ネットショップ担当者フォーラム

eBayが独自決済を2018年後半に導入、「PayPal」も当面継続

7 years 10ヶ月 ago

イーベイ・ジャパンは2月2日、通販サイト「eBay」に独自の決済システムを導入すると発表した。決済処理業者「Adyen」と提携して決済システムを開発する。

2018年後半に北米市場で小規模に導入し、段階的に新たな決済システムの利用地域を拡大。2021年までに「eBay」を利用する大多数の消費者が新たな決済システムを利用できるようにする。

「eBay」が現在導入している決済手段「PayPal」は、2023年7月まで継続することで合意しているという。

イーベイは独自の決済システムを導入することで、支払いフローをシンプルにし、セラー(販売者)とバイヤー(購入者)双方の顧客体験のさらなる向上を図ると説明。

バイヤーが買い物と決済を「eBay」上で簡単に行えるようにすることは、顧客体験を高める上で大切だと考え、独自の決済システムの導入を決めた。

また、190以上の国と地域に事業展開するグローバル企業として、市場ごとのセラーやバイヤーのニーズに合わせた決済方法のオプションを提供することが必要だとしている。

イーベイは新たな決済システムへの移行により、セラー(販売者)に次のようなメリットが生まれると説明している。

  • コスト削減と経済性の強化
    多くのセラーは、「eBay」の独自決済システムへの移行後、支払い処理のコスト削減が期待できる。価格設定のシンプル化や売上管理(売上予測)が可能になることが期待される。
  • ビジネス管理の統合を強化
    「eBay」での取引や顧客とのやりとりのすべてを、セラーが簡単にトラッキング、管理できるようになる。
  • バイヤー(購入者)へのリーチ拡大とコンバージョンの改善
    多くの決済方法の選択肢をバイヤーに提供することで、セラーは新規バイヤーへのリーチ拡大とコンバーションの向上が図れる。

2021年7月までに手続きが必要

セラーが「eBay」のアカウントに新たな決済機能を導入するには、決済に関する追加情報をイーベイに提供する必要がある。

セラーが「eBay」での出品を継続するには、新たな決済機能に関わる一連の手続きを2021年7月までに完了する必要があるとしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

2018年に定期購入ビジネスを伸ばす秘訣とは?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 10ヶ月 ago

トラブルが頻発している定期購入。法的な規制も厳しくなってきて、より安全で安心な企業だけが生き残る時代になりそうです。マーケティングの力で強引に買わせたって、誰も幸せにならないですよね。

強引に買わせる手法はもうダメ。心地よい関係性を築きましょう

「5年後には申し込みフォームが消える」 2018年のEC動向について、売れるネット広告社・加藤公一レオさんに訊いてみた | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5372

まとめると、

  • 2018年は悪質な手段で定期購入を迫る通販会社を、国が本気で取り締まりを行っていくようになる
  • 規制強化、Googleのアップデートなどにより、信頼度の高い法人媒体が力を強めていく
  • 売上を維持・拡大するために大切なのは、入ってくるお客さんを、何度もリピートしていただけるお客さんにしていくこと

私たちのクライアントが続々とAmazon Payを導入していますが、コンバージョン率がおよそ1.3倍くらい上がっています。Amazon Payは、フォームの入力が不要かつクレジットカード決済なので、LTVが高いんですね。その流れをうけて、楽天ペイやApple Payなども、今後通販の定期コースに対応していくと思います。

─売れるネット広告社 代表取締役社長 加藤公一レオ氏

「リピートしやすさ」は「買いやすさ」とほぼ同義です。安心して買うことができる環境、他を探すのが面倒なぐらいのサービス、何度買ってもストレスのない決済。購入金額×購入率という公式は過去のものになりつつあります。

カスタマーサービスこそ社内コミュニケーションを密に

ECサイト20店を支えるたった4人のチーム。入社4年目のリーダーが実現したアパレル企業の社内改革 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5021

まとめると、

  • PBIのECサイトは20店舗もあるが、各店舗の受注とカスタマーサービスを担うのはたったの4人
  • 定型化できる業務はツールなどを使って可能な限り圧縮
  • カスタマー部メンバー同士のコミュニケーションを増やすことで、サポートの質を改善

コミュニケーションを増やすと、部の雰囲気がすごく良くなるんです。やっぱり人とつながってないと何も生まれないし、そうやって生まれたものから売上も伸びていくんだと思います。1人では何もできないので、協力していかないと。そういうところをすごく大事にしています。

─株式会社ピー・ビー・アイ カスタマー部 リーダー 無津呂晴菜氏

忙しいと社内もギスギスしがちですし、それがそのままお客さんに出てしまうこともあります。まずは状況を把握して、効率化て、空いた時間で質を上げる……。KAIZENの基本とはいえ、やってみるとなかなか難しいのですが、やり遂げるには無津呂さんのコメントにあるように「楽しさ」が必要なんだと思います。

楽天関連ニュースが多かったのでまとめました

楽天がウォルマートと提携、「楽天西友ネットスーパー」開始へ | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/48920

楽天 出店者向けに独自配送、低運賃で提供、物流拠点も拡大 | 通販新聞
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2018/02/post-3068.html

ショップ・オブ・ザ・イヤー2017 |楽天市場
https://event.rakuten.co.jp/soyshop/

「LINE@」、楽天市場の出店店舗向けSNSサービス「R-SNS」と連携開始 | MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/27834

楽天市場初、ネット通販で買った医薬品を店頭受け取り。薬剤師への健康相談も提供 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5104

楽天、日本郵便と連携し全国約2万局の郵便局で受取サービスを開始 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5396

存続率24%の「楽天市場」で生き残れない店は、会社としての生存も難しい【竹内調査】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5071

三木谷社長は「昨年、当社の直販サービスも(総量規制で)出荷制限せざるを得なくなった。『(宅配会社は)何やってんの』という思いもあるが、残念ながら古いプラットフォームだ。新しい取り組みに挑戦しないと楽天市場、店舗の未来はない」と決意を述べた。

楽天 出店者向けに独自配送、低運賃で提供、物流拠点も拡大

個人的に気になったのは楽天の独自配送の記事。記事中にもありますが、2014年に物流センターの拡大を撤回しているので、この時からやっていれば……と思った人も多いのでは。まさに「何やってんの」です(笑)。AIも普及してきて時代が変わったということなんでしょうか。

EC全般

アマゾンジャパン社長の"日本市場攻略法" | PRESIDENT Online
http://president.jp/articles/-/24295

タイトルと内容が……という記事ですが、Amazonがどんな会社なのかサラっとわかります。

商売をするなら読んでおかないと恥ずかしいですよ!『販売の科学』は古くて新しい不朽の名著 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5386

60年前に書かれた本なのに、今読んでも新しい本。面白いですよ。

2月の消費控えがさらに色濃く、3年連続で過去最低値を更新 | ひらけ、みらい。生活総研
http://seikatsusoken.jp/shohiyoho/2018-02/

こちらにも寒波到来……。暖かくなってきたときにすぐに動けるような準備を。

「カラーミーショップ」における情報流出に関するご報告とお詫び | GMOペパボ株式会社
https://pepabo.com/news/information/201801260800

なぜ、セキュリティコードまで? 流出事件があるたびに思います。

「お客様も、配信者側も、楽しめることが大切」手探りながら見えてきたズーティー流ライブコマース | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5369

今年はライブコマースの記事がどんどん出てくるはずです。流れの定点観測を。

「Wowma!」始動から1年――最新の状況は? 売り上げを伸ばす方法は? 出店者とKDDICF社長のホンネ対談 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5093

まだまだ女性向けの商品が多い印象。購入意欲も強いのでしょうが、おじさんは買うものがないです……。

今週の名言

場をつくるとか、コミュニティとか、そんな言葉に踊らされる時代はもう終わりにしなくてはいけません。

「喫茶ランドリー」はどうしてヤバい?市民の能動性を引き上げ、受け入れる。グランドレベルの壮大な実験がはじまりました。|大西正紀/GroundLevel & 喫茶ランドリー|note
https://note.mu/masakimosaki/n/n7ff69f4a3067

そう。場やコミュニティは自然とできるもの。これからの時代は、不自然に作られたものはどんどん敬遠されるでしょうね。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

楽天・三木谷社長が語る「覚悟」「超挑戦」とは? 独自配送ネットワークなど2018年の方針まとめ

7 years 10ヶ月 ago

2018年は楽天、出店者にとって覚悟の年になる。大きなチャレンジをしていかなければ「楽天市場」でサバイブできない。(楽天・三木谷浩史社長)

毎年1月に開かれる楽天の「新春カンファレンス」で方針を語る三木谷浩史社長の講演は、例年以上に「楽天市場」を力強く打ち出した内容となった。

三木谷社長が2018年の方針として何度も口にしたのが「覚悟」「超挑戦」「Amazon」。このキーワードを踏まえ、三木谷社長が語った独自の配送ネットワーク構築、楽天経済圏の拡大といった構想や方針をまとめた。

楽天・三木谷社長が「新春カンファレンス」で語った「覚悟」「超挑戦」

ワンデリバリー構想への「覚悟」「超挑戦」

楽天は世界最大手の小売企業ウォルマートと提携した。米国ではAmazonがホールフーズを買収し、グローバルでインターネットをプラットフォームにした流通革命、社会革命が起ころうとしている

中国では現金を持たずにネットを中心とした経済を作っている。ライドシェア、バイクシェアが日常的になり、中国は日本よりも10年先を行っていると思う。

三木谷社長はグローバルで広がる小売業界などの変化をこう説明。それを踏まえ、「2017年は配送ネットワークがパンクした。楽天の直販サービスも出荷制限をしなければならない状況に陥った。(配送については)出店者の皆さんと一緒に新しいことをやらなければ、店舗も楽天の将来もない」と危機感をあらわにした。

そこでぶちあげたのが、楽天が主導する独自の配送ネットワーク作りなどの「ワンデリバリー」構想だ。

楽天が主導する独自の配送ネットワーク作りなどの「ワンデリバリー」構想
「ワンデリバリー」構想のイメージ

(楽天と配送キャリア間で)システムが統合されていないことが現状の課題。注文から手元に届けるまでの配送において、すべてのデータを楽天が管理できるような包括的な管理契約が必要だ。そのために、楽天グループ独自の配送ネットワークを2年で構築し、自分たちで最後まで商品を届けられるようにする。(三木谷社長)

ECプラットフォーム側が購買データ、配送キャリアが配送データを持つ構造となっているため、販売側と配送側で情報が分断されている。APIを活用して配送ステータスをECサイト上に表示するといった取り組みは一部で進んでいるものの、配送状況の可視化は進んでいない。

楽天は、購買データに加え、配送データも管理することで、スムーズな配送環境を整備。受け取りの利便性向上、再配達削減、配送状況の可視化の実現をめざす

三木谷社長は、すでに大手私鉄の幹部とラストワンマイルの構築で交渉を進めていることを明かし、「この沿線は私鉄の子会社がやるといった話しになっている」(三木谷社長)と説明。そして、既存の配送キャリアの配送ネットワーク以外の、「ECに特化した独自の配送ネットワークを2年で作る」(同)と宣言した。

