ウェルタイムストア」をコンセプトに刷新。“「ウェルエイジング」をかなえるのは体も心も健やかに満たされた「時間」の積み重ね”という考えに基づいているという。刷新のポイントは次の通り。

  • 顧客の目線を意識したUI
    コーポレートカラーの「キューサイブルー」、ホワイト、ブラックの3色を基調としたデザインで、顧客の目線の動きに沿った読みやすいレイアウト
  • シンプルかつ使いやすいサイト設計
    顧客が知りたい商品や情報にたどり着きやすいようにサイト内のメニュー表示やボタン配置をリニューアル
  • 顧客に寄り添った商品提案を強化
    サイトのトップページに、新たに「TREND ITEM」を表示。季節やトレンドに合った商品や、新商品の情報を配信している。また、「シミを防ぐ」「うるおいによる透明感」といった提案を設置
季節やトレンドに合った商品や新商品の情報を配信(左)。顧客の悩みや希望に基づく検索ボタンも設置
季節やトレンドに合った商品や新商品の情報を配信(左)。顧客の悩みや希望に基づく検索ボタンも設置

キューサイ代表取締役社長の佐伯澄氏は次のようにコメントしている。

キューサイは、個々のお客さまがご自身に向き合い、身体のケアをしっかりしながら、内面の充実に軸足を置いて日々を過ごすことで、年齢を重ねることが喜びに変わり、生きることへの自信につながっていく「ウェルエイジング」の世界を実現していくことをめざしています。

単に商品を購入できる売り場としてのECサイトではなく、お客さまがエイジングにおける自分の「現在地」を把握でき、ウェルエイジングに結び付く「顧客体験」を通じて具体的な行動に移せる、お客さまに寄り添うECサイトをめざしていきます。

リニューアルで採用したシステムは?

リニューアルではECサイトの基盤であるプラットフォームを刷新。SUPER STUDIOが提供するECカートシステム「ecforce(イーシーフォース)」、ECサイト上にチャット形式の注文フォームを設置できるサービス「ecforce efo」を採用した。

ウェルエイジングを起点にしたシンプルで直感的なUX・UIの思想・設計が必要となる上に、新しいデジタルでの売り方や売り場作りを加速度的に実現していく必要があります。それを達成するECサイト基盤として「ecforce」を選定しました。

今後、利便性の向上はもちろんのこと、お客さまに合った商品やキャンペーンを鮮度の高いコンテンツを通じてご提案し、訪問頻度の高い売り場として永続性のあるECサイトをめざして参ります。(佐伯氏)

SUPER STUDIOが提供する「ecforce」「ecforce efo」を採用した
SUPER STUDIOが提供する「ecforce」「ecforce efo」を採用した
高野 真維

「ハルメク」はなぜシニア層から支持されるのか? 商品開発、顧客満足度向上、新規獲得施策、チャネル戦略を解説 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 11ヶ月 ago
シニア女性向けの領域で存在感が大きい「ハルメク」。顧客満足度向上につながっている施策の詳細に加え、24年3月期の成長戦略などを解説する

ハルメクの通販事業が好調だ。顧客の実態とニーズを徹底的に理解した上で、シニアの悩みを解消したり、暮らしを良くしたりする商品の開発力に強みを持つ。雑誌「ハルメク」読者へのカタログ送付に加え、新聞広告やECなどで雑誌を購読していない層の開拓にも取り組んでいる。

2023年3月期における同社通販事業の売上高は前年比12.2%増の144億6500万円を見込んでいる。シニア向け通販で存在感が増しているハルメクの取り組みを見ていく。

商品の開発の鍵は顧客理解

ハルメクの通販事業は、食品や健食、インナー、ヘルスケア商品などを掲載する通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」と、ファッションやコスメを扱う「ハルメク おしゃれ」を展開し、公式通販サイトも運営している。

通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」
通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」

メインの通販カタログを制作するのに当たって同社が大事にしているのは「お客さまの実態とニーズを理解すること。わかったふりをせず、思い込みで作らないことを徹底している」(金山博通販本部長)という。

顧客を理解するために、同社ではグループのシンクタンクの調査や顧客からのはがき、コールセンター、グループインタビューなどを活用するほか、読者が誌面に登場することもあるため、撮影の合間などに話を聞かせてもらっている。