独自の配送ネットワークピックの構築であげたのがピックアップポイントの多様化だ。これまで、商品受け取りロッカー「楽天BOX」の設置、コンビニエンスストアでの店頭受け取り、日本郵便の宅配ロッカー「はこぽす」の利用などを進めてきた。1月29日には「楽天市場」で購入した商品を全国約2万か所の郵便局で受け取ることができるサービスを始めている。

たとえば、「楽天市場」の店舗に受け取りポイントになっていただくことも考えている店舗に商品を送り、その店舗が近隣の消費者に商品を送る仕組みなど、ピックアップポイントの多様化を考えている。(三木谷社長)

物流拠点の整備も進める。現在、関東に2か所(RFC市川Ⅰ、RFC市川Ⅲ)、関西に1か所(RFC川西)を構えているが、これを10か所まで拡大する。北は北海道、西は福岡まで増やし、配送スピードや配送コストの低減につなげる。

三木谷社長はこうした物流施策について「ラストワンマイル構築への超挑戦。出店者の皆さんの物流コストを下げていくことに挑戦してく、これが覚悟」と語り、次の取り組みを進めていくとした。

  • ドローンを活用した商品配送
  • 自動配送車を活用した商品配送
  • シェアリングエコノミーの活用
  • AI(人工知能)を活用した輸送ネットワークの構築
  • ウォルマートと提携したネットスーパー事業において、提供地域を拡大し、出店者の商品を配送できるようにしていく
楽天は新しいサプライチェーンマネジメントを構築する

店舗の個性を伸ばすことへの「覚悟」「超挑戦」

ネット販売は自動販売機のようなショッピングのツールではなく、消費者が買い物を楽しむもの。この哲学がAmazonとの大きな違い。店舗と一体となって店舗と盛り上げていきたい。長所は伸ばし、短所は改善していかないといけない。そのためにも、利便性の高い場を作る必要がある。

Amazonという巨大企業に対してどのように対抗していくか。覚悟を持って店舗は取り組まなければならない。(三木谷社長)

今回の「新春カンファレンス」で三木谷社長が幾度も口にした「Amazon」。事業規模を拡大するアマゾンジャパンは、「楽天市場」出店者にとっても驚異の存在になる。三木谷社長は「楽天は店舗がベース、Amazonは商品がベース」とし、店舗の個性をより一層、伸ばしていくことを表明した。

その1つの施策が「チャット機能」の拡大。店舗スタッフと消費者がチャットできる機能で、2017年から試験的に運用を始めている。現在、数十店舗が利用し、2018年には全店舗への導入を検討する

楽天・三木谷社長は、2018年中に楽天市場全店舗へのAIチャットボット導入を進めていく方針

簡単な質問にはAIが答え、効率性を上げる。スケーラビリティが実現できる。過去にはこうしたコンセプトのものはあったが、手間がかかる、スタッフを専属で付けないといけないという問題があった。ただ、いまはAIが出てきた。AIが労力を補う時期がくる。(三木谷社長)

「AIチャットボット」の将来性をこう話した三木谷社長は、試験導入している家具のECサイト「タンスのゲン」を例にあげ、「チャットを利用してソファーを購入した。日本人はお人好しなのか、推薦されると購入してしまう。店舗の転換率は上がっていく」と期待を寄せる。

タンスのゲンは、楽天市場店でAIチャットボットを利用している
赤枠部分が、「タンスのゲン」楽天店が導入しているAIチャットボット(画像は編集部がキャプチャ)

三木谷社長の講演中、タンスのゲンの副社長が登壇し、次のように「AIチャットボット」の効果を語った。

これまではメールや電話で対応していた内容の問い合わせがチャットに移っていったチャット経由の購入も多く、転換率も上がっている。お客さまからは満足の声をいただいており、CSスタッフのモチベーションも上がっている。(タンスのゲン副社長)

また、「ディープラーニングによって、潜在顧客発見の広告ソリューションを開発し、データを使ってより最適化されたマーケティング施策を皆さんに提案していきたい」と三木谷社長は話し、マーケティング施策の効率化と広告の最適化で、「ユーザーをおもてなししていく」とした。

楽天経済圏の超拡大

楽天スーパーポイントの流通が1兆ポイントを突破した。経済圏を囲い込むことによって、「楽天市場」で買ってもらう量を増やしていく。ポイントを使ったさまざまな体験を提供し、楽しんでもらうことが必要だ。(三木谷社長)

楽天エコシステム

こう話した三木谷社長は、ポイントを活用した経済圏の拡大に言及。たとえば、楽天証券では楽天スーパーポイントを使って投資信託を購入できる仕組みを導入したことに触れ、「ポイントは現金に近ければ近いほど、関連サイトに戻ってくる。将来的には楽天カードの支払いを、楽天ポイントでできるようにする」(三木谷社長)と構想を語った。

楽天カードの支払いを、楽天ポイントでできるようにするという

楽天経済圏の拡大のカギを握るのが「楽天ペイ」だ。「楽天ペイ」は、楽天会員IDで、実店舗、楽天以外のECサイト、オンラインサービスにおける決済と楽天ポイントが利用できるサービス。楽天内では、通称「ワンペイ」と呼ばれており、「楽天ペイ(実店舗決済)」「楽天ペイ(アプリ決済)」「楽天ペイ(オンライン決済)」の3種類を展開している。

「楽天ペイ」の実店舗決済における流通総額は2016年に2275億円に到達したとし、「早期に1兆円へ引き上げる」(三木谷社長)と言う。携帯電話事業への参入などに触れ、「安く利用でき、楽天スーパーポイントで利用料金を支払える環境を整える」と話した。

2016年における楽天ペイ(実店舗決済)流通総額

楽天は2017年に決済サービスのブランドを「楽天ペイ」にブランド統合。楽天IDの利用拡大、楽天IDを他社サイトや実店舗で決済できるようにする取り組みの一環で、三木谷社長は「楽天ペイ」の方向性として「One Payment」構想にも触れた。

その1つの取り組みが、オンラインとオフラインの融合をめざす提携として話題となったウォルマートとの事業提携だ。楽天は、ウォルマートの日本子会社である西友と、日本でネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」を協働運営することを目的に、新会社を設立することで基本合意した。

楽天IDを使って、(「楽天西友ネットスーパー」で)日用品を購入し、自宅に持ってきてもらえるようにする。ネット通販という言葉は古くなった。オンラインやオフライン、あらゆるシーンで楽天IDが有効になる。それによって経済圏が広がる

世界中のさまざまなサービスを本当の意味でつなげていく。私たちはグループサービスを結集して、「楽天市場」を拡大させていく。(三木谷社長)

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

フローズンフルーツバー「パレタス」のECサイトでカード情報821件が漏えいか

7 years 10ヶ月 ago

フルーツや野菜をジェラートなどに入れて凍らせた「スローズンフルーツバー」を販売するジャパンパレタスは2月1日、公式通販サイト「パレタス オンラインショップ」から顧客のクレジットカード情報が流出したと発表した。

通販サイトのWebサーバーに外部から不正アクセスがあり、不正プログラムが仕組まれたことが原因。

最大821人分のカード会員の氏名、カード番号、カード有効期限、セキュリティコードが流出した可能性がある。2017年4月27日から7月18日に「パレタス オンラインショップ」でクレジットカード決済を行った顧客が対象。

不正アクセスを受けた公式通販サイト「パレタス オンラインショップ」

不正アクセスを受けたパレタスのECサイト(画像は編集部がキャプチャ)

2017年7月18日にクレジットカード決済代行会社から情報流出の可能性があると指摘を受けた。同日中にカード決済の利用を停止、専門調査会社のPayment Card Forensicsに調査を依頼した。

9月19日にPayment Card Forensicsから最終調査報告書を受領し、 不正アクセスによる情報流出が判明。12月25 日に個人情報保護委員会などへ報告、12月27日に警察へ報告と相談を行ったとしている。

2018年2月1日から、情報流出が懸念される顧客に、書面郵送で個別に説明と報告を行っているという。

ジャパンパレタスは通販サイトのセキュリティを強化するため、クレジットカード決済代行会社が提供する「リンク型システム」への移行を決定。また、Web改ざん検知サービスを導入したとしている。新システムは2018年4月末に完成する予定。

EC業界におけるセキュリティ対策について

経済産業省主導の「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局は日本クレジット協会)は、2017年3月8日に公表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2017-」において、EC事業者に対して2018年3月までにカード情報の非保持化、もしくは「PCI DSS準拠」を求めていく方針を掲げた。

カード情報の漏えいの頻度が高い非対面(EC)加盟店については原則として非保持化(保持する場合はPCI DSS準拠)を推進。EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「JavaScriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

また、独立行政法人情報処理推進機構では不正アクセス対策についての資料をまとめており、「安全なウェブサイトの作り方」などを閲覧することができる。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ヤマトHDの試着&受け取り拠点「Fittingステーション」にアパレルECが続々と参加

7 years 10ヶ月 ago

ヤマトホールディングスは2月1日、アパレルECの試着や商品の受け取りを行う拠点「Fittingステーション」の実証実験への参加企業が合計6社になったと公表した。

すでに参加を発表していた三陽商会、かねまつ、ディノス・セシールに続き、ユナイテッドアローズ、ハースト婦人画報社、トランスコードの3社が加わった。

「Fittingステーション」は、通販サイトで注文した商品を試着したり、受け取ったりするための拠点。1月4日から3月30日まで、東京・大田区にあるアトレ大森店3階のイベントスペースで実証実験を行なっている。営業時間は午前10時から午後9時。

消費者が「Fittingステーション」を利用するには、参加企業の通販サイトで購入する際、受け取り場所を「アトレ大森店」に指定する。利用者は商品を試着した後、その場で商品を返品することも可能。

EC事業者は「Fittingステーション」を利用することで、 実店舗を持たずに試着サービスを顧客に提供できる。また、商品を「Fittingステーション」にまとめて配送することで、顧客ごとに商品を配送した場合よりも配送費を減らせる可能性がある。

「Fittingステーション」の仕組み

ヤマトHDによると、「Fittingステーション」を利用しているアパレル事業者からは、「本サービスがきっかけで自社サイトから購入して頂きました」「初めてのEC購入が本サービスというお客さまがいらっしゃいました」といった声が寄せられているという。

ヤマトHDは実証実験の結果を踏まえ、2018年度中の実用化をめざしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

HC大手とEC専業のタッグは小売をどう変える? カインズ+大都が挑む「新たな価値創造」

7 years 10ヶ月 ago

ホームセンター大手のカインズと、DIY用品のネット通販を手がける大都が資本提携を結んだのは2017年8月。なぜカインズはEC企業との協業を選んだのか? 資本提携時、カインズの土屋裕雅社長が「小売業界においては、ECとリアル店舗がより密接に連携し、トータルでサービスを提供していくことが、今後の競争の鍵となる」とコメントしたように、両社の提携は小売業が成長を続けるためのヒントとなる。カインズの高家正行副社長と大都の山田岳人社長がトークセッションに登壇、オムニチャネルコンサルトの逸見光次郎氏をモデレータに「実店舗企業とネット企業による協業の可能性」を探る。写真◎Lab

大手ホームセンター + DIYのネット通販のタッグで「新たな価値創造」

「DIYを日本の文化として定着させたいという理念が一致した」。カインズの高家正行副社長は、大都と資本業務提携を結んだ最大の理由をこう説明した。

株式会社カインズ 取締役副社長 高家正行氏
株式会社カインズ 取締役副社長 高家正行氏

全国208店舗のホームセンターチェーンを展開するカインズと、DIYのECサイト「DIY FACTORY ONLINE SHOP」を展開する大都。実店舗企業とEC企業が提携することで、それぞれの強みを生かし、オムニチャネルを推進できると考えたという。

資本提携を結んだ際のリリースで、土屋社長も今回の協業について次のようなコメントを発している。

大都のDIYに対する柔軟なアイディアと、弊社の豊富な商品カテゴリーが組み合わさり、企業文化の異なる両社が融合することで、新たな化学反応を起こし、これまでにない価値を生み出していけるものと確信しております。(土屋社長)

2社は2016年9月に業務提携契約を締結し、DIY関連商品の共同仕入れを行っているほか、カインズが2017年4月にオープンした「広島LECT店」のDIY用品の売り場を大都がプロデュースするなど関係性を深めてきた。

2017年8月には協業を一層深めるため、カインズが大都に出資。2社の知見を生かした売り場作りやプライベートブランドの共同開発、人材交流、オンラインコンテンツの共同制作などを進めている。

近年、大手企業がネット通販企業を買収、もしくは資本提携するケースが増えており、EC企業が持つネット通販ノウハウなどを取り込むことを目的にしているのがその多くを占める。ECに関する人材、仕入れルート、顧客データなどを、買収や資本提携によって自社のECビジネスに取り組みたいといった思惑があるためだ。

ただ、カインズと大都の資本提携は多くのそれとは異なる。両社の目的は「新たな価値の創造」にあるのだ。

2017年4月にオープンしたカインズ広島LECT店のDIYコーナー
2017年4月にオープンしたカインズ広島LECT店のDIYコーナー

カインズの売り場改革とデジタル戦略に大都の知見を活用

カインズは近年、商品の「体験」を重視した新しいコンセプトの店舗を出店している。たとえば、2017年4月にオープンした「カインズ広島 LECT店」は従来よりも大きなDIY工房を設けている。

また、2017年9月にオープンした「Style Factoryテラッセ納屋橋店」には、DIY工房のほか観葉植物コーナー、インテリアコーナー、キッチン用品コーナーなどの体験スペースを作った。

商品を棚に並べるだけでなく、商品の利用シーンをイメージしやすい「ライフスタイル提案型」の売り場。坪効率を優先した従来の店舗とは異なり、「良い意味でホームセンターらしくない」(モデレータの逸見光次郎氏)のが特徴だ。

2017年9月、体験を重視した新業態の店舗をオープンした  Style Factory テラッセ納屋橋店
2017年9月、体験を重視した新業態の店舗をオープンした

高家正行副社長は、カインズが新しいコンセプトの売り場を作った理由について、「お客さまにエモーショナルな体験をしてもらうための、新しい売り場が必要になっている」と説明する。

そして、売り場改革と並行してデジタルマーケティングも強化。DIYで椅子や机などをつくるイメージ動画を制作し、SNSで発信するなど、オンライン上での顧客とのコミュニケーションに取り組んでいるという。

カインズのデジタル戦略においては、2002年からネット通販を手がけている大都のノウハウに加え、2017年3月に大都が事業買収した植物に特化したSNS「検索結果 GreenSnap(グリーンスナップ)」の知見も生かされている。

カインズが「店補での体験」を重視するように、米国でも「体験の場」としての実店舗運営に注目が集まっている

『ネットショップ担当者フォーラム』が連携している米国大手のEC専門誌『Internet Retailer』によると、「街の広場が少なくなっているのに対し、便利なツールの発達によって消費者の自由な時間が増加しています。そう、消費者は時間を過ごす場所を探している」と指摘。その楽しむ場、体験の場を構築するために、新たなイノベーションが必要となってくるのだが、それは、「外部企業との提携」「スタートアップの買収」で実現できると提案している(詳しくはこちら

GreenSnap 月間アクセス者数29万人突破 アプリ会員数26万人突破 累計投稿数110万突破 ロハス系、生活感度の高い主婦が中心
大都が運営する植物のSNS「グリーンスナップ」

大都はカインズの店舗網を活用してリアル店舗事業を強化

2002年にネット通販をスタートし、当時はホームセンターの競合のような状態でした。でも途中で気が付いたのです。誰かから奪う売り上げはいずれ誰かに奪われる。そこに社会的な価値があるのか。新しい市場を創造することにこそ価値がある。(大都・山田岳人社長)

大都がカインズと資本提携を結んだ際のリリースで、大都の山田社長はこのようなメッセージを記載した。DIY用品のECを手がけてきた大都にとり、カインズと提携するメリットは大きい。ネット企業ならではの「価値」を、リアルでも提供できると考えているためだ。

また、山田社長は近年のEC市場の動向を踏まえ、「インターネットだけでモノを売っていくことには限界があるのではないか」と指摘する。

日本の現在のEC化率を踏まえると、インターネットだけでは人口の95%に買ってもらえない。市場シェアを拡大するためにはリアル店舗も必要になる。(大都・山田岳人社長)

株式会社大都 代表取締役社長 山田岳人氏
株式会社大都 代表取締役社長 山田岳人氏

大都は2014年に体験型DIYショップ「DIY FACTRY」を大阪市内に出店し、会社帰りの女性などをターゲットにしたDIY教室を運営している。2015年には東京・二子玉川に2号店を出店した。

リアル店舗の重要性が増しているとはいえ、大都がすべて自前で出店するには莫大な投資が必要になる。そこで、200店舗以上のホームセンターチェーンを持つカインズと提携することで、リアル店舗事業を迅速に展開できるようにした。

DIY教室などの開催場所として、カインズさんの店舗スペースを活用させていただく。カインズさんにとっては、会社帰りの若い女性など新しい客層を取り込めるメリットがある。そういった相乗効果を生み出したい。(大都・山田岳人社長)。

DIY FACTORY FUTAKOTAMAGAWA
大都が運営する体験型DIYショップ「DIY FACTORY」

クリック&コレクトの実現をめざす

カインズと大都がめざすオムニチャネルの具体的な取り組みの1つとしてあげたのが「クリック&コレクト」の実現。クリック&コレクトとは、オンラインで商品を注文し、リアル店舗などの専用拠点で商品を受け取る買い物形態のこと。

DIYで使われる工具や建材、ネジといった商品は業務用の注文も多い。そのため、「工具などが必要になったときに、注文してすぐに商品を使いたいというニーズは非常に多い」(山田社長)と言う。

現在は、工具や建築部材などが必要になったとき、ホームセンターに行って商品を探すのが一般的。その際、店舗に在庫がなければ他店に探しに行かなくてはならない。山田社長はクリック&コレクトの仕組みを作ることで、こうした不便を解消したいという。

クリック&コレクトは米国などではかなり普及している。いずれ日本でも普及すると思う。カインズさんと、そういうことも一緒にやっていけたら良いと思っている。(山田社長)

逸見氏、高家氏、山田氏

カインズはデジタルを活用して取り組みたい施策の1つとして、顧客の属性や購買履歴などの分析強化をあげた。カインズの208店舗のレジを通過する顧客の人数は1年間で延べ1億人を超える。

そうした膨大な購買データを会員情報と紐づけることで、「いつ、誰が、何を、なんのために買いに来ているか、お客様のライフワークをリアルタイムで知りたい」(高家正行副社長)と言う。

また、ホームセンターに来店する前に、ネットで商品を調べる消費者が増えていることに対応するため、大都が持つデジタルマーケティングの知見も生かしたいと意欲を示した。

DIYを日本の文化として定着させることが、ホームセンターのオリジンとして大事だと思っている。大都さんの力を借りて、一緒にそれを実現したい。(高家副社長)

海外のオムニチャネル最新動向を逸見氏が解説

トークセッションでモデレータを務めたオムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏が、今後のオムニチャネルに求められるポイントを解説した。

オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏
オムニチャネルコンサルトの逸見光次郎氏

逸見氏は、三省堂書店やソフトバンク、セブンネットショッピング、アマゾンジャパン、イオン、カメラのキタムラ、ローソンなどでデジタルマーケティングやオムニチャネルに取り組んだ経歴を持つ。

逸見氏はオムニチャネルに取り組む海外企業の事例として、オムニチャネル先進国である米国のメイシーズ、ホームデポ、ウォルマート、ホールフーズ、英国のカタログ通販企業のアルゴスと百貨店のジョンルイス、ドイツのファッションEC大手のザランドなどの取り組みを紹介した。

たとえば、ホームデポはアプリで店頭在庫の残数を確認でき、POSレジの情報がほぼリアルタイムにECサイトにも反映されるという。ウォルマートはECで注文した商品の受け取り専門店舗を運営し、Jet.comを買収して実店舗とECの融合を本格化しているとのこと。英国の百貨店、ジョンルイスはEC化率が20%に達しており、店頭とECの品ぞろえがほぼ同等であることを説明した。

米国 ホームデポ(ホームセンター)
ホームデポなど、海外のオムニチャネルの事例を紹介した

そして、これからのオムニチャネルで重要な5つのキーワードとして次の5つをあげた。

① 顧客理解

国内の人口が減少しており、新規顧客の分母は増えないため、同じ顧客に何度も買ってもらうことを意識する。商品が何個売れたかではなく、「何円使ってくれる顧客が何人いるのか」を考える。「KPI」はライフタイムバリューを重視すべき。

② 単品管理

商品マスターを整理し、在庫情報をインターネットで表示する。商品の単品管理が必須になる。

③ 組織と評価

ECから店舗に送客した場合、売り上げに応じてEC部門を評価する仕組みが必要。ECの評価指標はページビューやユニークユーザー数だけでなく、「売り上げにどれだけ貢献したか」を評価する必要がある。

④ 社外連携

オムニチャネルを自社だけで実現するのが難しい場合、相性の良い外部企業と組むことを考えるべき。ユーザーにも企業にもメリットが見込めるのであれば、積極的に業務提携したほうが良い。

⑤ ITの進化

ITに投資する際は、「店舗のオペレーションが楽になる」「社内の作業効率が良くなる」といった投資のメリットを事前に明確にする。そして、作業効率が向上したことで浮いた人員をどこに振り分ければ顧客満足度が上がるか考える

また、逸見氏はオムニチャネルのポイントとして「顧客が触れる情報が、企業の中で統一されている必要がある」と強調。「ECサイトと他の媒体で商品情報が違っているとか、ネットとリアルの顧客情報が連動してないということは避けなくてはいけない」(逸見氏)と言う。