コールセンターに届く利用者の意見や、返品用のはがきも含めて、商品やサービスに関する意見はすべて文章化し、1件ずつ答えを出していくことで、スタッフのマインドをそろえている。

通販の商品開発や誌面作りの前にまずは顧客の意見を聞き、シニア女性の実態を理解してから企画を立てる。商品を作る際も、発売する前に試作モニターを徹底。コスメなどは100~200人規模で実施する。

“売って終わり”ではない

販売後も商品にはがきを入れて顧客満足度調査を行い、意見をもらったら品質改良する。売って終わりではなく、さまざまな段階で顧客の声を聞き、商品の精度向上に努めている

ハルメクは女性スタッフが多いため、顧客は母親、自分はその娘という感覚で仕事をしているようで、顧客のことを大事に思いながら商品やサービスを磨き、叱られたら素直に謝って改良を重ねることを重視している。

品質の向上こそが離脱防止につながる

同社の場合、品ぞろえで勝負するのではなく、提案する商品によってシニアの暮らしがどう良くなるのか、顧客が「使ってみたい!」と思えるような提案を心掛けているという。

7つの商品カテゴリーを持つが、カテゴリーごとに編集と商品開発の担当者がおり、そのコミュニケーションの深さと一体感で生み出す「商品×情報」が通販事業の強みだ。

また、「商品やサービスの品質がお客さまの離脱を防止する一番の方法」(金山本部長)とし、品質管理に関しては週1回、「クレームゼロ」という会議を実施。社長や幹部が集まり、1週間に届いた商品やサービスに対する顧客の意見を1件ずつ協議し、どういう対応を取って、それが十分だったかを精査する。

品質については取引先や検品所の評価も行う。クレームが発生したときは必ず評価してランク付けを行う。ただ、ランクが低いから取り引きをやめるわけではなく、なぜクレームが発生するようなことになったのか、ハルメクの品質に対する姿勢に共感してくれているのかを確認。共感、共有してくれる取引先とは一緒に作り直す。

検品は生産工場と指定検品所とで2回検品を行うが、工場の検品で出てきた不良の情報を必ず指定検品所に伝えるようにしている。そうすることで、発生しやすい不良の部分が見え、通常の検品時よりも精度が上がる。

『商品の価値=価格』。値上げは“悪”ではない

日用品や食料品、光熱費といった値上げラッシュで消費者の生活防衛意識が高まる中、ハルメクの通販でも今年1月に節約企画を展開した。

一方で、シニア女性に話を聞くと、コスパの良い商品、お得感のある商品が欲しいと答えるものの、実売になると必ずしもそうではないようだ。

単純な値上げではなく、商品の価値を磨いて“再提案”する
単純な値上げではなく、商品の価値を磨いて“再提案”する

「お得なもの、安いもので失敗するよりも、良い商品を長く使うという“賢い消費”にシニア層は移っていると感じる」(金山本部長)とした上で、「『値上げ=悪』という公式はやめたい。『価値=価格』だと思っている。価値を磨き、お客さまのニーズにフィットするものを作って提案するという方向にシフトしている」(同)という。

単純な値上げではなく、「価値=価格」の観点から既存商品を作り変え、機能性などを高め、価格を上げて再提案する

ハルメクでは今年1月から徐々に値上げを実施。事前に値上げ時期を知らせていたことから、昨年12月は駆け込み需要もあって売り上げが急伸し、特に定番品などがよく売れた。その反動で、今年1~2月は購買意欲が低下したが、徐々に回復してくると見ている。

チャネル間の連携を強化

ぴったりの商品がないなら、自社で作る

カタログ誌面についても、価値提案の取り組みに合わせて、今年1月発売の2月号から巻頭部分でハルメクが考える理想の暮らしとして「ものは少なく、暮らしは豊かに」というフレーズを掲げた。