そして、顧客が商品やサービスの情報を知る「情報のチャネル」と、商品の購買にいたる「販売チャネル」の2つのチャネルにおいて、デジタルとアナログによる顧客とのあらゆる接点で、顧客に合わせた情報提供を行うことが重要だと指摘した。

最後に逸見氏は、オムニチャネルの目的を次のようにまとめた。

大量生産・大量販売時代が終わり、価格競争だけではない時代になった。今は顧客から見た自社の強みを理解し、顧客中心の仮説を立てながら、商品・サービスを提供する仕組みを作り、改善し続ける時代。オムニチャネルはあくまで手段。言葉がバズワードで消えても、ネットを活用して商売する時代は変わらない。顧客の立場で考え、便利で安くなったITツールを活用し、より便利で楽しい買い物によって顧客満足を高め、継続的な顧客と関係性を持ち続けて利益を得ることがオムニチャネルの目的だ。

逸見氏、高家氏、山田氏

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

宅配便の再配達率を16%から2020年に13%まで削減[国交省の目標]

7 years 10ヶ月 ago

国土交通省は1月31日、宅配便の再配達率を現在の約16%から2020年までに13%程度に引き下げる目標を公表した。

宅配ボックスの設置を促進するほか、消費者を含めた関係者に対して再配達削減の啓発を行う。政府の物流施策をとりまとめた「総合物流施策推進プログラム」に盛り込んだ。

国交省が実施した宅配便再配達率に関する調査では、2017年10月度の再配達率は15.5%だった。この数字を2020年度に13%程度まで引き下げる。

「総合物流施策推進プログラム」には、物流事業者と荷主、国による協議会を設置し、宅配ボックスの利用拡大に向けた課題整理や普及促進方策を議論することなどが明記された。

消費者への啓発活動を強化するため、国交省の職員が同省の事業や施策について説明する「出前講座」において、物流をテーマとした講座の充実を図る。

再配達率13%に向けたロードマップ】
再配達率13%に向けたロードマップ(画像は「総合物流施策推進プログラム」からキャプチャ)

CO2削減へ物流効率化も

「総合物流施策推進プログラム」では、物流分野におけるCO2削減対策も盛り込んだ。国交相と環境省は、「トラック輸送の高効率化に資する車両等の導入」「モーダルシフトの促進」「IoTを活用した物流低炭素型輸送システムの構築」「バス、鉄道等における貨客混載への取組」などを支援するとしている。

また、宅配便の再配達削減に向けた運動「COOL CHOICE」を通じ、消費者や事業者に対する啓発活動を行う。

宅配便の再配達削減策
宅配便の再配達削減策

「総合物流施策推進プログラム」は、2017年7月に閣議決定された「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」にもとづいて設置された総合物流施策推進会議がまとめた。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

顧客育成とLTV向上に役立つコールセンター活用セミナー、元JADMA理事の柿尾氏も登壇【2/16開催】

7 years 10ヶ月 ago

通販コンサルティングなどのプロフィットセンターは2月16日(金)、「コミュニケーションを武器に通販CRMを強化せよ!~顧客育成・LTV向上に向けたコールセンター活用法~」をテーマにセミナーを開催する。

参加対象は、通販・EC企業の経営層、マーケティング部門責任者・担当者、情報システム部門責任者・担当者。

元公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)理事の柿尾正之氏を講師に招く。セミナーでは、顧客育成・LTV向上(CRM戦略)のためのコミュニケーション戦略や戦術に関する課題を解決するための考え方などを解説する。

プロフィットセンターは、新規顧客開拓や顧客育成、休眠顧客の掘起こし業務をアウトバウンドで行っているコールセンター企業。通販CRM領域に特化し、アウトバウンドによるコールセンター活用も説明する。

なお、当日は講師も参加する懇親会の開催も予定している。

開催概要

  • 日時:2018年2月16日(金)15:00~18:30(14:30受付開始)
  • 会場:TKP品川カンファレンスセンター4階 4C(東京都港区高輪3丁目26番33号 京急第10ビル)
  • 催:株式会社プロフィットセンター
  • 費用:無料(事前登録制)
  • 詳細と申し込みhttps://profit-c.com/event/

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

米アマゾンの2017年売上は約20兆円で30%成長、オンラインストア売上は約12億円

7 years 10ヶ月 ago

米Amazon(アマゾン)が2月1日に発表した2017年決算によると、売上高は前期比30.8%増の1778億6600万ドルだった。純利益は同27.9%増の30億3300万ドル。

2017年の為替レートを1ドル=112円で換算した場合、日本円ベースの売上高は19兆9209億9200万円、純利益は3396億9600万円となる。

セグメント別を見ると、オンラインストア売上は同20%増の1083億5500万ドル。日本円換算すると12兆1357億円。

第三者販売サービス売上(第三者が販売するサービスに関する手数料売上など)は318億8000万ドルで同41%増。

2017年から実店舗売上高を計上しており、大部分が買収したホールフーズ店舗とみられる。実店舗売上は57億9800万ドル。

定期購入売上(「Amazonプライム」の会員費など)は97億2200万ドルで同49%増。AWSは同45%増の174億5800万ドル。その他(広告サービスやクレジットカード契約などの売上)は46億5300万ドルで同62%増。

決算発表資料には創業者兼CEOであるJeff Bezos氏のコメントを記載し、現在注力しているとされるクラウドベースの音声認識サービス「Amazon Alexa」に言及。「他の企業や開発者がAlexaの採用を加速している重要なポイントに達した。社外の開発者から3万以上のスキルが生まれるなど、音声キットにメーカーから強い反応がある」などと記載している。

米Amazonが公表した2017年のハイライトは主に次の通り。

  • 世界中で50億以上のアイテムを出荷
  • Amazonプライムの会員数が増加
  • 家具のプライベートブランドとして2ブランドを投入
  • フルフィルメントサービス(FBA)では世界中の中小企業が扱う何十億アイテムを出荷
  • チェックアウト不要の「Amazon Go」をスタート
  • オーストラリアに進出し、直販とマーケットプレイス事業をスタート
  • オランダとルクセンブルク、シンガポールなどで「Amazonプライム」をスタート
  • ブラジルでの事業を拡大
米国のアマゾンが提供する「Amazonプライム」の会員数予測
米国のアマゾンが提供する「Amazonプライム」の会員数予測(調査会社CIRP社の予測)

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

企業存続率について考える/楽天、ウォルマートと提携【今週のネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

7 years 10ヶ月 ago

コンサルタントの竹内謙礼さんによる、楽天での店舗経営に関する独自の考察が話題になりました。2位も楽天の話題。今年の第3四半期までにウォルマートとネットスーパーの共同運営を開始します。

  1. 存続率24%の「楽天市場」で生き残れない店は、会社としての生存も難しい【竹内調査】

    2001年の楽天大学 受講者一覧から考察する企業存続率(連載第7回)

    2018/1/29
  2. 楽天、ウォルマートとの提携を発表。西友とネットスーパー事業を共同運営へ

    楽天が手がけるネットスーパー事業「楽天マート」は今後、西友と共同運営するネットスーパー事業に「統合していく」(三木谷浩史社長)

    2018/1/26
  3. 「Amazon Go」ついに一般向けにオープン! アマゾンがリアルでも着々と拡大中【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2018年1月12日~28日のニュース

    2018/1/30
  4. ECサイト20店を支えるたった4人のチーム。入社4年目のリーダーが実現したアパレル企業の社内改革

    vol.2 メンズアパレルの「PBI(ピー・ビー・アイ)」。若きリーダーの奮闘

    2018/1/31
  5. 「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2017」のグランプリはアパレルECの「soulberry」

    総合2位は自然食品を扱う「タマチャンショップ」、総合3位は「頑張る家具屋 タンスのゲン」

    2018/1/30
  6. 「Wowma!」始動から1年――最新の状況は? 売り上げを伸ばす方法は? 出店者とKDDICF社長のホンネ対談

    「Wowma!」の最新状況、成功する方法、有効施策などを解説【KDDIコマースフォワードの八津川博史社長とコージィコーポレーションのEC担当者の対談】

    2018/1/30
  7. 楽天、全国約2万局の郵便局での受取サービスを開始

    不在再配達の削減に向け、日本郵便との連携を強化した

    2018/1/31
  8. ECカートからカード情報が漏えい、カラミーショップ利用企業と消費者の情報が流出か

    流出した可能性があるカード情報は最大で合計約1万2000件、カード情報以外の情報流出は最大約7万7000件

    2018/1/29
  9. 丸井が「マルイウェブチャネル」で「自分の体に合う服だけを選べる」サービスを開始

    商品詳細ページで、過去に購入した商品とサイズを比較できる仕組を提供。肩幅や胸囲などのサイズによる絞り込み検索も導入した

    2018/1/26
  10. ヤマトフィナンシャル、カート&決済&配送機能を一本化したECプラットフォーム

    ECをこれから始める通販・EC事業者や、開始まもない事業者が主なターゲット

    2018/1/26

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

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「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイ、初のPB「ZOZO」を投入

7 years 10ヶ月 ago

ファッションECモール「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは1月31日、初のプライベートブランド(PB)となる「ZOZO(ゾゾ)」を発売した。取扱商品はTシャツとデニムパンツ。

カラーバリエーションはTシャツが4色、デニムパンツは3色。それぞれ男性用と女性用をそろえた。販売価格はTシャツが1200円、デニムパンツは3800円。

スタートトゥデイ初のプライベートブランド(PB)「ZOZO」のTシャツ

男性用Tシャツ

スタートトゥデイ初のプライベートブランド(PB)「ZOZO」のデニムパンツ

男性用デニムパンツ

「ZOZO」は、身体の寸法を計測できる伸縮センサー内蔵の採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の体型データをもとに、顧客1人ひとりの体型に合わせた商品をオーダーメイド方式で販売するのが特徴。

「ZOZOSUIT」は上下セットで、体にぴったりフィットする伸縮素材でできている。全身に伸縮センサーが張り巡らされており、ユーザーは着るだけで肩幅や胸囲、腹囲などを計測できる。計測データはスマホで読み取る。

「ZOZO」の商品開発において、商品1型あたり数千〜数万種類のサイズパターンを作成。高品質、短納期、低価格で製造するために、生産プロセスのIT化や自動化を図ったという。

注文から納品までのリードタイムは即日から約2週間以内。顧客の体型データと需要をあらかじめ分析し、高い需要が見込まれる特定のサイズパターンは、あらかじめ一定量の在庫を抱える予定。注文後すぐの発送を実現していくとしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

宅配便の再配達率は約15%、都市部は約17%で地方より高い

7 years 10ヶ月 ago

国土交通省は1月31日、2017年10月度の宅配便の再配達率は15.5%だったと発表した。人口密度が高い東京23区の「都市部」は17.1%で全体平均より高い。

調査対象はヤマト運輸の「宅急便」、佐川急便の「飛脚宅配便」、日本郵便の「ゆうパック」と「ゆうパケット」。2017年10月1日から31日の再配達率を集計した。

調査地域は「都市部」「都市部近郊」「地方」の3つに分類し、それぞれ再配達率を算出した。再配達率は「都市部」が17.1%、「都市部近郊」が14.7%、「地方」が13.5%。

2017年10月度の再配達率

  • 都市部:東京23区で人口密度が高く単身世帯の占める割合が高い区
  • 都市部近郊:東京都郊外の市町村で世帯人口が多いところ
  • 地方:人口の少ない都道府県の市町村で人口密度が低く世帯人口が多いところ

国交省の調査では、2016年度のトラック輸送による宅配便の取扱個数は前年度比7.3%増の39億5689万個。航空便の荷物を含めると40億個を超えている。

宅配便再配達率の調査は、毎年4月と10月に行う予定。国交相は再配達率を継続的に把握し、宅配ボックスの推進などを通じて宅配便の再配達削減に取り組む。総合物流施策推進会議がまとめた「総合物流施策推進プログラム」に基づいて実施する。

国交相は2014年12月にも宅配便再配達率を調査した。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便を対象としたサンプル調査では、1回の配達で完了する割合は80.4%。取扱個数の約2割が再配達だった。2014年12月の調査は、2017年10月の調査と調査方法が異なるため、数値を比較できず、連続性は担保されていない。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

オイシックスドット大地、らでぃっしゅぼーやを買収

7 years 10ヶ月 ago

有機野菜などの食品宅配を展開するオイシックスドット大地は1月30日、会員制の食品宅配事業を手がける、らでぃっしゅぼーやを完全子会社化すると発表した。

NTTドコモが所有する、らでぃっしゅぼーやの全株式を2月28日に買い取る。取得価額は10億円。

オイシックスドット大地は、らでぃっしゅぼーやの買収でグループの年間売上高は550億円規模になる見通し。

らでぃっしゅぼーやは物流面で、全国6拠点(札幌、仙台、東京、神奈川、愛知、大阪)に物流センターとコンシェルジュ機能を有したらでぃっしゅクルー(配送スタッフ)による自社便配送網を保有。

2017年10月に配送料を改定し、宅配料金が値上げ傾向にあるなか、無料対象枠を拡大して利便性の向上を実現した。

2社は調達や購買、デジタルマーケティングなどで相乗効果を創出し、収益性の改善をめざす。生産者ネットワークは合計5100人となる。

3月1日以降、らでぃっしゅぼーやの代表取締役社長にはオイシックスドット大地の代表取締役社長の高島宏平氏が就任する予定。

らでぃっしゅぼーやの2017年2月期における売上高は、前期比11.4%減の197億8600万円だった。当期純利益は900万円(前期は13億700万円の赤字)。

NTTドコモがオイシックスに3%出資

オイシックスドット大地とNTTドコモは2月に資本業務提携を結ぶ。NTTドコモがオイシックスドット大地に3%を出資。2018年6月をめどに、NTTドコモからオイシックスドット大地へ社外取締役を派遣する。

2社は共同で、多種多様な商品を取り扱うミールキット専用のECサイトを2018年中にも立ち上げる。

「ミールキット」は、必要な量の食材とレシピがセットになった商品。オイシックスドット大地が販売しているミールキット「Kit Oisix」は2013年7月の発売以来、シリーズ累計の出荷数は2017年12月までに800万食を超えたという。

オイシックスドット大地は、2017年10月にオイシックスと大地を守る会が経営統合して誕生。NTTドコモは2012年にらでぃっしゅぼーやを子会社化していた。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

スマホグッズECのHameeがコンサル領域に進出、JSコンサルティングを買収へ

7 years 10ヶ月 ago

スマホグッズのECや一元管理システムの提供などを行うHameeは1月30日、EC事業者向けコンサルティングサービスを手がけるJSコンサルティングを買収すると発表した。

EC向けプラットフォーム「ネクストエンジン」のサービス領域を、バックオフィスからフロントオフィスへ拡張。システムからコンサルティングまで、EC事業者の成長ステージにあわせたサービスを提供する。

JSコンサルティング社の発行済株式の100%を取得する。取得日は2018年4月1日。取得価額は3億5000万円の予定。

JSコンサルティングは2014年11月設立。自社ECサイトや楽天市場、Yahoo!ショッピング、AmazonなどのECサイトを対象に、サイト分析、コンサルティング、制作代行、運営代行などを行っている。

2017年10月期の売上高は前期比338.8%増の1億7330万円。当期純利益は1978万円(前期は129万円の赤字)だった。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

アマゾン、オイシックスドット大地など登壇の全66講演のセミナー&展示会の見どころは?【2/13-14開催】

7 years 10ヶ月 ago

オイシックスドット大地やアマゾンジャパンなど有名EC企業のセミナー全66講演、ECのサービス支援会社90社(1月30日現在)が一同に集まるセミナー&展示会のECイベントが2/13(火)+14(水)の2日間にわたって東京ビッグサイトで開催される。

ECサイト構築、デジタルマーケティングを使った集客、物流などさまざまなテーマのセミナーや出展者が集まる「イーコマースフェア 2018」の見どころなどを紹介する。

日本最大級のEC・通販業界の一大イベント「イーコマースフェア 2018」

「イーコマースフェア 2018」の見どころ

  • 有名EC企業のセミナー全66講演
  • ECのサービス支援会社90社が出展
  • 新設テーマエリア(インバウンド・越境ECエリア、スマート・ロジスティクスエリア、BtoBソリューションエリア)

全66講演のセミナーを実施

オイシックスドット大地、アマゾンジャパン、アダストリア、ディノス・セシール、フェリシモなど有名EC企業などがさまざまなテーマでECの取り組みについて語る2日間。

編集部が注目する5講演を紹介する。

[基調講演]
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法顧客へのアプローチが変わる10のメソッド 
2月13日 9:15〜10:15

オイシックスドット大地 執行役員 西井 敏恭氏

デジタルマーケティング界隈で有名な西井氏が解説するのは、「ECに携わって15年の経験から築き上げてきた基本的な数字の見方、やるべき施策の優先順位など」。オイシックスドット大地の事例を踏まえて、実践的なデジタルマーケティングによる「顧客と売上の作り方」を解説する。

オイシックスドット大地 執行役員 西井 敏恭氏
オイシックスドット大地
執行役員 西井 敏恭氏

[基調講演]
テクノロジーの進化が変えるリテール/消費社会の未来 
2月14日 9:15〜10:15

ローランド・ベルガー プリンシパル 福田 稔氏

ローランド・ベルガーはヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社。これからの10年間、小売り・流通市場はかつてないほどの変革が起きると予想する福田氏が、未来のリテールの在り方、リアルとECの関係性、消費社会の変化を大胆に予測する。

ローランド・ベルガー プリンシパル 福田 稔氏
ローランド・ベルガー プリンシパル 福田 稔氏

[特別講演]
中国越境ECの動向と今後 
2月13日 10:15〜11:00

日本貿易振興機構(JETRO) ものづくり産業部生活関連産業課 課長代理 草場 歩氏

草場氏が解説するのは中国向け越境EC。日本の商品に対する現地消費者の信頼度、所得向上に伴うライフスタイルの変化、ネット経済の進展に伴う消費・流通構造の変化などを踏まえ、中国の越境EC概況を解説する。

日本貿易振興機構(JETRO) ものづくり産業部生活関連産業課 課長代理 草場 歩氏
日本貿易振興機構(JETRO)
ものづくり産業部生活関連産業課
課長代理 草場 歩氏

[特別講演]
AIロボットによる物流改革 作業現場の人手不足解消、業務効率化の効果に迫る 
2月14日 10:15〜11:00

アッカ・インターナショナル 代表取締役 加藤 大和氏

中国EC大手のアリババグループも使うAI搭載の物流ロボット「Geek+」(ギークプラス)を導入したアッカ・インターナショナル。AI物流ロボット導入により作業現場にもたらした効果(省人化、作業効率化)、将来の物流現場の在り方、倉庫内ロボットの選定方法などについて解説する。

アッカ・インターナショナル 代表取締役 加藤 大和氏
アッカ・インターナショナル 代表
取締役 加藤 大和氏

[BtoB通販]
アマゾンによる新たな企業向け(B2B)マーケットプレイス”Amazon Business”についてご紹介いたします。
2月14日 16:00〜16:45

アマゾンジャパン Amazon Business事業本部 事業本部長 星 健一氏

2017年9月にアマゾンジャパンが始めたビジネス向けの新サービス「Amazon Business」。企業の購買担当者、販売事業者が「Amazon Business」を利用するメリットについて紹介する。

アマゾンジャパン Amazon Business事業本部 事業本部長 星 健一氏
アマゾンジャパン
Amazon Business事業本部
事業本部長 星 健一氏

ECのサービス支援会社90社が出展

変化の激しいEC業界で、その時期のトレンドを把握しておくことはとても重要なこと。「イーコマースフェア 2018」は新サービスや新製品などの情報をキャッチすることができるイベント。

今回、出展するのは86社(1月22日現在)。ECサイト構築、集客、マーケティング支援、バックヤード支援、決済、オムニチャネル、ビッグデータ戦略、越境EC、物流など、EC事業に関わる支援サービスが一堂に会する。

UBMは、「EC、通販ビジネスにおける注目分野、また課題とされるテーマの解決のヒントとなるような出展製品を展示する」と説明している。

当日の出展企業は次の通り。

  • アイテック阪急阪神
  • アイル
  • アクアリーフ
  • アクティブ・ワーク
  • アドウェイズ
  • アドブレイブ
  • アピリッツ
  • いつも.
  • インプレス
  • イーグラント
  • ECのミカタ
  • ecbeing
  • ECホールディングス
  • イー・ロジット
  • ウェブテクノロジ・コム
  • SBクリエイティブ
  • NRIセキュアテクノロジーズ
  • NEC
  • NTTドコモ
  • NTTレゾナント
  • FID
  • MF KESSAI
  • エルテックス
  • オージーフーズ
  • かっこ
  • ギークプラス
  • クリーブウェア
  • Criteo
  • コマースニジュウイチ
  • これから
  • サイトコア
  • シクロマーケティング
  • Shopify
  • シナブル
  • JSコンサルティング
  • ジェイエスフィット
  • 順豊エクスプレス
  • GMOメイクショップ
  • 鈴与
  • スタークス
  • スターフィールド
  • スマートショッピング
  • スレットメトリックス
  • 千趣会
  • セールスフォース・ドットコム
  • Zendesk
  • ZETA
  • ソフトバンク・ペイメント・サービス
  • ソニーペイメントサービス
  • Dai
  • 醍醐倉庫
  • 大日本印刷
  • ダイレクトマーケティングゼロ
  • タナックス
  • w2ソリューション
  • DNPロジスティクス
  • ディーエムエス
  • 特攻店長
  • ドーモ
  • Tunnel
  • ニコンシステム
  • 日光企画
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新設テーマエリア

2018年は新たに、3つのテーマアリアを新設した。

①インバウンド・越境ECエリア

言語や習慣の違いなどから対応が難しく課題の多い海外ビジネスにフォーカスしたインバウンド・越境ECエリアを開設。訪日外国人向け「インバウンド」、「越境EC」ビジネスへの新規参入、海外への販路拡大をめざす事業者に向け、最適な製品・サービスを展示