同社が商品を厳選し、もっともいいモノだけを提案する。世の中にぴったりなモノがなければ同社が作るという。

ファッションカテゴリーでは、顧客130人以上の体型を3D機器で計測し、作成した50代以上のリアルな体型のトルソーでサイズを決定。

JIS規格に則ったサイズを基準にするのが一般的だが、同社ではシニア女性に合うサイズを設定し、そのトルソーで作ったコットンプルオーバーなどが定番服として人気だ。

また、約200人の計測結果からO体型とA体型の体型別ストレッチパンツを開発して好評を得ている。

今後は、「『ものは少なく、暮らしは豊かに』を体現できるよう、商品の販売だけでなく、サービスも開発していきたい」(金山本部長)とする。

新規獲得の手法はデジタルシフト

一方、新客開拓については、雑誌「ハルメク」に2冊の通販カタログを同梱して雑誌の読者にアプローチしているほか、新聞広告などのメディアを活用して新規獲得を図っている。雑誌は定期購読者数が50万人を突破するなど伸びているため、通販カタログの配布数も多くなっている。

そのため、紙代のコストアップは大きな負担で、さまざまな対応をしている。雑誌からカタログへという新規の大きな入り口の部分をデジタルに大胆に切り替えていく計画だ。

同社は雑誌ハルメクのオンラインメディア「ハルメク365」を運営しており、その中のコンテンツから通販サイトに送客する仕組みを積極的に広げる

加えて、雑誌の新規読者に対して同梱する「ハルメク おしゃれ」と「ハルメク 健康と暮らし」を1冊にした合体版を届けるテストを昨年夏から開始し、今年1月から本格化している。合体版には新規購入者をターゲットにした商品を選別して掲載することで購入率を高める狙いもある。

ファッションやコスメを扱う通販カタログ「ハルメク おしゃれ」。「ハルメク 健康と暮らし」との合体版も22年夏から開始
ファッションやコスメを扱う通販カタログ「ハルメク おしゃれ」。「ハルメク 健康と暮らし」との合体版も22年夏から開始

今期(24年3月期)は、カタログや新聞広告、EC、実店舗という各販売チャネルの縦割りを崩して横の連携を強化する

また、顧客の幅広いニーズに応えるためには、自社ですべて取り組むのではなく、シニア女性のためのプラットフォームとして機能し、他社との連携やコラボ商品なども拡大していく

強化カテゴリーとしては、インナーと靴を優先的に伸ばす。インナーは以前から強く、靴は理学療法士の理論をもとに同社が開発した特徴的な靴を展開しており、これに注力して広めていく。

靴とインナーを強化カテゴリーとする
靴とインナーを強化カテゴリーとする

ハルメクHD、東証グロース市場に上場

シニア女性の悩みや期待に応える

ハルメクや全国通販などを傘下に持つハルメクホールディングスが3月23日、東京証券取引所グロース市場に新規上場した。

2023年3月、東証グロース市場に新規上場した
2023年3月、東証グロース市場に新規上場した

ハルメクグループはシニア女性の領域に特化し、中核のハルメクでは当該層の悩みや期待に応える「情報コンテンツ」「物販」「コミュニティ」の3事業を展開している。

ハルメクグループが取り組む3つの事業(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
ハルメクグループが取り組む3つの事業(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

情報コンテンツの軸は雑誌「ハルメク」で、健康やファッション、レシピなど生活全体をカバーする幅広い記事を提供。発行部数を4年連続で伸ばし、昨年12月に定期購読者数50万人を突破した。

また、Webサイトも暮らしや美と健康、カルチャーなどの情報発信を行い、Web上でもシニア女性から支持されている。2018年8月に「ハルメクWEB」をスタートしたが、昨年8月に開始したサブスク型の「ハルメク365」へ統合している。

各事業の取り組みは?

物販はカタログと自社EC、実店舗で中高価格帯のオリジナル商品を中心に提供している。実店舗の「ハルメクおみせ」は今年2月下旬に横浜高島屋に出店して7店舗体制を整備。ハルメクの通販商品を販売している。

ハルメクグループが展開する物販事業の取り組み(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
ハルメクグループが展開する物販事業の取り組み(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

コミュニティは、情報コンテンツや物販と関連した体験やつながりを提供。体操、料理、スマホ講座、旅行、メイク、ファッション、コンサートなどの講座・イベントをリアルでスタートし、コロナを契機にオンラインでの提供も増やしている

グループの全国通販は、ハルメクよりやや年齢の高い60歳以上の顧客を対象に、「ことせ」のブランド名でファッションと雑貨、食品のカタログを展開顧客理解に基づく商品を低中価格帯で提供している。

全国通販の事業概要(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
全国通販の事業概要(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

これまで離脱防止と新客開拓の取り組みに注力してきたことで、減少していた顧客数が増加に転じている

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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