インバウンド・越境ECエリア出展製品例

海外マーケティング、翻訳などのインバウンドビジネスサポートから越境ECパッケージ、運営代行、決済などの製品・サービスを紹介

②スマート・ロジスティクスエリア

EC・通販事業の重要課題である「作業現場の人手不足」「再配達問題」「配送料の高騰」。こうした課題を解消するための倉庫内物流から発送までをカバーした製品・サービスが集結

出展社名

イー・ロジット、ギークプラス、スタークス、大日本印刷、タナックス、順豊エクスプレス、DNPロジスティクス、フェデックス エクスプレス、沼尻産業、BERTRAND(2018年1月30日現在)

スマート・ロジスティクスエリア出展製品例

AI(人工知能)搭載物流ロボット、国内・海外発送代行、物流フルフィルメント、

WMS(倉庫管理システム)など

③BtoBソリューションエリア

成長市場として近年注目されているBtoB-EC。受発注業務の負担削減、売上拡大への貢献だけでなく、独自の商習慣への対応を可能にする多数のシステム・サービスを紹介

出展社名

アイル、Dai、ハモンズ、ヤマトクレジットファイナンス、ユニヴァ・ペイキャスト、ラクーン、WACUL(2018年1月30日現在)

イベント概要

  • 名称:イーコマースフェア 2018 東京(第11回)
  • 会期:2018年2月13日(火)・2月14日(水)
  • 時間:10:00-17:30(受付開始9:30〜/基調講演受付開始8:45〜)
  • 会場:東京ビッグサイト西3・4ホール
  • 主催:UBMジャパン株式会社
  • 合同開催:マーケティング・テクノロジーフェア 2018(第6回)、コンテンツマーケティングジャパン 2018(第2回)
  • 詳細と申込:http://www.ecommerceexpo-japan.com/index.php
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米アマゾンがファッション関連の販売手数料UPを発表、プライム会員費の値上げも実施 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

7 years 10ヶ月 ago

Amazon(アマゾン)は、出品サービス「Amazonマーケットプレイス」を利用して衣料品などを販売している事業者の販売手数料が2月から引き上げる予定です。また、「Amazonプライム」会員の月会費を2ドルほど引き上げました。

衣料品とアクセサリーの手数料は15% → 17%に変更

アマゾンはマーケットプレイスの販売事業者、および消費者に影響を及ぼす「Amazonプライム」の価格改定を発表しました。

「Amazonマーケットプレイス」の販売事業者に関し、マーケットプレイスで売れた各商品に課す販売手数料と、カテゴリーごとに規定している成約手数料(編注:日本ではメディア商品<本、ミュージック、ビデオ・DVD>が対象)を変更します。

アパレルとアクセサリー、靴、ハンドバッグ、サングラスのカテゴリーで手数料を引き上げる予定なのです。

現在、上述したカテゴリーについてアマゾンは、売上金額(税抜き)の15%、最低手数料1ドルを販売事業者に請求していますが、4月15日から衣料品とアクセサリーの手数料を17%に引き上げます

日本のアマゾン出品サービスの販売手数料
編注:日本のアマゾン出品サービスの販売手数料(画像は編集部がキャプチャして追加)

靴、ハンドバッグ、サングラスは販売金額によって手数料が変わります。75ドル以下の商品の手数料は変更がありませんが、75ドル以上の商品には18%の手数料を課すことにしました。最低手数料1ドルに変更はありません。

ジュエリー商品の販売手数料は2月22日から変更になり、新手数料は1年間有効となります。現在、ジュエリー商品の販売手数料は20%で、最低手数料は2ドル。今後は250ドル以下の商品の手数料は20%のままで、250ドル以上の商品は基準価格(250ドル)を超えた金額に5%の手数料が加算されます。

たとえば、マーケットプレイスで300ドルの指輪を販売している事業者に対して、アマゾンはこれまで60ドルの販売手数料(販売価格の20%)を請求していました。2018年2月22日からは、販売手数料が52.50ドルに変わります(250ドル分に50ドル、残り50ドル分に2.5ドルの販売手数料)。

ジュエリーを販売するマーケットプレイスの販売事業者は、高い商品を売ればアマゾンへの支払い手数料が安くなります。一方、衣料品とアクセサリーの販売事業者は、アマゾンで販売すると従来よりも高い手数料が請求されます。

アマゾンは近年、ファッションカテゴリーに注力し、アパレル関連が急成長を遂げています。One Click Retail社の予測によると、2017年7~9月期(第3四半期)のアパレルの売り上げが、前年同期の9億1000万ドルから32%増の12億ドルまで拡大しています。

アマゾンのベビー用品売上(2017年3Qと2016年3Qの比較)
One Click Retail社の予測によるアマゾンのベビー用品売上(2017年3Qと2016年3Qの比較)。ベビーアパレルはアパレルジャンルでも最も高い成長率を記録しているという
アマゾンはファッションジャンルも制するのか? オリジナルブランドの衣類が好調なワケ ワンピースで成功しているアマゾンのオリジナルファッションブランド(オリジナルブランドの商品別売上構成比:アマゾンとメイシーズの比較)
アマゾンが販売するオリジナルブランドの商品別売上構成比率
  • ターコイズブルー:トップス・Tシャツ
  • 黒:パンツ
  • カーキ:ジャケット・コート
  • 青:セーター
  • オレンジ:ワンピース
  • 紫:その他
出典:Slice Intelligence社

マーケティング会社CPC Strategy社の最新調査によると、オンライン通販で衣料品を購入している消費者の半分以上(52%)が、直近の6か月間で、アマゾンで衣料品を購入したと答えています。

今回の販売手数料の改定は、アマゾンの配送サービス、FBA(フルフィルメントバイアマゾン)を利用している販売事業者にも影響を与えそうです。2月22日から適用される改定手数料の詳細はこちらです。

アマゾンの今回の発表には、消費者に影響を与える改定も含まれています。アマゾンはプライム会員の月会費を2ドル引き上げたのです。すでに適用されている新しい月会費は、従前の10.99ドルから12.99ドルに変更しました。

月ごとにプライム会員費を1年間支払った場合、年間155.88ドル払うことになり、従来の131.88ドルから18%も高くなります。一方、プライム会員費を一括支払いする年会費は従来通り99ドルのままです。アマゾンは2012年、プライム会員の会費を月単位で払えるように仕様変更しています。

アマゾンが2017年6月に導入した、政府から支援を受けている消費者がプライム会員になった場合の特別会費は月5.99ドル。これまでと変更はありません。

プライムスチューデントの月会費は1ドル引き上がり、今までの5.49ドルから6.49ドルに変更となりました。

インターネットリテイラー社発行「全米EC事業 トップ500社 2017年版」で第1位のアマゾンは、プライム会員の正確な人数を公表していませんが、16か国で数千万人の会員がいると話しています。

株式関連の調査会社CIRP社は、2017年9月30日の時点でプライム会員の数は9000万人以上と予測。全米のアマゾン利用者の63%がプライム会員になっていると言われています。

米国のアマゾンが提供する「Amazonプライム」の会員数予測
米国のアマゾンが提供する「Amazonプライム」の会員数予測

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

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2018年のEC市場で勝つカギは「多店舗展開」「海外販売」「バックヤード自動化」

7 years 10ヶ月 ago

市場環境がめまぐるしく変わるEC業界で、2018年にEC事業者が取り組むべき施策とは何か? ECのコンサルティングや運営代行などで8400社以上の企業を支援してきた実績や経験を持つ、いつも.が、ECのテクノロジーなどで一歩先を行く米国・中国、チャンスがありそうな台湾といった海外市場のトレンドを踏まえ、EC企業が採るべき成長するための戦略を解説した。 写真◎Lab

2018年は「多店舗展開」「越境EC・海外進出」「バックヤード自動化」が鍵に

自社ECサイトやECモールの運営支援、越境EC、オムニチャネル、バックヤード改善などを支援している、いつも.の立川哲夫氏(事業推進部 兼 グローバルEC事業部 事業部長)があげたEC企業が取り組むべき戦略は、①多店舗展開による市場シェア拡大 ②海外を視野に入れたチャネル拡大 ③バックヤードの自動化――の3点。

株式会社いつも.事業推進部 兼 グローバルEC事業部 事業部長 立川哲夫氏
株式会社いつも.事業推進部 兼 グローバルEC事業部 事業部長 立川哲夫氏

① モールを活用した多店舗展開は必須

成長戦略の1つ目は、国内の主要なECモールに出店し「多店舗展開」を行うこと。近年のEC業界で売り上げを伸ばすには、「国内の主要ECモールを徹底して活用することが重要になっている」(立川氏)と言う。

国内のEC売上高上位400社のうち70%以上が多店舗展開を手がけていることを紹介し、「成長しているEC事業者はECモールを積極的に活用している」(立川氏)と指摘。

「楽天市場」「Amazon.co.jp」「Yahoo!ショッピング」「Wowma!」といった主要ECモールに出店し、モール内SEOや広告運用によってモール内検索でのシェア(露出)を高めていくことが重要だ。極端に言えば、2018年はこれを徹底するだけで業績は十分伸びる。(立川氏)

日本のEC上位企業の動向 モール利用率76%
国内のEC売上高上位400社のうち76%はECモールに出店している

ECモールを活用した多店舗展開の重要性が高まっている理由について立川氏は、①Googleの検索エンジンを使った商品検索では、表示順位の上位は主に大手ECモールが独占している大手ECモールは桁違いの販促投資を行っており、集客力が非常に高い――この2点をあげた。

検索エンジンの上位は大手が独占

現在、Googleの検索エンジンでEC関連の主要キーワードを検索すると、自然検索もリスティング広告も1ページ目に大手ECモールで扱っている商品情報が表示されるケースが多い。

特に、検索ボリュームが大きいビッグワードの検索結果の上位は、莫大な広告予算を持つ大手企業によるリスティング広告、またはSEOに強い企業の商品情報が目立っている。また、リスティング広告の人気キーワードもECモールや大手EC企業が上位を独占する傾向が強まっているという。

中小のネットショップがGoogleの検索エンジンを軸に集客することは、数年前と比べて難しくなりつつあるECモールと正面から競争するのではなく、ECモールの集客力を利用することを考える必要があるのではないか。(立川氏)

例えば・・「レディース財布」で検索
Google検索におけるECのビッグワードは、検索結果の上位をECモールや大手サイトが独占している

ECモールは莫大な販促費で集客

多店舗展開の重要点である2つ目の理由として、「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon.co.jp」「Wowma!」「ポンパレモール」といった主要ECモールの運営企業が、テレビCMやポイント還元などの販促施策に莫大な投資を行っていることをあげた。

大手ECモールは毎年、億単位、十億単位の販促費を投じてモールに消費者を集客している。また、「楽天市場」や「Amazon.co.jp」といった大手モールのショッピングアプリの利用者はすでに数千万人規模に達した。EC事業者はECモールの集客力を積極的に活用した方がいい。(立川氏)

立川氏は国内の大手ECモールの流通額が、推定で年率5~10%程度のスピードで伸びていると説明した上で、「今後もECモールの存在感が高まると予想される中、ECモールに出店していないと、出店している競合に市場シェアを奪われる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

② 米国、中国、台湾といった海外EC市場の攻略

2018年の成長戦略の2つ目にあげたのは「越境EC・海外進出」。海外でEC事業を成功させるにはハードルは高いものの、「5年後、10年後を見据えると、特に中国や北米の市場は、今から取り組んでおく必要があると判断している企業は増えている」(立川氏)と言う。

気になるのは、現在の海外EC市場に関する環境だ。立川氏はクライアントの越境ECを支援してきた知見を踏まえ、日系企業の進出先として注目を集めている米国、中国、台湾の市場動向を説明した。

株式会社いつも.事業推進部 兼 グローバルEC事業部 事業部長 立川哲夫氏
いつも.は、米国最大級のECイベント「IRCE」の日本公式パートナー

【米国】EC市場シェア4割を握るAmazonの活用が必須

立川氏は、米国のEC市場は2017年時点で推計約40兆円(いつも.社の推計)に達しており、市場シェアの約4割を「Amazon.com」が握っていると話す。近年はAmazonのシェア拡大が目覚ましく、メイシーズやJCペニー、シアーズ、ウォルマートといった老舗百貨店やスーパーマーケットなど、多くの小売企業が店舗削減に追い込まれているという。

また、18~29歳の消費者の63%はインターネットで買い物をする際、最初にAmazonで商品を検索するといった調査結果もある。こうしたことを踏まえ、「日系企業が米国でECに取り組むなら、まずは『Amazon.com』を活用することが欠かせない」と説明する。

その他:47%Amazon:53%
2016年EC市場の成長率のシェアで、アマゾンは半分以上を占める(53%)
黒:その他 オレンジ:アマゾン
出典:Slice Intelligence
参照:https://netshop.impress.co.jp/node/3985

また、スポーツブランドのNIKEが「Amazon.com」で直販に乗り出していることなどを紹介し、「小売業界のルールは従来とは大きく様変わりした。こうしたトレンドは、数年以内に日本でも起こる可能性がある」(立川氏)。

【中国】成功の鍵を握るのは「保税倉庫」

続いて立川氏は中国ECのEC市場を解説した。いつも.の推計によると、中国のEC市場は現在約100兆円。「Tmall.com」と「JD.com」の大手2社が市場の約80%を独占しており、その他、唯品会(VIP)や蘇寧電器(SUNING)などのECサイト、ECモールがある。

2017年の「独身の日」にアリババの受注額が前年比39%増の約2兆8000億円に達したことにも触れ、「規格外の成長を遂げている」(立川氏)と指摘。また、アリババの流通額に占めるモバイルEC比率が約90%に達していることにも触れ、モバイルEC比率の高さが現在の中国市場の特徴だと強調した。

中国は温度管理で配送を対応するコールドチェーンが急速に整いつつあることや、インターネットの5G環境も普及する見通しであることから、「2020年にはECが中間所得層にも浸透し、EC利用者は約7億人、EC市場は180兆円程度まで拡大するのではないか」と立川氏は予想する

中国のBtoC市場
中国は「Tmall」と「JD.com」の市場シェアが大きい

いつも.は日系企業の中国進出を支援するため、中国企業との合弁会社を設立。そして、「JD.com」やヤマトグローバルロジスティクスと提携し、日系企業の越境ECを支援している。

直近2年間で中国への越境ECを支援してきた経験から、「国内から中国にEMS(国際スピード郵便)で商品を配送する『直送モデル』は通用しにくい」(立川氏)と感じているという。

直送モデルは現地に在庫を持たないため、在庫リスクがなく、初期投資も少なくて済むというメリットがある。一方、配送日数が1週間以上かかったり、荷物1個あたりの送料が割高になったりするため、価格競争やサービス競争で現地のEC事業者に見劣りしてしまう

そのため、いつも.は現在、中国の保税倉庫に在庫を保管して中国ユーザーに商品を販売する「保税区モデル」を推奨している。また、ある程度まで規模が拡大したら、現地のディーラーに商品を卸売りする「卸モデル」や、中国への一般貿易で現地から販売するモデルを組み合わせることが成長には必要だという。

近年、中国ECで売り上げを伸ばしているウォルマート、シーメンス、オルビスなどが、こういった販売モデルを採用している。「保税区モデル」は越境ECでは現在もっとも成功確率が高いスキームだ。(立川氏)。

いつも.が支援している事例では、中国・寧波の保税倉庫などから商品を出荷することで、リードタイムを注文後1~4日間、注文1件あたりの物流コストはEMS直送の3分の1以下に抑えているという。保税倉庫を使った配送はJD.comの物流部門と連携して行っている。

当社のJD.com連携 中国越境EC支援専門のFRANK&いつも.設立
JD.comと連携し、保税倉庫を活用して行う中国越境ECのスキーム

【台湾】先行者利益が望める有望市場

日系企業の進出が増えている台湾市場についても解説した。台湾は現在、日系企業が安定してECの売り上げを伸ばすことができる市場という。「化粧品や健康食品など単品通販企業を中心に、中国ECで苦戦した企業が目先を変え、こぞって台湾に進出している」(立川氏)。

台湾は親日家が多いとされ、他国と比べて顧客を獲得しやすいという。

日本のWebでの販促手法が通用しやすく、CPA(顧客獲得単価)やCPO(注文獲得単価)などの指標が日本のEC市場の半分程度と安い。GoogleアドセンスやFacebook広告などを使って積極的に販促投資を行い、先行者利益を取りに行く通販企業が目立つ。(立川氏)

台湾のEC市場はECモールの市場シェアが高い。そのため、「Yahoo!台湾」「momo購物網」「PChome」といったECモールを活用することが欠かせないと強調した。

一方、台湾の人口は約2500万人、EC市場は3兆5000億~4兆円と言われており、マーケットは日本の4分の1程度にとどまる。台湾進出の事業計画を立てる際は、売上目標を国内ECの10%程度に設定する企業が多いという。

③ 配送費値上げを受け、必要性が高まる「バックヤードの自動化」

立川氏が2018年の成長戦略の3つ目にあげたのは、ECのバックヤードの自動化だ。受注管理システムを導入して注文処理を自動化した上で、基幹システムや物流システム(WMS)を連携することで受注から出荷までの工程を自動化する必要性が高まっているという。

特に重要視しているのが「受注スルー率」。すべての注文件数のうち何割が、受注から出荷指示データ送付まで自動化されているかを示した数値を意味する。

ECサイトに注文が入ってから出荷指示までの業務において、EC担当者が何もしなくても業務ステータスが進む体制を作ることで、「出荷スピードの向上、業務効率の改善、土日出荷の実現、フルフィルメントコストの削減など、さまざまな効果が期待できる」(立川氏)。

配送会社が運賃を値上げし、通販会社のコスト削減が課題になるなか、フルフィルメントコスト全体を見直す上で「受注スルー率」を高めることの重要性は増しており、EC業界では大手を中心に多くの企業が「受注スルー率」の向上に取り組んでいるという。

Amazonやヨドバシなどの「受注スルー率」は95%以上と言われている。だから土日や夜間も迅速に出荷できる。そのサービス水準の高さが消費者から支持されている。(立川氏)。

配送費用値上げに対応(自動化)粗利益高 従来 フルフィルメント比率
フルフィルメントコスト全体の見直し、適正化が求められている

ECの枠組みを早期に決断する

最後に立川氏は、「2018年の成長戦略において大事なことは、国内のECモールであれ、海外進出であれ、どのチャネルをどう攻めるか早期に決断すること」と強調した。

国内のEC市場は、大手小売業のオムニチャネル化が進んでいる他、大手メーカーも直販に続々と本格参入している。こうした市場環境を踏まえ、「何をすべきか迷っている時間はない。2020年を見据えて、多店舗展開、海外進出、バックヤードの効率化の枠組みを早期に決めることが成功につながる」と訴えた。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

中国越境ECのインアゴーラが地銀出資企業と提携、地方企業の出店を強化

7 years 10ヶ月 ago

日本の商品に特化した中国向け越境ECプラットフォーム「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」を運営するインアゴーラは1月24日、出店取次ぎパートナー契約を結んだGLコネクトとの取り組みを1月から本格的に開始したと発表した。

GLコネクトは伊藤忠商事、あおぞら銀行、鹿児島銀行、荘内銀行、十六銀行、東邦銀行、伊予銀行などが共同出資する企業。国内外の企業に対するファイナンス業務、海外ビジネスサポート業務などを手がけている。

株主である各銀行と協業し、インアゴーラに地方企業の紹介を行うという。

インアゴーラは出店取次ぎパートナー契約を結んだGLコネクトとの取り組みを1月から本格的に開始

地銀などを通じて地方企業の出店を開拓する

インアゴーラは2017年12月、100年以上の歴史を持つ老舗日本企業100社を集め、「ワンドウ」で販売する「100年100社プロジェクト」をスタートしている。

インアゴーラが運営する「豌豆プラットフォーム」は、商品情報の掲載、物流、決済、マーケティング、顧客対応、他チャンネル展開などの全工程をインアゴーラが担う。

カゴメやカルビー、阪神阪急百貨店、キリン堂などが出店しており、出店企業数は2017年11月時点で210社。約2600ブランド、約4万種類の商品を取り扱っている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

メガネスーパー、LINE@で近隣店舗の在庫検索と商品取り置きが可能に

7 years 10ヶ月 ago

「メガネスーパー」などを展開するビジョナリーホールディングスは1月29日、LINEのビジネス向けアカウント「LINE@」を活用し、近隣店舗の在庫検索と商品の取り置きを行える新サービス「コンタクト レンズ在庫検索&取り置き」を開始した。

LINEのAPIを利用して買い物の利便性向上を図る。 

ビジョナリーホールディングスグループが展開する「メガネス ーパー」「メガネハウス」「シミズメガネ」の店舗が対象。

「LINE@」のアカウント「コンタクト在庫検索│ビジョナリ―HD 」を友だち登録し、使用しているコンタクトレンズの商品名と度数を登録した後、位置情報を送信すると、当該商品の在庫が存在する店舗を近い順に表示する。

店舗を選んで「取り置きボタン」を押すと、翌営業日まで商品を取り置くことが可能。

ビジョナリーホールディングスは「LINE@」を活用し、近隣店舗の在庫検索と商品の取り置きを行える新サービス「コンタクト レンズ在庫検索&取り置き」を開始

新サービスの概要

「メガネスーパー」は、店舗での購入履歴から簡単にコンタクトレンズを注文できるスマホアプリ「コンタクトかんたん注文アプリ」を展開するなど、店舗とデジタルを組み合わせて利便性向上に取り組んでいる。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ECサイト20店を支えるたった4人のチーム。入社4年目のリーダーが実現したアパレル企業の社内改革 | STORY of BACKYARD ─ECサイトの裏方たち─

7 years 10ヶ月 ago

メンズアパレルのネット販売を手がける株式会社ピー・ビー・アイ(以下、PBI)。通販で高い人気を誇るメンズファッショブランドの「SILVER BULLET(シルバーバレット)」と言えば、わかる人も多いだろう。

PBIのECサイトは20店舗にもおよぶが、各店舗の受注とカスタマーサービスを担うのは、たったの4人という少人数体制。少数精鋭のスタッフが、お客さまからの質問に答える「コーディネート相談室」を展開するなど、他にはないサービスを行っている。少人数でこれだけのことを果たしている裏側はどうなっているのだろう……? 舞台裏を知るべく、PBIのバックヤードを訪ねた。

PBI社内
「SILVER BULLET」は2007年と2014に楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得している。オフィスの中には最新のアイテムが所狭しと並ぶ

バックヤードの業務は注文の処理、商品交換や返品対応、商品の問い合わせに関する電話対応など多岐に渡る。 例えば、ある日のスケジュールはこんな感じだ。

9:30 出社。注文系のメールの返信
10:00 始業。受注処理開始
11:00 顧客対応
12:00 受注処理終了。返品された商品を開封。交換対応なども合わせて行う。新製品やコーディネートなどをSNSに投稿。最近はInstagramに力を入れている
13:00 昼休憩。ランチにはあまり出向かず、お弁当を社内で食べることが多い
14:00 2度目の受注処理。15時までの注文は即日発送を行っている
15:00 顧客対応など。メールと電話の対応やデータの集計作業など。キャンセル率などを集計し、会社の全体会議で共有する
16:00 発送のための倉庫とのやりとり。倉庫は平和島にあり、毎日電話でやりとりをしている
17:00 発送終了後は自由時間。SNSの画像を作ったり、それぞれ自分のやりたい仕事や持っている仕事を行う
19:00 終業

カスタマー部リーダーの無津呂晴菜さんが入社したのは3年前。無津呂さんはPBIのバックヤードに大きな改革をもたらした立役者だ。今は「仕事が楽しくてしょうがない」と語る無津呂さんだが、入社した頃はまったく違う状況だった。

無津呂さん
アパレルの販売からネット通販未経験で入社した無津呂さん。「もともと人が好きなんです。人と話すのも好きだし、協力して何かを達成するのが楽しいタイプ」

業務改革の理由は「スタッフにつらい思いをして欲しくないから」

入社した最初の1年間は「ただつらかった」。PBIの繁忙期は楽天スーパーセールが行われる時期や福袋のシーズンだが、それ以外の時期も業務が山積みになっていることが常態化していた。膨大な仕事量に翻弄され、仕事が終わらない、帰れない。助けてくれる人はいても個人プレーが多く、チームワークは望めなかった。

カスタマー部のリーダーになった時、無津呂さんは自分の部下になったスタッフにあんなにつらい気持ちになってほしくないという思いで、「カスタマー部を改革しよう」と決意した。

無津呂さん

無津呂さんがまず行ったのが業務の洗い出し。「この作業は面倒だな」「時間がかかるな」と思うところを洗い出し、導入しているバックヤードサポートサービス「CROSS MALL」で使えるものがないか模索した。

改めてシステム運用を見直してみると、業務を効率化できるツールがいくつもあった。例えば、お問い合わせメールの返信。 それまでは担当者がそれぞれのメーラーから返信していたため、文面を共有することができていなかった。

お客さまからのお問い合わせメールは2種類ある。1つは注文に関するもので、住所変更やキャンセルなど、ノウハウがなくても対応可能なものだ。無津呂さんは、注文系のメールはすぐに返せるようにテンプレ化してCROSS MALLに登録し、通販部全体で共有することで迅速な対応が可能になった。

注文系はスピードが命。お客さまは「ちゃんと変更できるのか」「ちゃんとキャンセルできるのか」と不安になっていらっしゃるので、対応が遅いとメールに加えて電話までいただくことになってしまいます。余計な手間をかけさせないよう、お問い合わせには朝一番に対応するようにしています。 (無津呂さん)

もう1種類の問い合わせは、商品やコーディネートに関する、マニュアルでは答えられない質問だ。これには商品知識や顧客対応スキルが試される。

お客さまからのお問い合わせはさまざまです。特に「フーガ」や「シヴァーライズ」などの“お兄系”ファッションでは、サイズ感や素材感を気にされる方が多いですね。素材感がわからないときは、在庫がある倉庫に電話をして、スタッフに「どんな感触?」と聞いてお答えすることもあります。 (無津呂さん)

ネットでは伝わらないサイズ感などを伝えるために、スタッフが試着し、写真を送って確かめてもらうこともあるという。

社内風景

「ネット通販を使ったことがない」または「ネット通販を信頼できるのか不安」というお客さまも多い。不安を解消するために親身な対応を心がけている。

お客さまの中には10代から20代で、ネット通販を使ったことがない方も多くいらっしゃるので、その時にはお電話で説明しています。皆さん、雑誌やInstagramで憧れのモデルが着ている服を見て「この服が欲しい」と言ってくださるんです。「こうなりたい!」という気持ちがすごく伝わってくるので、その手助けをしてあげたいと思っています。 (無津呂さん)

お客さまの「こうなりたい」を叶えたい

PBIの徹底した顧客思いの対応が現れているのが、Webサイトで展開されている「コーディネート相談室」。「今年は何が流行るの?」「うまく着こなせない」「もっとオシャレになりたい」─お客さまのそんな思いに応えるために立ち上げた企画だ。

「コーディネート相談室」TOPページ
ファッションに関する相談にメールで回答する「コーディネート相談室

コーディネート相談室によせられた質問は、「SILVER BULLET」チームとも相談し、一緒に考えて回答している。

「コーディネート相談室」の回答メール
「コーディネート相談室」の回答メールの一例。機械的な返信ではなく、絵文字を使ったり写真を添付したり、親しみやすくなるよう工夫している 

電話でも「このアイテムをどんな風に合わせればいいのか?」といったコーディネートに関する質問を受けることがある。お客さまによっては対応が1時間半におよぶこともあるという。

SNSの投稿も通販部が担当

PBIのブランドは20あり、Instagramのアカウントだけでも7つある。SNSの投稿を通販部が担うことも多く、新作商品からコーディネートまで自由に投稿している。

普通は広報部などが担当することなのかもしれませんね。ですが、私たちにしか書けない文章もありますし、お客さまが何を知りたいかっていうことも、私たちが一番わかっていると思います。 (無津呂さん)

他にも、お客さまからコメントやメッセージをいただいた時に、すぐに対応できるのは通販部ならではの利点だという。また、通販部にとっても、新作情報やイベント情報を把握でき、商品についても詳しくなれるというメリットがある。

SNS更新作業

一番難しかったのは社内のコミュニケーション

業務のツールやシステムを改善するだけでは全体的な改善にはつながらない。無津呂さんが業務フローの改善とあわせて行ったのが、カスタマー部メンバー同士のコミュニケーションを増やすこと

スタッフ間のコミュニケーションができていないと、引き継ぎうまく行われず、お客さまへの連絡が遅れたり、重複したり、結果、それがクレームにつながったりする。無津呂さんは「スタッフ間の意志の疎通が一番難しかった」と言う。

メール対応に関しては、どのスタッフがどのメールに対応しているのか進捗状況がわかる機能を導入し、全員がリアルタイムで状況を把握し、対応できる体制を作った。

システム運用の見直しだけでなく、積極的に業務中の会話を増やしたりミーティングを行ったりするなど、チーム内でコミュニケーションとる時間を増やした。

ミーティングを始めたばかりの時は、うまく喋ることができず、自分の感情を伝えることができなかった。しかし、回数を重ねるうちに、だんだんお互いの気持ちがわかるようになってきた

コミュニケーションを増やすと、部の雰囲気がすごく良くなるんです。やっぱり人とつながってないと何も生まれないし、そうやって生まれたものから売上も伸びていくんだと思います。1人では何もできないので、協力していかないと。そういうところをすごく大事にしています。(無津呂さん)

現在は毎週金曜にカスタマー部の定例会議を行っている。チームの課題や、それぞれの仕事について建設的な話し合いを行う場だ。月ごとの目標をメンバー同士で共有し、達成できたかどうかを話し合う。会議中の発言は活発そのもの。スタッフが互いに目を配り、誰かがつまずいていたら助け船を出せるような協力体制が出来上がった。

忙しさを楽しさに変えた「目標設定」

しかし、ここに至るまでにはかなりの苦労があった。業務改善を行わなければ、スタッフが楽しく仕事と向き合うことができない。しかし「みんなで協力して仕事をしよう」とただ言っていてもスタッフの心は1つにならない。そこで無津呂さんが行ったのは「目標を設定する」ことだった。

初めて目標を設定したのは忙しくなる楽天スーパーセールの時期。具体的には「受注のデータを何時までに送る」とか「会話を増やす」といった目標だ。最初はスタッフ間に“やらされてる感”が漂っていた。しかし、最終的にはスタッフ全員がすべての目標を達成できていた。そこからチームの意識が変わった。

セール期間を振り返ったときに、みんなが「楽しかった」って言ってくれたんです。それが私はすごく嬉しくて。多分、その時に初めて、目標を設定して達成することにみんなが楽しさを感じてくれたんだと思います。

最初はバラバラだったみんなの中に「一緒に仕事をしている」という意識が生まれたのもうれしかったですね。(無津呂さん)

力を合わせて目標を達成すること。その達成感によって、強い連帯感が生まれた。

「仕事の楽しさを伝える」という役割

こうして築いてきた協力体制の強みを、社内にも広めていくのが無津呂さんのこれからの目標だ。 「口で言っても伝わらないので、わたしたちが実現して見せるしかない」 と無津呂さん。「以前は目の前のことで精一杯だったけど、今は1年後に自分が、部署が、会社が1年後どうなっていたいかを考えられるくらいの余裕ができた」という。

若い4人のチームが支える、PBIが展開するアパレルブランドのバックヤード。無機質に思われることもあるバックヤードの業務だが、無津呂さんは「こんなに楽しいことをみんなが知らないのはもったいない」と目を輝かせる。

今、ものすごく仕事が楽しいんです。本当にこの仕事に出会えて良かったなと思っているんです。自分の部下や後輩にも同じ気持ちでいて欲しいし、同じ感覚を味わってほしい。

仕事をしている時間ってすごく長いので、楽しんいでないともったいないですよね。自分も楽しいから、みんなにも楽しんで欲しいと思ってるんです。私のこの会社での役割はそれじゃないかな。 (無津呂さん)

PBI社内風景
◇◇◇

新しいコミュニケーションの方法を得て、強くなったPBIのバックヤード。これからますますその強みを増すことで、いったいどうなっていくのか? これからのPBIが楽しみだ。

B.Y

B.Yは、普段表に出ないEコマースのバックヤード(受注、出荷、顧客対応)担当者を取材した“日本初”バックヤードに特化したWEBメディア。 バックヤードの人々が実践する「運用業務の創意工夫」「仕事への向き合い方」をSTORY、「バックヤード運用ノウハウ」をTOPIC、として発信している。本来Eコマースがもつ可能性を拡げ、バックヤードの人がいきいきと働けるキッカケを提供することでEC業界全体を支援している。

B.Y
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8 分 26 秒 ago
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